田野大輔のレビュー一覧

  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    ナチスの政策の中で「それでもこれは良いことだった」と言う人のいるもの(経済、家族、環境、健康政策など)について考察を加えた本。それらについても、ナチスの大目的である「戦争による国土の拡大」「選ばれた民族だけによる共同体の構築」に特化された歪んだものだったことがわかる。そして「おわりに」が必読。人々が「良いこともあった」と言いたくなるのはなぜか、それに対して専門家はどう関わるべきか、について書いている。これはすべての学問分野について深く考えるべき話。
    その上で、この本のタイトルは「良いこともしたのか? いや、していない」という意味だと解釈されるのが普通で(実際そういう内容)、そうやって全否定され

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    2025年08月13日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    ブックレットなので読みやすいが、ナチズムに関する骨太な研究が背後に横たわっている。
    なぜ「ナチスは良いこともした」と言いたがる人が跡を絶たないのか?実態を調べたのか?調べもせず「信じたい」気持ちだけで「良いこともした」と言いたがるのは知的怠慢である。
    これもバックラッシュの一種なのだろうか。

    ナチズムを擁護する、自分の頭で考えない、歴史的事実や背景との関連を調べようとしない、そんな人間が日本でも増えている。それで何を得たいのか?かりそめの安心感か?よく考えろ、ナチズムの名の下に行われた残虐な行為の数々を。そして実際に「良いこともした」とされたそれぞれの事柄について検証された本書を読め。せめて

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    2025年08月03日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    ネタバレ

     ナチスという国家が行った政策を徹底的に分析した一冊。読めば読むほど、ナチスは恐ろしい国家だと思った。病的なほどの純血主義。全ては戦争に勝利するため、労働階級への福利厚生は手厚く、純血の子どもを産んだ女性は表彰した。一方でドイツ人以外、ユダヤ人は家畜以下の扱いを行い、所有物は捨て値で売り払う。民族の繁栄のためには手段を選ばない国、それがナチスである。

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    2025年05月17日
  • ファシズムの教室 なぜ集団は暴走するのか

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    自粛警察や SNS での誹謗中傷など、人は大義名分を得ると集団となって他者を抑圧するような行動をとることに抵抗がなくなるようなことをよく聞くので、ファシズムの体験でも同じようなことが起きるのかなと思って手に取ってみた本書
    ファシズムの体験教室で学生の行動や心理を色々と説明してくれたが、ちょっと同じ説明が多い気がして途中は少し読み飛ばしてしまった
    最後の方に自粛警察にも触れていて、コロナの時に著者が帰国時に隔離生活を送ったという話があった。そのときに、弁当の質があまり良くなくてそれをSNSなどで訴えたが、ネガティブな反応も多かったらしい。
    実は最初自分が読んだときも、写真を見て「コンビニ弁当くら

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    2025年04月20日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    経済政策
    →アウトバーン建設自体の経済効果は1935年までに50万人の雇用を生み出すにとどまるなど限定的。
    短期間で失業問題を解消したとされるが、ヴァイマール共和政末期の景気浮揚策が効果を上げつつあったこと、女性や若者を労働市場から退場させたこと、歳入を大幅に上回る財政支出と空前の規模の公債・手形の発行を行ったが、その埋め合わせは戦争による他国からの収奪により行う前提だった。

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    2025年01月27日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    しばしば見かける「ナチスは良いこともしていた」論に対して、歴史学の観点から検証を行う。①オリジナルの政策なのか(ナチスだからこそできたことなのか)②政策の目的は何だったか③成果を上げていたのか、の3点から成果として主張されることの多い経済政策、労働政策、家族支援、環境保護政策などを簡易で明快な論理で否定していく。要はオリジナルは無いし、目的は排除を前提とした包摂と戦争に帰結し、成果も大きく評価できるものはない。「良い面もあれば悪い面もある」という一見中立や公平を装った態度は歴史解釈に限らずさまざまな分野で見られるが、本当に中立や公平な態度であるのか、をどのように受け止め考えれば良いかということ

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    2025年01月15日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    ネットでもたまに見る「ナチスの政策にも良い部分はあった」という言説を検証・否定する本。

    その言説を発信する人たちがことごとくアレなので特に信じてもいなかったんだけど、調べもせずに否定していたら調べもせず肯定しているのと変わらないかなと思って読んた。これで堂々と否定できる。

    そもそもナチスの細かい政策を調べたことがなかったので、ナチスに関する書籍の入門編としても分かりやすくて良かった。

    結局こういうことを言い出す人って、中二病とか反対思想への反発が根底にあるんじゃないかな。中高生くらいなら教師や親の綺麗事への反発心からそういう考えに傾倒することもあると思うけど、いい大人が言ってるのは危険だ

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    2024年11月16日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    読みやすく端的でわかりやすい。「ナチスはいいこともした」とされることのある政策に対して、ひとつひとつ根拠を提示してそれは違うと解説されている。はっきりと否定されていて気持ちがいい。参考文献も丁寧に載せてくれている。

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    2024年10月08日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    ナチスが「良いこと」をしたかどうか。
    この問いは、レイシストのように偏見に満ちた危険な差別主義的視点だ。ナチスだから、何もかも悪いわけないじゃないか。ユダヤ人だから全てが悪いという構文が成立しないように。物事は二元論ではなく、もっと複雑だ。戦争を全てナチスのせいにして、ナチスの存在だけが反省点だからと、思想背景や構造を反省しないならば問題だ。

