宇山佳佑のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
あらすじ出会いと恋カメラマン見習いの朝倉晴人は、自身が担当した髪を切ってくれた美容師の有明美咲に恋をします。彼女に認められたい一心で、一度は諦めていたカメラマンの夢を再び追いかけ始めました。そのまっすぐな姿に美咲も惹かれ、やがて二人は恋人同士になります。突然の悲劇幸せな日々を送っていた二人でしたが、ある日、美咲が「ファストフォワード症候群(早老症)」という不治の病を発症してしまいます。それは、人の何十倍もの早さで老化が進んでしまうという残酷な病でした。決断とすれ違い自分の老いていく姿を晴人に見せたくないと悩んだ美咲は、晴人に本当の病気を隠したまま、突然別れを告げます。事情を知らない晴人は戸惑いながらも、美咲の決断を受け入れます。しかし、月日とともに外見が老婆のように変わっていってしまう美咲と、彼女を想い続ける晴人の運命は再び交錯することになります。
美咲の辛さを思うと泣ける。
自分や自分の大切な人が同じ病気になった場合、どうするかを考えさせられた。 -
Posted by ブクログ
桜は、
満開のときには、目を奪われるほど美しい
です。でも、その美しい時間は、決して
長くは続かず……
やがて花びらは散り、同じ姿のままでは
残らない。それでも、散ったあとの記憶は
人の心に残り、翌年の桜を見れば再び
よみがえります。
これは主人公の美咲の人生と重なります。
単に、若くて美しい女性が、桜のように
はかなく散った、というだけではなくて、
この物語りの
桜は、花が散ることではなくて、
限られた時間だからこそ、その美しさが
強く心に刻まれるんだと思います。
……永遠に続くと思っているものを、存外、
深く見つめてないです。ふだんは…
毎日会える人、明日も話せる人、
来年も一緒に桜を見られる人…
それが失われるかもしれないことに直面し
たときに初めて、何気ない日常がどれほど
貴重だったかを想い知らせれるのです
突きつけられるのだと思います。
「時間」の残酷さも感じました。
この物語りは、「死」そのものよりも、
人によって時間の進み方が違ってしまう
ことの苦しさが、悲劇です。
老いは人が避けられない宿命です。
普通の恋愛では、二人は一緒に年を重ねて
若いときの顔も、年を取った顔も、二人の
共有する人生の一部になるんですが、
この物語では、その当たり前の時間が二人
の間で失われてしまいます。
彼女だけが急速に老いていく。
彼氏は、同じ時間を生きているはずなのに
彼女とは違う速度で年齢を重ねていく。
ここに、悲劇があります。
一般には、
若さを美しいもの、
老いを失われていくものとして考えますが、
でも、老いること自体が必ずしも
不幸ではないはずです。
愛する人と一緒に年を重ねられるなら、
顔のしわも、白髪も、二人が生きてきた
時間の証しになり得るんだけど………
ただし二人が同じスピードで老いるならば
なのです……。
彼女にとって老いは、死の恐怖以上に
恋人との未来を奪われることの恐怖でも
あったんだと思いました。
美咲は、晴人に愛されているからこそ、
変わっていく自分の姿を見せたくない。
彼女は、彼の中で自分がどんな記憶として
残るのかをとっても気にして悩みます。
好きな人には、きれいな自分を覚えていて
ほしい。楽しかった時間を、幸せだった
姿を、できるだけそのまま心に残して
ほしい。変わってしまった自分の姿を見ら
れて愕然とされたくない、そして彼の
そんな顔を見て自分も失望したくないと
思っています
その願いが極限まで強くなってしまいます
私は、二人で一緒に病気と闘う展開も
あるのでは?……とも思いましたが、
(現実ならば、きっとそうかもしれませんが)
そこを、あえて二人を引き離してしまった
展開にしたところが、ここまで泣ける物語
りになり得たのだと感じました。
彼女が難病で早死するお話しだけなら、
こんなに刹那くは、……ならなかったハズ
です。
彼女の真実を知った彼が、彼女の部屋の
前、薄いふすま越しに語りかける場面は、
やきもきしました。
大丈夫だよ!彼なら、彼女の病の姿を見
ても絶対に嫌いになったりしないから…
ふすまを、あけちゃえっ!て、
思ったりもしましたが、
彼女のどうしても、そう出来ない気持ちにも
共感しました。
男性と女性とでは、微妙に、そんな処が
違うのかもしれません。
奇しくも、写真、
彼はカメラマンです。(タマゴですが…)
写真は、時間を止める……のですが、
彼は、彼女の老いの病を止められません。
でも、
撮影した瞬間の表情、風景、光。
その瞬間は過ぎ去ってしまっても、写真の
中には残ります。
瞬間を切り取る、時間を止める!
