長浦京のレビュー一覧

  • リボルバー・リリー

    Posted by ブクログ

    馴染みのない
    ハードボイルドを手に取ったのは
    600ページもある分厚い文庫が
    魅力的に見えたから
    二重カバーには 綾瀬はるかの姿
    映画化されていたようで。。。

    作品の世界観を、イメージを
    知ってから読もうと
    まずは映像を。
    おかげで本の世界にも
    すんなり入り込めた

    小説は映像より密
    スリルも 焦燥感も、当時の文化も。
    中盤から 読むのが楽しみになってきた
    女性がメインのハードボイルドなので
    馴染みがなくても読みやすい。
    文体も。
    大正時代、震災以降の世界。
    当時の日本の姿や街並みを
    映画で見たシーンを思い浮かべながら
    読んだ。また映画を観たくなる。

    憧れはしないけど
    百合の生き様はカッコいい
    映画の綾瀬はるかは
    イメージと少し違うけど
    ふにゃっとした印象とは真逆な演技が
    素晴らしく、好きになった
    それと、山本五十六が カッコよすぎて
    心を捕まれた笑
    彼のセリフも印象深かった

    何気なく手に取ったこの本
    知らない世界に夢中になれた。
    大好きな1冊

    0
    2026年07月05日
  • リボルバー・リリー

    Posted by ブクログ

    プロローグ

    長浦京が創り出す世界観が本当に好きだ!
    自身に本当にフィットする

    プリンシパル、シスターレイなど女性主人公の
    ハードボイルドを描かせたらピカイチなのではないだろうか

    今回の舞台は己がこよなく愛する大正末期の
    時代設定だ

    閉ざされた病室で嬉々として頁を捲った



    本章
    『リボルバー・リリー』悶絶の★5

    しつこいようだが、長浦氏が創り出す女性キャラクターがこの上なく大好きだ

    美女でありながら当然強く、感情的にならないところも良い
    至って冷徹でクレバーなのだ

    『プリンシパル』は氏の1つの到達点だと思うが
    本作は、流石大藪春彦賞受賞作だけあって非の打ち所がない物語となっている

    ミステリー要素と冒険要素が絶妙に絡み合い、ハードボイルドで処理していく様は圧巻だ

    素晴らしい“時”を経験できた本書に「ありがとう」と、云いたい!


    エピローグ

    いろんな意味でこの1週間は、未知であり、なによりも、かけがいのない時間そして経験となった

    人生と本と正面から向き合い、そしてブク友の
    皆様からたくさんの勇気をもらったのである

    こうした貴重な“Experience”を今後の人生に活かしていきたい!


    心よりそう思った!



                          完



    ※皆さまありがとうございました_(_^_)_8v♪

    0
    2026年03月08日
  • プリンシパル(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    星4にするか星5にするか、かなり悩みました。
    話の展開が面白い云々というよりは、主人公や世界観を好きになれるか否かで評価が大きく変わる作品という印象。
    本作の主人公である綾女のような、肝が据わっており頭もキレる、強いのにでも危うさや脆さも併せ持つキャラクターというのが私はとても好きなので、個人的にこの作品は好みドンピシャでした。
    ヤクザがしっかりとヤクザらしく描かれており、やり口はえげつないし人死が多い。拷問された肉体についても描写されていたりするので、裏社会の血なまぐさい部分をこんなにちゃんとやるのかと最初はギョッとしましたが……。
    でもそんな作風だからこそ、綾女のハードボイルドっぷりがより際立ち、彼女をいっそう魅力的に感じられたように思います。そして血塗られた裏社会の容赦のなさを描くからこそ、登場人物たちがこの後どうなるかのか続きが気になり、ついまたページを捲ってしまう。
    綾女のことを知ることが出来たという意味ではこの本に出会えて良かったと思いますが、ただ私の場合は主人公に愛着がある分だけ読んでいて苦しくも感じたので……。そこで評価に迷いました。
    極道を嫌悪して家を出たのにその才覚を持って生まれてしまった女が苦悩しながらも修羅の道を進む。組長として名を馳せていく彼女の生き様に心惹かれる部分があるという方は、是非読んでみてはいかがでしょうか。

    0
    2025年12月27日
  • プリンシパル(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    戦後焼け野原となり、秩序も治安も乱れ切った東京の街を取り仕切ったのは、GHQでも警察でもなく、やくざたちだった。

