田野大輔のレビュー一覧

  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    読み終わってみて、「ナチスは良いこともした」ではなくて「背景・文脈から切り離して考えてみればナチスの進めていた政策には参考になるものもある」という言い方で言えたりは出来ないか?と考えてみたものの、そもそも前政権や他諸外国から引き継いだ政策ばかりだから、ナチスを引き合いに出す必要は全く無いという事でした。

    歴史学における事実⇒解釈⇒意見というステップを踏む重要性、過去の研究結果を踏まえた解釈を省略する危険性、という最初に触れられる基本を、何度も再認識させられる構成で身に染みた。

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    2025年12月06日
  • ファシズムの教室 なぜ集団は暴走するのか

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    集団の暴走は、カリスマ指導者による恐怖政治が原因であり、集団は抗えず従っていただけと思っていたが、実際には、集団側の快楽や、帰属意識による暴走、責任を問われないという意識から暴走するのだと知って大変に驚きました。
    ナチスドイツしかり、太平洋戦争中の日本人しかり。当時の人たちは、イヤイヤ従っていたわけではなく、ノリノリ、イケイケで突っ走っていたのではと思い、自分もその一部になって、暴走した可能性があったと知って、背筋が凍る思いがしました。
    某高校野球の名門校のイジメ、出場辞退の騒動にも同じものを感じました。

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    2025年08月31日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    面白い本ではあった。ただナチスを否定したくて否定したくての内容になっている気がする。ナチスについて簡易な知識を持ち、ナチスを否定している人だと刺さる気がする。本に書いてあったが、確かにこの本の内容が粗探しになっているところがある。

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    2025年08月14日
  • 愛と欲望のナチズム

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    あるニュースに、ドイツという国への興味を抱くことがありました
     それは、国民背番号制に、DNAの親子関係を絡めて制度設計をしようと調査を始めたら、
    ドイツの父子間の親子関係は、四人に一人は他人であった、というニュースでした
    アメリカの占領は過酷なものですから、そのことと結びつけて考えてみたのですが、
     四人に一人となると、小中高の学生から、すべての中学生が該当するぐらいの高確率です
    ちょっと占領だけが原因とは思えないから、デマではないのかと何度も読んだのですが、離婚率の高さを述べる時の嘆きを帯びていて、少なくともエスプリは利いていなかったのです
    そういうモヤモヤを感じていたのですが、本書を通じ

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    2025年06月25日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    良いことだけを書き出してみてから反証するという形、確かに良いことだけを書き連ねたら知識がなければそうなんだ!で済ませてしまいそう。実際オリジナルなものはなく(でも、オリジナル=良いものか?という問いもあって深い)、その多くが民族、排除、の論理と結びついていて、表面だけを見てもね…なもの。
    きちんと自分で考えることは大切だなと改めて思う。
    自分の言葉にできるように、きちんと読み込む。考える。

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    2025年06月19日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    ナチスの政策は戦争のために民族共同体を強固にすると言う目的のための手段であり、また言われるほど成果を上げていないと言う事が、それぞれの章から理解できました。

    本書のはじめにも書いてある通り、歴史を考える時に我々は個人の立場とは無縁では居られませんが、事実と解釈と意見のそれぞれの立場はちゃんと分けて考えなければなりません。

    世の中に氾濫する意見を、事実や解釈と間違ってしまわないように、これからも本を読み続けたいと思いました。

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    2025年05月20日
  • ファシズムの教室 なぜ集団は暴走するのか

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    大学で行われたファシズムの授業の解説を通じて、ファシズムが生まれる過程を理解することができた。誰もが経験したことがあるであろう、集団行動での規律違反への疎外は、人間の特徴で変わらない。だから、いじめやヘイトスピーチが無くならないのだと思う。こういった行動がファシズムの土台にあるのは知らなかったが、本書を読んで納得がいった。
    一方で、カリスマ性を持つ独裁者は時代の環境によってはでてきてしまうことから、ファシズムは再来してしまうのかもしれない。自粛警察のような自分達の行動が、ファシズムを支え得ることを知っておくべきだと思った。

