柴田よしきのレビュー一覧

  • 猫は密室でジャンプする~猫探偵 正太郎の冒険1~

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    ネタバレ

    『愛するSへの鎮魂歌』
    桜川ひとみの熱烈なファンの男の妄想。彼女の作品「愛するSへの鎮魂歌」は自分へ向けてのメッセージと考える男。桜川ひとみを叱る隣人を殺害し自分が隣へ引っ越してくる。桜川ひとみの部屋の観察。正太郎を殺そうとするが。

    『正太郎とグルメな午後の事件』
    飼い主の桜川ひとみと元の飼い主の浅間寺竜之介の対談に連れていかれた正太郎。浅間寺の飼い犬で兄弟のように育ったサスケとの再会。駐車場で「泥棒」と叫ぶポメラニアンを見つける。ひとみ達を付け回すポメラニアンを乗せた車。担当編集者・村田が新幹線内で取り違えた土産のひよこぴよぴよ。

    『光る爪』
    浮気相手・川辺徹の妻・章子の殺害事件の証人に

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    2015年05月18日
  • 聖なる黒夜(下)

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    上巻途中からページを捲る手が止まらず、時間を忘れて読んでしまうくらい面白かった。
    ぼんやりとしか見えてこなかった事件の全貌が、ひとつひとつパズルのピースがはまるように謎が解けていき、最後のピースがはまったときに鳥肌が立った。

    人間が人間を裁くことは可能なのか、
    罪とはなんなのか、
    まさにその問いを本作品で投げかけられたような気がした。

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    2015年04月06日
  • 聖母の深き淵

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    『あたし自身を、これ以上にないくらいに「母親」という既定のものとして決定づけてしまった「子供」という存在に対して、心のどこか深いところ、あたしの中に広がる密かな闇の奥底て、静かに憎んでいるような気がする。

    確かに愛しているのに。

    この上もなく、可愛いのに。』

    まさに、LGBT小説だな。性的人間としての美しいもの醜いもの全てを詰め込めようとしているのかな。美しいものと醜いものが見る人によって反転する矛盾した世界を見事に描いている作品。
    相変わらずエグかったなぁ〜。

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    2015年03月21日
  • ア・ソング・フォー・ユー

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    花咲慎一郎シリーズ。
    無認可保育園の園長で探偵が副業のハナちゃんが様々な探偵仕事を引き受けるストーリー。
    弱い立場の人間を放っておけないお人好しで優しいハナちゃんのキャラクターが良かった。

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    2015年02月23日
  • フォー・ユア・プレジャー

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    無認可保育園の園長兼私立探偵の花咲慎一郎シリーズ。
    花咲に持ち込まれた人探しはクスリがらみのヤバイ仕事になり、さらに恋人の理紗が行方不明に…。無理難題連続の中戦う花咲の活躍が読み始めたら止まらない展開でよかった。
    また、前作同様一見関係なさそうに見える登場人物たちが、複雑に絡み合っていて後半にどんどん種明かしがされていくのも面白かった。
    何よりも花咲の保育園の子供たちへの思い・やさしさがとてもいい感じで描かれていていいなと思った。

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    2015年02月11日
  • フォー・ディア・ライフ

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    花咲慎一郎シリーズの第1作。
    花咲のもとに持ち込まれる悪ガキの救出、家出娘の捜索などの個別案件と思われていた探偵の仕事が実は繋がっていたというストーリー。巧妙にはりめぐされた伏線がお見事といった感じだった。

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    2015年02月08日
  • 聖母の深き淵

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    緑子の人物像がより鮮明に深まった今作。
    彼女はタフだ。それはダイヤモンドのように傷つけられることがない、というものではなくて、生身の肉体を持ち傷つき、倒れながらも何度も立ち上がる強さを持っている。
    LGBTの勉強にもなった、メディアに出てるフィルターをかけられたイメージではなく、彼ら自身の声を聞きたいと思った。

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    2014年08月24日
  • ふたたびの虹

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    東京•丸の内にひっそりと店を構える「ばんざい屋」を舞台に、様々な人間模様を描いた本。

    お店のお客さんのドラマが1話ごとに綴っていて、さらに毎回お腹が鳴ってしまいそうな季節の素材を使ったお料理がストーリーと絡み合ってたくさん出てくる。

    物語が進むに連れ、女将である美鈴さんの過去が明らかに。ミステリーを読んでいるようなドキドキ感と、次々出てくるお料理のワクワク感が入り混じって、本当に味わい深い素敵な小説だった。

    本当にこんなお店があったら行ってみたいなと思う。また、読み終わったらわ周りにいる、自分を大切にしてくれる人をもっと大切にしようと思った。

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    2014年08月21日
  • 観覧車

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    切ない。
    本の帯に「めっちゃ切ない」と書いてあったけど、帯の感想って
    あまりあてにしないし、正直「ケッ」て思ってしまうことがあるのだけど
    これは本当に切なかった。

    ある日突然失踪した夫を待ち続ける唯。
    “彼が自分を裏切っていないのなら生きていないだろう、そして彼が生きているとしたら
    自分を裏切っている”

    そんな状況だとわかっていながらも、諦観しながら、けれどひたすらに彼の帰りを待ち続ける。
    立ち止まってしまう弱さ、待ち続ける強さ、それがたまらなく哀しい。

    心にそっと広がる感傷。余韻が残る作品。

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    2014年08月13日
  • 聖なる黒夜(上)

