トマ・ピケティのレビュー一覧

  • 資本とイデオロギー

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    大部だがそれだけの価値はある。結局、極度の格差を埋めるには所得と資産に対する累進課税及び企業経営の社会的共有それから抜け駆けさせないようなそれらの国際的取決めの強化だ。
    たしかに。人間の歴史は格差を正当化するイデオロギーの歴史であり、格差は決して必然ではない。つまりは経済的公正を支えるための公正な投票の仕組み。すなわち富裕層が有利にならないように選挙にかかる資金の規制をすること。
    バラモン左翼と商人右翼による大衆の嫌気が、世界的に自国中心的政党支持に繋がっていると。
    多くの人に読んでほしい。そして、広めてほしい。世界の人々がより幸福になる社会を作る制度設計、その理念は既に存在しているのだと。あとは実践するだけなのだと。

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    2026年06月05日
  • 21世紀の資本

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     本書は、経済学を再び「政治経済学」の座へと引き戻した記念碑的な著作です。著者は、18世紀以来の富と所得がどのように推移してきたかについて膨大な統計に基づいた客観的な考察を行い、そこから驚くべき教訓を導き出しました。議論の柱となるのは、格差拡大の根本的な力である「r > g」という不等式。これは、投資や相続から得られる資本収益率 (r)が、賃金上昇の源泉となる経済成長率 (g) を常に上回り続けるという構造を示しています。つまり、労働によって豊かになる速度よりも、資産が資産を生む速度の方が速いということです。歴史的に見れば、この不平等の拡大を止める力となったのは、良識ある政策ではなく、皮肉にも「2度の世界大戦」による物理的な資本の破壊と、戦後の異常に高い成長率のみであったことが明らかにされます。現代が直面している最大の問題は、世界が再び歴史的な低成長化へと向かっている点です。低成長下では、過去に蓄積された資産の影響力が相対的に強まり、個人の才能や努力よりも、相続や「出自そのもの」が人生の成否を決定してしまう。これは、近代民主主義が掲げてきた「実力主義(メリトクラシー)」という理想?の崩壊を意味します。著者はこの暗い未来を回避するため、資本所得に対する世界規模での累進税が有効であると提唱します。富の極端な集中を抑制し、再分配機能を回復させるための現実的な処方箋です。しかし、そこには巨大な壁が。タックスヘイブン等の存在により、富裕層の資本は容易に国境を越えて逃避できるため、一国のみでの実現は難しいでしょう。本書を読み終えて痛感するのは、格差は経済の自然法則によって解決されることはなく、政治的な介入なしには拡大の一途をたどるという事実です。私たちが「出自」に縛られない自由な社会を望むのであれば、この 「r > g」という呪縛にいかに政治が立ち向かうべきか、真剣に議論を始めなければならないでしょう。
     「これから社会に出る若者へ」
     r>gに立ち竦まないでください。絶望しないでください。何も持たない者にとっては労働での収入が現実的な武器になります。資本成長率を上回る成長を達成している組織に所属してください(その中で労働分配率の高い組織に所属してください)。稼げる間に可能な限り稼ぎ、節約に努め、余剰を収益性の資産に投資してください。道は必ず開けます。

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    2026年03月29日
  • 平等について、いま話したいこと

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    左派の勝ち逃げ

    米国の政治哲学者マイケル・サンデルとフランスの経済学者トマ・ピケティの対談本。共に移民に悩まされている国の学者がこんな問いを巡って話し合っている。

    サンデル「われわれのような人間は、資本やモノの規制なき自由な国家間移動には批判的ですが、寛大な移民政策、つまりヒトの国家間移動には賛成しがちです。一方、中道右派の人たちは移民の増加を批判しながらも、資本とモノの自由な移動は支持して促進しています。矛盾しているのはどちらでしょうか?」
    ピケティ「やはり私の答えとしては、資本移動と貿易のほうをより厳しく規制すべきだと思います」(本書より)

    矛盾しているのは、君たちだよ。君たちは大学人だから、留学できない世界が考えられないだけではないの?
    古代ローマ帝国は民族移動の影響で滅んだではないか。人の移動は、文明の存続にかかわるのだし。
    でもまあ、サンデルはソクラテス風の問答法の学者だから、自分の答えは頭にあるけれど、こういう問いかけをするスタイルの人なのだと思っている。民主社会主義を標榜するピケティにこう問題提起する。

    サンデル「移民問題はわれわれに国境の倫理的意味とは何かという疑問を投げかけ、こうした疑問にもっと満足のいく答えを用意できるかどうかに左派の政治の未来がかかっている」
    ピケティは答える。「要するに左派の問題は、経済構造のあり方を問いなおしてこなかったこと、そしてあなたご自身がきわめて明確に示していらっしゃるように、その経済構造のなかで常に勝者の立場だったことだと思います。この問題にはまともに目が向けられてきませんでした。現在の左派は基本的に、「国際合意を取りつけるべきだ、国際合意が必要だ」という姿勢ですから。それで、国際合意が取りつけられなかったらどうするのでしょう?何もしません」(本書より)

    何もしません、って、え?勝ち逃げ? ピケティおまえな。。。
    サンデルは現代の特権階級の問題をきちんと議論したいようなんだが、ピケティは乗り気でなく、やっぱり民主社会主義にしていくのが大事なんだろうてなことを言っている。こういうのが今の左派の限界なんだろうな。

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    2026年03月27日
  • 平等についての小さな歴史

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    ダイジェストだが十分に読みやすく、とはいえ内容理解は骨が折れる。
    欧州の封建時代から帝国主義、新自由主義に至るまで、不平等、搾取の歴史を知ることができた。

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    2025年12月22日
  • 平等について、いま話したいこと

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    非常に示唆に富んだ本でした。
    都議選を終え、参議院選挙を控えた今の時期にぜひ読んでほしい一冊です。

    トランプの台頭、日本でも排外主義が蔓延し始めた状況に危機感を覚えつつも、ポピュリズムに一定の魅力を感じなくもないと私は思ってしまいました。

    怖かったです。

    だってヒトラーでも民主主義のプロセスの中から出てきたのだから、自分が誤った価値観で投票することが一票という小さな影響がしれないけれど日本を悪くしてしまうかもしれないと。

    なので、勉強の一環としてこの本を手に取りました。


    漠然としか認識していなかった、

    能力主義
    平等と公平
    グローバリゼーションの物/人/金の違った側面

    それぞれが明確な形を持って切り取られ議論されています。
    何がいいか悪いかの結論はすぐに出るものではありません。問題点の輪郭がはっきりとしたのが、すごくよかったです。

    グレーな問題に対して自分はどういう立場を取るのか、どんな社会を望むのか、これからよく考えていきたいと思います。

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    2025年07月09日
  • 平等について、いま話したいこと

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    大学入試や議会選挙にくじ引きを導入すべき?