    私はナチス肯定派ではない。ただ、これを狂気の免罪符とするのに反対で、人間は過ちを犯しうるものとして警戒し、政策の良し悪しは当然あっただろうし、寧ろその良いと感じる魅力的な政策によって、悪しき思想が覆い隠される危険性がある、とする立場だ。だから、「ナチス

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    2024年07月15日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    冒頭にも述べられているが、結局「良い」の定義がないままナチスがしたことは良いことではない、という結論で話が進んでいる気がした。
    著者の意見が多様に含まれており、「ナチスがしたことは良いことではない」の説得力に欠ける印象を持った。(現代の価値観からすると「良い」と言えないことは感覚的にはわかるが)
    良い悪い、はとある時代ととある限られた共同体の価値観だから論述するのが難しく感じた。

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    2024年06月09日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    その政策は、どんな文脈でどんな目的で行われ、どんな結果をもたらしたのか。望遠鏡的視点に陥らないようにしたい。

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    2024年05月30日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    ・失業対策や家族政策、アウトバーン建設など、ナチスの政策の中で良いことと言われることもある政策。判断するためには、事実を押さえることはもちろん、オリジナル性やその目的、背景もきちんと理解することが必要。そうすれば決して評価できないとの論評。事実だけでなく解釈の重要性を認識


    ・事実、解釈、意見という三層構造は、歴史的思考力の前提としていよいよ重要になる。事実から意見へと飛躍することの危うさは、何度でも指摘しておく必要がある。意見を持つことはもちろん自由だが、それはつねに事実を踏まえた上で、解釈もある程度はおさえたものでなくてはならない。

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    2024年05月12日
  • イミダス 現代の視点2021

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    当時意識することのなかった問題や、時期を経て現在どう表面化しているかという議題について改めて触れるにはちょうどいい媒体。

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    2023年04月29日
  • イミダス 現代の視点2021

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    ネタバレ

    世の中のことにとても疎いので読んでよかった。


    印象に残ったワード「全体主義」「差別」「ファシズム」「水道法改正」「種苗法改定」「カジノ」「歴史修正主義」


    コロナ禍だからこそ伝えたい「自由」と「権利」と「多様性」
    p19「自由や多様性を守る」ということは、(コロナ禍で)マスクをしない人も、バーベキューをする人も、同じ社会で暮らす仲間として尊重するということ…せめて糾弾したり排除したりしないということ…自分たちの安全のためにどうしても行動を変えてもらう必要があるならば、その人の人権や生活が損なわれないよう、民主的な手続きを守りながら、理性的にお願いするということ
    p17〜18 社会を民主的

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    2021年03月06日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    ナチス研究を20年以上やってきた著者がナチスが行った行為に対してダメ出ししている感じがする。一部の人が「良いこと」として評価していることも「自分たちのために行なった行為が、結局的に良いことに見えるだけ」と言っているだけで相手に歩み寄る感じは受けなかった

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    2025年08月12日
  • ファシズムの教室 なぜ集団は暴走するのか

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     甲南大学においてファシズムの恐ろしさを体験させる「社会意識論」という授業という興味深い内容。ナチスを想定させて、「ハイル・タノ」と敬礼させ、田野帝国と読んで、統一した制服まで着せ、ワッペンを付けさせるという。そしてナチス式の足踏行進、「リア充」を敵視した行動。確かにこのことにより集団化の怖さは体験できるだろう。しかし、周りの学生、教職員から見たら実に異様な集団に見えるだろう、正にナチスそのもの。大学当局に事前許可を取っていたことは当然のこと。あまりにもセンセーショナルな授業であり、確かにファシズムの怖さ、そこにのめり込んでいく高揚感を感じさせる有効な方法だと思う一方で、「ミイラ取りがミイラに

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    2025年07月10日
  • ファシズムの教室 なぜ集団は暴走するのか

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    某大学での"ファシズムの体験学習"の本。ファシズムは独裁者による恐怖政治に非ず、人々の集団帰属の快楽が要因という説はその通りだが、対抗措置の考察が薄弱。カルト宗教等の集団的マインドコントロールと同様と捉え、考えるべきだろう。

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    2025年05月30日
  • ファシズムの教室 なぜ集団は暴走するのか

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     歴史社会学が専門で兵庫の甲南大で「社会意識論」という社会学の講義中に行われた「体験学習」の実践記録。独裁とはどういう状態か、何が独裁を成立させるのか、独裁の中で民衆はどういう行動をするのか、という点についてヒトラーやナチズムの例での解説とともに、現代のポピュリズムがファシズムに繋がっている例を、コロナの「自粛警察」など日本で見られる最近の実例も含めて解説されている。
     ポイントは「ファシズムが上からの強制性と下からの自発性の結びつきによって生じる『責任からの解放』の産物だということ」(p.193)で、「指導者の指示に従ってさえいれば、自分の行動に責任を負わずに済む。その解放感に流されて、思慮

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    2025年05月04日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    ナチスを肯定しようとする一部の風潮を真っ向から批判する内容。「良いこと」として挙げられるナチスの政策を専門家の視点から1つ1つ切り捨てていく。実際に本書では99%は「良いことでもなんでもない」という主張であったように感じる(1%分は筆者の主張を踏まえて私の主観)。ゴリゴリの社会派な内容なため、読みづらさが各所にあった。

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    2024年09月29日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    もっとダークな部分かと思ったら、上っ面だけのような感覚だ。
    事実ばかりが取り上げイコールナチとなっている知識に、ナチの目標や目的が加わった。
    教科書や新聞を読むような誌面で雑誌感覚で読めた。

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    2024年06月29日