トマ・ピケティのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ようやく読み終わりました・・・注釈含めると700Pの大作・・・読破するには覚悟が要ります・・・
自由な資本主義の行きすぎにより留まるところを知らず拡大した格差。ピケティの主義主張は一貫して、「累進課税」。資本税の導入だという。不労所得にも税をかけること。確かに。寝かせられるだけのお金をたくさん持っていればいるほど、その人は働かなくても食っていける。そうすると富めるものはより富み、持たないものはより細る。ただし、資本税が有効に働くのは、すべての国の銀行口座情報がガラス張りになっていること、これがないと、今横行している税金逃れが続いてしまう。
コロナで世界中で景気が停滞し、失業者が出る一方で、今までの生活を続けられるものがいる。コロナ中に本著を読むと、同意する点が多い。NHKでたまに報道する資本や経済の特集でいろんな学者が登場するけど概ね同じようなこと言ってるように思う。
また、気づいたことの一つとして、ピケティはかなりの文学の読書家でもあるということだ。経済学者だから経済の本ばかり読んでいるのかという先入観は持ってはならない。この本にはゴリオ爺さんや、pride and prejudicsといった文学作品が多々登場し、その生活ぶりから当時の貧富の差、貴族の所得等が説明されている。こういう人は多くの間口から学ぶし、実際に「終わりに」では、経済学者は計算ばっかりしてないで、社会や政治にも関わって考えるべきということを述べている。
結局私はこの本の600pで経済のことはちょっとしか学習できなかったかもしれないが、少しは見識が広まったかな。そうであれば良いな。 -
Posted by ブクログ
「トマ・ピケティの新・資本論」
ピケティが日刊全国紙リベラシオンに2005年から2012年まで毎月連載していた時評をまとめたもの。「21世紀の資本」とは違い時事の評論なので短く読みやすく、ピケティの考え方がよくわかる。
日刊紙に連載されていただけあり、その時々のフランスの問題点がよくわかる。問題点は違うものの政治的に日本とあまり変わらないような気がする。
問題点の指摘はいろいろあるが、税制の問題、所得格差、社会保障、大学の問題が多い。
特にフランスでの税制の複雑さと金持ち優遇の税制を指摘し、資産への累進課税を主張している。特に不労所得者に関しては容赦がない。
確かに、民主主義を主張するのであれば、その個人の努力と能力によって労働の価値を認めるべきであって、世襲で財産を引き継ぐことによって莫大な利益を享受することはかなり問題があると言える。
また、個人の努力と能力と言ってもどこまでが本当に評価するべき点であるのかは難しい。経営者が会社の増益を自分の能力によるものだと言って莫大な報酬を受けるようにすることに対して有効な歯止めがないように思える。あの、カルロス・ゴーンの莫大な報酬に引きずられるように、日本の経営者の報酬が上がっていることに関してあまり批判的な評論は聞かない。
その意味では、さすがフランス革命の国の評論だと思う。その一方で、その思想を体現する平等の国アメリカでは格差が大きく、ヨーロッパのようになるまいとして累進課税が課されていたものがどんどん廃止されていくのが矛盾しているように思える。
民主主義による自由はダメで、やはり、共産主義による恐怖が必要なのだろうか。 -
Posted by ブクログ
この種の便乗本はダメなことが多いけど、これはオリジナル版を読むための補助として、かなり役に立ちます。700ページもある本の内容を大雑把に把握するのにも便利だけど、それだけじゃない。寄稿者は、ケインジアンから新自由主義者、マルクス主義まで異なる経済学派、公共哲学、租税論、社会格差論、環境、文学、フェミニストまで多様にわたっており、それぞれに組みとり重視するポイントが異なっている。こんなふうに多彩な読み方ができるのかという新鮮な驚きは、じぶん一人の読書では得られないものです。
たとえば諸富徹氏は租税がもつ間接的な政治的効果という観点から、ピケティのグローバル裕福税を実行可能か否かという観点からのみで評価しない、議論のポテンシャルを広げる読み方を示している。もちろん批判の中にはつまらない重箱の隅をつつくようなものもあるけど、足立眞理子氏のフェミニスト経済学からの批判は、ピケティを正当に評価しつつ、それが見えていないものを指し示している。全体としてはかなりよくできてると思います。 -
Posted by ブクログ
ピケティの主著はどれもかなり分厚いが、この本はそれを要約し、200ページほどにまとめてくれている。
18世紀末以降、格差は大きく減少してきたものの、まだまだ平等には程遠く、格差は大きい。
これまで格差の減少は、革命や社会運動により、累進課税などの制度を実現することでなされてきた。
