原卓也のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
生命とはなんだと思いますか?
そんな漠然と生命とはなんだと言っても、答える事は困難ですよね。
人それぞれ考え方が違うので、正しい答えをだすことは不可能に近いでしょう。
トルストイによる「人生論」
生命論とも言える書籍を紹介し、皆さんのなかにある生命とは何なのか?の一つの考え方として、捉えてみてはいかがだろうか。
本書は全部で35章の構成になっていて、全部を紹介すると何ページにもなってしまうので、重要な箇所と何がこの本の言いたいことなのか、を引用しつつも私の解説と共に紹介していく形で始めたいと思う。
では始めよう。
まずこの文を引用する。
「水車が唯一の生活手段であるような人間を想像してみよう」
なんのことかさっぱりだと思いますが、本書の頭の文です。
この後に、
ある人間(以後男と称する)
は粉を上手にひくには水車をどう扱えばよいかを、知っており生活を立てられるほど扱いには慣れていた。
ある日男が水車の構造について考えたり、水車がどうして回るのかを観察するようになった。
そして、川の観察を進めるていくうちに、男の水車はすっかり調子が狂ってしまった。
しかし男はなおも川についての考察を続けた結果、川がすなわち水車そのものであると確信にいたった。
この男の考察は誤りであり、粉をひくには、どうやって水を引くかを知らなければならないし、水流の力などをしらなければならないと。
つまり水車を知るには川を知らなければならないと。
この男は川が水車だという結論に至ったのだが本筋は違うのであり、川をしることは重要だが、それは考察の一部であると。水車と川は同類ではないと。
ここでトルストイはこんなことを言っています。
「考察そのものよりもむしろ、その考察の占める地位であること、つまり、何を先に考え、何をあとで考えるべきかをわきまえなくてはならないと」
「また、どの考察が1番目、二番目、三番目はどれであるべきかといった具合に、重要さの順に応じて、考察を配置しなくてはならないと」
という考えの基に本書は出発しており、生命も水車と同じことが言えると語っている。
この後章ごとに生命のことについて考察が進められていく流れになっている。
最後にこんなことを言っている。
「人間の生命は幸福への志向であり、その志向するものは人間にあたえられているのである」
トルストイは生命を生と死で分けて考えていない。すべては生命だと、しかしいろんな論者達の議論により生と死を分裂して考察してきたことに疑問を感じていたのである。
私達はつねに生と死を分けて考えていた。極端に思われるトルストイの考えは、参考までに留めておいたほうが良いだろう。という私の結論だろう。
なんか宗教じみていると感じた方もいるのではないだろうか?
本書は生命について書かれているが、
見方を変え、どの様に考察していけばよいのかという考察の手順書としても活用の余地は十分にあることをわすれないでほしい。 -
Posted by ブクログ
どこを読んでも瑞々しい輝きに満ちた中編。
たくさんの愛すべき登場人物に囲まれてのびのびと暮らし、母から注がれる最上の愛と、それを渇望する少年の人生に於いてもっとも幸せな時代。
日常の小さな幸せのひとつひとつにこそ胸を締め付けられる想いがしたし、もうとっくに思い出す事もなくなっていた甘美な思い出も思い出させてくれた。
あの頃のような瑞々しい心や感動はどこへいったのか?
トルストイの言葉をそのまま自分に問いかけてみる。
「あの涙や歓喜が永久にわたしから離れ去ってしまうほど、
重い足跡を、はたして人生がわたしの心に残しただろうか?」
そんなはずはないと、思ってはいるけれど。