柴田よしきのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ目次
・観覧車
・約束のかけら
・送り火の告発
・そこにいた理由
・砂の夢
・遠い陸地
・終章、そして序章
柴田よしきの、プロ作家としての初めての作品ということもあって、ちょっとまだこなれてない部分もあるけれど、面白く読んだ。
結婚して一年で失踪した夫が遺した探偵事務所を、彼の帰る場所を守るために引き継ぐ唯が主人公。
いくつかの事件は、唯が夫を探すための手掛かりにもなる。
ちょっとネタバレになるので詳しくは書きませんが、単身赴任のお父さんのために娘が作った手作りチョコを送るという妻に、「帰って食べるから送らなくていい」という夫。
これはひどい。
夫の本心は、もう食べることができないから送らなくていいということだったんだろうけれど、却って食べると言われた家族は、彼の帰りをずっと待っていたはずだ。
そこに思い至れないほど追いつめられていた、ということも言えるけど。
それに対して唯は、”男は、嘘をつくのだ。決してついてはならない、嘘を”と憤るのだけど、解説の新井素子が、恋愛経験値が低いけど…といいつつ別の見解を述べる。
”男って、決してついてはならない嘘をつく生き物なのと同時に、”約束”と”希望的観測”の区別のつかない、単なる莫迦なんじゃないのか?”
ああ、なるほど、確かにね。
私も何度か起ったわ。
ぬか喜びさせるな!って。
だけど唯の夫は10年も失踪しているのだよ。
目撃されたこともあるから、生きていると思われる。
なら、なんらかのアクションを妻にしてしかるべきなんじゃないの?
死亡届けを出すのもご勝手にってのはもう、妻に対して無責任以外の何物でもない。
もちろん夫には夫の事情もあるだろう。
だけど、あまりにも自分の事情しか考えてないと思うのだ。
唯の夫も、約束と希望的観測の中で揺れたかもしれないけれど、ひとりの人間の人生を束縛するには、10年はあまりに重いと思うんだよね。 -
Posted by ブクログ
料理をテーマにしたアンソロジー。
女性作家ばっかりかなと思ったけど、中村航さんは男性かな?色んなテイストの作品が詰まっていて、美味しくて嬉しいアンソロジーでした。
以下お気に入り作品。
柚木麻子「エルゴと不倫鮨」
不倫を嗜む男たちの隠れ家的鮨屋に、明らかに場違いなくたびれたおばさんが襲来する。そのおばさんはなぜかとても料理に詳しく、次々と美味しそうなオリジナル創作鮨をオーダーしはじめ…まさにタイトル通り注文の多い料理小説。ラストのオチも痛快でよい。
伊吹有喜「夏も近づく」
悠々自適な田舎暮らしをしている主人公が、兄から半ば押し付けられる形で甥っ子を預かることに。田舎の豊かな自然と触れ合うことにより2人が打ち解けていく様子が微笑ましい。伊吹有喜さんらしい、爽やかで優しいお話。
坂井希久子「色にいでにけり」
はじめましての作家さん。時代物で、美しい色彩と和菓子の融合。短編なのにキャラが立ってて、シリーズもので読みたいと思った。
中村航「味のわからない男」
岩上が脳内で原田○二に変換されて笑った。 -
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ずいぶん前に所有していた本。もう手元にないが、久しぶりに読みたくなって借りた。
京都を舞台に、卒業して10年近くたってからも付き合いが続いている中学校時代の部活の仲間と顧問の先生が、近くで起こる事件の謎に取り組み、解決していく話。事件は殺人など結構重い。
一般社会に生きていて、こんなにしょっちゅう事件に遭遇するか?という突っ込みどころはあるけど、25歳前後の4人の男女の人生の岐路については丁寧に書かれていると思う。仕事や夢や恋愛や不倫など、一筋縄ではいかないところなどはリアルだと思う。京都の寺社などの観光地や自然も豊かに描かれていて、京都に行きたくなった。 -
Posted by ブクログ
夫のモラハラから逃げるように
この高原にやって来た奈穂
距離感が近すぎる地元の人達とのかかわりに、
ああ田舎ってこういうとこあるよな・・
詮索好きでやたらと干渉してくる閉塞的な感じ。
でも次第に溶け込んでいくのだ
そして、そんな奈穂の店は住民たちが自分の
悩みを打ち明けたりほっとくつろいだりする場所に
なっていく。
奈穂の店「カフェ ソン・デュ・ヴァン」 1年目の物語。
出てくる料理が美味しそうだ。
私の知識が貧弱でよく知らないような料理も
出てくるが記述が上手い。
海の塩のほうが味が丸いと言うか
少しのんびりしていると言うか・・・
味がのんびり?
いい表現だなーと思った。
ベーコンサンドやトマトソースのポークソテー
そそられる。
「ひよこ牧場」のバターやソーセージ、
「あおぞらベーカリー」の天然酵母のパン
地元の食材を上手に使って素人っぽさが
味になるような心のこもったメニュー
爽やかな高原の夏、実り多い秋、雪に埋もれてしまう冬
優しい料理に癒やされながらも人の悩みは
外から見るだけではわからない
閉塞的な田舎暮らしから出ていきたい人
都会ぐらしに疲れた人
どこにいたって悩むこともあるし迷いもでる。
だけどここが良いと思える場所で
頑張ろうとしている人は応援したくなる。
田中さんとの関係良かったなぁ
ゆっくり少しづつ傷を癒やしながら
全てが解決するわけではないけれど
生きていく、暮らしていく。
優しくて穏やかなお話だった。