宇山佳佑のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読み終えた直後は、悲しい、切ないだけでは表せない感情になった。
美咲が恐怖を乗り越えていたら、最後まで晴人と過ごせたのかもしれない。でも彼から離れたことで、晴人の中には一番綺麗で輝いていた24歳の美咲が生き続けることになった。
「桜」と聞いて思い浮かべるのも、葉桜ではなく満開で花びらが舞う、一番美しい瞬間の姿だと思う。美しく咲いて、あっという間に散り、それでも毎年また咲く。美咲の人生や二人の恋、そして晴人の中に残り続ける記憶そのものが「桜」のように感じた。
こんなに辛いなら出会わない方がよかったのか。それでも、出会わなければあの幸せな時間もなかった。そんなことを考えずにはいられない作品だった。
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Posted by ブクログ
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奇抜な発想な物語。
2人で命を分け合う。分け合い方もとても残酷。幸せ、悲しみ。人によってその感じ方はまるで違う。
それを相手にも左右され、自分は不安になる。
本来、恋人であれば相手の幸せを願うのが当然。状況が変われば、そう思わなくなる。
結局、人は自分が1番大切なのか。
そんな感じの本でした!
本を読んで感じた率直な感想は、『丁寧に生きる』そう思いました。
残りの人生。例えば余命など。限りがあれば皆はあれこれ考え、無駄なく過ごすと思います。ただ余命なんてものは病気にならなければわからないし、考えもしない。
この本を読んで残りの人生悔いなく生きる。そう思えました。
何事にも一生懸命に生きる。
いい本です! -
Posted by ブクログ
ネタバレ本当に良かった作品で、これをきっかけにもっと小説を読みたいと思えた一冊だった。
あらすじで大まかな展開は把握していたはずなのに、それでも涙が止まらなかった。
迫り来る老いと死の恐怖が心も体も蝕んでいく中で、それでもなお愛だけは手放されずに残り続けていたからこそ辿り着けたラストだったように思う。
また、本作は主人公、ヒロイン、兄、そして兄の婚約者という複数の視点から描かれており、それぞれの立場からの想いを感じながら読み進めることができた。人物ごとの感情が丁寧に積み重なっていくことで、物語全体の切実さがより強く伝わってきた。
ヒロインは老いを受け入れられず、変わっていく自分や周囲に苦しみ、次第に心を閉ざしていく。しかしその一方で、主人公と過ごした日常や記憶だけは変わらずにあり続けているように感じられた。その「変わらないもの」を切り取り、色褪せることなく残し続ける存在として、カメラが象徴的に描かれていたように思う。
主人公は「姿は変わっても日常や記憶は変わらない」という想いを写真に込めて伝えようとした。しかし、変わり果てたヒロインに気づくことができなかったことで、その想いは説得力を持たないもののように感じられ、自己嫌悪からカメラを手放そうとする。
それでもヒロインからの手紙によって、写真に込めた想いが確かに届いていたことを知り、さらに「これからもファンでいる」という言葉に背中を押される。主人公は過去を残すだけでなく、これからもヒロインを想い続けながら撮り続けていくという選択をする。
終盤、変わり果てたヒロインに主人公が気づくことができなかった場面も印象的だった。ヒロインは後悔なくこの世を去り、主人公はその想いを知ることなく、後悔を抱えながら生きていく。
互いの想いが最後まで交わらないまま続いていく時間と、死後には決して知り得ない感情を抱えたまま生きていくという構造が、切なさと余韻をより強く残していた。