長浦京のレビュー一覧
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第二次大戦のビルマ戦線で捕虜となった兄を日本軍に斬首された英国軍人が、犯人たちを殺害し証拠として片耳と薬指を持ち帰れとの父親の指令を受けて来日する。
作者は、白黒の記録映像にあるような「ギブミーチョコレート」と言って進駐軍に群がる子供など見たことがないという祖母の言葉に触発されて、戦後間もなくの日本の実態を描こうとしたという。
GHQ内の民政局と参謀第二局の勢力争いに在日朝鮮人ヤクザなどが加わり、敵味方が入り乱れ、手を組んだり、切ったりと状況は複雑化の一途を辿る。
ある種の均衡をきわどく保っていたところを異分子である英国軍人が無遠慮にかき回したため、事態が一気に流動的になったという仕立てになっている。
人間とも思っていなかったアジア人女性との交情を最後に示唆するなど、戦後間もなくの東京の混沌を描いた活劇としては面白いが、合従連衡の必然性も今ひとつよくわからず、作者の意図がどれほど実現できたかは疑問だ。 -
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葉真中顕、中山七里、呉勝浩、深町秋生、下村敦史、長浦京、柚月裕子『警官の道』角川文庫。
7人の作家の短編を収録した警察小説アンソロジー。7人の作家全員が自分の好みというのはなかなかあり得ないことだ。読んでみれば、柚月裕子の『聖』がピカイチで後は平凡な短編ばかりで、少しがっかりした。
葉真中顕『上級国民』。本作に描かれる刑事事件とされなかった交通死亡事故は、2018年に東京都港区で起きた元東京地検特捜部長による自動車死亡事故を思い出す。実際にこういうことはありそうだ。90歳の佐々木嘉一が交通事故で亡くなった。しかし、車を運転していた谷田部洋は逮捕されなかった。その裏には驚愕の事実が隠されていた。★★★★
中山七里『許されざる者』。復興五輪などと銘を打って、コロナで延期された汚職に塗れた東京オリンピック。犬飼隼人シリーズの短編。今の時代、こんなこともありそうだ。東京オリンピックの閉会式を演出する予定の演出家の三浦伽音が殺害される。一体何があったのか。★★★★
呉勝浩『Vに捧げる行進』。警察官の名前がモルオとは。コロナ禍で疲弊する日常の中、町で頻出する落書き犯。その驚愕の意図とは。モルオという名前がどうにもこうにも。ストーリーが入って来ない。★★★
深町秋生『クローゼット』。ゲイの警察官か。世も末だななんて言うと顰蹙を浴びる、何とも嫌な世の中になったものだ。LGBTQなる少数派ばかりを擁護して一体何になるんだろうか。上野署の荻野大成と相棒の中澤祐一は荒神と呼ばれ、重宝されながら管内で起きる様々な事件現場に臨場する。その荻野には誰にも言えない秘密があった。★★★
下村敦史『見えない刃』。最近、やたらと性犯罪のニュースを耳にする。世の中、おかしなことになっているな。ある日、刑事課長に呼ばれた明澄祥子は性犯罪を専任することを命ぜられる。東堂とコンビを組んで性犯罪の捜査に乗り出した明澄が見た現実とは。★★★★
長浦京『シスター・レイ』。最近、注目している作家の短編。フランス帰りで予備校の講師という能條玲という謎の美女が主人公。玲は半グレ集団のトラブルに巻き込まれた知人の家族を救うために、果敢にも半グレ集団のアジトに乗り込む。★★★★
柚月裕子『聖』。最後の最後に納得のいくレベルの短編が収録されていてほっとした。母親と自分を虐待し、母親と別れたろくでなしの父親に復讐するためにヤクザに憧れ、組事務所に出入りする少年・聖。中華料理店でアルバイトをしながら、神戸の金坂組のバッジをもらうチャンスを狙う聖は、組に出入りするサングラスをかけた迫力十分の男に弟子入りを懇願する。★★★★★
本体価格820円
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ほん3さんの本棚からです♪
特殊能力を持つ青年沖野修也のスパイ小説
未熟な青年の成長振り、スピード感あるアクションシーン、誰が味方なのかわからない所が興味深い
時折優れた資質をのぞかせながらも、スパイであり19歳という若さゆえ、任務の理不尽さに何度も悩み立ち止まり、再び歩み出してはまた立ち止まりの繰り返し
「信念はあるけど正義はない」
そういう組織のなかで、彼は疑い身構えることばかりに慣れ過ぎて、小さな善意に触れてもどう応えていいかわからなくなってしまう
彼の特殊な力に、敵と反感を抱いている人間も予想以上に多い
フィクションの外装をしたこのシリアスな現実はいつから始まったのだろうか
苦悩する彼の成長過程を見守りつつも、もっと生意気でいいぞ!小さくまとまった大人になるな!と発破を掛けたくなってしまう
まだ解明されていない組織の謎や、上司水瀬との関係も続編への楽しみとなりそうである
ほん3さん、ご紹介ありがとうございました(=^x^=) -
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元引きこもりの沖野修也は、両親の交通事故死の真相を探るため、警察官になった。
警察署での実戦実習期間をあと二ヶ月残して、突然の本庁・警備部警察課第四係に異動になる。
そこは、諜報、防諜を行う、スパイ組織だった。
彼は、人の殺意が赤く見える特異体質を持っていた。
まさかその「異能力」が、明治時代から続く遺伝子掛け合わせの産物だとは思ってもなかったが。
任務を遂行していくなか、すべてが疑わしく、天城課長も国枝係長も水瀬もヒロも…周囲のすべての人間が信じられなくなっていた。
辞めることは、ある意味で死を予測するかのようで、遂行していくしかないのだが、諜報機関、特殊組織、臓器嚢、洗脳と無数の現実離れした要素が折り重なり、汚らしく混ざり合い、何度も殺されかけながらも駆け引きをするところが、スパイなんだなと感じた。