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    練が切なすぎてうわあぁ…文庫版に併録された短編を読んで号泣。麻生は麻生で不憫でかわいそうというか気持ちはわからんでもないけど練の歩んだ人生を思うともっと寄り添ってあげてほしい…。シリーズ通して読んで、練というひとの存在の切なさとかやりきれなさに何度も泣いた。

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    2014年05月01日
  • 聖母の深き淵

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    この小説はミステリーという括りだが、事件解決がメインではない。
    メインはLGBT、男尊女卑、育児など社会問題と、登場人物の複雑に絡み合う人間関係。
    「都合の良い人物」など出てこない、それぞれが意思を持ち、物語の中で生きている。
    スーパーヒーローなんかではなく、私たちと同じく醜い部分を持ち、ときには選択を誤ることもある、そんな人物ばかりだ。

    主人公の緑子だが、母親になり変わった。
    無鉄砲で感情的なところは変わらないが、身の危険を感じた時に第一に子供のことを考えるようになったことで、人の気持ちにそっと寄り添うことができるようになった。
    私は今の彼女の方が好きである。

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    2014年04月30日
  • ワーキングガール・ウォーズ

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    この人のOL物は共感できるし、
    読んでいてスカッとするほど小気味イイ。
    もっとこの路線を書いてほしい。

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    2014年11月02日
  • 月神の浅き夢

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    涙が堪えなくなった、心が抉られたように痛くて痛くてしょうがない。そう、人は神になれない。徹底的な権利を重んじる人が人を裁くシステムの中で、この重任を担う警察や裁判官は一体どんな責任を背負えばいいのだろうか、誰がこの善悪を決める人たちの正義を問うだろうか、そもそそ正義一体何なの。自分がなぜ警察をならなきゃならないの、いま自分やってることは一体どんな意味があるの、と迷子になった緑子はこれからも戦いなきゃ、なぎ倒さなきゃ、この真相が見つからないと感じた。自分の行動で証明しなきゃこの深淵に囚われ続けるだけなんだ。悪魔じゃないよ、練は、ただ神経状態はすでに険しい懸崖に近づいて、ボロボロになっちゃった。麻

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    2014年01月04日
  • 聖なる黒夜(上)

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    互いに殺したいほど相手を憎みながらも、執着し、依存していく不器用な男達。
    メインの2人がとても魅力的。

    人間の罪と罰、人が人を裁くということについて考えさせられます。

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    2014年01月01日
  • 少女達がいた街

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    ノンノ、チアキ、ナッキー。
    背伸びして大人に近づこうとするような16歳の少女達が起こしてしまう事件が21年も経ってから真実がわかってくる。
    大人びたことをしながら、心は子供というアンバランスがすごく共感できて懐かしさを感じるようだった。

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    2013年12月19日
  • 聖なる黒夜(上)

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    すごい内容だ……。あまりにもつらい過去で目を背けたくもなったけども、同時に練の人生を見守っていこうとも思った。
    警察小説としては濃厚なストーリー。警察組織や麻生班や及川たち警察官としての意地やプライドも表現されてる。その辺りがおもしろい。
    中盤あたりからおもしろさが加速する感じ。被害者を取り巻く人間関係も見所かと。
    サイドストーリーには胸が締め付けられた……。
    はやく下巻に取りかかります!

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    2013年11月15日
  • 聖なる黒夜(下)

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    読みごたえあった。登場人物も多く、上巻では途中までなかなか物語に入り込めなかったが、それも上巻の後半からは解消。
    物語もクライマックスに向けて盛り上がって、下巻では一気読み。さすがに、これだけの厚さだと一気読みは寝不足になってしまったけど、時間を忘れさせて読ませる内容。麻生や練、及川など登場人物の心理もよく描かれている。
    男同士の友情とか愛憎、人間の罪と罰を描いてる。

    麻生や練は、他の作品にも登場してるらしいので読んでみたい。

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    2013年10月08日
  • 聖なる黒夜(上)

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    登場人物も多く文体も好みのものじゃなくて、読みはじめはページをめくるのに苦労した。中盤を過ぎてから、徐々に盛り上がりを見せている。下巻を読むのが楽しみ。横山秀夫と松本清張を足して二で割ったような印象。

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    2013年10月08日
  • 聖なる黒夜(上)

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    ネタバレ

    いつも柴田よしきさんの世界観には打ちのめされる。


    上巻の終わりで山内練の過去がようやく明るみになり、
    その絶望の深さを知ってなんか色々と納得。


    個人的に、人って経験や年齢や色んな因果によって
    めまぐるしいくらい、予想もつかない方向に
    変わっていくものだよなぁとか思っていたりするので
    気弱でわりとぼんやりしてそうな草食系インテリ青年が
    あんな風に結果として“変われた”のはそれはそれで…
    よかった…ような気がするよ、いやでも…


    いやでもあんなの凄まじい地獄の日々ですけどね、ガクブル…


    展開がするするっとしてて、会話が軽快なので
    リーダビリティーの高い小説だなぁと柴田さんの小説を読み

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    2013年09月05日
  • 少女達がいた街

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    70年代の青春小説にミステリーをブレンドした傑作です。
    前半は1975年東京を舞台とした青春物語。ロック好きの女子高生がドラッグやロックンロールの渦へと巻き込まれる様子が綴られています。当時の風俗がとてもリアルで非常に面白いです。
    後半は21年後の1996年が舞台。ここからミステリーに様変わりします。火事で生き残った少女は誰なのか。犯人は?動機は?既に時効となった事件の様々な謎が畳み掛けるかように一気に解けていきます。1975年の話が意外に伏線だらけだったのにも驚きましたし、それらの回収もお見事。
    あまり知られていない作品ですが、読んで損はないと思います。

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    2015年12月27日