柴田よしきのレビュー一覧
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結婚して一年、夫が姿を消した。その帰りを信じて、
探偵だった夫の後を継いだ下澤唯。夫を待つ唯が遭遇する、
さまざまな男女の切ない恋愛模様。
愛しい人が突然、目の前からいなくなっとしたら…。
ただただ、待ち続けるだろうか。それとも、
いい加減のところで諦め、人生を切り替えて
生きていくのだろうか。
唯は待つことを選んだ。
それは、今でも彼を愛しているから。
夫の居場所を守るように、探偵という仕事を継いだ。
そうして、いつのまにか、十年が過ぎようとしている。
傷、悲しみ…、ハードボイルドの要素が詰まった作品だ。
ぶきっちょな男女が巻き起こす出来事。
その中を、唯は彼らの影響を受けながら進んでいく。
表題作の「観覧車」ほか、6編の男女に絡む物語。
桜と死体の取り合わせは、昔から小説の題材として
見かける。
その中でも、「観覧車」の美しさは心に迫った。
この取り合わせがすぐさま、心に美しい映像として
鮮やかに浮かび上がる。
その美しさは、もろく、はかなく、幻影のようだ。
蓋を開ければ、男と女のどろどろとした感情のもつれや
醜さが事実として隠されているのだが、
登場人物たちが交わす京ことばとあいまって、
柔らかい恋物語に仕上がっている。
夫の行方と、失踪の訳は、
続編「回転木馬」へと引き継がれる。 -
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園の存続のため新宿を走り回るハナちゃん園長。
今回の裏のお仕事はクスリの売人探し。
一方で、恋人の理沙が行方不明となり、相変わらず大忙し。
今夜も眠れない園長先生だ。
一夜をともにした男を探してほしいという依頼。
だが、調べてみると、どうやらその男はクスリの売人らしい。
今回の仕事もだんだん、きな臭くなってくる。
そんな中、愛しき理沙の行方が分からなくなったという、
理沙の妹からの電話。
何者かに拉致された様子。
ハナちゃん、パニック。
マンションの一室に監禁されていることを突き止め
救出に向かったところ、男女の射殺死体を同時に
発見してしまう。
事情があれやこれやこんがらがって、
いつのまにか、警察学校で同期だった男の命を救うため、
射殺犯を突き止めさせられる羽目に。
このシリーズの魅力は一つや二つではない。
園長先生という顔と、ヤバい仕事も請け負う探偵の
二つの顔を持つ設定。
そして、全員といっていいほど、愛おしくて好きになってしまう
登場人物たち。
凶悪、狂暴な経済ヤクザ、山内でさえ愛すべき人物に
見えてくる。
山内の危ない魅力は、別の作品、「聖なる黒夜」で、
たっぷり描かれているので、そちらもおススメだ。
警察学校で同期、今は山内の部下となっている
斎藤の命を救うため、満身創痍で走り回る
展開には泣けてくる。
ともかく、ストーリー展開のスピード感は相変わらず。
一ページ、一行に目が吸いつけられ、結末まで止まらない。 -
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ネタバレ評価は4.
内容(BOOKデーターベースより)
中学時代から十年来の仲間である歌義、陽介、綾、まり恵。四人が京都郊外の山中に住む恩師宅に向かう道中、一組の男女と出会う。その幸せそうな二人が、一ヶ月後に死体で発見されて―。古都・京都を舞台に、恋愛、進路など人生の岐路に差し掛かった四人が、事件の数々に向き合う青春ミステリーの傑作。
ミステリーと言うよりは仲良し四人組同級生達の恋の行方とそれを見守る恩師って内容だ。しかも、ミステリー部分がここまでおまけなのが珍しいほどおまけである。
1つ言えば本物の京都の寺や珍しい料理が紹介されているのでそれなりに興味を持って読める。 -
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表の顔は保育園の園長先生。だが、破綻しかかった園を支えるため、
探偵という裏稼業でヤバい仕事を請け負い、時には押し付けられ、
今夜も街を駆けずり回る。ひよっとしたら、
日本で一番忙しい探偵なのかもしれない。
ヤクザや殺人も絡んで、私立探偵が新宿の街を疾駆する
物語だが、ゴリゴリのハードボイルドではない。
軽妙な文体と、時にはユーモアがにじむ会話、
子どもたちとのやり取りが温かく、
ハートフルミステリーかと錯覚してしまうことも。
新宿の無認可保育園「にこにこ園」の園長、
ハナちゃんこと、花咲慎一郎シリーズの1作目。
元捜査一課の刑事。だが、やむなく同僚を射殺してしまい、
仕事も家庭も何もかも失い、どん底の生活を続ける彼を
拾ったのが、ヤクザの妾の風見恭子だった。
彼女は、自ら営む保育園の後継者を探していた。
保育園に連れてこられ、子どもたちの笑顔を見た
ハナちゃんは、その日から園長先生になる道を選んだ。
園の利用客はホステスやシングルマザーなど、
訳アリの母親が殆ど。
保育料も格安なので、園の経営はいつだって
青息吐息。
そんなハナちゃんの足下をみて、
