あらすじ
◎田中英壽体制の地下水脈
◎中興の祖「古田重二良」の呪縛
◎アメフト部薬物事件
◎入学志願数2万2000減
◎重量挙部・陸上部・スケート部「被害額1億1500万円超」の金銭不祥事
◎「1000億円建替えプロジェクト」医学部附属「板橋病院」の税務調査 など…
迷走する「林真理子体制」。
裏切られた改革。
大宅賞作家が「日本一のマンモス私大」の「権力と闇」に光を当て、現在進行形の「タブー」に迫る。
2021年、田中英壽理事長(当時)が率いる日本大学を舞台に起こった一連の事件には、日本の私立大学が長らく抱えてきた共通の病が潜んでいた。日本一のマンモス私大「日本大学」の歴代トップが歩んできた日大の歴史を紐解きながら、転換期にある日本の私大問題を掘る。
120万の卒業生を日本社会に送り出した日本最大の私学である日大は、私学の歴史そのものを投影しているといっていい。光の裏に潜む知られざる暗黒史もまた、日大の歴史といえる。――「はじめに」より
文理学部畑の加藤直人から理事長の座を引き継いだ芸術学部出身の林真理子体制になった日大は、田中の側近幹部職員や理事を主要ポストから外し、田中支配から解放された。それは間違いない。反面、こと大学の組織運営という点では、迷走していく。それは、ある意味でカリスマ理事長の田中による統治といガバナンスが機能しなくなったからかもしれない。実のところ、そこを危惧している日大の職員も少なくない。――第9章より
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
いつもながら森氏の調査と筆力の素晴らしさは凄みを感じる。殆ど日大の歴史や経緯を知らなかったので、大変勉強になった。タイトル通り「魔窟 」であることをまざまざと見せつけてくれる。日大フェニックスの故意タックルや大麻事件などまさに氷山の一角であることを十分認識させられた。どんな組織も肥大化する過程には、その歪みが出るものだが、ここまで政治・裏社会とズブズブで専横体制が続くとまさに絶対王国の趣。少子化が進む日本では、その役割を既に終えているとも思える。
Posted by ブクログ
教育とはいったい誰のため、なんのためのものなのだろう。かつて教育関連の事務職をしていた経験から、今でも仕事には誇りを持っているし応援もしているつもりだけれど‥。あまりにも学校“経営”重視で、そこに集う“人”が大事にされていない。教育機関としての本分はどこに行ったんだろう?
でもやっぱり、ここまでのぐだぐだは大きくなり過ぎてしまった日大ならではなのかな?現理事長に関しては‥何も言うまい。とにかく“魔窟”でした。(日大を日本と読み換えても話が通じるのも怖いところではある。)
Posted by ブクログ
2025/02/17「日大魔窟」森功☆
森功氏の取材力、視点の大きさは定評がある。本書も裏切らないが、日大の今後は不安が残る。人口減少の中での迷走は日本と同じ。
日大は我が国No.1の巨大大学。この組織は、チームプレイではなくトップの独裁的リーダーシップにより今日の姿を作り上げた「個人商店」。
独裁者の権力は絶対であるが故に、組織の腐敗は進み、破綻する。
日大の最近の不祥事、田中英壽理事長問題・スポーツ運動部問題などに対応できない組織体質問題が肝。
トップが強力な独裁者でなければ組織のガバナンス・マネジメントは出来ない。林真理子理事長はどうして立候補したのか?彼女は本質的課題を全く承知していない。世の中に受けることだけ。
1.卒業生120万人 学生数大学生7万人 系列校含む10万人→No.1
2.田中英壽理事長の豪腕 2学部新設 事務局長人事を専権
年間収入2,700億円 資産6,000億円
黒字120億円 私学助成金100億円カットでも凌げるが・・・
3.林真理子体制の迷走 そもそも組織運営の実績も力もない
Posted by ブクログ
2025.08.07
東京に縁がなく、日本大学にも縁がない地方在住者にとっては日大の改革に期待していた人がどれだけいたのだろう。
だって、林真理子さんは作家としては偉大だけど、大学の統治能力を期待するほうが間違っている。
それに、基本的に、大学職員は日大OBって、そんな組織に自浄作用が働くわけがない。
改革がうまくいかないわけがよく理解できた。
あと、この本で困ったのは年号の表記が西暦と年号とがバラバラ。
長い歴史を扱うのだから両方を併記するなどの気遣いが欲しかった。
Posted by ブクログ
日大問題については月刊誌FACTAで何度も取り上げられていて、特に田中理事長については、裏社会との繋がりも含め、絶対的権力者として長年栄華を誇っていたことを知っていました
しかし数年前に突然訪れた、田中理事長と、女帝と言われたその妻の転落と死を、まるで昭和の極道映画のようだと思って見ていたので、興味を持って読んだ一冊です
The issue with Nihon University has been covered multiple times in the monthly magazine FACTA, and I was aware that Chairman Tanaka, in particular, had long enjoyed glory as an absolute authority, including alleged connections to the underworld.
However, the sudden downfall and death of Tanaka and his wife, who was known as the “empress,” a few years ago struck me as something straight out of a yakuza film from the Showa era, so I found this book especially interesting to read.