    アメリカのトランプ大統領の言動に始まり、
    世界中の国で格差が拡大している現在、これだけタイムリーなテーマがあろうか。
    しかも、それを語るのが「21世紀の資本」の著者のピケティと、
    「実力も運のうち」のサンデル教授!

    確かに、ピケティの言うとおり、昔っから世の中は不平等だった。
    ある意味ここ数百年はましになってきていた。
    しかし、ここにきて世の流れは富を集中させる方向に行きつつある。

    ピケティが一番問題視するのは、GAFAMに代表される、
    多国籍企業の莫大な利益に税金が取れないこと。
    21世紀の資本はこれに真っ向から取り組み、国際的な累進課税を訴えていた。
    そう、累進課税。
    ひところは80-90%が最高税率だったものが、
    新自由主義でどんどん引き下げられた。私が敬愛するフリードマンがその主張者だった。
    なので私も当初は、稼ぐやる気をなくす高すぎる累進課税はよくないと思っていた。
    でもね、、
    昨今の世襲議員やら、東大生の年収1000万以上の親ばかりで、
    そいつらが行う政治が血の通ってないろくでもないものになっているのを見ると、
    運よく稼いだ者から吸い上げた富を運悪く貧しい人に再配分することは重要、
    と考えるようになった。
    もちろん、与えられた金で酒ばかり飲まれては無駄な金だが、
    少なくとも、ヤングケアラーやら、奨学金という名の借金で大学を出ても結婚すらできない、
    なんて状況がいいわけがない。最初から若者に負債を背負わせてはいけない。

    これは日本の話で、ピケティやサンデルが直接言ってることじゃないけど、
    でも、言いたいことは一緒。
    5割が大卒未満なのに、なんで議会は9割が大卒なのか!と。女性の割合は増えたのに、と。
    ・・・日本はここすらまだまだ行ってない。
    大学入試も、まず一定数試験で絞った後はくじ引きにすれば、富裕層じゃない子が入れる確率は増えると。
    それだけでは足らんでしょ、とピケティは鋭いが。

    右、左という言葉がどんどん出てくる。ここでは資本主義が右、社会主義が左、なのだが、
    今の資本主義は社会主義要素はどんどん入っている。それをどこまでにするか、何に重点を置くか。
    そもそも今の日本のように、所得の低い人からも5割を税金で持って行っていて、何が資本主義だ。
    むしろ富裕層は株だので上限2割しかとられない、とか逆転現象すら起こっている。

    ベーシックサービスの話が結構出ている。
    貨幣経済によらない無償のサービスを提供すればよいのではと。
    これもやり方は難しく、下手するとソ連のような品質低下になりかねないが、
    工夫すれば、、というところか。

    しかし、今の参院選の各党の主張を聴く限り、こんなレベルにはなく、
    「我々が貧しいのは海外から安い労働力が入るからだ!」になってしまう。
    安い労働力じゃないと零細企業がつぶれちゃうからでしょう、、
    この構造自体がまずいんだよ、大企業はろくに税金も払わず、高い報酬を得る経営陣。
    そういえばこの本で、10対1が限度だろう、といってた。
    そう思う。今100対1だもんな。日本ですら。サラリーマン社長ですら。

    字の大きい、150ページちょっとの本だったけれど、非常に考えさせられる本だった。


    第1章 なぜ不平等を懸念するのか
    第2章 お金はもっと重要でなくなるべきか
    第3章 市場の道徳的限界
    第4章 グローバリゼーションとポピュリズム
    第5章 能力主義
    第6章 大学入試や議員選挙にくじ引きを取り入れるべきか
    第7章 課税、連帯、コミュニティ
    第8章 国境、移民、気候変動
    第9章 左派の未来―経済とアイデンティティ

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    2025年07月07日
  • 平等について、いま話したいこと

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     不平等ineaquality(格差disparityではない)をアメリカの哲学者ハーバード大学教授マイケル・サンデルとフランス経済学者のトマ・ピケティとの対談本。
     不平等がもたらす人間個人と社会のマイナスを累進課税とか大学入学を親の経済力ではなく能力プラスくじ引きで入学させると提案したり、アメリカアイビーリーグの出身者が社会で高い地位についているとの現実を学歴主義から脱皮させようと論じている。左派の論が経済富裕層をより富ませて民主党がアメリカの分断に拍車をかけ、トランプの支持を高めたと説いている。
     地球温暖化、環境破壊も西欧社会が作ったもので、グローバルサウスに負担を強いるような西欧の対応はおかしいと言っている。
     不平等がなぜ問題か。
     ①すべての人による基本的な財の利用機会
     ②政治的平等 
     ③尊厳

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    2025年06月26日
  • 21世紀の資本

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    ネタバレ

     格差が生まれる原因に興味があり読んだ。
     多くの人が望む資本の蓄積に拡大再生産する性質があり、放置すると格差の固定化につながる、との結論は驚いた。

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    2025年06月09日
  • 平等について、いま話したいこと

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    早川書房ってこんな本も出すんだね。感動したよ。
    作者だけでなく出版社も選ぶタチなので、これから狙いつけておく。
    マイケル・・サンデルもトマ・ピケティも気にはしてたけど読むのは初めて。いきなり「再分配と脱商品化」から対談が始まってうれしかった。私のいまの関心事は教育や介護など公共物の民営化の危険性なのでドンピシャだ。さっそくノートを用意して構えを作った。
    熱いトマと沈着冷静なマイケルが共感しながらも火花を散らしながら考えを交える。サスペンスフルだ。だから早川か。
    市場勝利主義や能力主義が新自由主義と結んで現れるとき結局被害者になるのは我ら普通の国民。豊かさとは縁遠い自分のような人間はほんとに平等な社会をもとめているよ。
    超富裕層には大幅に増税すべきだと思うし、株主優遇が第一の大企業などの内部留保などはきっちり吐き出させろと強く思う。だって自然に儲けが増えたわけじゃない。働く者が作り出した価値だろ。
    勝手に蓄えたやつに天罰降れ。
    米欧の中道左派がしゃんとせんから右翼ポピュリズムが伸びたとの指摘も同感。いま日本でも「ユトウ」と呼ばれる政党がバカな役割を得意げに誇ってるけど、いずれ歴史に裁かれるだろう。
    まだまだ読んで学びたい二人だ。

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    2025年05月25日
  • 自然、文化、そして不平等 ―― 国際比較と歴史の視点から

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    トマ・ピケティが社会にある不平等の定量的実態と、その源泉について講演した際の書き起こし。

    不平等の源泉は政治的構造であるという批判は、『国家はなぜ衰退するのか』と同じ論調。
    再分配・累進課税の強化には賛成だけど、どこまでも比率を上げ続ければ良くなるのか?という検証と、働く人が意欲を失わない制度設計(=『壁』の完全撤廃)は必須に思う。

