あらすじ
両親の死の真相を探るため、引きこもり生活を脱し警察官を志した19歳の沖野修也。
警察学校在学中、ある能力を使って二件の未解決事件を解決に導いたが、推理遊び扱いされ組織からは嫌悪の目を向けられることになってしまう。
そうした人々の目は皆、暗がりの中で身構える猫のように赤く光って見える。それこそが、沖野の持つ「特質」だった。
ある日、単独行動の挙句、公安の捜査を邪魔したことで、沖野は副所長室に呼び出され聞きなれない部署への異動を命じられる。
「内閣府国際平和協力本部事務局分室 国際交流課二係」。
そこは人知れず、諜報、防諜を行う、スパイ組織だった--。
日本を守る暗闘に巻き込まれた沖野は、闇に光る赤い目の数々と対峙していくことになるのだが……。
スパイ小説のシンギュラリティとなる記念碑的作品、ついに刊行。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
久しぶりに一気読みの小説に出会った。とにかくストーリーが緊張感をもって疾走していく。登場人物たちのキャラクター設定が秀逸で、それぞれが影を抱えつつ、それを圧し殺して生きている。「プリンシパル」もとても良かったが、この作者の描く裏社会がどこまで本当なのかと思ってしまうほど、ストーリーにどっぷりと引きずり込まれてしまう。
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吉田修一の森は知っているとか思い出した。この作者には一本の筋が通っていて、かなりご都合主義のところもあるけど、爽快に読める。このシリーズはもうちょっと続いて欲しいかも。
Posted by ブクログ
ほん3さんの本棚からです♪
特殊能力を持つ青年沖野修也のスパイ小説
未熟な青年の成長振り、スピード感あるアクションシーン、誰が味方なのかわからない所が興味深い
時折優れた資質をのぞかせながらも、スパイであり19歳という若さゆえ、任務の理不尽さに何度も悩み立ち止まり、再び歩み出してはまた立ち止まりの繰り返し
「信念はあるけど正義はない」
そういう組織のなかで、彼は疑い身構えることばかりに慣れ過ぎて、小さな善意に触れてもどう応えていいかわからなくなってしまう
彼の特殊な力に、敵と反感を抱いている人間も予想以上に多い
フィクションの外装をしたこのシリアスな現実はいつから始まったのだろうか
苦悩する彼の成長過程を見守りつつも、もっと生意気でいいぞ!小さくまとまった大人になるな!と発破を掛けたくなってしまう
まだ解明されていない組織の謎や、上司水瀬との関係も続編への楽しみとなりそうである
ほん3さん、ご紹介ありがとうございました(=^x^=)
Posted by ブクログ
元引きこもりの沖野修也は、両親の交通事故死の真相を探るため、警察官になった。
警察署での実戦実習期間をあと二ヶ月残して、突然の本庁・警備部警察課第四係に異動になる。
そこは、諜報、防諜を行う、スパイ組織だった。
彼は、人の殺意が赤く見える特異体質を持っていた。
まさかその「異能力」が、明治時代から続く遺伝子掛け合わせの産物だとは思ってもなかったが。
任務を遂行していくなか、すべてが疑わしく、天城課長も国枝係長も水瀬もヒロも…周囲のすべての人間が信じられなくなっていた。
辞めることは、ある意味で死を予測するかのようで、遂行していくしかないのだが、諜報機関、特殊組織、臓器嚢、洗脳と無数の現実離れした要素が折り重なり、汚らしく混ざり合い、何度も殺されかけながらも駆け引きをするところが、スパイなんだなと感じた。
Posted by ブクログ
沖野修也19歳、警察官の研修機関にも関らず単独捜査などで注意喚起され、ついに辞表勧告か?とおもいきや警視庁本庁のある係に異動となった。実は彼は集団で過ごすことが難しく独学で高卒認定試験や語学能力、IT技能などを習得していた。中学時代陸上では代表選手級。また、その集団で過ごすのを難しくしている能力を買われての異動だったのだが、沖野が勤務しながらその組織のことが読者にも沖野にもわかっていく。