ヤバい仕事を押し付けてくるのが探偵事務所の社長、城島だ。
今回も家出少年と家出娘の二つの捜索依頼が、
ヤクザとのもめごとも絡んで、思わぬ方向へ
転がりだす。
スピーディーなストーリー展開、ハナちゃんに
降りかかってくるトラブルもてんこ盛り、、
怒涛の勢いで結末まで持っていかれる。
また、登場人物の背負った事情が丁寧に描かれ、
飽きさせない。
どのキャラも主役級で、それぞれを主人公にした
作品が描かれるのではと思うほど、魅力的だ。
特に、他で主役をつとめ、さまざまな作品にも登場する
「夜恐怖症」のヤクザ、春日組の山内が、
このシリーズにも顔を出し、ハナちゃんにちょっかいをかけ、ひっかき回しているのが、面白い。 -
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元刑事の花咲慎一郎。通称“ハナちゃん”は新宿で24時間営業の無認可保育園の園長を務めつつ、裏では私立探偵を営む。
ある事件をきっかけに刑事を辞め、酒に溺れ誰彼構わず喧嘩を売ってはボコボコにされる。いつの間にか妻にも出て行かれ、抜け殻のような日々を送っていた時、私立幼稚園・にこにこ園の創立者に拾われ、子供たちと出会い、「一夜に二度みる夢」に出会った。
登場する人々の設定や関係性が事細かに描かれていて、本当にこの人達が新宿で生きていたのではないか、とさえ思える程それぞれの人に人生があって、夢があって、今がある。そんな風に感じられるストーリー。
誰かの為に、自分を犠牲にしてでも一生懸命尽くすということは物凄く大変だけど、それこそが生きている理由なのだと、
誰の為に働くのか?誰のために生きるのか?
また、何故人は誰かを愛するのか?
という深いテーマが突きつけられているように感じました。
決して子供が好きだから。なんて理由だけではない
ハナちゃんの子供達に対する強い想いや、
それを支える周りの人達の暖かさが響きました。
続編も読みたい。 -
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ネタバレ『聖なる黒夜』その後のお話。
刑事を辞めて私立探偵へ転職した麻生龍太郎。
少々風変わりな依頼から得体の知れない事件まで、意外な所で繋がる人物たちや、予想を(良い意味で)裏切られる真相。点と点が全て1本の線で結ばれ、事件の全貌が見えた瞬間にはアッと思わせられる。個々の事件が各章ごとに分けられていて、短編集のような読み易さもあり、面白かったです!
特に、キャッチボールの話が1番のお気に入りです。
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ただ、前作を読んだなら誰もが気になる、
「麻生と山内、2人はその後どうなったの?!」
という点については、少ししか描かれていなかったので残念…。しかも、麻生は練だけに対してずっと変われ、変われと言い続けているのが酷。所々で自分が警察側の人間であることだと再確認する場面はあるのに、自分のことは棚上げ⁈と思ってしまう。どこまでも堕ちていくのだと覚悟したのなら逆に自分が暴力団側に加わり、ずっと側で守ってあげればいいのに……。
でも、そんな未来は例え天地がひっくり返ったとしても絶対に無存在しないだろうなあ…分かってはいたものの、ラストシーンはやっぱり辛い………切ない……
お別れの時、「さよなら」と言わないのが練らしい
次、再会するとき2人はどんなところに立って、
どんな表情をしているのだろう。
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本編とは別で、解説もとても面白かったです。
クスッと笑わせてもらえたり、
物語全体の核心を突いたコメントなど、
その中でも、とあるミュージカルのワンシーンが
紹介されていて、その中のセリフが
「このままの僕を 愛して欲しい」
最後にここでトドメの一発。
もう泣きそう。
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RIKOシリーズ読もう。
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新刊台を見ていたら、少し前に同じ著者の本を読んでいたことでなんとなく目について手にとってみた。自分自身が写真好きなのもあって面白そうかなと思い購入。読んでみたらなかなか良かった。
初心者向け写真講座を軸に展開されるお話。受講生の一人の「風味さん」が一応主人公だけど、他の受講者や講師の知念大輔たちの群像劇でもあるって感じ。
一年間の写真講座は始まったばかりなので、シリーズ展開前提なんだねぇ。謎を残した終わり方だったし。なかなか面白かったので、是非とも続いて欲しいなぁ。
すごいなと思ったのは、小説でありながら本格的な写真ハウツー本でもあること。講師である知念が語ることをきちんと実践すれば本当に写真が上手くなるよ、これは。著者の柴田よしきさんってちゃんと写真を勉強した人なんだなぁ。
ストーリーのある小説を読みながら写真撮影に関する基礎知識も得られるので、一般的なハウツー本が難しいと感じる人にはオススメかも。