森功のレビュー一覧
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世界全体が大きな流れに乗って変わる時、その流れを上手く利用できる少数の実業家が巨額の富を得る。しかし、だからといって彼が天才という訳ではなく、巡り合わせが良かったと考えるべきか。流れそのものを自ら起こす人は実業の天才と言えるかも知れないが。
米国と日本のムーブメントにおける時間差を利用して事業を成功させてきた孫正義と、ほぼ対等のような立場で、その事業の一翼を担ったこの本の主役井上雅博ーヤフージャパン社長。自らの趣味であるレース事故で死去し、今は居ない。故人だから、成金的な趣味と実業家としての彼の二つの顔を赤裸々に語れたのかも知れない。暴露本ほど下品な内容でもないが、団地の生い立ちからの分析は -
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2017年4月25日、クラシックカー事故で逝去されたヤフー元代表取締役社長井上雅博氏。実質的創業者といってもいい。彼がヤフー社長でなかったら、いまのヤフー曳いては日本のインターネットは育っていたかどうか。それほどの大物でありながらマスコミ嫌いも手伝って彼の人物像はなかなか伝わってこない。そんな彼の人物像に迫る。
但し情報が極端に少ないのか、内容的には井上氏の社長退任後の趣味、クラシックカーやワインや別荘の話が主なのが残念。事業家としての井上氏の姿を期待して読むと肩透かしを食らうかもしれない。そうしたなかで元PIM CEOとしてヤフーに召集された松本氏と井上氏との関係性は大変興味深い。パワハラ -
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安倍政権における官邸官僚の分析。第一次のお友達内閣の反省から、杉田、今井、北村、和泉、長谷川、柳瀬といった官邸官僚を登用し、内閣人事局の人事権を背景に霞ヶ関を操り、ある種破壊していったという内容。
特に、杉田、北村、和泉などの前半生からスタイルや軌跡を追っているのは面白い。また、これらが各省庁の官僚機構のトップではなく、二番手、三番手だったという分析も良い。
しかし、それ以外は週刊誌的な内容、かつ、はなから官邸官僚を批判するトーンで書いており、納得感がない。
こうして見ると、経産・警察の天下に菅長官に近い和泉が食い込んでいる形。菅内閣になり、経産グループは消えたが和泉の勢力は残り、何故か -
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知人に薦められた本。
和泉補佐官がいかにして名を上げ、入り込んで、力を持ったのかの記述は面白い。
いわく、小泉政権下で都市再生本部事務局次長として、公共事業に代わる新たな成長産業として、都市再生という旗印を掲げて仕掛けた、と。このあたりから「国交省に和泉あり」と霞ヶ関にその名が轟くようになっていったと。
民主党時代になっても政治家との人脈から内閣官房に残り、参与になり、さらに自民に戻った第二次安倍政権で補佐官となった。それには菅官房長官の強い推薦があったという。
菅が横浜市議のとき建設事務次官だった高秀を市長に擁立したころにも、和泉によく頼っていたのではないか。そして菅が国交政務官になったあ -
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本作では、破産に至る道のりが書かれているけど、今吹き荒れるコロナ渦によって、改めて重大な局面が突きつけられている。だからこそ今のタイミングで、と思ったんだけど、これだけ入れ替わり立ち替わり馴染みのない固有名詞が出てくると、正直ツライ。一部にとっては超重要名詞なのかもしれないけど、個人的にはあくまで、数ある会社の歴代社長。綿々と繰り返される政治との癒着、トップ層の足の引っ張り合い、は何となく分かったけど、ただそれに目を通しているだけなのはしんどい。という訳で、最初の三章、および最終章を読んで、あとは止めました。読み直すことも、きっとないでしょう。
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