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    2025年05月15日
  • 平等について、いま話したいこと

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    市民の『尊厳』という視点を失った国家は分断が進み、やがて全体合意が取れず前進できなくなるというダイナミクスがイメージされる。読んでいるとドキドキする。
    トランプのような人物が生まれる背景についても実直に議論していて、非常に納得感がある。
    対談形式なのでライトに読み進められるし、読めるところだけ掻い摘んでも今の世界構造に対する解像度が上がると思う。
    多くの東海岸の住民たちが同時にこの対談に触れたら、その時彼らはなにを思うのだろうか。

    昔からマイケル・サンデルの思想は自分にめちゃくちゃフィットするのだけども、同じような方向を向きつつ違う視点での提案をするトマ・ピケティの話もおもしろかった。今まで読んだことなかったし、今度適当に手にとってみたい。

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    2025年05月12日
  • 21世紀の資本

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    データのまとめ方が秀逸。
    そして、恒常的に資本収益率が経済成長率を上回る状態が世界各国に何をもたらすかということを真剣に受け止めなければならないのだと理解した。
    格差社会化は日本に限った話ではない。これが行きつく先はどんな世界なのかと思うと希望がなくなってくる。

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    2025年05月12日
  • 平等について、いま話したいこと

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    確かトマ・ピケティは、途中挫折したけ、要約本を読んだか、程度で、歯が立たないと思ってたが、この本は対談だから読みやすくて良かった。
    私が特に感銘を受けたのは
    ・株主による企業の保有割合を半分までとする案
    ・金持ちとそうでない人の闘争にしようという案(昔はアメリカも高額所得者への税率が高かったことへの驚き)

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    2025年05月07日
  • 平等について、いま話したいこと

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    ネタバレ

     不平等の3つの側面=経済的側面、政治的側面、そして社会関係-尊厳、身分、尊重に関する側面、について語り合う。
     
     トランプやル・ペンを生み出したものは左派がそれらについて置き去りにしてきたからだ、という。そしてそれらを解決していくためには、経済の脱商品化、累進課税の強化、大学入試や議員をくじ引きで・・と、幾つもの提案がなされる。二人の考えは、微妙に異なるが、大筋では合意されながら議論は進んでいく。

     読者の覚悟が求められています。平等であるべきだ、とすれば3つの側面で大胆な改革を進める必要があることを明白で、それを現実の政治に引き付けて考えれば、各政党の今の主張、施策は平等を拡大するものか、不平等を拡大していくものなのかを見極めていく必要があり、それについて行動することが求められるということです。

     ピケティ「公共サービスや基本財に投入する国民所得の割合を増やしていかなければならないという考えを、われわれはどこかの時点で受け入れなくてはなりません。では、どこまで増やせばよいのでしょうか? ヨーロッパ諸国を見ると、第一次世界大戦前までは税収が国民所得の10%未満でした。それがいまでは50%です。これを60%、70%、80%にあげなくてはならないのでしょうか? それは分かりません。ですが、あげる必要はあるのです。」

     「アメリカでは20世紀、何十年にもわたって所得税の最高税率が80%や90%だったのです。1930年から1980年までのあいだ、所得税の最高税率は平均した82%でした。それでもアメリカの資本主義が崩壊したようには見えません。むしろこの時期のアメリカ経済は、労働時間あたりの国民所得で見た生産性は世界最高で、ほかの国々を大きく引き離していました。」

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    2025年04月29日
  • 平等について、いま話したいこと

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    ネタバレ

    本当に、こうして本に収めたい対談ですね、感謝。

    ピケティの頭の中ーそれを世界に、伝える体力と精神力。
    サンデル教授も、自分の言いたいところちゃんとついてくる+まとめるのうますぎる。

    何を今話しているか、きっと常に宇宙から衛星で眺めているんだろうね。

    サンデル教授が問いを重ねて、ピケティの持論が展開されていく、

    という問答スタイルに一見感じる部分も多いのだけれど、

    最後にはサンデル教授の論、

    つまり、これまでの著作で主に論点として議論されてきた、

    グローバリゼーション、リベラリズム、

    金融化、商品化、

    能力主義、学歴偏重主義、

    について、

    ピケティもそれに合わせて話しているところはあるのだけれど、

    思いっきり全面的に話してまとめられている気がしてくる。

    ソクラテス強し。

    二人の専門や注目するところが違いながらも、

    違うからこそ、

    使ってる言葉の意味を確かめ合ったり、

    大事だと思っていることを共有し合って、

    読者の理解も助ける。(わかっているつもりになっている部分もある。)

    ‥

    本書対談では、言葉遣いとして、「格差」ではなく、「不平等」について議論する。

    格差(Disparity)は、上下的な関係のあるような違い、優劣と言った意味も含むということで、

    不平等(Inequality)は、本来平等であるべきものが、不均等にある状態。

    人間はみな平等だ、という認識が基盤となっている現代社会だから、議論する必要があるテーマだということでもある。

    で、なんで不平等がよくないのか。

    現在の所得と富の規模は、社会的距離を伴う、という。

    対等な話し合いができる環境が金銭的不平等で脅かされている。

    よく考えてみればそういう側面がある。

    そもそも同じ人間とは思えない生活をしている人がいて、

    でもそれは王様とか貴族ではない同じ一般民の話だから、問題になる。

    サンデルの、民主主義にとって、政治の運営にとってそのメンバーの間の一定の平等が欠かせない、という話に加え、

    ピケティの、人類の繁栄にとって、歴史的にも、包摂性と平等、特に教育分野の平等な利用機会が不可欠だった、という視点。

    ‥


    平等について、いま私も話したい。

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    2025年04月03日
  • 平等について、いま話したいこと

