森功のレビュー一覧
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サブタイトルにある「側近政治」は、歴史的に振り返っても、もろ刃の刃であることが少なくない。
現政権の「側近」による各種の振る舞いも、内閣人事局による官僚組織上層部の人事一元化ともあいまって、猛威を振るっているものの「成果」はさして上がっておらず、著者によればむしろ官僚組織の自壊を引き起こしている側面のほうが強いと思われる。かれら側近は、私に言わせれば、ある種の仕事上の能力はあるのかもしれないが、マッチであちこちに政策の火をつけて回るものの、政治に必須の「責任」はみごとに回避する。安倍内閣の代名詞ともなった「やってる感」を体現しているだけの存在にすぎない。なによりも人間性に決定的な欠損があるとお -
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『JALには、さながら伏魔殿のような恐ろしさが潜んでいた。数多くの利害関係人が会社に巣くい、さまざまな算盤感情が渦巻いている。日本の政官財それぞれの立場でJALを利用し、不明朗な利権構造の温存を容認してきた。
下手につつくと、どこから鬼や蛇が飛び出すかわからない。JALは、そんな不気味な企業体質を抱えつづけてきたが、体内の膿が噴き出しそうになるたび、絆創膏で傷口をふさいできた。そうした体内の膿が栄養となり、巨大な経営赤字という怪物を育ててきたのではないだろうか。』
32年前の惨劇を通奏低音に、腐った翼がいかに腐っているのかを描いている。
最近もやたら不具合が多いが、安全第一をよろしくお願い -
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大半がリアルタイムに見聞きしてきた事件だったから、当時の記憶と照らし合わせたりしながら、とても興味深く読み進めることが出来ました。参考文献が殆ど示されていないこともあって、ともすれば宝島MOOKと紙一重って感じもしますが、推論を極力排し、自身の取材で判明した事実関係が主に述べられているから、うそ臭さを感じないのも良いです。週刊誌とかとも違い、リアルタイム性を求められない分、咀嚼された内容になっているのも信頼性が高いと思いました。グリコ・森永は当時から印象が強くて、同社製品を食べるようになったのも、随分経ってからだった記憶があります。事件の詳細は知らなかったけど、なるほど、まさしく「レディ・ジョ
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同じテーマを扱った町田徹『JAL再建の真実』講談社現代新書,2012年と合わせて読むと良い。本書は,2010年刊行の単行本を文庫化。定価900円(税別)と文庫本にしては高額だが,400頁に及ぶルポルタージュには読み応えを感じる。最終章の最後に書かれた「真剣に会社を思い,社会的な意義を見出して,経営の舵を握った社長がいただろうか。少なくとも政治家や官僚の悪癖や利権構造の壁を打破しようとした経営者は,見当たらない。なにより,ここまで企業を腐らせてきた責任は誰がとったのか。」(406頁)という文章は,そのまま東日本大震災後の東京電力にも該当しよう。それが,「日本型経営システム」の公共事業版であるな
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2010年1月に2兆3000億円もの負債を抱えて倒産し、現在は必死の再生をしている途上であるJALの 59年間にわたる堕落ぶりを描いたノンフィクションです。ここまでの魑魅魍魎が渦巻く世界があるとは。
この記事を書いている際にもJALは大きな動きを見せているようですが、ここで描かれているのは国策会社から『民間化』され政・財・菅の思惑の舞台となり、内輪では内輪で強力な労働組合と社内政治と権力闘争に明け暮れる幹部をはじめとするJAL職員や大小さまざまな不作為などが前編にわたってまさに魑魅魍魎の伏魔殿の様相を呈しており、最終的には2010年1月とうとう2兆3000億円もの負債を抱えて倒産した5 -
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2025/02/17「日大魔窟」森功☆
森功氏の取材力、視点の大きさは定評がある。本書も裏切らないが、日大の今後は不安が残る。人口減少の中での迷走は日本と同じ。
日大は我が国No.1の巨大大学。この組織は、チームプレイではなくトップの独裁的リーダーシップにより今日の姿を作り上げた「個人商店」。
独裁者の権力は絶対であるが故に、組織の腐敗は進み、破綻する。
日大の最近の不祥事、田中英壽理事長問題・スポーツ運動部問題などに対応できない組織体質問題が肝。
トップが強力な独裁者でなければ組織のガバナンス・マネジメントは出来ない。林真理子理事長はどうして立候補したのか?彼女は本質的課題を全く承知していな -
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本書は一人の男を主人公にし、政官業「癒着」の核心や“政治とカネ”のリアルを描いた、アングラノンフィクションであります。現在の事象に至る『萌芽』が書かれており、「オトナの世界」を垣間見ることが出来ます。
この本は『平成の政商』といわれた水谷功を中心とした『政治とカネ』の問題をあぶりだしたノンフィクションであると捉えております。
描かれているのは建設会社を舞台にした政・財・官の癒着の構図で小沢一郎やその秘書をしていた石川智裕氏や亀井静香議員までが勢ぞろいし、ドロドロとしたやり取りが繰り広げられております。
小沢・石川両氏は僕なんぞが是非を論じる人間ではないのは重々承知ではありますが、彼