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    2025年04月27日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    SNS上等でしばしば語られる「ナチスは良いこともした」論を丁寧に分かりやすく論破していて、ある意味痛快。

    最後の最後(おわりに)まで、沢山の人に読んで欲しいと思った。

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    2025年02月15日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    気になっていた本。
    多面的、多角的に見ることもそうだけど、過去からどのように物事を受け取るべきかという視点ももらえる。

    "おわりに"は常に意識しておきたい。

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    2025年02月09日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    何度も読みたい一冊。
    長年研究されてきた著者さんの努力の結晶。
    この本は客観的に書かれており、誰が見ても分かりやすい。
    ナチがしたこと。
    ヒトラーがしたこと,してないこと(したように見せかけてること)。
    この本ではホロコーストで何が行われていたかについての細かい記載はない。
    それよりも,当時のドイツの政治や国民の暮らしがよく分かる一冊。
    最後の後書きは思わず笑ってしまったので,ぜひ、読み終わった読者さんのおまけとして最後に読んでいただきたいです笑

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    2025年02月09日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    正直ホロコーストの教科書的事実を字義通り義務教育で受け取った私にとっては「ナチスは良いこともした」言説はいかなる正当性や効力を持つものではなかったのだが、本書を読んでその言説を批判する根拠が、自身の批判的思考の欠如に由来したある種の盲目さ以上のものとなった。基本的に全てはアーリア民族共同体の利益のための手段に収斂するもので、それを文脈から切り取り「良いこと」と持て囃すのは恣意的な解釈でしかない。勉強になった。

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    2025年01月29日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    ナチズム研究の専門家が、巷で言われる「ナチスは良いこともした」論について検証する。 一般によく言われるナチスの先進的な政策である、経済政策、労働福祉政策、家族支援政策、環境保護政策、健康政策について、いずれもナチスが特段優れた政策を実施したわけではない。ワイマール体制下の政策が実を結んだものが多い。また、「民族共同体」の訴えに基づいて行われた諸々の政策だが、裏を返せば「民族同胞」として包摂されなかった人(ユダヤ人、共産主義者、障害者、同性愛者等)を排除することを目的としていた。
    「ナチスは良いこともした」論を唱えることは、ナチズムが実際にどんな体制であったかを無視した暴論である。

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    2025年01月05日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    本書の感想からやや離れる。
    筆者のSNSのプチ炎上をリアルタイムで見ていた。「本筋の研究者によく物を言えるな」と驚いた覚えがある。筆者を批判しているツイートで目立ったものは共通して『上から「学者にわからせてやる」口調(当然敬語ではない)』『アカデミックなものに対する敵意』、俺は論破などされないというスタンスからはいる一連のツイートは胸に来るものがある。というのも、本書のような、その指示の専門家が書いた素人にもわかるよう記した本でも、彼らは納得しないだろうと思ったからだ。
    各章のナチスの政策と、それが『良いこと』だったか、の是非は私のような素人にもわかりやすく大変勉強になった。中でも自分が一番心

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    2024年11月14日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    よいことをしたといわれるが、結局は独自のものではなく前政権からの引き継ぎで効果を上げていたり、他国と同じことを幾分か徹底的に行ったり、名目は立派だったけど結局は戦争のための、戦争による経済だった。つまり自転車操業だった。そもそもよいこととされる政策の対象はいわゆる健常なドイツ人のみであったため良いこととは言いきれない。そしてだんじょかんで強く家父長制的価値観が強く押し出されているので政策の内容が変わるものもあった。
    移民が増えている日本は当時のドイツとやや似た状況になってきているため、ナチ政権のようなことはしないようにしつつ、けれども日本を守るにはどうすればいいか考える必要があると思わされる。

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    2024年11月04日
  • 愛と欲望のナチズム