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    個人的には期待以上の本であった。確かに掘り下げた議論になっておらず、噛み合っていなかったり上手くかわしているだけのところも多いのだが、対談録と言うことで、具体的なデータや筋を追ったわかりやすい議論、ましてや一定の結論を示すというのはそぐわないであろう。むしろ、議論の中から浮かび上がる「平等」と言うテーマに対するスタンス、アプローチの違いこそが重要で、それを把握した上で、自身なりの考察をするに当たって、大変良い本と思う。中でも解説が大変分かりやすく、思考の整理に役立った。
    個人的には、サンデルは平等を社会が追求すべき「善なるもの」の定義に関わる前提条件の一つとして捉えている様に思われる。社会が共通善を達成するために必要な器であるとして(アリストテレス的な)、それを達成するためには平等と正義が共通認識として成員の間に共有化されている必要がある、と考えているのではないか。
    対してピケティは、平等と言うものは社会が機能する上で備えるべき条件の一つとして認識している様に読める。だからこそ、租税法や富の再分配を通じて、システムとしての平等をいかに整備すべきかに力点をおいているのではないか。解説にある通り、現実政治での実行を優先する立ち位置なのだろう。
    まず人々の心の中にある平等や正義、尊厳といった善に関する共通認識が整えられた上で、それを実現する社会システムが整えられるべきなのか。それとも、国家/国家群として再分配のシステムを整備し、富の偏在は正義にもとると言うメッセージを明確にした上で、その中で善に関する共通認識を培うべきなのか。
    個人的な見解としては、政治とは何処から税金を取って何処に分配するかを決定する、つきつめればその為だけに存在する技術(アート)だと思っている。その取り方、分配の仕方にその国家が追求する善が示される、という事である(不幸にして、本邦のように何も追求していない様に見える政治もあるが)。その意味では、上記のどちらのアプローチのみでは上手くいかず、両方の組み合わせが必要なのは当然だが、個人的にはサンデル寄りである。何を善とするかの合意なくして徴税システムのみ整備しても、仏作って魂入れずで、人間は抜け道を考え出すだけではないか。
    また、何故リベラル勢力が近年、説得力を失ってきたかに関する分析が興味深い。人々の不満が何処にあるのか。十分な賃金が支払われず、富が偏在していること。それを一つの理由として、富裕層から人間として尊重されていないと感じる事。おそらくは両方が理由で、両輪で解決すべきなのだろう。ここでも個人的にはサンデル寄りで、リベラルがいつの間にか富裕層の傲慢を中和する道具(国際協調の御旗の元に)として利用されるようになった、その視点を正さなければ、彼らから税を毟り取ってもまた別の差別を生み出すだけに思える。文中で指摘される通り、これ程便利で、人道色の化粧も着いた思考停止の道具は無いだろうから。もちろん、選択の自由を持てるだけの経済力をすべての人に約束する、下世話に言えばまず腹を満たす、事は必要なのだが。
    教育の脱商品化については、両者とも比較的似た結論だが、ピケティが教育の脱商品化により熱心なのは面白い。教育に関わる人達が生活の心配をする事なく、その人達の内在的な動機を腐敗させない為に、脱商品化を徹底的に進めるのは一つの意見であろう。それによって起こる質の低下があり得るかは、議論の範囲を超えるだろうが、少し聞いて見たかった。我が国の議論では、税負担主体や所得格差、公立学校の存続性、私立の過当競争に力点が置かれがちだが、教育と言うものをどう捉え、社会としてどうサポートするかの議論が少し足りないようなのは気の所為だろうか。
    それにしても、給付金や税の多寡のみが議論され、社会善や政治哲学の議論を寡聞にして聞かない国に居る人間としては、このような議論がされて、本になるという時点で既に羨ましいと感じる。少し僻みすぎで、私がそういう本を知らないだけかも知れないが。

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    2025年03月15日
  • 自然、文化、そして不平等 ―― 国際比較と歴史の視点から

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    ピケティ入門書。2冊の他の著書を引用しながらした講演をまとめたもので、問題意識がクリアなものの、資料は一部のみしか掲載されてません。気になる箇所が出たら追加で文献を買って深掘りする必要があります。
    なぜ不平等ではいけないのか、参政権が平等にあれば男女格差は是正されるのか、先進国は本当に二酸化炭素の排出量が低いのか、そんな素朴な質問を持つ人が最初に読むと良い本かもしれません。

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    2025年01月04日
  • マンガで読む 資本とイデオロギー

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    原作はピケティ氏。表紙の絵がキャピタリズムの基本を象徴している。1980年頃まで政策論争の構造は階級闘争的なもので、左派は労働者、右派は資本家が支持していた。しかし、それ以降徐々に左派は高学歴の管理職や知的職業の人達からの支持を集めるようになった。この逆転現象は欧米のあらゆる民主主義国(日本は入っていないようだ)の投票行動に見られるという。確かにトランプ派やルペン派の勢いを見ると、右派は旧来型の資本家と、逆に現状の収入等に不満を持つ層からの人気が有るように見える。この本でも、庶民階級や中流階級の人々の思っている「自分達は見捨てられている」という気持ちを利用して、反移民とナショナリズムのイデオロギーを展開している。同様の状況はインド・ブラジル・ポーランドなどにも広がっている。
    レーガンの行った大減税の理論はトリクルダウンによる景気拡大と税収増を見込んだ。しかし結果として景気は拡大せず財政赤字は急速に拡大し、社会保険料は削減されアメリカは競争力を失っていったとの事。しかし日本はつい最近アベノミクスという名で猿真似政策を行い、見事に米国と同様の結果(財政赤字の拡大と国際競争力の低下)をもたらしてくれた。
    ドイツでは従業員代表が企業の取締役会の議決権の半数を所有している。ドイツ企業の先進性は常々言われているが、そんなことまでしているのかと驚いた。まぁこれが最終的に正しかったのか結末はまだ判らないが。
    著者の提案として6つ挙げられている。1.資本の社会所有2.資本の一時所有3.一つの社会連邦主義ヨーロッパ4.民主的平等性バウチャー5.個人累進炭素税6.教育と職業訓練のための個人資本。いずれも相当進歩的考えが国全体に浸透していないと実行は困難だろう。ドイツですら極右政党が躍進している世界なのだ。日本では何十年後に意識付けできるだろうか。

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    2024年09月12日
  • 資本とイデオロギー

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    931ページの大著。「21世紀の資本」の続編。
    当然熟読は不可能。
    しかし、全頁間違いなく眺めた。
    ピケティの思考プロセスを追うことだけはできたと自負している。

    テーマは「格差」。
    私の問題意識でもある。
    ピケティはこの問題を、古今東西の格差の歴史を追いかけながら、分析を深める。
    格差を正当化するのは「格差レジーム」、格差はイデオロギーだと看破する。

    1950年から80年はそれ以前と比べ、格差が低い水準だった。
    それが今日拡大するきっかけになったのはレーガノミクス。
    このあたりは自分もリアルタイムに覚えている。

    累進課税こそがやる気を失わせ、経済発展を削いでいる。
    課税を低くすれば、能力のある人はとことん努力し、
    それがひいては国の成長につながる、という話。

    そういう側面はあるだろう。
    アイデアを駆使して起業し、新たな富を生み出せば、
    それは万民のためになる。

    しかし、しかしだ。
    累進課税の税率を引き下げたことによって起きたのは、
    経営者の報酬アップ。
    サラリーマン社長が受験勉強と企業内競争に勝ち抜いてトップになり、
    株主にいい顔をするため、つまり会社利益を出すために、
    投資でなくひたすらコストカットをする。
    名目上の利益が増え、株主には配当、自分には高報酬。
    これは何も生まない。
    むしろマイナスだけ。
    累進課税が緩んだからこうなる。

