大鐘稔彦のレビュー一覧
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不慮の事故により、台湾からの応援も頼めなくなってしまった脳死肝移植はどうなることかと心配されたが、見事当麻は成功をおさめる。しかしながら、そんな当麻を待ち受けていたのは賞賛ではなく、バッシングの嵐であった。
いよいよ最終巻。これを読んでいると、医療の制度にはなんてつまらないしがらみが多いのだろうと思ってしまう。とりわけ、大学病院には。どういう方法が一番患者のためになるかということよりも、どこに顔をたてるかや、どうすれば今後の自分の出世に役立つかということばかりを考える医者のなんと多いことか。医師を志した時に誰でも持っていたであろうはずの心を、忘れている人間がここまで多いものなのか。結局当 -
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実川の上司でもある卜部大造が急死。まだ生体肝移植の失敗がさめやらぬまま、教授戦が始まってしまう。そんな時にまたも舞い込んだ脳死肝移植の話。やってみたい気持ちはあったが、今度失敗すれば間違いなく将来の道が断たれることになる実川は二の足を踏む。移植を必要としているのは大川翔子の父・町長であり、肝臓移植しか助かる見込みがないと考えた当麻は、実川抜きで移植をすることを決める。
この巻冒頭の卜部の死が本当に急で、一瞬1冊読み飛ばしたかと思った(^^;その他、この巻では癌の進行した蘭も亡くなる。病気のせいも少しはあったにしても、彼の最後の様子はちょっとがっかり。でもホスピスの実際の現場ではきっと、こ -
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成功をおさめたと思われた生体肝移植だったが、容態は日々変化を繰り返し、 そして願いむなしく幼児は亡くなってしまう。そしてまた、当麻の母親・峰子も・・・。 それを機会にマスコミの実川に対する態度は一変、手術は勇み足だったのではないかと責められることになり、実川は窮地に立たされる。一方、当麻を頼ってきた蘭(あららぎ)の検査結果が出た。なんという運命のイタズラか、彼の病気は彼がずっと専門として患者を治してきたはずの大腸がんであり、すでに転移も認められた。
一旦は成功したと思われた手術。その時にあれほど実川を賞賛し、もてはやしたマスコミも、幼児の死亡が知れるやいなや、どこも手の平を返したように態 -
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野本の元患者のリオペ、そして病院職員の事故による肝臓破裂など、残念ながら救えなかった患者もいるものの、その技術力の高さと、誠心誠意をもって病気に取り組む姿は患者や同僚達からの高い信頼を得る。また、応援に入った時にたまたま当麻の手術を見た近江大の実川(さねかわ)助教授は、当麻の手技を見て、これから取り組もうとしている日本では前代未聞の2歳幼児に対する肝臓移植に必要不可欠だと思い、応援を依頼する。
病院職員の手術の際、その娘がオペ科勤務の看護士だということで手術に入ることを簡単に許されているのだが、それはありなんだろうか?野本とのいざこざはこの巻で一応一区切りか。この巻では他、当麻の過去につ -
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修練生の時から腕が良く、将来を有望視されていた当麻鉄彦は、周りの期待とはうらはらに、将来は高度が技術が集まるような大病院ではなく、医師が不足しているような民間病院で働きたいと考え、自ら大学病院の出世コースから外れた。本能の赴くままに数年間、外国や国内で興味を持った人物のところに押しかけ様々な技術を学び、少し腰を落ち着けようと戻ってきたのはかつての先輩・島田が院長をつとめる地方の病院「甦生記念病院」であった。
地位や名誉には全く興味がなく、ただ医師が少ないところでも高度な治療ができるようにと切磋琢磨する当麻。ルックスも良いらしい。いずれドラマ化されそうだなぁ。この第1巻では肝臓ガン患者、輸 -
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仙台の公立病院に勤める看護婦が乳ガンになって、その手術を、家族の反対を押し切って、秋田の鄙びた炭鉱町が経営する小さな病院に依頼する。そこで勤務する天才外科医は、20年前の不義の恋人だった。。。
乳ガン手術では通常、乳房をごっそりえぐり取ってしまうが、本書で実施されるのは、除去と同時に背中の広背筋皮弁を移植して、胸のふくらみを失わない手術。
前作「孤高のメス」の印象が強く残っていたので、こういう患者さんの為の新しい手術法がテーマなのかなぁ、という思い込みもありましたけど、どうも違うようです。
オビには、不滅の愛を描いた書であるかの売り文句で、巻末に、2002年に刊行された時点のタイトルは、「