原卓也のレビュー一覧

  • カラマーゾフの兄弟(上)

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    愛憎劇でもあり、唯神論or無神論でもあり
    サスペンス要素もあり...
    色んなカラーの濁流に飲まれる感じです。
    ぽやんと日々を過ごしている私のような日本人には

    イメージわかねぇえええええ!!!

    と絶叫したくなる場面も多々。
    でもこれは私の教養の無さが故です。
    育児の合間もあって読むのに5ヶ月かかりました。
    これでも本当に頑張った...笑

    農奴制の解放ってなに?
    当時のロシアのキリスト教の立ち位置は?
    そもそも社会主義ってなんだ?
    ってところはザックリ予習してから読むべきだったな...

    全てのキャラクターが色濃く
    地獄のような相関図の中で
    三男だけが物語の中心になって光を差し込んでくれる。

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    2021年11月01日
  • カラマーゾフの兄弟(上)

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    大まかなストーリーは、さほど複雑ではないが、心理描写が重厚で、読みごたえ十分。段々クセになってきた。

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    2021年10月07日
  • カラマーゾフの兄弟(上)

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    噂に違わぬ大傑作。

    ただ、、、、読むのにこれほど体力消耗した読書経験はない。もはや途中からモンブランかエベレスト登頂を目指すような感覚だった。

    原因はドストエフスキーの文体!!

    ロシアどころか、人類そのもの、
    人間社会と歴史総てを描こうと言うマクロ的な作品であるにも関わらず、
    着ている服のボタンの模様あたりから(これは例えです)ミクロ的顕微鏡を使って語り始めるもんだから、文章が長い長い長いながい!!!1人のセリフで軽く10ページ位喋ってる^_^


    これは一体何の話ですか?と何度ドスト兄さんに問いただしたことか。

    ロシアの広大な大地と、民族の血筋と、長い長いキリスト教信仰の歴史が、トル

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    2021年09月06日
  • 人生論

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    これまでずっと新しい定義に出会うたびに納得した風にして、でもどこか矛盾を感じていた疑問に対する答えを見つけられた一冊。これまで読んできた本の中で最も有益で有効で善良な一冊だと感じた。
    生命とは何か、なぜ生きるのは苦しいのか、幸福とはないかというあまりに捉え難い抽象的だけど当事者であり過ぎるあらゆる生への答えを、どこまでもロジカルに教えてくれた。

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    2021年06月04日
  • 賭博者

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    ルーレット賭博の魅力に取り憑かれ、泥沼に嵌まっていく人たち。賭博そのものよりも、賭博に取り憑かれる心理を通じて「人間」を描く。本作からも、「全てを平準化する力としての金の威力」という、ドストエフスキーの一貫したテーマの一つを強く感じとることができる。またギャンブルに対する関わり方や、金銭的な感覚を通じて、ロシア・フランス・イギリスの国民性の違いをかなり強調して描いている。ロシア=蕩尽、フランス=収奪、イギリス=分配といったかなり大雑把な分類(イギリス推し・フランス嫌いがすごい)ではあるが、それなりに説得力はあるし、なによりそういった分類が、作中の登場人物の特徴を際立たせ、魅力的な人物として描く

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    2021年01月03日
  • カラマーゾフの兄弟(中)

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    物語が一気に進む。
    二つの死と三兄弟の人生の変わり目が見応えだった。
    上巻と同じで非常に読みやすかったし、分かりやすかった。
    早く下巻を読もう。

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    2020年11月13日
  • 人生論

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    ネタバレ

    本書は小説ではなく生命に関する論文であるが、トルストイを文豪たらしめているその表現力は存分に満喫することができる。多彩な比喩を用いたその表現は、人生、苦しみ、死といったものと対峙した人間の心情を鮮明に描き出し、トルストイの思想を説得力を持って表現する。これらの比喩の多さ、斬新さ、的確さはそれだけでも本書の醍醐味の一つと言える。以下に一場面を引用する。

