森岡浩之のレビュー一覧
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正統派エンターテイメントSF。
中盤~後半にかけて「え?」「は?」「どうなるの?」とわくわくどきどきさせられるが、エンディングで「こうきたか」とにやりとする。
人物の関係性が単純な足し算ではなく掛け算、割り算になっていて、Aさんに対するときは冷たいけど、Bさんに対するときは甘いとか、なんかこう・・・・・・単純ではなくて油断できない。
SF的仕掛けの楽しさ、物語の構造の見事さだけに囚われず、登場人物の魅力でも攻めてくる。
しかし「星界の紋章」の印象(もちろんおもしろいんだけれど、悪く言えば萌えラノベの印象)があったけれど、こんな骨太の現代SFが読めるとは!と驚き。星界の紋章シリーズも -
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ネタバレレクシュの機転で戦場から逃れたはずのラフィールとジントの二人であったが、燃料補給のために立ち寄った領地で囚われの身になってしまう。
ああん、もう、そんなのんびりしている暇は無いじゃん。突っ込みたくなるイライラ感をぶちのめすかのような展開で話は進んでいく。
そして、お荷物だったジント君にもようやく活躍の場所が与えられる。そう、地上人であるジントは、スペック的にインチキ臭い遺伝子操作された人類、アーブであるラフィールより、少なくとも地上では適応能力が高い。無重力の住人は地上では能力を発揮することができないのだ。しかも、その身体的特徴からして、逃走に向いていない。そんな中で逃げ延びなければいけない二 -
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ネタバレぶっちゃけ、終わらないと思っていました。終わるはずがないと思っていました。だから、終わらなかったことに文句があるはずがありません。ええ、文句なんか言いませんよ。ただ、次、よみてー。明日にでも買いに行かないと!
さてさて地表に降り立って活躍していたジント君とラフィールですが、追い詰められ大ピンチです。のんびりとしている余裕はありません。意味も無く追撃してくる民主主義狂信者たちから逃れながら、面白連中に助けられます。
やはり、皇族たるものこの程度の運が無ければ、ね。
と言いながらも、ジント君を待っているのは過酷な運命です。いやはや、これからどうなっちゃうのでしょうか。彼らは……続く -
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ネタバレハードなタイプのSFに属すると思うけど、非常に読みやすい。世界観は重厚だし、一つ一つの役職や用語にこだわり……つか、マニアックな趣味があふれ出していて、独特な世界観にまったりと浸ることが出来る。
なーんてことは、ほとんどどうでも良くて、ツンデレ美少女エルフのラフィールが可愛い。護ってあげたい。などという可愛さではなく、護ってもらいたい。お願い、助けてください。ハアハア。みたいな変態的なことを書いていると、ファンにぶん殴られそうだけど、それくらいに魅力があるキャラクターに思える。
勿論、主人公であるジント君も現時点ではお荷物以外の何者でもないが、運命に翻弄されながらも必死に頑張っている。その健気 -
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ディアーホ三部作の第一巻である本作では、ジント&ラフィールに加え、新キャラ・エクリュアの四者による複雑な四角関係が展開されている。
罪深いオンナ(雄)であるディアーホはついに王宮へと隔離されてしまうが、これはつまり、しょうがないのである。
さて、本作はタイトルの通り、戦争が主題となっている。
そのため、みんな大好きスポール提督が活き活きと活躍し、アブリアル帝国元帥は副官の元彼を詮索し、ビボース提督は風呂に入る。皇族と根源貴族が多く出てきていて、なかなかにぎやかである。
一方で、その分だけジントたち紋章組の出番が限られている。なので、物語としての密度は「戦記物」としては高いが、「ボー -
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二巻に引き続き、この巻も見るべきところが多い。一つ選ぶなら、疲労で動けなくなったラフィールをジントが支えて進む六章の終わりか。
三部作終の巻にしてようやくスペースオペラらしい戦争があるのだけど、わりとあっさり。骨肉相食むようなガチンコバトルは戦記に譲るところである。
宇宙についてはレトパーニュ大公爵の顔見せと捉えた方が正しいのかもしれない。
余談だが、個人的に再読して気づいたのは、ジントが寄る辺のない漂流者であって、それは一巻の初めに示唆されていたのだなと。
夜空に心奪われたあの日から、彼の物語は始まっていたのであり、故郷での、あるいは第二の故郷での仕打ちが方向を決定づけた。父の選 -
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再読なのだけど、改めて上手いなと思わされる。
ボーイミーツガール兼異文化交流の物語だけど、ジントが馴染んだゴースロス着艦から物語は風雲急を告げ、大変据わりの悪いフェブダーシュ男爵での途上で巻を閉じている。
続巻の販売時期が確定しているだけに出来た荒行だ。この焦らし方はなかなか。
がっちり固めた世界観は、なんというのかな、ハイファンタジーならぬハイSFの気配。
しかし、あくまで物語は冒険活劇であり、ボーイミーツガール。それを表すように、文体は堅苦しすぎず、会話のやりとりはユーモアを多分に含んで軽妙である。
硬軟バランスよく取り混ぜていて、名作として再評価したい作品だ。
余談だが