あらすじ
人種やジェンダーをめぐる差別・不平等は、グローバル資本主義の構造と深くかかわって、全世界的な社会分断を生んでいる。
差別問題に正面から切り込んだトマ・ピケティの論考をはじめ、国際的な識者たちが問題の深淵と解決への道筋を語る、最先端の論集。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
差別と資本主義は関係がある
人種差別の問題、日本においてはなかなか実感しずらい
教育と医療は普遍的な公共サービス
全ての人に平等に与えられなければならない
お金儲けのために人の命が軽視される
人の命がお金に換算される
Posted by ブクログ
フランスのスイユ出版社という出版社が刊行している小冊子シリーズの中から4冊を選んで翻訳したものだそうです。
レイシズム、キャンセル・カルチャー、極右ポピュリストの政治評論家ゼムール、グローバル資本主義がテーマの評論集です。
元々フランス国内向けに書かれたものなので、フランスの教育制度や極右政治評論家のことなどが自明のことのように書かれていて、知識がなく理解できない部分もありました。
最後のグローバル資本主義についての評論が1番面白かったです。
フォード社の車に重大な欠陥が見つかったとき、死亡者への賠償金とリコール費用を比べて、リコール費用の方が高いのでリコールをしなかったという話が本当に恐ろしい。資本主義は人の命にも値段をつける。
ジェローム・パシェの以下の引用が深く刺さりました。
歴史が私たちに教えくれる唯一の教訓は、次の点である──いかなる社会も、いかなる歴史上のシステムも、定義上永遠ではない。しかし資本主義には特有の点があり、その破壊的傾向がすさまじいので、自らの命を長らえるほど、ますます地球上の生命の条件そのものを崩していく。したがって今日の問題は、資本主義が人類を手放す前に人類が資本主義を手放すことができるかどうかである。
Posted by ブクログ
期待していたのとは違った.もう少しグローバルに理解出来るものかと思っていたけど,フランス国内にいないと『実感として』理解し難いものかなぁと思った.法律とかその国特有の事実に基づく議論も多くてちょっと消化不良.
ただし,最後の章 資本の野蛮化 の切迫感は並大抵じゃない.まぁ,内容としては読み聞きしてきたものを基準にそれ程新しいことではないのだけど,やっぱり『生きるために必須の共有財産』として,共有すべき富が必要だし,「頭を揃える」平等ではなく,「機会にアクセスすること」への平等って保障されなければならないし,この2つは実は双子の兄弟のようにどちらも,どちらが欠けても存在し得ない理想なのだと思う.
チャンスへのアクセスという意味で,大分恵まれた人生を歩ませてもらっていると思う.だからと言って,今までチャンスにアクセスできなかった人たちが「出来る」様になることへの恐怖や焦りはあまり感じない.もしもそうなったとしても,そういう社会はきっと生きやすいし,より質の高い人と協力して今よりもっと高いレベルの自分になれる気がするから.例えば健全で穏当な競争社会が残存することを是としてもそこでも正当な『勝ち=価値』は掴めるくらいの力は,自分にはある,と思っているので.