    結果報酬の差が次世代の教育格差につながり、再生産される。

    偏差値エリート+社内政治のうまい人が高報酬を得るのはおかしい。
    繰り返すが起業家はいい収入を取ればいい。リスクを負っているのだから。
    文科省の古い教育制度と、顧客より上司を見て渡り歩いてきた人間が
    高報酬を得るのはいかん、と言っているのだ。

    ピケティは累進税率を世界的に元に戻せ、という。

    私も80年当時は税率ダウンに賛成していたが、
    現在のこの状況を見れば、ピケティに賛成する。

    ・・・本当はもっともっといろんなことが書いてあったが、
    自分の感想も交え、ここまでとさせていただく。


    序文と謝辞

    はじめに
    イデオロギーとは何か/境界と財産/イデオロギーを本気で考える/集合的な学習と社会科学/本書で使った情報源――各種の格差とイデオロギー/人間の進歩、格差の復活、世界の多様性/格差の復活――最初の方向性/エレファントカーブ――グローバル化をめぐる冷静な議論/極端な格差の正当化について/歴史から学ぶ――20世紀の教訓/イデオロギーの凍結と新しい教育格差/複数エリートの復活と平等主義連合形成の困難/所有、教育、移民の公正を再考する/世界の多様性――「長期」の不可欠性/自然言語と数学言語の相補性について/本書の構成

    第I部 歴史上の格差レジーム

    第1章 三層社会──三機能的格差
    三機能の論理――聖職者、貴族、平民/三層社会と現代国家の形成/三層社会の正統性低下――革命と植民地化のはざまで/三層社会の現代性/三層社会における格差の正当化/分断されたエリート、統合された平民?/三層社会と国家形成――ヨーロッパ、インド、中国、イラン

    第2章 ヨーロッパの身分社会──権力と財産
    身分の社会――権力バランスの一形態?/三機能身分、自由労働の促進とヨーロッパの運命/聖職者と貴族の規模とリソース――フランスの場合/アンシャン・レジーム末期に減少する貴族と聖職者/貴族の減少はどう説明できる?/貴族――革命と王政復古の間の財産階級/財産所有組織としてのキリスト教教会/豊かな教会vs豊かな世帯と相続慣行/教会財産――経済法と資本主義の起源?

    第3章 所有権社会の発明
    1789年の「大区分」と現代財産の発明/労働賦役、強制使用義務、地代――封建主義から財産主義へ/ロッドとアンシャン・レジーム下での重層的な永続権/規模を考慮せずに、財産を新しい基盤に乗せることは可能か?/知識、権力、解放――三層社会の転換/革命、中央集権国家、公正についての学習/財産主義イデオロギー――解放と神聖化とのはざまで/所有権社会における格差の正当化

    第4章 所有権社会──フランスの場合
    フランス革命と所有権社会の発達/格差を減らす――「世襲中流階級」の発明/格差の首都パリ――文学から相続文書まで/ポートフォリオ分散化と財産の形態/ベル・エポック(1880-1914年)――財産主義的で不平等的な現代性/1880-1914年のフランス税制――静謐な蓄積/「四人の老婦人」税、資本課税と所得税/普通選挙、新たな知識、戦争/革命、フランス、平等性/資本主義――工業化時代の財産主義

    第5章 所有権社会──ヨーロッパの道筋
    聖職者と貴族の規模――ヨーロッパの多様性/戦士貴族、所有者貴族/イギリスと三層=財産主義の漸進主義/イギリス貴族は財産貴族/古典小説での所有権社会/バークの貴族名鑑――准男爵から石油億万長者まで/貴族院、財産主義秩序の守護者/累進課税をめぐる戦いと貴族院の凋落/アイルランド――三機能、財産主義、植民地主義イデオロギーのはざまで/スウェーデンと四身分社会の憲法化/一人百票――スウェーデンにおけるハイパー制限選挙民主主義(1865-1911年)/株式会社と制限選挙――お金の力の限界とは?/19世紀所有権社会の不平等化/所有権社会の三つの課題

    第II部 奴隷社会、植民地社会

    第6章 奴隷社会──極端な格差
    奴隷のいる社会――奴隷社会/イギリス――奴隷廃止の補償、1833-1843年/奴隷所有者補償の財産主義的な正当化/フランス――1794-1848年の二重の廃止/ハイチ――奴隷財産の公的債務化/1848年奴隷制廃止――補償、規律工房、「志願兵」/強制労働、財産主義神聖化、賠償金問題/米国――戦争による奴隷制廃止、1860-1865年/米国における段階的な奴隷制廃止や補償の不可能性について/奴隷制の財産主義的正当化と社会的正当化/「再建」と米国の社会自国主義の誕生/ブラジル――帝国と人種混合による廃止、1888年/ロシア――弱い国家での農奴制廃止、1861年

    第7章 植民地社会──多様性と支配
    ヨーロッパ植民地主義の二つの時代/入植者植民地、入植なしの植民地/奴隷社会と植民地社会――極端な格差/財産と所得の最大限の格差/植民者のための植民地化――植民地予算/歴史的に見た奴隷と植民地収奪/植民地収奪の残虐性から「穏やかな商業」の幻想へ/他の国に所有される困難/宗主国の合法性、植民地の合法性/フランス植民地における合法的な強制労働、1912-1946年/晩期植民地主義――南アフリカのアパルトヘイト、1948-1994年/植民地主義の終焉と民主連邦主義の問題/フランス=アフリカ連邦からマリ連邦へ

    第8章 三層社会と植民地主義──インドの場合
    インドの発明――手始めに/インドと四層身分――バラモン、クシャトリヤ、ヴァイシャ、シュードラ/バラモン的秩序、菜食主義、父権主義/ジャーティの多文化的な豊富さと、ヴァルナの四層身分/ヒンドゥー封建主義、国家建設、カーストの変容/インドにおける国家構築の特異性/インドの発見とイベリア半島のイスラム包囲/武力による支配、知識による支配/インドにおけるイギリスの植民地国勢調査、1871-1941年/インドとヨーロッパの三機能社会における社会集団を数える/識字地主、行政官、社会統制/植民地インドとカーストの再硬直化/独立インド、過去からの地位格差に直面/インドにおけるアファーマティブ・アクションの成功と限界/財産の格差と地位の格差/社会枠およびジェンダー枠とその変容の条件

    第9章 三層社会と植民地主義──ユーラシアの道筋
    植民地主義、軍事支配、西洋の繁栄/国家が夜警もできないほど小さかった頃――近代国家の二つの躍進/国家間の競争と共同のイノベーション――ヨーロッパの発明/スミス的中国とヨーロッパのアヘン商人/保護主義と重商主義――「大分岐」の起源/日本――三層社会の近代化加速/被差別部落民、不可触民、ロマの社会統合/三機能社会と中国国家の構築/中国帝国試験――士大夫、地主、戦士/中国の反乱と未完の分岐/立憲聖職者共和国の事例――イラン/シーア派聖職者の反植民地主義正当性/平等主義的なシーア派共和国、スンナ派石油王朝――言説と現実/イスラム諸国の平等、格差、ザカート/財産主義と植民地主義――格差のグローバル化

