森功のレビュー一覧
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「地面」は、誰のものでもない。
そう思って生きてきたはずなのに、この本を読んでからというもの、
足もとがわずかに揺らぐような感覚を覚える。
森功『地面師』は、2017年に発覚した積水ハウス巨額詐欺事件を軸に、
土地取引という名の“日本社会の盲点”を描いたノンフィクションだ。
70億円もの金が、ほんの数人の手によって動き、消えた――。
この事件は、単なる詐欺事件ではない。
それは「信用社会」という日本の経済システムそのものの脆さを露呈させた象徴だった。
森の筆致は淡々としているが、その冷静さが逆に恐ろしい。
登場する地面師たちは、派手な悪党ではない。
書類と印鑑、そして“信頼”という見えない -
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ノンフィクション作家の視点からみた、ヤフージャパン元社長、井上雅博の生涯をまとめた本。
目次としては、
序章 三〇億円の隠れ家
第一章 突然の死
第二章 都営団地が生んだ天才
第三章 タイムマシーン経営の原点
第四章 ソフトバンクの遊び人
第五章 ならずものをかき集めて
第六章 孫正義の操縦術
第七章 知られざる趣味の世界
第八章 思い知った限界
第九章 趣味人として
終章 天才の死
となっている。
作者が直接本人に話を聞けたわけではないようで、やや伝聞をまとめた印象か強い。
その中でも第5章のマネジメントに長けていた話はとても面白く、特に創業時は周囲に慕われていたり、優秀な人材を見抜く -
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「官邸官僚」森功☆☆☆
2020/03/08
安倍政権は一強長期政権であるが国家経営のスケールは無い
権力のお裾分けをいかに自分に有利に運ぶか、個々人のせこい思惑でこの国は10年近く運営されてきた
そのつけは毎年30兆円以上の借金証文となって次代の肩にのし掛かる
平成から30年間、日本史の中で「総無責任時代」として歴史を刻むことになりそうだ
著者の取材力は壊れていく日本の中枢を余すこと無く描き出している 見事そして脱帽
2020/08/26 追記
年初来、全く想定外の「コロナウィルス」が猛威を振るい、世界を塗り潰す勢いである 全く共産党宣言の世界だ
コロナは日本の危機を白日に晒した
安倍政権の -
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【官邸の主を守り通すという、ある意味の使命感を最も強く抱いている役人集団が存在する】(文中より引用)
官邸の力が強まるにつれ,パワーバランスが変化したとも評価される霞ヶ関・永田町。これまでとは異なるルートで権力の階段を駆け上がり,権勢を振るうようになった「官邸官僚」について研究した作品です。著者は、フリーランスのノンフィクション作家として活躍する森功。
日々の報道からだけではなかなか見えてこない,中・長期的に観察される政治の変遷について考える上で有益な一冊。制度と人の両観点から事象が捉えられており,深みのある分析になっているのではないかと感じました。
本書で指摘される傾向は一時的なものな -
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【一連の取材を通じて菅は、究極の合理主義者であると感じた】(文中より引用)
第二次安倍政権で官房長官に就任して以降、政権の屋台骨として抜群の安定感を誇ってきた菅義偉。あまり公には知られていない菅氏の過去を追いながら、その人柄や思想を読み解いていく作品です。著者は、『同和と銀行』などで知られる森功。
足を使って得た数々の情報から、立体的に菅氏の人間像を描いていく力作。情に比して理、劇場型に比して水面下型、ビジョン型に比して問題解決型という座標をたどると、菅氏の輪郭が浮かんでくるのではないかと感じました。
横浜に関する章も興味深かった☆5つ -
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ヘビーな内容のため、読み進めるのに意外と時間がかかってしまった。
この本を読む前に同じ著者の「地面師」を読んでおり、そちらも一連の事件の背景を読みやすくまとめた一冊という好印象を持った。しかしこの「同和と銀行」は、取材のち密さと内容の濃さ(大変な濃さ……!)、そして取材対象に向けた熱意といった面で、前者を凌駕する読書体験をもたらしてくれた。