永遠に遺す…アイテムとしての写真を
この物語りに使ったのは、
ニクい演出だと思います。
生前の彼女の写真は一枚も残すことができ
なかったけれども、最後には、彼女に渾身
の作品を見せることができました。
師匠の言葉
写真の中にどれだけ想いを込められるか!
を、胸に、どうしても今、今、
彼女に観てもらいたいと思うのです。
そして、
読んだヒトのおそらくは多くの人が落涙
した場面は、『サクラ色のニット帽子』だ
と思います。
Netflixの映像化版でも、最高に盛り上る
処です。
(予告編6分バージョンしか観てません
が、充分です。)
Mr.Childrenの『永遠♪』♡♪が、
これまた、琴線を、これでもかって云う
くらい…刺激します。
・黄色の浴衣と花火大会、
・サクラ色のシザーケース
・ピンボケのスナップショット
・兄 貴司の横須賀での涙
・最後の手紙
も、チラ出します。
やらせ過ぎっ!って声も多いかとは
思いますが、……これで良いのです。
こんなお話しに、どっぷり浸かって、
鼻水ジュルジュルさせたいのです。
あえて……。
再読2回目でしたが、
充分に...鼻水ジュルジュル、させる
ことが出来ました。
実は、私の一番の鼻水場面は、
兄 貴司の横須賀でのシーンです。
兄として妹を助けたい、と切実に願うものの
どうしようもない想いに打ちひしがれて、
兄が、むせびなくのです。
男女の恋愛物語りがMainでは、ありますが、
兄妹の絆にも泣けました。
『桜のような僕の恋人』は、恋人を失う
悲しみを描いた物語であるんだけど、
「人を愛すること」と
「人の美しさとは何か」を描いた物語です。
桜という花が持つ美しさと儚さ、
若さと老い、そして
愛する人の記憶の中に残り続ける姿を
描いています。
悲しい結末だけれど、光はあるラストに
なってます。
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Posted by ブクログ
この手の話にはとことん弱い。
感動×恋愛ものの作品には、何度か触れてきて耐性はついていると思っていたが、読み進めるたびに後半は特に耐えられなかった…(泣)
辛すぎる儚い恋の物語。
人の何十倍もの早さで老いてしまう早老症。
中身の実年齢に反して、みるみる外見が老いていき、体が変化する恐怖は計り知れないだろう。いつまでも綺麗であり続けたい女性にとっては尚更。周りと違う自分の姿に落胆する場面には、何度も胸が締め付けられた。。。
視点によって語り手の気持ちが痛いほど伝わり、何度も感情移入してしまう。
文字から伝わってくる心情描写には何度も心打たれて、読み進めるのがしんどかった。
感動よりも辛さが上回ってきて泣けてくる。
ほんと残酷な病だわ。
春のこの季節に読んだ一冊。切なくも素晴らしい作品だった…! -
Posted by ブクログ
印象的なタイトルと表紙に惹かれて、思わず手に取った一冊でした。
事故によって失われるはずだった命を繋ぐ「ライフシェアリング」。二人合わせて残り20年というあまりに短い歳月を彼らがどう生きていくのか、祈るような気持ちで読み進めました。
命の残り時間を共有する中で、当初は価値観のズレから衝突し、互いに命を奪い合うような痛々しい場面もあります。しかし、最終的に二人が選んだのは、相手の幸せや夢を守るための「切なくも気高い決断」でした。
美しい文体で綴られるからこそ、その決断の重みが際立ちます。特に若い世代の方々にとって、命のあり方を深く見つめ直すきっかけになるような、胸に迫る作品です。 -
Posted by ブクログ
この作品は、タイトルどおり“雨”がとても印象的で、静かで切ない恋を丁寧に描いた物語だと感じました。派手な展開があるわけではないのに、登場人物の心の揺れや想いがじんわり伝わってきて、読んでいるうちに胸がぎゅっとなります。
特に、うまく言葉にできない気持ちや、相手を思うからこそ踏み出せない不安がリアルで、「分かる…」と思う場面が多かったです。雨の描写が、悲しさだけじゃなくて、優しさや温もり、そして希望も表しているように感じて、この恋が“美しい”と言われる理由が分かる気がしました。
読み終わったあとも余韻が残って、
「恋って苦しいけど、それでも大切なものなんだな」
と思わせてくれる一冊でした。
静かで切ない恋愛物語が好きな人には、ぜひ読んでほしい作品です。