    「真の生命の発現とは、動物的な個我が人間をおのれの幸福の方に引き寄せ、一方、理性的な意識は個人的な幸福の不可能さを示して、何か別の幸福を指示するということにある。人ははるか遠くに示されるこの幸福に目をこらし、見きわめることができぬため、最初はそ

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    2020年09月17日
  • カラマーゾフの兄弟(中)

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    死の床につくゾシマ神父の回想と垂訓が2部の最後を締めるが、少し長すぎて要点が絞り込めていない。ここでこの大長編を読むのをやめた人は多いと思う。(わたしは二人知っている。)アリョーシャが物語の前面に出てくるが、ドストエフスキー作品中最も人気のあるキャラだけあってやはり好ましい。(ただしわたしはソーニャの方が好きだ。) 天性の人徳と優しさを持ちながら、妙に現実的で、異教徒に対する偏狭さに狂信的なものを感じるときがあるところも魅力だ。
    信仰の揺らぎに直面した状態で“カナの婚礼”の説話を聞きながらアリョーシャが霊感を受ける場面はこの作品中で一番渾身の場面だと思う。
    ちなみに女性の美徳は男のアリョーシャ

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    2020年07月21日
  • カラマーゾフの兄弟(中)

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    父フョードルが殺害され、長男のドミートリイに嫌疑がかけられるあたりからは本当におもしろい。
    カテリーナから盗んだ3千ルーブルの内の半分、1,500ルーブルを袋に縫いこんで、それを胸にさげておいたという《恥ずべき》秘密の告白の場面は最高!
    「僕は卑劣漢だけれど、泥棒じゃない」と訴えるドミートリイの心理描写のうまさに舌を巻いた。

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    2020年05月27日
  • カラマーゾフの兄弟(中)

    購入済み

    神の存在意義からミステリーへの

    前半は、(前編)最終部の「大審問官」から続く神の存在についての考察が続きます。それは、アリョーシャが慕うゾシマ長老の死によって、さらに問われることに。この部分を読み進めるうちに、遠藤周作さんの名著「沈黙」を思い浮かべました。神への信仰が深まるにつれ、本当に神は存在するのか…。永遠に解決されない課題なのでしょうか…。
    一転、後半からミステリー調の流れになって、現実に引き戻されます。そして、ついにその時は訪れるのです。

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    2020年05月16日
  • カラマーゾフの兄弟(上)

    購入済み

    神の存在と人間の心の葛藤

    19世紀ロシアの文豪ドストエフスキーが描いた、神の存在とこの世に生きる人間の心の葛藤をテーマとした小説。「人を愛する心とは」といった命題について考えさせられました。まだ上巻だというのに、深い。しかし、カラマーゾフ一家の父と3兄弟を中心に語られる物語は親しみやすく、女性を巡る情景やそれに嫉妬する人間の心がわかりやすく表現されており、ドストエフスキー初心者にもすぐ入りこむことができました。次の中巻も期待大。原卓也さんの翻訳も非常に好感が持てます。素晴らしい翻訳、ありがとうございます。

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    2020年05月06日
  • 人生論

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    『人生論』トルストイ メモ
    ◯内容整理
    ・「動物的個我」と「理性の法則」という考え方。動物的個我は、生命とは誕生から死までの期間である、その限られた生命の中で幸福は人生を達成しなければならない、みたいな考え方。目に見える(偽りの)生命。人間は目に見える人生こそが自分の人生という確信に陥ってしまった。
    →人間の幸福は、理性的意識の覚醒=動物的個我の幸福の否定によってはじまる。
    ・動物的個我における時間的、空間的条件は、真の生命に影響を与えない。(限られた人生の中でどう生きるか、みたいなことは、真の幸福には影響しない。真の幸福ではない)
    →理性への従属を通じて幸福を志向する力は、向上させる力であっ

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    2020年05月06日
  • カラマーゾフの兄弟(下)