この本でも述べられているように、銀行をはじめとした金融機関というものはビジネスに利用できるものはとことん使い尽くし、一旦取引が事件化したとなるとあっさり裏切るものだという印象を抱いている(なので銀行が憧れの就職先、というちょっと前までの傾向には個人的に -
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田中森一の本を読んで、許永中に対する思い入れが強い。
一体、許永中は、どんな人物か興味があった。
森功の文体は、独特のものがあり、
取材に基づいて、淡々と書いていくところがあり、
人物の心の動きは、あまり書かない。
そんな書き方をしていても、許永中の人たらし能力が
あることを、感じさせる。
もっと、行間が読めるようにならないといけない。
敵のはずでも、味方にする能力がある。
かなりの権力を持った人にも、擦り寄ることができる。
力任せに、半グレ集団のリーダーだった在日の許永中。
西村嘉一郎、大谷貴義というフィクサーに会うことで転機を迎える。
野村雄作に会うことで、父親の野村周史につながり、可愛が -
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サブタイトルにある「側近政治」は、歴史的に振り返っても、もろ刃の刃であることが少なくない。
現政権の「側近」による各種の振る舞いも、内閣人事局による官僚組織上層部の人事一元化ともあいまって、猛威を振るっているものの「成果」はさして上がっておらず、著者によればむしろ官僚組織の自壊を引き起こしている側面のほうが強いと思われる。かれら側近は、私に言わせれば、ある種の仕事上の能力はあるのかもしれないが、マッチであちこちに政策の火をつけて回るものの、政治に必須の「責任」はみごとに回避する。安倍内閣の代名詞ともなった「やってる感」を体現しているだけの存在にすぎない。なによりも人間性に決定的な欠損があるとお -
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『JALには、さながら伏魔殿のような恐ろしさが潜んでいた。数多くの利害関係人が会社に巣くい、さまざまな算盤感情が渦巻いている。日本の政官財それぞれの立場でJALを利用し、不明朗な利権構造の温存を容認してきた。
下手につつくと、どこから鬼や蛇が飛び出すかわからない。JALは、そんな不気味な企業体質を抱えつづけてきたが、体内の膿が噴き出しそうになるたび、絆創膏で傷口をふさいできた。そうした体内の膿が栄養となり、巨大な経営赤字という怪物を育ててきたのではないだろうか。』
32年前の惨劇を通奏低音に、腐った翼がいかに腐っているのかを描いている。
最近もやたら不具合が多いが、安全第一をよろしくお願い -
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大半がリアルタイムに見聞きしてきた事件だったから、当時の記憶と照らし合わせたりしながら、とても興味深く読み進めることが出来ました。参考文献が殆ど示されていないこともあって、ともすれば宝島MOOKと紙一重って感じもしますが、推論を極力排し、自身の取材で判明した事実関係が主に述べられているから、うそ臭さを感じないのも良いです。週刊誌とかとも違い、リアルタイム性を求められない分、咀嚼された内容になっているのも信頼性が高いと思いました。グリコ・森永は当時から印象が強くて、同社製品を食べるようになったのも、随分経ってからだった記憶があります。事件の詳細は知らなかったけど、なるほど、まさしく「レディ・ジョ
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同じテーマを扱った町田徹『JAL再建の真実』講談社現代新書,2012年と合わせて読むと良い。本書は,2010年刊行の単行本を文庫化。定価900円(税別)と文庫本にしては高額だが,400頁に及ぶルポルタージュには読み応えを感じる。最終章の最後に書かれた「真剣に会社を思い,社会的な意義を見出して,経営の舵を握った社長がいただろうか。少なくとも政治家や官僚の悪癖や利権構造の壁を打破しようとした経営者は,見当たらない。なにより,ここまで企業を腐らせてきた責任は誰がとったのか。」(406頁)という文章は,そのまま東日本大震災後の東京電力にも該当しよう。それが,「日本型経営システム」の公共事業版であるな