    第III部 20世紀の大転換

    第10章 所有権社会の危機
    20世紀前半の「大転換」を再考する/格差と私有財産の崩壊(1914-1945年)/ヨーロッパ財産主義から米国新財産主義へ/所有権社会の終焉――賃金格差の安定性/私有財産減少の分析(1914-1950年)/収用、国有化措置、「混合経済」/民間貯蓄、公的債務、インフレ/過去の清算、正義の確立――私有財産に対する特別税/富の減少から永続的分散へ――累進税の役割/現代累進税制の英米起源について/財政国家と社会国家の隆盛/課税の多様性と税累進性の役割について/所有権社会、累進課税、第一次世界大戦/財産主義崩壊における社会イデオロギー闘争の役割/社会に組み込まれた市場の必要性について/帝国競争とヨーロッパ均衡の崩壊/異常な戦争賠償から新たな軍事秩序へ/所有権社会の崩壊と国民国家の超克/民主社会主義とオルド自由主義の間にある連邦連合

    第11章 社会民主主義社会──不完全な平等
    ヨーロッパ社会民主主義の多様性について/米国のニューディール政策――安売り社会民主主義/社会民主主義社会の限界について/公的所有、社会所有、一時所有/権限共有、社会所有の制度化――未完の歴史/ドイツ共同経営の成功と限界/ゲルマン北欧型共同経営の普及の遅れについて/社会党、労働党、社会民主党――交差する道筋/ヨーロッパ共同経営指令から「2x + y」提案へ/共同経営を超えて――社会所有と権限共有の再考/協同組合と自己管理――資本、権力、議決権/社会民主主義、教育、米国優位の終わり/米国――初等、中等教育の初期先進国/1980年以降取り残された米国下層階級/法、税制、教育制度の一次格差への影響について/高等教育化と教育、社会の新たな階層化/お金で大学に入れるか?/欧米での教育アクセスの格差/近代的成長の源泉としての教育の平等/社会民主主義と公正な課税――実現しなかった機会/資本主義と国民国家の超克に直面する社会民主主義/資本フローのグローバル化と自由化の再考/米国、ヨーロッパ、資産税――議論は続く/累進資産税、あるいは恒久的な農地改革/18世紀からの惰性で続く資産税/資産税についての集団学習と将来的な見通し/交差する軌跡と財産税の再発見

    第12章 共産主義社会とポスト共産主義社会
    財産理論なき権力掌握は可能か?/「マルクス・レーニン主義」政権の存続について/共産主義と反植民地主義による解放の浮沈/共産主義と正当な差の問題/分権的な社会組織における私有財産の役割について/ポスト共産主義ロシア――オリガルヒ、泥棒政治への転換/オフショア資産が総適法金融資産を超えるとき/「ショック療法」とロシア泥棒政治の起源/独裁混合経済としての中国/負の公有財産、私有財産の全能性/負債への逃避、課税公正性の放棄/中国の格差容認の限界について/中国の格差の不透明性/中国――共産主義と金権政治のはざまで/文化大革命が格差認識に与えた影響/中国モデルと議会制民主主義の超越について/選挙制民主主義、境界、財産/一党制国家と党管理民主主義の改革可能性/東ヨーロッパ――ポスト共産主義への幻滅の実験室/EUにおける市場原理の「自然化」について/ポスト共産主義と社会自国主義の罠

    第13章 ハイパー資本主義──現代性と懐古主義のはざまで
    21世紀の格差の形/中東――グローバル格差の頂点/格差測定と民主主義的透明性の問題/税務透明性の欠如について/社会的公正、気候的公正/国家間と個人間の炭素排出の格差について/格差の測定と政府の責任放棄について/不透明性の克服――公的金融台帳/情報時代における公式統計の劣化について/新財産主義、富の不透明、税制競争/ハイパー集中化した富の持続について/21世紀における家父長制の持続について/貧困国の貧窮と貿易自由化について/貨幣創造は私たちを救ってくれるのか?/新財産主義と新金融体制/新財産主義とオルド自由主義――ハイエクからEUまで/能力主義と新財産主義の創案/慈善幻想から億万長者の神聖化へ

    第IV部 政治対立の次元再考

    第14章 境界と財産──平等性の構築
    左派と右派の脱構築――社会政治対立の次元/1945年以来の左派得票――労働者党から高学歴党へ/有権者的亀裂と政治‐イデオロギー的亀裂の世界的研究に向けて/民族‐人種的亀裂と社会自国主義の研究を国際化する/政党の刷新、投票率の低下/大衆階級の投票率低下について/教育的亀裂の逆転について――高学歴党の発明/教育的亀裂の逆転の堅牢性について/教育的亀裂の逆転、職業的亀裂の再定義/左派政党と大衆階級――決別の構造/「バラモン左翼」と、社会と教育の公正の問題/教育の公正に関する新しい規範の必要性について/左派と右派から見た財産について/左派と自営業者――不信の世紀年代記/「バラモン左翼」と「商人右翼」の強みと弱み/フランスにおけるアイデンティティと宗教的な亀裂の復活/自国主義の台頭と大いなる政治‐宗教的な混乱/宗教的な亀裂、出自をめぐる亀裂――差別の罠/境界と財産――四区分された有権者/有権者の四区分の不安定さについて/黄色いベスト、炭素、富裕税――フランスにおける社会自国主義の罠/ヨーロッパと大衆階級――決別の根拠/ヨーロッパが新財産主義の道具にされている点について

    第15章 バラモン左翼──欧米での新たな亀裂
    米国政党制の変容/民主党はグローバル化勝者の政党になるか?/米国における人種対立の政治利用について/「福祉の女王」と「人種枠」――共和党の南部戦略/有権者的亀裂とアイデンティティ対立――大西洋の両側での見方/アイデンティティの流動性と固定分類の危険性/民主党、「バラモン左翼」、人種問題/失われた機会と不完全な分岐点――レーガンからサンダースへ/イギリス政党制の変容/イギリスにおける「バラモン左翼」と「商人右翼」について/イギリスでのポスト植民地アイデンティティ的亀裂の台頭/イギリスにおける移民の政治問題化、パウエルからUKIPまで/EUと大衆階級の深まる溝