    原爆で焼き払われた広島の戦後動乱期を描いた仁義なき戦いを彷彿させる傑作。吉田茂や鳩山一郎、山口組三代目に美空ひばりなど、仮名を使っているがモデルまるわかりの実残の人物が出てきて、実際の事件も扱われるなどしているので、リアリティがあって、なんというか朝日芸能のヤクザ記事を少し高尚な小説にした感じ(誉め言葉)

    もはや歴史の範囲になる、昭和混乱期の話だと思っているが、安倍や麻生はここに出てくるヤツらの末裔だし、安倍襲撃事件の根本、統一教会も根っこ勝共連合というこの時代のヤクザや右翼や政治家たちの生み出したものだし、そこに関連する裏金疑惑の萩生田は自民党の要職にカムバック…この小説で描かれたディストピアな日本は今にも十分通じているのかもしれない。

    0
    2025年10月12日
  • シスター・レイ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    能條怜。予備校講師。フランス特殊部隊?帰り。ummundo。ベトナム人勢力とブラジル人。中国人も。近未来?というか今の日本の現状?
    頼まれると断れない玲。アクション多め。キャラも皆立ってる。映像化しそう。続編。

    0
    2025年10月05日
  • リボルバー・リリー

    Posted by ブクログ


    2023年同名の映画、主人公 小曽根百合役、(綾瀬はるか)
    余り適役とは思えないが、監督:行定勲だから納得かなー
    明治〜大正、日清戦争、日露戦争、太平洋戦争、時代背景の戦時下の物語は、興味深い、同時代の作家、山口恵以子の月下上海と同じ時代背景で、大正デモクラシーのニオイがする。
    古典、現代文学、いずれとも交わらない、列国教科、軍部強化、統制の中で、いかにして生きて金を稼ぐか、厳しい時代がそのまま描かれている事に驚いている。

    大戦中の大正六(1917)年、ロシア国内で社会主義革命が起きると、翌七年、日本は、アメリカ、イギリス、フランス、イタリアなどとともに陸軍をシベリアに出兵させた。

    日本の本意も極東への共産主義の波及防止と、混乱に乗じてのロシア領奪取にあった。

    明治三十八(1905)年。日本は日露戦争に勝利し、アメリカの斡旋により日露講和条約を締結した

    「我々は、宇垣の職を取り上げ、さらには山梨(半造・元陸軍大臣)とともに政界から追い出したい。榛名作戦をはじめさせた二人を榛名発覚の汚名と醜聞とともに沈める。これは元陸軍が現陸軍を壊すんじゃない。浄化するんだ」

    小曽根百合――実業家・水野寛蔵の下、幣原機関で訓練を受け、16歳で実地任務に投入。東アジアを中心に3年間で57人の殺害に関与し、各国大使館から「最も排除すべき日本人」と呼ばれた美しき諜報員。20歳で消息を絶った彼女だが、消えた陸軍資金の鍵を握る少年・細見慎太との出会いによって、再び戦場へ。百合と慎太を追うのは陸軍の精鋭部隊。関東大震災後の帝都を生き抜く先に、終息の地は待っているのか。

    0
    2025年08月31日
  • シスター・レイ

    Posted by ブクログ

    長浦京さんいいねー。主人公は現実離れしてるけど、設定は、ありそうな多国籍間の覇権争いと友達を救いたいと言う純粋な気持ちがストレートに表現されてて躓きも破綻も無い。しかも最後のページはあかん。もう次作絶対読むやつやん。

    0
    2025年06月04日
  • シスター・レイ

    Posted by ブクログ

    コレコレ、長浦作品はこうでなくっちゃ。「リボルバー・リリー」「マーダーズ」「アンダードッグス」「プリンシパル」「1947」と続く真打作品。カオスでごっちゃ煮なこの雰囲気こそ長浦作品ならでは。「シスター・レイ」なんてタイトルもイカしている。ただただ長浦ワールドに浸れる。。

    0
    2025年05月02日
  • シスター・レイ

    Posted by ブクログ

    ★5 現代日本の暗部に焦点をあてたハードボイルド、国際化された犯罪の現状を知れ… #シスター・レイ

    ■あらすじ
    東京墨田区で予備校講師をしている能條玲、彼女は元フランスの特殊部隊に所属していた経歴があった。フィリピン出身の友人の頼みで彼女の息子を探し出すことになった玲だったが、ヤクザやベトナム人組織との事件に発展してしまう。さらには、中国人、ブラジル人などの半グレ集団と国際的な犯罪トラブルにも巻き込まれていく…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    ★5 おもろいっ

