初めて読む作家さんの作品
「プリンシパル」と題名通り終戦直後から約十年間の主人公の綾女のストーリー。
史実とフィクションが混同するストーリーで物凄く面白い。
登場人物も吉田茂、鳩山一郎、美空ひばり等の戦後を象徴する人物達が大きく絡み、戦後の混乱の中で政治、芸能、暴力団、GHQの複雑な絡み合いが最高
...続きを読むなエンターテイメントを生んでいる。
テーマは運命、血筋や骨組みといった組織力の中でのある意味では悲惨だが、ある意味では強力な構図が読み取れる。
暴力や報復や諜報や裏切りが色濃い世界観の為、読んでいて辛さを覚えるがそれも運命の一環であり組織としての役割と共通する認識が存在している。
読み手には複雑な感情を抱かせる終焉を迎えるが、この世界観で考えてみれば一番よいけじめなのだろうと感じた。
長浦さんの他の作品も読んでみたいと思っている。