しかし、まだまだ教育などの機会は平等でなく、差別や国地域間での格差も大きい。
歴史的に平等が実現されたことはなく、パワーバランスが崩れた状態をひっくり返すことはまだまだ難しいのではと思うが、ピケティのアイデアをまとまって短く読めるのはいいことだと思う。
これからの時代、AIなどのデジタルプラットフォームを持つ覇権的民間資本による封建的な格差拡大も現実的で、人類の平等への戦いは課題山積だろうなぁと思わずにもいられない -
Posted by ブクログ
2024年5月20日にパリ経済学校で行われた対談の編集本。
「21世紀の資本」のトマ・ピケティと「これからの『正義』の話をしよう」のマイケル・サンデルの対談ということで大変豪華というか贅沢な布陣に期待は高まったが、対談だけあって新しい視点、新しい学説が展開されるわけではなく、専門分野が異なる一流の人同士が会話すると、こういう感じになるのか、というのが、素直な感想。二人とも大学の教授なので、本職は研究ながら、副業で(?)授業もやっているので、対話を展開するのはうまい。が、関心領域が異なるので、相手の言説を自分の思考を深めるために聴いている、という印象。
トマ・ピケティが、「所得格差は一対五まで圧縮できれば十分」と比較史的証拠があることを示唆しながら主張するものの、そのエビデンスが開示されるわけではない箇所が勿体なかった。(99頁) 対談は時間制限があったとして、註位つけてくれてもいいのに。
コミュニタリアンのサンデル氏と、社会民主主義者のピケティ氏の政治的ポジションは、「カネが全てではない」という点と、トランプ大統領(対談時点では再選前)とル・ペンが嫌いである、という点ではよく一致しているよう。
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Posted by ブクログ
フランスのスイユ出版社という出版社が刊行している小冊子シリーズの中から4冊を選んで翻訳したものだそうです。
レイシズム、キャンセル・カルチャー、極右ポピュリストの政治評論家ゼムール、グローバル資本主義がテーマの評論集です。
元々フランス国内向けに書かれたものなので、フランスの教育制度や極右政治評論家のことなどが自明のことのように書かれていて、知識がなく理解できない部分もありました。
最後のグローバル資本主義についての評論が1番面白かったです。
フォード社の車に重大な欠陥が見つかったとき、死亡者への賠償金とリコール費用を比べて、リコール費用の方が高いのでリコールをしなかったという話が本当に恐ろしい。資本主義は人の命にも値段をつける。
ジェローム・パシェの以下の引用が深く刺さりました。
歴史が私たちに教えくれる唯一の教訓は、次の点である──いかなる社会も、いかなる歴史上のシステムも、定義上永遠ではない。しかし資本主義には特有の点があり、その破壊的傾向がすさまじいので、自らの命を長らえるほど、ますます地球上の生命の条件そのものを崩していく。したがって今日の問題は、資本主義が人類を手放す前に人類が資本主義を手放すことができるかどうかである。 -
Posted by ブクログ
サンデルとピケティによる平等に対話。話はすれ違っている。かんたんにいえばサンデルは共同体にウェイトを置き、ピケティは社会に置いている。それぞれの駆動源は個人と制度設計である。
しかし、これは単にすれ違いなのだろうか。ピケティは制度設計による再分配で問題は解決すると考えている。最終的な目標は世界政府であり、要はシステムさえ整えれば世界はひとつになるという話だ。それが長大な時間がかかるとしても、である。
しかしサンデルの考えはその先にあるように見える。そのような話は、システムだけでは成り立たず、アイデンティティ(承認や尊厳、共感や帰属意識など広い意味での個人とコミュニティの精神性である)の問題をクリアしなければならない…だが、サンデルの問題意識に対してピケティはそっけない。このあたり、ピケティは自分では経済学者であることを否定するパフォーマンスをしたがるが、やはり経済学者である。哲学者のマインドは、ない。 -
Posted by ブクログ
読み切った!!!!が素直な感想。
今まで読んだ本の中で一番文量が多く、他領域の話で読み切るのがしんどかった。
でも最初に他の解説本を一つ読んでおいて良かった。
今目の前に起きているお金・経済的なことに対して、長期的な目線で俯瞰して物事を捉えられるようになるかもしれない、いい本だと思えた。
格差はこれだけ広がっているんだなと。このままいけば、もっと広がるんだなと。21世紀、自分が生きている中で、どういう行動・思考をしたほうがいいかをじっくり考えさせてくれる本だと思えた。
自分がこの経済をどうにかしようとは流石に思えなかったが、仮に自分が資本的に裕福な状態になったとしても、ピケティが提唱していることに対しては、賛同できるだろうなと思えた。