    第16章 社会自国主義──ポスト植民地的アイデンティティの罠
    労働者の政党から高学歴者の政党へ――類似性と変種/戦後期の左派‐右派政党制崩壊を再考する/ポスト共産主義東欧における社会自国主義の台頭/社会自国主義の台頭――イタリアの場合/社会自国主義の罠とヨーロッパへの幻滅/民主党――成功した社会自国主義?/国際競争と市場自国主義イデオロギー/市場自国主義イデオロギーとその拡散/ヨーロッパにおける社会連邦主義の可能性について/国家を超える民主的空間の構築について/欧州議会の主権を各国議会の主権から構築する/信頼の再構築と共通の公正規範の促進/ヨーロッパの永続的な公的債務危機を終わらせる/債務の歴史をたどり、新たな解決策を探す/ヨーロッパの社会連邦主義的変革に向けた政治的条件/分離主義の罠とカタルーニャシンドローム/イデオロギー的不協和、税制ダンピング、小国シンドローム/社会地域主義の罠と超国民国家の構築/インドの政党システムと亀裂の形成/インドの政治的亀裂――階級、カースト、宗教/インドにおける階級主義的亀裂の台頭の難しさ/大衆階級の共通の運命についての認識/階級的亀裂、アイデンティティ的亀裂――インドにおける社会自国主義の罠/インドにおける階級的亀裂と再分配の未来――交差する影響力/ブラジルにおける格差の不十分な政治問題化/アイデンティティ的亀裂、階級的亀裂――境界と財産/ポピュリズム論争の袋小路と落とし穴

    第17章 世紀の参加型社会主義の要素
    参加と熟議としての公正/資本主義と私有財産の超克/企業内での権限共有――実験的な戦略/累進資産税と資本循環/資産の分散とユニバーサル資本支給/累進課税の三面構造――資産、相続、所得/累進課税への復帰と永続的土地改革/社会的、一時的所有権に向けて/一つの国における富の透明性/憲法に公正な税制を記述する/ベーシックインカムと公正賃金――累進所得税の役割/炭素排出の累進課税について/教育における公正規範の構築について/教育の偽善から脱却し、透明性を促進する/公正な民主主義――民主的平等性バウチャー/平等主義的で参加型の民主主義を目指して/公正な国境――社会連邦主義をグローバルな規模で考え直す/超国家的な公正に向けて/協力と引きこもりの狭間で――超国家的格差レジームの発達

    結論
    イデオロギーの闘争、そして公正の探究としての歴史/視線の脱西洋化の限界について/社会科学の市民的、政治的役割について

    凡例
    図表一覧/原注/索引

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    2024年08月02日
  • 資本とイデオロギー

    Posted by ブクログ

    『21世紀の資本』に続くトマ・ピケティの超大作。欧米の他に中国、インド、日本、南アフリカなどについても経済の格差に主眼をおいて歴史的に分析している。時代の変遷に従って、国民の資本格差がどうなっているのかを比較することによって普遍性を導き出し、解決策を述べている。分析は極めて精緻であり勉強になる。ピケティの主張はマルクス主義に似ており、純粋な資本主義、自由主義、グローバル主義は格差を広げるので、平等を追求する社会主義の方向に舵を切るべきというのが結論となっている。自由と資本主義は強力であり、ピケティの主張では競争力を低下させ国力を削ぐだけになるように思われる。ピケティのいう「参加型社会主義」の地域ができても経済活動に向けたインセンティブに欠けるため、新自由主義には敵わないように思え、同意し難い。

