あらすじ
これまでの自分と違う自分を探す旅にでる。
ぼくたちは、卵のなかに住んでいる。
卵のなかには、山も、海も、町もあって、電車も走っている。
平和で楽園のような世界なんだ。
十三歳の誕生日、この世界を出るのか、とどまるのか決めなくてはいけない。
人生一度の決断のときだ。
そのことを知ったときこれまでの自分とは、全く違う自分になったのだとはっきりとわかったんだ。見た目はちっとも変わっていないし、中身だって変わってない。同じ自分だけれど、違う自分なんだ。
少年は、卵の世界を出て行くことを決断した。
少年を待っているのは、どんなところなのか?
その決断はどういうことなのか…。
大人になるまえの子どもたちに贈る物語。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
10代前半の少年の心の奥底を繊細に表現した幻想的な物語。「白い月黄色い月」と同様に、どす黒い嫌な感情、にくしみの描写にたじろいでしまう。全体に透明な水彩絵の具、あるいはレトロな色調のインクで綴られる静かで暖かいスケッチの中に、突然、黒く荒々しいタッチで塗りつぶされたような描画が入り込んでくる。その強さ暗さは、読んでいる側も目をそむけたくなるような気持ちを呼び起こす。
どんなに穏やかで優しい人であっても、心の中には必ずそうした暗い側面を抱えている。それはなくすことはできず、ふとしたことでその暗い感情にのっとられてしまうこともある。読んでいて、どうしてもそんな不安が残るのだ。それは本作も「白い月黄色い月」も、何かを解決していない物語だからだと思う。物語の中で描かれるのは、あくまでも少年の成長過程のある一瞬でしかない。リョウ/陽は、二つの人生の記憶を持っていたまま生きていくだろう、そしてそれはすごく不幸でもなく、すごくハッピーというわけでもない。人生とはそういうものなのかもしれない。
大事なことは「自分らしさ」を失わないことなのかな。リョウの場合は正直さ。これをなくしてしまうことだけは避けなくてはならない。それと1つの希望。それがこの物語の(特に10代の読者に向けての)メッセージなのかもしれないと思った。
Posted by ブクログ
主人公は13歳、大人になる前の子供たちへということで対象は高学年~中学生というところかな。卵というのは周りからの庇護のなかにいるという比喩だろうか。