森功のレビュー一覧
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一度信用したものを疑わない人間の弱さを痛感した。
素人目に見ても明らかにおかしな点
・本人確認書類であるパスポートの氏名や生年月日に誤りがある。
・地主が自分の干支を言い間違える。
・取引相手からそんな取引をした覚えはないという主旨の手紙が届く。
などがあるにも関わらず、名の知れた大手ディベロッパー(積水ハウスなど)はなぜ騙されてしまうのか?
こんなに資金のある会社が詐欺を働くわけがない。
地主も、土地も、この目で確認したから大丈夫だろう。
この勝手な思い込みこそが、脆弱性を生み出している。
前提を疑う事は、不動産の世界に限らず必要だ。 -
購入済み
Netflixで話題の地面師たちが気になったが、そもそも地面師詐欺の実態をよく知らなかったので、予習がてら本書を購読。Netflixのネタにもなった積水ハウス事件やその他にも有名どころの地面師詐欺事件を網羅的に取り上げ、大物地面師の関係性や様々な事件の手口も紹介されており、地面師詐欺というものを知るには最適。比較的簡潔に事実に基づいてまとめられており、ボリュームもさほど多くないので、読みやすいが、どうしてもそれぞれの事件の記述は薄いので少し不完全燃焼感はある。本書と「地面死たち」「保身」の3点セットで読むと積水ハウス事件の全体像が見えてスッキリする。
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日本の産業史を振り返るときに国鉄という巨大組織の民営化はその功罪も含めて語られる必要のある一大トピックであるが、その国鉄改革を率いた3人組の一人であり、JR東海の総帥、そして安倍晋三を支えた政界のフィクサーとしての顔を持ち合わせた葛西敬之の実像に迫ったルポルタージュ。
国鉄からJRへの民営化、即ち国鉄改革の本質とは極論すれば労働組合をいかに権謀術数を用いて弱体化させるかという闘争であった、というのが本件について記した優れた幾つかのルポルタージュから私が学んだ点である。葛西敬之がJR民営化以降にどのように政治権力の中枢に影響力を持つように至ったかというメカニズムにおいて、おそらくこの闘争での勝 -
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★チームのバランスは★安倍政権の官邸官僚は2種類いると後書きで記している。菅官房長官を支える官房副長官の杉田和博(警察庁)や首相補佐官の和泉洋人(国土交通省)、そして第一次政権から続く首相秘書官の今井尚哉首相秘書官や長谷川栄一、柳瀬唯夫といった経産省出身者。個人に焦点を当てた章立てでそれぞれのストーリーはよく分かっただけに、チームとしてどのようなパワーバランスで成り立ったのかが気になった。
出身官庁でトップになるようなスーパーエリートでない人物だからこそ、官邸で安倍政権に忠誠を尽くしたという書きぶり。ただ、本当にフィットするのは技官の和泉だけではないか。和泉については何が重用されているのか -
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政・官・財で、どういう風に人脈が形成され、互いに同利用しあっているかについて、著者および取材チームは、かなり多くの当事者に会って取材をしているように見える。
安倍・菅政権下での、凄まじいまでのNHK攻撃・介入のあたりは、圧力を受けたNHK内部の人たちからの情報提供が豊富にあったようで、臨場感にあふれている。
国鉄末期から民営化に至るところで、官公労働法をめぐる司法への猛烈な圧力に全く触れていないところは物足りない。
全方向からの官公労働組合潰しに、本来独立した存在であるはずの最高裁まで引きずり込んでリベラル派を次々と追い出したのを書かなかったのは残念。
終盤に当時の運輸省の動きを次官であった黒 -
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葛西敬之という元JR東海会長の話。
"国士""国商"と称された男。
国益を第一にかんがえる愛国者。
そのビジョンに基づき、戦後復興に寄与した国鉄の官僚として歩みを進めてきた。
その後、国労、鉄労などといった労働組合が権力振い危機感を感じた葛西ら3人(分社化された後のJR東、西、東海の代表)が中心となり分割民営化を推しはかった。
じつは労組問題はいまでもあるのだ。
2005.4に起きたJR西日本福知山脱線事故もそれが絡んでいる。その日は革マル派労組の運転手と会社寄り添い同盟系労組の車掌といった不幸な組み合わせであった。
運転士が駅の停車ミスを犯し、車 -
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バブル期の王様として経済を操った森下安道という男の物語。貪欲すぎる程の拝金主義が紙面をとおしてビシビシと伝わってきた。終戦後の少年時代は極貧生活を強いられたが、丁稚奉公から起業。洋服店を継いだ後、資金繰りの厳しさから業種転換。判断力と修正力、まさに高速PDCAのお手本のような人。
登場人物のみでなく、当時の経済事件-ロッキード、リクルート、イトマン-や山一抗争など時代背景を知るのに参考になった。
当たり前だけど、戦後のカオスから始まり、高度経済成長、バブルといったエネルギッシュな時代といまは全然違う。
現在は不景気&インフレ、、学校で習ったスタグフレーションではないか。
時代の -
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元三和銀行員・岡野氏が、飛鳥会代表・小西氏の人物像や行動を振り返る、回顧録。
ノンフィクションであるが、意外と読み易い。
パッと見は「銀行が脅されて80億円の融資をして、それが貸し倒れた」と思われがちな事件。でも銀行にとっても小西氏は都合の良い存在だった、という内容。
岡野氏は、みんながビビってた小西さん相手に自分はよく渡り合った、銀行内でもお偉い方に感謝されてた、と全く後悔ない様子…
小西逮捕の騒動の後は自殺者まで出てしまってるし、後任や後世に迷惑・負担をかけてしまう、「そのときが良ければ」の取引はするべきじゃないよなあと思ってしまった。