石井睦美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
10代前半の少年の心の奥底を繊細に表現した幻想的な物語。「白い月黄色い月」と同様に、どす黒い嫌な感情、にくしみの描写にたじろいでしまう。全体に透明な水彩絵の具、あるいはレトロな色調のインクで綴られる静かで暖かいスケッチの中に、突然、黒く荒々しいタッチで塗りつぶされたような描画が入り込んでくる。その強さ暗さは、読んでいる側も目をそむけたくなるような気持ちを呼び起こす。
どんなに穏やかで優しい人であっても、心の中には必ずそうした暗い側面を抱えている。それはなくすことはできず、ふとしたことでその暗い感情にのっとられてしまうこともある。読んでいて、どうしてもそんな不安が残るのだ。それは本作も「白い月黄色い月」も、何かを解決していない物語だからだと思う。物語の中で描かれるのは、あくまでも少年の成長過程のある一瞬でしかない。リョウ/陽は、二つの人生の記憶を持っていたまま生きていくだろう、そしてそれはすごく不幸でもなく、すごくハッピーというわけでもない。人生とはそういうものなのかもしれない。
大事なことは「自分らしさ」を失わないことなのかな。リョウの場合は正直さ。これをなくしてしまうことだけは避けなくてはならない。それと1つの希望。それがこの物語の(特に10代の読者に向けての)メッセージなのかもしれないと思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ人見知りの主人公樋口まりあ(ひぐま)は就活にことごとく失敗していた。ある日祖母の紹介で「コメヘン」という食品商社の面接を受け採用されたが、仕事内容はまさかの社長秘書だった。
新入社員の初出勤の感じが懐かしかった。
そして主人公の心の声がやたら出てくるのが面白い。人見知りらしいけど本当の人見知りではないと思うな。
でも笑うの下手っていうの分かる、、昔ほんとに楽しく笑ってるのに引きつってたらしく無理しなくていいよと言われたことがある( ˊᵕˋ ;)
粉も扱う会社の歓迎会はお好み焼きということで出てくるのだけどお腹が空いてくる( ´˘` )広島風が好きなんだけどどっちも焼いてもらえるなら美味しいよねぇ。
とりあえずコメヘンの皆さんは優しい方ばかりだしアットホームな雰囲気。こんな社長の元で働けたらとても充実してそうだしやりがいもありそう。お客様に料理をお出しするのは緊張するが…。でも真面目に練習に励む主人公は偉い!
どうやら続編があるようなので機会があれば読んでみたいです( ´˘` ) -
Posted by ブクログ
ネタバレ子どもが見た夢の中のお話のような、辻褄が合わない、荒唐無稽な、不思議なストーリー。それゆえの先の展開の読めなさが、子どもを飽きさせない構成になっていると思った。一方でその論理性のなさから悪夢を見ているような恐怖を感じた。
想像力が錆びてきた大人の自分には理解が難しかったが、どのシーンを切り取っても色彩豊かで絵になり、空想をかき立てる魅力があるのは分かった。多分、子どもの頃に読んだなら、このシーンでは自分ならこうする、といちいち想像を広げたんじゃないかと思う。
言葉遊びが多く、翻訳版だと面白さが伝わりにくくなっている気がした。
主人公のアリスは、どんな状況でも物怖じしない元気いっぱいな女の子でよかった。