大鐘稔彦のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
古巣の病院で盲腸の手術中に起こった麻酔事故で患者が脳死、ついには訴訟問題に発展。院長はアルツイマーと、転落の一直線。とうとう身売り。。。ということなんでしょうか。
それにしても、「一時間そこそこの麻酔で4万円弱の手当てが入る。それに当直料3万円で計7万近くを一晩で稼げる。」(本文より引用)というのがお医者さんの収入水準のようです。お医者さんの質というか品格のようなものが、本書で登場するキャラクターのように、ここまで善悪の区別がはっきりするのなら、保険点数の一律何点でなく、もうちょっと格差のつけようを考えてもらいたいものですが、現実世界では、良い医者と悪い医者、そうは簡単でないんでしょうね。
-
Posted by ブクログ
前作「孤高のメス」の印象から、どうしても優秀な外科医を軸にし、医学界の暗部をリアルに織り交ぜた小説という感触が有ったが、本作はあくまで末期がんを患った女性の許されざる愛を中心に描いたヒューマンドラマであるといえる。以前のレビューでも書いたがそういう意味では今回の本のタイトルは大失敗だと思う。
前作では大学病院の腐敗部分を背景に臓器移植という先端医療を緻密に描写することで物語の世界観をリアルに作り出していた。 それ故に登場人物は否が応でも人間臭く、読み手は自然に嫌悪感を抱いたり、好意を抱いたりした。
本作品では乳がんという女性としての尊厳を奪う病気を中心に据えることで、医学的な側面が物語 -
Posted by ブクログ
「孤高のメス」の著者の新しい作品と聞き手に取った。 本のタイトルは出版社が考えたものなのかもしれないが、今回のタイトルに「メス」が付いているのは少々興ざめ。 前著「孤高のメス」はタイトルから想像される内容と、実際の内容が相乗効果となっていたため、しっくりきていた。 しかし、今回のタイトルは前作に便乗した感をぬぐえない。 ただし、「緋色の」という部分はさりげなく伏線が張ってあってよい。
主人公は公立病院に勤める47歳のベテラン看護師 中条志津。 乳がんを宣告された志津が執刀を依頼した医師は20年以上前に不倫の関係にあった佐倉修平。 渡辺淳一ばりの設定であるが、病院、医師、乳がんの描写が物語に -
Posted by ブクログ
目の前に肝移植でしか救い得ない患者がいたので、ためらわず肝移植に踏み切った。もちろん、あくまでドナーとレシペント双方の同意の下であった。。。であるのに、不正医療として告発されてしまう。マスコミとか、学会で事前に何の連絡も無かったことが原因で。事前に連絡すれば、反対されるのは自明であったのに。
密室裡にやってしまうのは確かにフェアではなかったんだろうけれど、だからといって、当節の実施可能な施設を限定(認定)してしまうのはいかがなものかと。それよりも医学界は外科医の能力そのものをしっかりと認定する努力をすべきだというのが、著者の訴えたかったことのようです。
ただ、最後の結末は、前巻あたりからある程 -
Posted by ブクログ
まだ臓器移植法が制定される以前、脳死が人の死であるかどうか決着がついていない時代のお話。「真実患者のためを思い、それを助けたい一念でありとあらゆる手段を講じ、持てる力を振り絞ってやったことならば、なんら咎められることはないと思うのですが。。。」という信念で、いよいよ肝臓移植に向けて動き出す。
しかし、マスコミとか、学会の権威者たちとか、事前にお伺いなんてやってたら、やれるわけありませんわなぁ。いつまでたっても結論の出ないうちに患者さんが持ち堪えてくれるわけありませんから。まぁ、そういうことだから、真実患者のためを思う関係者だけの間で秘密裏にやるしかなく、たとえ成功しても、その後の暗雲を予感させ