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    世界的文学作品というのはどういうものなのか?フラットな気持ちで読んでみた。冷静に見ると、形としては滅茶苦茶なところがあるし物語の流れもスマートとはいえないと思う。サスペンス的な要素を含む話の骨格の周りに沢山の視点と物語がある。流石の文量なのでそれぞれに厚みがあり世界がある。百年以上前の小説に「萌え」をみたり。親子、兄弟、恋愛、友情。お腹いっぱいの作品。一言で言うのは難しい。読んだ。印象を持った。というのは財産だろう。読み応え、という点では間違いなく一級品。ドストエフスキーの別の作品も読んでみようかなと思うくらいの読み応えはあった。読むのが大変だった。が、また読み返したいなと早くも思う不思議な作

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    2024年07月13日
  • 賭博者

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    ギャンブラーの思考があますところなく描かれている。破滅への思考と行動。誰も止められない、手強い依存性。

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    2016年10月14日
  • 賭博者

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    ヤバイ。愛も金も人生をかけてルーレットにかける主人公の感情に完全に惹きつけられた。"ロシア人特有の病的性格を浮き彫りきする"と本の広告にあるが、この一発に全てをかける気持ちは誰もが持ってるんじゃないか??

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    2016年02月27日
  • クロイツェル・ソナタ 悪魔

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    トルストイが、性に対する持論を展開する中編2つを収める。
    クロイツェル・ソナタは、トルストイが音楽に非常に造詣が深かったのだろうなと思わせる箇所が、随所に現れる。妻がヴァイオリニストと関係を持ったと思う場面、すでに音楽を一緒に演奏したことが、主人には決定的だった。
    翻訳も素晴らしく、読みやすい。
    (2015.5)

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    2015年05月16日
  • クロイツェル・ソナタ 悪魔

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    ネタバレ

    「愛」とはなにか。
    それは一般に語られる愛とは大きく違う。
    それが見える者に訪れる苦悩を描く。
    愛し合うから、体を重ねる。そんなことは起こりえない。そこに因果関係は存在してはならない。し、するはずもない。ただただ、欲望でしかない。

    言語ゲームか、それとも人間の本性か。
    果たして回収しどころのない、永遠の苦悩、それを解決できずに、作者、トルストイは死んでいったのだろうか。
    また我々もそのように死ぬしかないのだろうか。

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    2015年01月01日
  • 幼年時代

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    特に印象的なのは当然物語のクライマックス、母親が死ぬシーンになるが、トルストイが書きたかったのは、その後の主人公の心理、思考描写だろう。おれも最近ばぁちゃんが死んだが、そこには悲しい人の役をどれだけうまく演じられるか競っているような面があって、本当に自分が考えていることを見つめるのが怖かった。トルストイはそれをあっさり書いていて、彼の鋭い眼差しは自分にも容赦がない。ただ宗教的な面で彼だけ見えてる部分があったが、それでもおれからしたら宗教的な面で本当にそうだろうかと思う部分もある。幼年時代の終わりとして、誰しも母親なるものの死が必要になる。しかしおれはトルストイが好きだ。アンナ・カレーニナなど他

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    2015年01月17日
  • クロイツェル・ソナタ 悪魔

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    ベートーヴェンのクロイツェル・ソナタを聞いてから気になって手にとった。
    トルストイの作品の中でも”性”について扱う中編二作品を収録。どちらのタイトルも抗いがたい欲望の引き金を象徴している。
    特に『クロイツェル・ソナタ』で行われる、列車の長旅の中で行われる人物たちの対話はとてもおもしろく感じた。
    どちらの作品もazuki七さんが常日頃感じているように、愛というものをどんな形にするのか、よくわからなくてイライラしてしまう。人間の動物的欲求を克明に描き出していると共に、そんな中でも清くあれと叫んでいるような感じがそれでもしてしまう。
    トルストイ自身も愛というものを探していたのかもしれない。

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    2014年03月14日
  • クロイツェル・ソナタ 悪魔

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    純潔に夢見てるトルストイらしい真摯さというか真面目さの見えるお話。罪と信仰と性に関して、理想持つ立場から書き綴られています。
    こんな風にキリスト教的な精神の葛藤を題材にした小説は多いけれども、仏教や神道では寡聞にしてあまりそういうのを見かけない気がする。

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    2013年05月14日