大鐘稔彦のレビュー一覧
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「孤高のメス」の著者の新しい作品と聞き手に取った。 本のタイトルは出版社が考えたものなのかもしれないが、今回のタイトルに「メス」が付いているのは少々興ざめ。 前著「孤高のメス」はタイトルから想像される内容と、実際の内容が相乗効果となっていたため、しっくりきていた。 しかし、今回のタイトルは前作に便乗した感をぬぐえない。 ただし、「緋色の」という部分はさりげなく伏線が張ってあってよい。
主人公は公立病院に勤める47歳のベテラン看護師 中条志津。 乳がんを宣告された志津が執刀を依頼した医師は20年以上前に不倫の関係にあった佐倉修平。 渡辺淳一ばりの設定であるが、病院、医師、乳がんの描写が物語に -
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目の前に肝移植でしか救い得ない患者がいたので、ためらわず肝移植に踏み切った。もちろん、あくまでドナーとレシペント双方の同意の下であった。。。であるのに、不正医療として告発されてしまう。マスコミとか、学会で事前に何の連絡も無かったことが原因で。事前に連絡すれば、反対されるのは自明であったのに。
密室裡にやってしまうのは確かにフェアではなかったんだろうけれど、だからといって、当節の実施可能な施設を限定(認定)してしまうのはいかがなものかと。それよりも医学界は外科医の能力そのものをしっかりと認定する努力をすべきだというのが、著者の訴えたかったことのようです。
ただ、最後の結末は、前巻あたりからある程 -
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まだ臓器移植法が制定される以前、脳死が人の死であるかどうか決着がついていない時代のお話。「真実患者のためを思い、それを助けたい一念でありとあらゆる手段を講じ、持てる力を振り絞ってやったことならば、なんら咎められることはないと思うのですが。。。」という信念で、いよいよ肝臓移植に向けて動き出す。
しかし、マスコミとか、学会の権威者たちとか、事前にお伺いなんてやってたら、やれるわけありませんわなぁ。いつまでたっても結論の出ないうちに患者さんが持ち堪えてくれるわけありませんから。まぁ、そういうことだから、真実患者のためを思う関係者だけの間で秘密裏にやるしかなく、たとえ成功しても、その後の暗雲を予感させ -
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感想
孤高のメスシリーズが好きで読んでみた。時代背景がいつか分からないけど、若者の男女の会話がちょっと古臭く感じた。
それに純粋に医療系の話じゃなくて不倫もの!?ちょっと期待していたのとは違った。けれども、乳癌の部分はしっかり書いてあった。
あらすじ
看護師として勤める志津は、昔同僚だった佐倉に診断してもらい乳癌であることを確信する。志津には夫と一男一女があり、娘は今年、看護大学に入学する。娘は家族の誰にも似ていないことから、志津と佐倉の子ではないかという匂わせがある。
娘の三宝は大学の看護学科へ入学した。佐倉は家庭が上手くいっておらず、出来の悪い息子を毛嫌いし、家にも近づかない。志津