    現代日本の暗部に焦点を当てたハードボイルド。我が国の国際化の現状とその課題認識させてくれる作品です。まず思うのは、日本って犯罪という切り口でも乗り遅れてるんだなぁという事実。そして自身の勉強不足を痛感しましたね…

    本作はもちろんフィクションですが、日本では多くの外国人の方が働いたり、生活している。当然、横のつながりもあれば組織もできるでしょう。差別や特別扱いをされることで、軋轢がでてきて、貧富の差が激しくなる。遂には犯罪に手を染める場合もあるかもしれない。

    知らなかった裏社会、犯罪のリアル、対抗する日本の警察の意識なども垣間見れるんです。犯罪自体も合理化、ハイテク化、国際化が進み、平和ボケしている日本の警察やヤクザが吞み込まれることになる。つくづくと危機管理のなさを痛感しちゃいました。いつも長浦京先生の作品を読むと、のほほんと生きてる自分が恥ずかしくなるんすよ。今回も喝を入れられましたね。

    さて本作は、元エリート特殊部隊の能條玲が外国人犯罪組織に立ち向かっていくストーリー。本職は予備校の英語教師なんだけど、いつも友達の外国人が困っているところに手を差し伸べるところから物語が動き始める。

    玲のまっすぐ過ぎる正義感と、鬼ツヨキレキレアクションが超絶カッコイイ。愚痴ったり腐ったりすることなく、常に前向きで人の支えになろうとする。自分ややると決めたことに対しては、相手が誰だろうとひるまずに立ち向かっていく。こんなCoolな生き方ができたら気持ちイイだろうな~。

    またその他の登場人物がリアル良いんですよ、仲間や友人、敵役のヤクザや半グレ、外国人勢力のマフィアたち。怖いのよ、ほんとに。

    でも暴力団の徳山(通称デブ)はイチ推しです!前半はただのクズなんだけど、後半に入ると背景が見えてきて、人間性に深みが出てくるんです。現実なら絶対お近づきになりたくないけど、やっぱりこういうジャパニーズヤクザは応援しちゃうんだよね。

    物語が終盤に近づいてくると、エンタメとアクションがマシマシになって目が離せない。つーか、敵役が怖すぎるんですよ、ハードボイルドが過ぎる。ただその結果、めっちゃ面白いから良いのです!!

    つい目をそらしてしまっている日本のダークな部分を詳らかに描いた社会派ハードボイルド。現代人こそ読むべき作品でした。

    ■ぜっさん推しポイント
    私が子どもの頃は日本は好景気な時代、我が国日本のGDPは世界第二位で他国から羨まれる存在でした。しかしバブルが弾けた後、30年以上にわたって景気が低迷。気づいたら中国、ドイツに追い抜かれ世界第4位です(ちなみに一人当たりのGDPは40位)。

    もちろん色んな要因があって現在の指標になっているだと思います。しかし「勝負する」ってことについては、日本はあまり上手ではありません。真面目で丁寧すぎるのも、善かれ悪しかれなんです。

    本作の主人公の玲を見ていると、日本が困っている外国を助けながら、ライバルの国々に立ち向かっていくようで頼もしいんですよね。まだまだ日本は死んでないですよ、頑張らなきゃですね。

    0
    2025年04月28日
  • シスター・レイ

    Posted by ブクログ

    いやぁ〜凄い!
    元フランス特殊部隊の能條玲に、次から次へと難題が持ち込まれるのを、生死の瀬戸際でギリギリの落とし所に行き着くのだが、それでも玲の身辺にはきな臭い事件の予感を漂わせて小説は余韻を持たせて終わる。

    なにより格闘シーンの描写がやたらにリアルで、傷つき方が本当に痛そう。
    フィリピン、ブラジル、ヤクザ、中国情報機関、警察庁警備局、それに元特殊部隊の玲。
    東京下町の裏で三つ巴、四つ巴に蠢く様々な人種の思惑に、流され傷つきながらも立ち向かう能條玲の力強さに感服する。
    息継ぎさせてくれないくらい緊張感溢れる小説だった。

    0
    2025年04月11日
  • アンリアル

    Posted by ブクログ

    久しぶりに一気読みの小説に出会った。とにかくストーリーが緊張感をもって疾走していく。登場人物たちのキャラクター設定が秀逸で、それぞれが影を抱えつつ、それを圧し殺して生きている。「プリンシパル」もとても良かったが、この作者の描く裏社会がどこまで本当なのかと思ってしまうほど、ストーリーにどっぷりと引きずり込まれてしまう。

