柴田よしきのレビュー一覧
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色々な人達の美味しい旅
色々な人達の美味しい旅が、いっぱいに詰まっている。ちょっと、えっ?思うような話も有ったけれど、大好きな作家さんの、最後の二つの話が、感動的だったので、星四つ
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Posted by ブクログ
時代小説の「お勝手のあん」シリーズからの流れで読む。
「あん」は薄幸の少女期を過ごし、料理の腕は上がるが気の弱い役柄だが、この本の主人公・墨田翔子は全く逆の性格。
37才で未婚の管理職。社長賞を何度も取る程の凄腕だが、部下含め皆んなが自分を嫌っていると自覚。煮詰まって、オーストラリアでも行こうかと思ってSNSで聞いてみたら、オーストラリア在住の旅行社の女性・嵯峨野愛美に出逢う。職場トラブルからの逃避と思って自分が優位に立ったと考えた愛美は、翔子が一流企業の管理職と知って打ちのめされる。二人の心の声が現実的で鋭い。
オフィスではマニュキアでの汚染や生理用品の紛失などのイジメのような事件、セクハラなどのトラブルが発生するが、無関心を装う翔子が、なぜか奮闘する。
ミステリー要素も盛り込みつつ、意外な犯人が現れる。翔子、愛美の自虐的な内容が多いが、男性作家でありながら、良くここまで書けるな、と感心する。 -
Posted by ブクログ
柴田よしき『所轄刑事・麻生龍太郎』角川文庫。
『RIKOシリーズ』のスピンオフ。所轄の新米刑事時代の麻生龍太郎を主人公にした警察小説の短編集。2009年に新潮文庫から刊行された同名の作品を加筆・修正、特別書き下ろし短編『小綬鶏』を収録。
唯一面白かったのは『割れる爪』。後は並みの短編だった。
新潮文庫版は既読であるが、13年も前だと内容はうろ覚えだ。主人公の刑事がゲイであるのは覚えている。今やLGBTなどとオブラートに包んだ表現を使い、差別や偏見はけしからんと何故か異常に大事にされているが、当時は全く事情が違っていた。個人的にはLGBTに関する考え方としては、当時の方がまともで、今が異常だと思うのだが。
『大根の花』。小さな事件の捜査の過程と共に麻生龍太郎の抱える秘密が少しずつ明らかにされる。東京の下町、門前仲町の商店街の裏路地で連続して発生した植木鉢と三輪車の損壊事件。麻生龍太郎は相棒の今津とともに捜査を開始するが、やがて各々の事情で傷付く人々の姿が浮かび上がる。★★★
『赤い鉛筆』。麻生龍太郎が自殺偽装のトリックの謎と真犯人の正体を解き明かすというオーソドックスな短編。古いアパートで28歳のOLの縊死体が発見される。首にはピンク色のロープが巻き付いていたが、何故かロープの上部が何者かに持ち去られていた。自殺なのか、他殺なのか……麻生龍太郎は同期の田上と共に捜査にあたる。校正のカルチャースクールに通っていた女性は……★★★★
『割れる爪』。事実は小説より奇なり。なかなか面白いストーリーだった。人間、いつ落ち目になるか解らない。一寸先は闇。麻生龍太郎が、道端で突然女子高校生の顔を引っ掻いたホームレスのような若い女性の聴取を行う。少しずつ女性の動機に迫る龍太郎……★★★★★
『雪うさぎ』。無理のあり過ぎる展開に閉口した。同性愛の相手の部屋から帰宅する麻生龍太郎はマンションの4階の部屋の窓から泣き叫ぶ幼女を目にする。何とか部屋に入り込むと幼女の母親が亡くなっていた。母親は心臓麻痺による死亡と断定されるが……★★
『大きい靴』。何となくストーリーに記憶はあるが、こんな無理な話だったか……飼い犬がくわえてきた人間の手首。鑑定の結果、手首は死後に切断されたものと断定される。麻生龍太郎は手首について捜査するが……★★
『エピローグ』。麻生龍太郎の異動。同性愛の関係にあった先輩との別れ。
『小綬鶏』。特別書き下ろし。飛べるのに飛ばない鳥とは麻生龍太郎のことか。本作を締め括るような短編。雰囲気は良く、味がある。所轄署から本庁に異動した麻生龍太郎。かつて麻生が逮捕した男が亡くなり、男の姉が麻生にある物を手渡す。★★★★
本体価格820円
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Posted by ブクログ
ネタバレ表紙のタイトルが気に入って読んだ。短編物は一般小説を読んでいるとどうしても物足りなくて、かといって短編だけど、一つ一つが最後につながって..といったものもそろそろ読み飽きてって思ってましたが、いい意味で裏切られました。一話一話はボリュームがないはずなのに奥深くていろいろ考えさせられる、それでいて、結末に驚かされる。決して小粒ではない短編なのに読み応えのある大粒の傑作集でした。女性作家が集まって作られた作品ということもあり、優しく包み込まれるような話ばかりで、一気に読むよりは一日一話づつちょっとづつ読むのがいいのかもしれません。