沖野が巻き込まれていく事件がかなり実際の政治で起こりそうな骨太の事案だったので、沖野の持つ能力などがフィクション性が強くて、逆に残念だった。少年漫画ではありそうな設定やキャラクターだった。
グロいシーンが多々あるので、中学校から。
Posted by ブクログ
はじめての作家さん。
新聞の書評で見つけました。
少しあらすじ
長らく引きこもっていた沖野修也だが、両親の事故死の真相を突き止めるため、警察官に。
警察学校時代に未解決の事件を独自に解決するなどしたが、その行動を問題視され、退職に追い込まれるのかと思いきや、突然「内閣府国際平和協力本部事務局分室 国際交流課二係」という部署に出向の任が下りる。
そんな聞いたこともないところで一体何をするのか・・・
そこは、諜報、防諜を行うスパイ組織だった。
長らく引きこもる原因にもなった、沖野の特異体質、それを見込まれての任務である。
ひ弱で特にやる気も無い沖野だったが、仕事をこなすうちに、両親の謎も少しずつ分かってきて、いつしか沖野にもスパイの自覚が生まれてきて。
ミッション・インポッシブルの日本版とまではいわないけれど、期待を裏切られる面白さでした。
まだすべてが解明していないので、続編があると思います。楽しみです。
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異能の19才の新人スパイの物語。「リボルバー リリー」でもそうだが、武器を片手に追いつ追われつのアクションや、素早い話の展開がめちゃ面白い。登場人物もよく練られていて最後まで飽きさせなかった。絶対続編がありそうな終わり方?待ち望んでる。
Posted by ブクログ
信念も正義も国際政治も胡散臭い。「嘘を聞き分ける耳」を持っていたり、「相手の目に浮かぶ赤い色」で感情読み取ったりできるスパイ。久々の諜報モノで面白かったが、謎が多く残った。シリーズにするのかしら?
Posted by ブクログ
平和の影に隠れた闇… 異能力を持つ19歳の新人スパイが、生死の間をギリギリで駆け抜ける #アンリアル
■あらすじ
19歳の主人公である新人警察官の沖野修也は、人の悪意を視覚的に感じることができた。かつて両親が事故で亡くなっていたが、死因について懐疑的だった彼は、早く出世することで真相につながる情報を掴むべく、いつも独断で捜査を行っていた。
警察から煙たい存在だった彼は、上司から異動が告げられる。新しい部署は機密扱いの特殊な捜査をしているようで…
■きっと読みたくなるレビュー
報道されず、決して表には出てこない正義の裏側。フィクションであると理解しつつも、当たらずとも遠からずなんじゃないの?と疑心暗鬼になってしまう世界観。ちょっと怖くなりますね。
ストーリーとしてはスパイものですが、ミッションインポッシブルのように強靭な主人公が大活躍するような物語ではありません。むしろ主人公はヒヨッコな雑魚キャラ。しかしそれが本作の一番の魅力なんですよね。
大人の都合に巻き込まれてしまい、訳も分からず死に物狂いでミッションをこなしていく。罵倒され、利用され、理由も聞かされず、たいして褒められもしない。それでも両親の事故の真相と自らの存在意義を明確にすべく、まさしくギリギリで生死の間を駆け抜けていく。
環境は違えど、自身の生き方や信念に悩む現代の若者と同じですね。相変わらず長浦先生は、魅力的な主人公を描くのが大変お上手ですね。素晴らしいです。
また同僚である仲間のスパイたちもいいキャラクター。特に上司の水瀬は切れ味抜群で、結論と行動が速い速い。さらにドSぶりが強烈すぎて惚れそう。
また本作で推したいのは、平和の影に隠れた闇の描写です。安心安全の裏側には、どれだけの鋭い駆け引きや卑劣な物語があるのか。本当にあったような過去の陰謀もリアルで恐ろしい。
我々が思う正義感や倫理観が、どれだけ薄っぺらく、大局観を見れていないものなのか。読めば読むほど、善悪が分からなくなってくるのです。
■きっと共感できる書評
日本はこれからどうなっていくんでしょうか。