    0
    2025年01月28日
  • 1947

    Posted by ブクログ

    すきだな(*´ェ`*)ポッ


    長浦京さん、たぶんすきだな(*´ェ`*)ポッ
    『プリンシパル』
    『リボルバー・リリー』
    『アンリアル』と読んで本作が4作目


    長浦京さん、きっとすきだな(*´ェ`*)ポッ
    『アンリアル』は普通でしたが、
    『プリンシパル』と
    『リボルバー・リリー』は高評価
    で、本作も高評価


    けど、長浦さんを読むときは気合いがいります
    だって、どの作品も分厚いんだもん
    本作も600ページ超えの大作

    結果的には面白いからあっという間に読んでしまうけど、ちょっと躊躇しますよ
    面白くなかったらどーしようと、、、

    けど、期待を裏切らない面白さがあるから大丈夫!
    いつも通りめんどくさいから内容は書かないよ
    敗戦直後という時代設定とアクションシーンがいい感じとだけ書いておきましょう


    長浦さんちょっと追いかけていきたいですね

    0
    2025年01月21日
  • マーダーズ

    Posted by ブクログ

    長浦京の作品を読むのはまだ二度目だけど、ばかでかいスケールのお話を文章にしてきちんとまとめてしまうところ、ほんとうにすばらしいなあと感動してしまう。特に中盤からは止められなくて一気読み。思いきりドンパチしながら物語を結末へ導いていくところ、もうわくわくしかなかった。読んでいて楽しすぎる。なにより、結局最後の最後までブレなかった主人公がつくった結末がとてもとても好みで…。最高でした。

    0
    2025年01月16日
  • リボルバー・リリー

    Posted by ブクログ

    分厚い作品ですが、テンポ良くそして予期せぬ展開に驚きつつ、最後の方では終わってほしくないとなごり惜しくなりました。
    作中に出てきた場所に出かけてみたくなりました。

    0
    2024年12月04日
  • 1947

    Posted by ブクログ

    イギリス人中尉が主人公とは珍しい。終戦からの混乱と徐々に復興へ進みつつある日本の風景も目に浮かぶようです。しかし話しの内容は、アジア人蔑視という差別と暴力と謀略が物語の中心。帰国した英国人紳士が、他国人も尊敬できるようになってたらいいけど。

    0
    2024年11月16日
  • 警官の道

    Posted by ブクログ

    警察もの 読んだことない作家さんも入っていたので 短編ならサクッと読めていいよね~と 読みました
    好きな 呉勝浩さん柚月裕子さんはもちろん面白かったです 初めての作家さんも追ってみたくなりました。

    「聖」は うるっときちゃいました。

    0
    2024年06月17日
  • 1947

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    長浦京さんのプリンシパルが面白かったので、読んでみた。戦後の日本に関し違ったテーマであるが悪の描写と、アクションの描写が素晴らしくあっという間に読んでしまった。イギリス兵からの視点からというところも面白い。個人的に竹脇は藤岡弘のイメージで読んでいた。裏切り裏切られ、、、で最後までハラハラさせられた。恋愛的な描写は全然なかったが、あの素敵な終わり方も良かった。

    0
    2024年04月11日
  • 1947

    Posted by ブクログ

    長い話になるが、読み続けたくなる。巻末の参考文献をみて納得した。作者の時代考証力の凄さを見た思い。特にリボルバー・リリーで見せた昭和史の再現力が、今回の作品でも遺憾なく発揮されている。この時代を物語を語らせるのであれば、おそらく長浦京を以て他にない。時代の本質をリアルな物語として完成させたまさに一品である。

    0
    2024年04月03日
  • 1947

    Posted by ブクログ

    鬼★5 戦争直後の日本、悪の巣窟と歪んだ駆け引きを臨場感たっぷりに記した歴史犯罪小説 #1947

    ■あらすじ
    1947年、敗戦後連合軍に統治されている日本が舞台。イギリス陸軍中尉であるイアンは、とある目的で日本を訪れていた。戦時中、捕虜になってしまったイアンの兄は、日本軍の私刑によって殺害されていたのだった。
    父からの命令と兄の名誉のために、殺害した日本人に復讐を目論む。しかし復讐の対象者は雲隠れしており、さらにGHQや英国の思惑に振り回されることになり…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    まさに長浦京先生の真骨頂。戦後の日本を舞台に、悪の巣窟ぶりを臨場感たっぷりに描いた歴史犯罪小説です。こういう作品こそ文学賞をとって欲しいし、多くの人に読んでもらいたい。