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    作家の菅野完氏はよく彼のYoutube番組で日本の右派は他人の生殖に口を出すことしかしていない(少し上品な表現にした)と語っているが、本書の前半ではナチスドイツの研究者である田野大輔氏によりナチスドイツのナチ党による他人の生殖について口を出すことについて語られている。本書を読むことでドイツと日本、戦前・大戦中と戦後80年近いという違いがあるものの、国家主義者がどんな考え方や意図を持ってどのように他人の生殖、性生活に口を挟むのかが良くわかると思うし、大戦時のナチスが言っていることと、現代の我が国の日本会議を始めとする宗教右派が言っている事は非常に似通っている事がわかると思う。共通するのは極めて頑

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    2024年10月12日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    ナチスは極悪非道な政権であっただけでなく、良いこともした、という意見は、ちらほら見聞きしたことがあり、私が聞いたそれは、自然保護、健康増進のための研究、という側面から語られていました。

    本書は、ナチスの研究者による、それら(他には、経済回復、労働者向けの福利厚生措置の導入、少子化対策)の政策が、どのような社会情勢の中で、どのような目的で行われ、どのような結果をもたらしたのか、そして、どのような二面性もそこには含まれていたのかも合わせて描き出されています。

    「良い」「悪い」の意見を持つ、言う前に、多方面から俯瞰して考えることの大切さを感じました。

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    2024年08月16日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    数年前からちょこちょこ「いや、いうてナチスも良いことしてるじゃん?」みたいな言説をよく目にするようになり、それを(ほんとか~?)と思っていたのだけどナチスやナチズムに関する本は膨大で「ナチスは良いことをしたのか否か」をピンポイントで検証している本を探せずにいた。
    だからこそこの本が出版されたときはタイトルが知りたいことズバリのもので嬉しかったし、必ず読もうと思っていた。
    具体的なナチスの政策を検証するだけではなくなぜ「ナチスは良いこともした」という言説が出て回るのかというメカニズムやSNSなどに反乱する歴史的な言説を巡るあれこれも解説がなされており、それはナチスに限らず魅力的な歴史のあれこれに

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    2024年07月20日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    アウトバーンの建設やレジャーの提供、少子化対策、環境保護、健康推進などナチスの政策には「良いこと」もあったという主張がネット空間などにあるが、専門家の立場からそれらの俗説を徹底的に批判している。経済政策やアウトバーンの建設は前政権からのものであるし、レジャーの提供や少子化対策、環境保護、健康推進などは「民族共同体」としてのドイツ国民の意識を高め戦争を遂行するためのものであった。何よりも、結局成果があがっていない。それどころか、ユダヤ人からの収奪、占領地の人々の強制労働などによる収入をドイツ人に分配しただけであった。「最初は借金で生活し、次には他人の勘定でくらした」のである。

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    2024年06月24日
  • ファシズムの教室 なぜ集団は暴走するのか

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    高市政権になり、ファシズムの危険性が出てきているので、改めて考える上で、読みました。
    この本は、ファシズムとは何か?、体験学習通して人々がどのように権力に服従して、無責任になるのかがわかる。
    特に権力に服従しやすい日本人は非常に多いので、その事考える上で、非常に良い本だと思う。

    #読書
    #読書記録
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    #読書ノート
    #田野大輔

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    2025年11月01日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    タイトルとテーマの着眼点が秀逸。
    巷にはびこるナチズムへの俗説の否定を固い意志を持って推敲してやるという心意気に感銘を受ける。

    局所的に見れば肯定的に見えるナチスの製作も、「民族共同体」というイデオロギー確立の道具にすぎずその背景にはおぞましい略奪や差別・ホロコーストに代表される大領虐殺がある。その前提をもって、「良いこと」であるとは到底断言できるものはない。

    あとがきに著者が述べている、ではなぜこのような謬説が流布してしまうのか。社会からある種押し付けれられる「ポリコレ」へのバックラッシュであると。あまりにも正論を振りかざされるとなんでもいいから反動したくなる衝動が背後にあるのである。

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    2025年10月25日