    「能力主義と起業家精神はしばしば、今日の経済における勝者たちがとんでもない格差をろくに検討もせずに正当化し、敗者たちが才能や美徳や勤勉さに欠けていたのだと言って責任を負わせるための便利な手段となっている」p2
    「新生児の平均寿命は1820年には26年ほどだったのが、2020年には72年になった。19世紀初頭には、新生児の2割ほどは1年以内に死んだが、それが現在は1%だ」p18
    「米国の有権者に占める民主党の得票率は、教育水準が低く、比較的所得が低いか、資産がないも同然な有権者で高かった。これに対して共和党支持の有権者は、高等教育者の間で比率が高く、所得も資産も多い人々だった」p39
    「(1950〜70年代)既存の社会民主主義の政党や連合は格差を低減して富を再分配しようという本気の野心をだんだん捨てていった。それどころか彼ら自身が租税競争や財と資本の自由な移動を促進し、新たな共通税制や共通の社会ルールについて考えなかった。こうして彼らは最も恵まれない有権者の支持を投げ捨て、もっと高い教育を受けた人々、つまりグローバル化の主要な勝者たちにますます専念するようになったのだ」p42
    「フランス三層社会:聖職者(知識人階層)、貴族(軍事階級)、平民」p71
    「所有権格差という重要な問題について、フランス革命が失敗したのは明らかだ。エリートの刷新は行われたが、実際には1789年から1914年にかけて世襲財産はきわめて集中したままだった」p116
    「再分配はパンドラの箱であり、決して開いてはいけないのだ、とフランス革命ではこの種の議論に何度もお目にかかる」p126
    「1789年の革命以来、フランスは自分たちが「自由、平等、博愛」の国だと言いたがる」p152
    「格差は文明の必要条件」p175
    「『バーク貴族名鑑』1826年に刊行されたイギリス貴族の人名録。血筋、財産、結婚、所領、偉業が記され、今だに発行が続いている」p176
    「スウェーデンとその社会民主主義派は、はるか悠久の昔から平等主義者で、その平等性はバイキングのもつ古来の熱意から来ているのに対して、カースト制度を抱えていたインドは永遠に不平等であり、それはアーリア人以来の神話もどきの理由から来ている、と考えた」p187
    「19世紀にはヨーロッパのあらゆる所有権社会で、富の集中が極端に高まった。格差の課題は19世紀末から20世紀前半にかけて、まずはその対抗言説を生み出し、そして社会民主主義および共産主義という対抗レジームの台頭をもたらした。続いて1914年〜1945年には自爆フェーズがやってきた。自国内での社会的緊張と、外国での植民地競争が、ナショナリズム台頭と戦争への行進の原因となり、それが結局は19世紀の財産主義秩序を一掃してしまったのだ」p198
    「奴隷制の廃止:イギリス1833年、フランス1848年、米国1865年、ブラジル1888年」p205
    「フランスの債権者は、ハイチの国民所得の平均で5%を1849年〜1915年にわたり吸い上げ続けたという。それでも、1825年の合意で含意された金額より少なかったので、フランスの銀行はしょっちゅう、ハイチはダメな借り手だとグチることになった(融資は米国に譲り渡され、支払いは1950年代初頭まで続く)」p220
    「米国では1960年代まで人種差別が合法的に残った」p228
    「奴隷制が廃止されたとき、奴隷所有者は賠償を受けたが奴隷自身は賠償されなかった。ハイチでは、奴隷解放の代償として重い対価を負い、その支払いは20世紀半ばまで続いた」p251
    「植民地は主に植民者と本国の便益のために構築されており、地元民の便益のための社会教育的な投資は、きわめて限られていたことが豊富な証拠からわかっている」p268
    「植民地から得た金銭的利潤が1760年〜1790年(第1植民地時代)と1890年〜1914年(第2植民地時代)でだいたい同じ規模だったというのは驚くべきことだ。第1植民地時代には、収奪は残虐かつ徹底的で、小さな領域に集中していた。奴隷が島に輸送され、砂糖と綿花生産で働かされ、生産された富からすさまじい利潤が収奪された。収奪された富は最大限だったが、反乱のリスクも深刻だったので、この仕組みを世界規模に拡大するのは困難だった。第2植民地時代には、収用収奪のやり方はもっと細やかで高度なものとなった。投資家は多くの国で株式や債権を保有し、そこから各地域の産出の一部を引き出した。これは世界のずっと多くの部分、さらに全世界にも適用できた。最終的に、第2システムの規模は第1システムとは比べものにならないほど大きくなり、1914〜1945年の圧倒的な政治ショックで中断されなければ、さらに大きくなった可能性もある。第1植民地時代は反乱で、第2は戦争と革命で終わった」p277
    「資産は公平な見返りを稼ぐべきものだ。そうでなければ、誰が富を蓄積する努力なんてするだろうか。そして誰が我慢強く消費を控えたりするだろうか」p278
    「国家間の論理的な矛盾の解決はもっぱら力と武力でなされる」p280
    「貿易黒字:国が輸出部門での雇用を作り出しつつ、他国に対する金融債権を蓄積する。これは将来の財務収入を確保するもので、追加資産を獲得するのに使えるだけでなく、他の国で生産された財やサービスも購入できる」p282
    「ヨーロッパはインドが何世紀も経験してきた民族宗教的対立の一部を経験し始めたばかりで、格差をめぐってインドがたどった道筋は、遠くの外国勢力という外部世界との遭遇に大きく左右された。今度はその他の世界がインドの体験から大いに学ぶ番だ」p302
    「日本は、王政復古によって急速な社会・経済的近代化が実現するという前代未聞の事例を提供してくれる」p376
    「ヨーロッパのすべての国で、19世紀全般から1914年までは財産の集中が非常に高く、特にこの期間の最後の第一次世界大戦直前の10年間にはそれが加速度的に増大した」p414
    「労働に関する格差は、20世紀を通じて大きく低下した」p415
    「両大戦による家屋、建物、工場、その他の資産の物理的破壊はかなり大規模だったが、資産喪失の説明としてはごく一部でしかない」p420
    「(資産喪失の2大原因)一つは収容と国有化、もっと一般的には民間財産の価値と資産所有者の社会的影響力引き下げを明確に狙った政策(家賃統制や企業における労働者代表との権限共有)が含まれる。もう一つは、民間貯蓄の大半が戦費調達で政府に貸されて債券となり、その価値の大半がインフレなどの要因で失われたからだ」p420
    「第一次世界大戦前夜まで好調で堅固に見えた所有権社会が、1914年〜1945年に崩壊した。崩壊は徹底的で、名目上は資本主義を掲げる国々でも、国有化、公教育、保険と年金改革、最高所得と最大財産に対する累進課税を通じて、1950年〜1980年に実際には社会民主主義に転向した。しかしその成功にもかかわらず、1980年代になるとこれらの社会民主主義社会は至るところで格差拡大に対処できなかった」p465
    「戦争は何も持たない者よりも多く持つ者に大きな被害を与えた」p466
    「格差縮小の重要な原因は、社会をそれ以前に比べ平等にし、さらにもっと反映させた一連の税制と社会政策にあった。これらすべての社会は「社会民主主義」と呼ぶことができる」p466
    「ゲルマン北欧諸国(ドイツ、オーストリア、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー)の最大企業では、労働者代表が企業株式を部分所有しているかどうかにかかわらず、取締役会の1/3から1/2の席を占めた。先鞭をつけたドイツでは、1950年代初頭からこの制度が実施された」p478
    「イギリスは第一次産業革命によるリードのおかげで、19世紀の大半を通じて世界最高の生産性を謳歌してきたものの、第一次世界大戦前の数十年間を通じて加速度的に形勢不利に陥り、20世紀最初の10年では、明らかに米国の後塵を拝していた(原因は、米国の労働者訓練の先進性)」p492
    「(1980年代以降)社会民主主義はその成功にもかかわらず、格差増大に適切に対処できなかった。それは所有権、教育、課税、そして何よりも国民国家の超克とグローバル経済規制への知的、政治的取り組みの刷新、深化に失敗したからだ」p541
    「20世紀の成功と失敗の知識を使えば、資本主義とソ連型共産主義の両方を超えられそうな新しい発想、たとえば参加型社会主義と一時的共有権などの概要を導き出せる。具体的には、累進資産税、ユニバーサル資本支給、株主と従業員の権限共有で過度の富の集中を抑えつつ、ある程度の規模の民間企業を許容する社会が考えられる」p554
    「富の分散の欠如は21世紀の中心的課題で、それは貧困国や発展途上国のみならず富裕国でも中層、下層階級の経済システムに対する信頼を弱めてしまう」p635
    「戦後期で使われた各種手法で最も問題が多かった側面はまちがいなくインフレに関係している。インフレは確かに債務を急速に減らしたが、代償として大衆階級の貯蓄を侵食した」p825
    「私は今日の資本主義システムを乗り越えて、21世紀の新しい参加型社会主義の概略を描けると確信している。これは、社会所有、教育そして知識と権限の共有に基づく、普遍的、平等主義的な展望だ」p872
    「(ピケティの目指す)公正な社会は、その全メンバーにできるかぎり多種多様な基本財へのアクセスを可能にする。基本財とは教育、保険、投票権、もっと一般的には、さまざまな社会的、文化的、経済的、市民的、政治的生活へのできるかぎり完全な参加だ。公正な社会は社会ー経済関係、財産関係、所得と資産の分配を調整し、その目的は、最も恵まれないメンバーが、できるかぎり高い生存条件を享受することだ。公正な社会は完全な均一性や平等性を前提にしない。所得と資産の格差があっても、それが願望や生活選択のちがいの結果であり、恵まれない人々の生活条件を改善し、機会を拡大するのであれば、公正とみなされる」p873
    「私は参加と分散化という目標を強調し、20世紀にソ連などの共産主義国で試されたハイパー中央集権型の国家社会主義と明確に区分するため「参加型社会主義」という用語を使いたい」p874
    「年次資産税の方が相続税より大きな役割を果たすべきなのは当然に思える。ただしそれは、年次資産税が累進的である場合に限られる」p882
    「累進資産税はこれまでより資産の循環を高め、財産のもっと広い分散を確保するために不可欠なツールだ」p882
    「資本主義と私有財産を超克し、参加型社会主義と社会連邦主義に基づく公正な社会を確立することは可能だと、私は確信している」p926

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    2024年05月12日