かつて裏社会を牛耳っていた暴力団は、影響力が変化しつつある。これから我々が住む街は、もはや日本人より外国人の力が支配することになるでしょうね。
先日、日本の防衛システムがクラッキングされたというニュースが流れました。国から発せられる弁明の稚拙たるや、もう恥ずかしくて見てられません。スパイ大国と言われる我が国の将来はどうなっていくのでしょうか…
私には沖野が日本で、水瀬や取り巻くスパイたちがアメリカや中国のように見える。不安定な世界情勢で生き抜くためには、独自の強みを生かし、狡猾で力強く立ち回っていく必要があるのでしょう。
国際社会の中で現代日本の弱みを切り取った作品だと思います、子どもたちが楽しく過ごせる日本になって欲しいですね。
Posted by ブクログ
敵意を持つ者の目が光って見えるという特殊能力を持つ沖野は若くしてスパイ機関のメンバーに抜擢される。カナダに逃亡した台湾の製薬会社の元社長が来日する件。アメリカだ他人を洗脳して殺人を犯させる件など。
描写が細かく理屈にも細かい。疲れそうになりながらも、面白いことは面白いんだよな、と思いつつ読んだ。
Posted by ブクログ
長浦作品らしい力強くスピーディで魅力的な展開だが、終盤やや尻すぼみ感あり。LTHまでは期待に胸躍る展開だったが、この終わり方はどうだろう。神津ってこの小説にここまで必要なのかなあ。国際交流課2係と存在意義と沖野の考える正義の鬩ぎ合いが確り書かれていれば、それだけで良かったのではとも思った。魅力的な題材だったのに少し残念。
Posted by ブクログ
第3章まではどんでん返し連続の謎解き要素もあり楽しく読めた。最終章で話が飛躍しすぎて何が事実で何が真実なのか、勢力図はどうなってるのかがわからなくなった。
読みやすい
以前の作品は残忍残酷なシーんで描写もあり、
途中で読むのがイヤにらなったりしめしてが、
最近は読み易くて、本作も続編がありそうな
終わり方でしたが、面白く拝読致しました。
Posted by ブクログ
面白かったが、世界を股にかけたスパイたちの重厚なストーリー、と見せかけて、キャラ設定はラノベ調なのがすこしもったいないというか、違和感でした。
Posted by ブクログ
面白かった。
超能力物でスパイ物。好きな2つが一緒になっていて、あっという間に読んでしまった。
敵意を持つ人の目が赤く光って見える沖野が自分のルーツと両親の死の真相を探るために警察官となったが、いつの間にかスパイとし働くことに。
超能力を持つ人の悲哀がよく書いてあり辛さが伝わった。自分の境遇に立ち向かおうとする沖野の姿をまた読みたい
Posted by ブクログ
あなたは「特質」ですか?
特質…?
いわゆる超能力のようなものをもっていますか?
例えば、空を飛んだ、瞬間移動ができたり、スプーンを曲げれたり…w
本作の主人公、沖野修也の特質は他人の感情を覗くことができる能力
危険が迫ると気配を感じ、殺意や敵意、憎悪を抱いている人間と対峙すると、その両目が赤く光って見える
この能力は一体何なのか?
自分は一体何者なのか?
亡くなった両親の死の真相は?
これらを解き明かすため沖野はスパイとして活動し始める
ちなみに、実は私も主人公と同じ特質をもっています!
ただ私の場合はある特定の人物の感情しか覗けませんが…
その人物とは…、
奥様!
ほら今も両目が赤く光っている!
危険を感じます!
殺意を感じます!
憎悪を感じます!
恐怖です…((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
Posted by ブクログ
この方の作品は読んでいると映像が浮かぶので読みやすい。若い新人も特殊能力も強いお姉さんも映像化がしやすそうだ。
ただ個人的に後半は尻すぼみで無難な印象になった気がする。
Posted by ブクログ
スパイ活劇と特殊能力(さらには戦時中の遺伝子選別プロジェクト)の合わせ技。
主人公は新人の割に使えすぎる。
指導員との交流はアクセント。
神津の能力は深町尚哉と同じようだが、尚哉のような苦悩は既に克服しているのか。