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沖野修也19歳、警察官の研修機関にも関らず単独捜査などで注意喚起され、ついに辞表勧告か?とおもいきや警視庁本庁のある係に異動となった。実は彼は集団で過ごすことが難しく独学で高卒認定試験や語学能力、IT技能などを習得していた。中学時代陸上では代表選手級。また、その集団で過ごすのを難しくしている能力を買われての異動だったのだが、沖野が勤務しながらその組織のことが読者にも沖野にもわかっていく。
沖野が巻き込まれていく事件がかなり実際の政治で起こりそうな骨太の事案だったので、沖野の持つ能力などがフィクション性が強くて、逆に残念だった。少年漫画ではありそうな設定やキャラクターだった。
グロいシーンが多々あるので、中学校から。 -
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はじめての作家さん。
新聞の書評で見つけました。
少しあらすじ
長らく引きこもっていた沖野修也だが、両親の事故死の真相を突き止めるため、警察官に。
警察学校時代に未解決の事件を独自に解決するなどしたが、その行動を問題視され、退職に追い込まれるのかと思いきや、突然「内閣府国際平和協力本部事務局分室 国際交流課二係」という部署に出向の任が下りる。
そんな聞いたこともないところで一体何をするのか・・・
そこは、諜報、防諜を行うスパイ組織だった。
長らく引きこもる原因にもなった、沖野の特異体質、それを見込まれての任務である。
ひ弱で特にやる気も無い沖野だったが、仕事をこなすうちに、両親の謎も少しずつ分かってきて、いつしか沖野にもスパイの自覚が生まれてきて。
ミッション・インポッシブルの日本版とまではいわないけれど、期待を裏切られる面白さでした。
まだすべてが解明していないので、続編があると思います。楽しみです。 -
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長いよ。ダラダラと長いよ。めちゃくちゃ魅力的な主人公の設定なのに全然活かしきれてないと思うし、アクションもストーリーもずっと逃げてて単調だし、なんというか描写が説明的過ぎて俺には合わなかった。主人公が魅力的なのに愛せないのは感情の描写が下手だからだと思う。あと、100年前の大正時代を舞台にしてるのだけども、考証が正しいのか不安でいちいち裏とりをしないと安心して読めないのはどうしてだ?携帯電灯とかトラックとか大正時代のってどんなのだかぱっと頭に浮かばないからか?幕末や明治に比較しても筆力がないと描くのが難しい時代だと思うし、一部抜粋して誰かに読ませてもこれ大正の話だって気づかないし、なんというかこの作家下手くそじゃない???この設定で松岡圭祐にでも書かせたらめちゃくちゃ痛快なの書くだろうに惜しいよなあ。
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平和の影に隠れた闇… 異能力を持つ19歳の新人スパイが、生死の間をギリギリで駆け抜ける #アンリアル
■あらすじ
19歳の主人公である新人警察官の沖野修也は、人の悪意を視覚的に感じることができた。かつて両親が事故で亡くなっていたが、死因について懐疑的だった彼は、早く出世することで真相につながる情報を掴むべく、いつも独断で捜査を行っていた。
警察から煙たい存在だった彼は、上司から異動が告げられる。新しい部署は機密扱いの特殊な捜査をしているようで…
■きっと読みたくなるレビュー
報道されず、決して表には出てこない正義の裏側。フィクションであると理解しつつも、当たらずとも遠からずなんじゃないの?と疑心暗鬼になってしまう世界観。ちょっと怖くなりますね。
ストーリーとしてはスパイものですが、ミッションインポッシブルのように強靭な主人公が大活躍するような物語ではありません。むしろ主人公はヒヨッコな雑魚キャラ。しかしそれが本作の一番の魅力なんですよね。
大人の都合に巻き込まれてしまい、訳も分からず死に物狂いでミッションをこなしていく。罵倒され、利用され、理由も聞かされず、たいして褒められもしない。それでも両親の事故の真相と自らの存在意義を明確にすべく、まさしくギリギリで生死の間を駆け抜けていく。
環境は違えど、自身の生き方や信念に悩む現代の若者と同じですね。相変わらず長浦先生は、魅力的な主人公を描くのが大変お上手ですね。素晴らしいです。
また同僚である仲間のスパイたちもいいキャラクター。特に上司の水瀬は切れ味抜群で、結論と行動が速い速い。さらにドSぶりが強烈すぎて惚れそう。
また本作で推したいのは、平和の影に隠れた闇の描写です。安心安全の裏側には、どれだけの鋭い駆け引きや卑劣な物語があるのか。本当にあったような過去の陰謀もリアルで恐ろしい。
我々が思う正義感や倫理観が、どれだけ薄っぺらく、大局観を見れていないものなのか。読めば読むほど、善悪が分からなくなってくるのです。
■きっと共感できる書評
日本はこれからどうなっていくんでしょうか。
かつて裏社会を牛耳っていた暴力団は、影響力が変化しつつある。これから我々が住む街は、もはや日本人より外国人の力が支配することになるでしょうね。
先日、日本の防衛システムがクラッキングされたというニュースが流れました。国から発せられる弁明の稚拙たるや、もう恥ずかしくて見てられません。スパイ大国と言われる我が国の将来はどうなっていくのでしょうか…
私には沖野が日本で、水瀬や取り巻くスパイたちがアメリカや中国のように見える。不安定な世界情勢で生き抜くためには、独自の強みを生かし、狡猾で力強く立ち回っていく必要があるのでしょう。
国際社会の中で現代日本の弱みを切り取った作品だと思います、子どもたちが楽しく過ごせる日本になって欲しいですね。