柴田よしきのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ『愛するSへの鎮魂歌』
桜川ひとみの熱烈なファンの男の妄想。彼女の作品「愛するSへの鎮魂歌」は自分へ向けてのメッセージと考える男。桜川ひとみを叱る隣人を殺害し自分が隣へ引っ越してくる。桜川ひとみの部屋の観察。正太郎を殺そうとするが。
『正太郎とグルメな午後の事件』
飼い主の桜川ひとみと元の飼い主の浅間寺竜之介の対談に連れていかれた正太郎。浅間寺の飼い犬で兄弟のように育ったサスケとの再会。駐車場で「泥棒」と叫ぶポメラニアンを見つける。ひとみ達を付け回すポメラニアンを乗せた車。担当編集者・村田が新幹線内で取り違えた土産のひよこぴよぴよ。
『光る爪』
浮気相手・川辺徹の妻・章子の殺害事件の証人に -
Posted by ブクログ
東京•丸の内にひっそりと店を構える「ばんざい屋」を舞台に、様々な人間模様を描いた本。
お店のお客さんのドラマが1話ごとに綴っていて、さらに毎回お腹が鳴ってしまいそうな季節の素材を使ったお料理がストーリーと絡み合ってたくさん出てくる。
物語が進むに連れ、女将である美鈴さんの過去が明らかに。ミステリーを読んでいるようなドキドキ感と、次々出てくるお料理のワクワク感が入り混じって、本当に味わい深い素敵な小説だった。
本当にこんなお店があったら行ってみたいなと思う。また、読み終わったらわ周りにいる、自分を大切にしてくれる人をもっと大切にしようと思った。 -
Posted by ブクログ
この小説はミステリーという括りだが、事件解決がメインではない。
メインはLGBT、男尊女卑、育児など社会問題と、登場人物の複雑に絡み合う人間関係。
「都合の良い人物」など出てこない、それぞれが意思を持ち、物語の中で生きている。
スーパーヒーローなんかではなく、私たちと同じく醜い部分を持ち、ときには選択を誤ることもある、そんな人物ばかりだ。
主人公の緑子だが、母親になり変わった。
無鉄砲で感情的なところは変わらないが、身の危険を感じた時に第一に子供のことを考えるようになったことで、人の気持ちにそっと寄り添うことができるようになった。
私は今の彼女の方が好きである。 -
Posted by ブクログ
涙が堪えなくなった、心が抉られたように痛くて痛くてしょうがない。そう、人は神になれない。徹底的な権利を重んじる人が人を裁くシステムの中で、この重任を担う警察や裁判官は一体どんな責任を背負えばいいのだろうか、誰がこの善悪を決める人たちの正義を問うだろうか、そもそそ正義一体何なの。自分がなぜ警察をならなきゃならないの、いま自分やってることは一体どんな意味があるの、と迷子になった緑子はこれからも戦いなきゃ、なぎ倒さなきゃ、この真相が見つからないと感じた。自分の行動で証明しなきゃこの深淵に囚われ続けるだけなんだ。悪魔じゃないよ、練は、ただ神経状態はすでに険しい懸崖に近づいて、ボロボロになっちゃった。麻
-
Posted by ブクログ
ネタバレいつも柴田よしきさんの世界観には打ちのめされる。
上巻の終わりで山内練の過去がようやく明るみになり、
その絶望の深さを知ってなんか色々と納得。
個人的に、人って経験や年齢や色んな因果によって
めまぐるしいくらい、予想もつかない方向に
変わっていくものだよなぁとか思っていたりするので
気弱でわりとぼんやりしてそうな草食系インテリ青年が
あんな風に結果として“変われた”のはそれはそれで…
よかった…ような気がするよ、いやでも…
いやでもあんなの凄まじい地獄の日々ですけどね、ガクブル…
展開がするするっとしてて、会話が軽快なので
リーダビリティーの高い小説だなぁと柴田さんの小説を読み -
Posted by ブクログ
70年代の青春小説にミステリーをブレンドした傑作です。
前半は1975年東京を舞台とした青春物語。ロック好きの女子高生がドラッグやロックンロールの渦へと巻き込まれる様子が綴られています。当時の風俗がとてもリアルで非常に面白いです。
後半は21年後の1996年が舞台。ここからミステリーに様変わりします。火事で生き残った少女は誰なのか。犯人は?動機は?既に時効となった事件の様々な謎が畳み掛けるかように一気に解けていきます。1975年の話が意外に伏線だらけだったのにも驚きましたし、それらの回収もお見事。
あまり知られていない作品ですが、読んで損はないと思います。