    近代史の影なんざ、大抵の人はほとんど知らないし、興味もないでしょう。もう帝銀事件とか、忘れ去られている気がしますね。しかし本作は決して昔のことではなく、現代の世相や政治、天皇制、国際社会などの問題にもつながってくる内容です。もちろんフィクションではありますが、もはや歴史書の様相を呈している本作。日本人として読んでおきたい一冊です。

    〇歪んだ縁と乱れた絆
    一番の読みどころは命を賭けた駆け引き。誰が味方で誰が敵なのか… 物語が進行するごとに、目まぐるしく変化する。米軍GHQ民政局と参謀部、英国連絡公館、日本警察、ヤクザ、在日朝鮮人など、様々なステークホルダーが主人公に複雑に絡み合う。最初から最後まで、常に緊張感のあるシーンが続くので、マジで目が離せません。

    そんな混沌とした人間関係の中で、登場人物たちの心情や価値観が少しずつ変化してくる。特に主人公のイアンの心情をあえて派手には書かないところが素晴らしく、静かに揺れ動く胸のうちがしっかりと伝わってきます。しかし現代においても、彼のように価値観が崩壊してしまうような国々がまだあると思うと、悲しくなりますね。

    〇混沌とした世界にはびこる悪事
    読めば読むほど、政治っていうのは誰の為のものなのか、さっぱりわからなくなってくる。どこの国でも、いつの時代でも、隙があったら狡猾で悪党な連中が蔓延するのは世の常。少なくとも奪い取られないように知識と経験を培っていかねばなりませんね。

    〇世間には隠蔽された事実
    本作で語られる、ある書面と条約。全然ありそうな話で怖いよ。力のある者たちは決して本当のこと言わないんです。今も昔も変わらない、そして未来も変わらないでしょう。

    〇人種差別
    人種差別の問題は様々な物語やノンフィクションで語られてきているし、自分もいくらかは読んできました。本作の終盤で主人公とある人物が、人種差別について語り合うシーンがあるのですが、そこには差別意識の真実と、結論が書かれているような気がしましたね。

    特定のグループや枠組みを排除する意識は、無くなるなんてことは絶対にない。その事実に対し、どう自分の中で決着をつけるのが良いのでしょうか。考えされられましたね。

    〇壮絶アクション
    力強く、骨太に書かれています。長浦先生は必要以上に派手なテクニックをあまり使わないところが好感が持てますね。しかしながら手に汗を握ってしまうほど、緊張感がリアルに伝わってくる。

    おすすめはやっぱり最終盤の戦闘ですが、個人的にイチ推しは、終盤に松川が登場するシーン。これは超クールですよ。映像化されたら、松川が一番輝く場面になると思います。

    もはや語り切れないくらい、素晴らしい作品でした。長浦先生は『プリンシパル』で、戦後日本のヤクザ社会を描いてましたが、こちらも滅茶苦茶面白かったです。アクション、エンタメ要素が強いのは『プリンシパル』で、裏切りや謀略などの駆け引き要素が強いのは『1947』ですね。今年のミステリーを代表する一冊になると思いました。

    ■ぜっさん推しポイント
    本作の唯一の若き女性、まゆ子の存在は読者に希望を感じさせてくれます。ひとりでは英語以外なにもできなかった彼女が、国を左右する出来事に巻き込まれながらも、少しずつ自ら意思表示し、力強い行動をしていくようになるのです。

    17歳ですよ?私なんか17歳の頃、部活さぼって友人宅でマリオカートやってましたよ。何も学んでなかったよなぁーと、反省しきりです。

    どんなに世紀末な世の中でも、権力や財力のない市井の民であっても、男性でも女性でも、何歳であっても、勇気と経験を重ねることによって成長できるということを学ばせていただきました。

    0
    2024年03月05日
  • 1947

    Posted by ブクログ

    長浦作品らしいダイナミックかつ如何にも観てきたような繊細な描写に夢中で拝読。戦後すぐの混乱期で東西冷戦が隠しようもない状況、米占領軍内の覇権争いというカオスな状況の史実にピッタリなストーリで、面白さもひとしお。。極度の人種差別主義者の主人公に感情移入は難しいが、英国気質・英軍将校気質がよくわかってこれはこれであり。

    0
    2024年02月16日