トマ・ピケティのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレスウェーデン、不平等だった国だが、1930の社会民主系が政権をとり、急速に変わり、今は世界で一番平等な国になる。
個人の才能が国ごとにこのように分布しているわけがない。天然資源のせいでもない。それぞれの社会が選んだ制度が不平等つくってる。
脱市場化のプロセスを継続し、より多くの分野に拡大すべき。一国の経済活動全てが脱市場化する可能性も否定しない。
そのためには権限委譲が必要であり、組合や共同体といったプレイヤーが重要になってくる。この非市場経済は、所得と資産に対する累進課税と、残存する企業のより良い議決権配分の仕組みに支えられる。単なる金銭的再配分ではないことがポイント。 -
Posted by ブクログ
さすが、現代の知性の先鋭同志のぶつかり合い、丁々発止のやりとりが続いて、圧倒される。
タイトルにあるように「平等」について、互いの考えを披歴し合うが、キーワードは「脱商品化」と「再分配」か。
言うは易し、行うは……の話ではあるが、サンデルさんが言う
「自分の成功は自分の手柄と考え、自身の成功を胸いっぱいに吸いこみすぎて、その過程で幸運や恵まれた環境に助けられたことを忘れ、自分が恩恵にあずかっていることを — あなた(=ピケティ)がおっしゃるように、ほかの人たちのおかげで成功できたということを — 忘れてしまうからです。」
この反省に立って、考えることだという学びがあった。
今、行き過ぎた資本主義が限界を迎えつつある中、既得権益にしがみつく旧態依然の権力が、やれ○○ファーストや、反グローバル化に固執しているが、自分勝手というか、近視眼的で、非常に危ういものを感じる今日この頃。
ピケティさんは言う。
「北側諸国は国際分業と天然資源・労働力の国際搾取によって豊かになってきた。これが、20世紀に北側で発展したタイプの社会民主主義と福祉型資本主義における何より重要な限界です。今後はこれを変えていかなくてはなりません。でないと競争が — とりわけ中国がもたらす地政学的競争が — 西側モデルにとって20世紀のソ連の脅威を上まわる深刻な脅威になるだろうと思います。」
そうなんだよなー、中国や、南側 — グローバルサウス — への危機感からの行動だとは思うのだが、長い目で見て、それは得策ではないと思う。
「脱商品化か再分配かを選ぶ必要はないと思います。歴史的にこのふたつが組み合わさって機能してきましたし、ふたつ組み合わさることで大きな効果をあげてきたわけですから。」
非常に、頭の良いお二人なので、概念的なところでどんどん論理を展開するし、互いの質問に、真っ直ぐ答えずに質問返しにしたりと、ディベートの粋をも尽くしたような高度な会話の応酬に置いていかれそうになるが、言ってることは首尾一貫、平等を獲得するため、「脱商品化」と「再分配」を、政治的、経済的、文化的に進めていくためには、「尊厳や相互尊重」を重視、それなくして、不平等を克服しようという感覚を調達しえない、ということだ。 -
Posted by ブクログ
期待していたのとは違った.もう少しグローバルに理解出来るものかと思っていたけど,フランス国内にいないと『実感として』理解し難いものかなぁと思った.法律とかその国特有の事実に基づく議論も多くてちょっと消化不良.
ただし,最後の章 資本の野蛮化 の切迫感は並大抵じゃない.まぁ,内容としては読み聞きしてきたものを基準にそれ程新しいことではないのだけど,やっぱり『生きるために必須の共有財産』として,共有すべき富が必要だし,「頭を揃える」平等ではなく,「機会にアクセスすること」への平等って保障されなければならないし,この2つは実は双子の兄弟のようにどちらも,どちらが欠けても存在し得ない理想なのだと思う.
チャンスへのアクセスという意味で,大分恵まれた人生を歩ませてもらっていると思う.だからと言って,今までチャンスにアクセスできなかった人たちが「出来る」様になることへの恐怖や焦りはあまり感じない.もしもそうなったとしても,そういう社会はきっと生きやすいし,より質の高い人と協力して今よりもっと高いレベルの自分になれる気がするから.例えば健全で穏当な競争社会が残存することを是としてもそこでも正当な『勝ち=価値』は掴めるくらいの力は,自分にはある,と思っているので. -
Posted by ブクログ
「資本とイデオロギー」という題名だが、内容は、格差というものは何か、それが悪化している現在はどんな世界なのか、それを克服出来るのか、を歴史と膨大な統計を使って分析する壮大なもの。
著者の主張ポイント(最も危機感を持つ未来予測)は、バラモン左翼と商業右翼の権力(ブルジョアブロック)の思い上がり(高所得者有利の政策・高教育インテリ富裕層の過度な称賛)が、社会の混乱に憤激する大衆の暴走、つまり暴動を伴う移民排斥や自国中心主義の台頭を許すのではないか、というもの。
今日の民主主義の混乱は、市民的、政治的な領域において、経済学が他の社会学から独り歩きしすぎたのが原因。経済学者は、「持ち合わせてもいない技能や分析能力の独占」をたびたび主張したがる930
2013年にフランス社会党政権は同性婚を合法化した。これには実践カトリック(月に一回以上教会に通うカトリック)とイスラム教徒投票者双方が非難した。しかしそれでもイスラム教徒投票者の9割以上は左派政党に投票した。これは、同性婚の問題など些末で、危機的なのは自分たちを国外追放することを堂々と政策に掲げる右派(国民戦線ら)の台頭だから。左派政党は右派のこの政策に真っ向から反対する718
フランスの社会党・共産党は戦前から前後にかけて資産・所得課税による国営事業や福祉などに力を入れた。そして賃金労働者を最も重要な支持者としたため、彼らには様々な控除を用意した(そのため彼らは実質、無増税であった)。しかし低所得の自営業者(農民・商人・職人)には「彼らは所得を過小申告する不正」をするので、控除を認めないか、複雑な確定申告を要請した。これが農民・商人・職人の左派不審になった708
2000年くらいまでは教育水準の低い者が左派に投票して、高い者が右派に投票していた。これが21世紀になると教育水準の低い者は右派に投票し、高い者は左派に投票するようになる。この傾向は年々大きくなっていく。それはイギリス、フランス、アメリカどこも同じ傾向。左派政党は労働者の党から高学歴の人々の党へと変身した。左派を支持する高学歴を「バラモン左翼」と呼ぶ695
ロシア帝国は末期に多くの債権を発行した。ロシアフランス同盟や、ロシアの賄賂の影響で「ロシア債権は安全で堅実」キャンペーンがマスコミで展開された。これにフランスをはじめ欧米諸国の富裕層が反応して大量の債権を買った。しかしロシア革命が起こるとソヴィエト政府は債権の全面的償還拒否をした。米英仏はソヴィエトに兵を送ったが無駄に終わった。420
日本の王政復古による急速な社会ー経済的近代化の実現は、前代未聞376
「アファーマティブアクション」はアメリカで生まれたのではなく、独立後のインドで始まった345
ヨーロッパがインドを「発見」したのは、ポルトガル王国がイスラム教国を挟み撃ちにできる国、はるか遠方にある未知のキリスト教国「プレスタージョンの王国」を探すことから始まった。そこでバスコ・ダ・ガマが探険にのりだし、喜望峰を発見してアフリカ東海岸沿いを訪ねたが、どこにもキリスト教国は無かった。そこで更に船を進めインドに到着して、ケララ州のヒンドゥー寺院を発見し、これを「キリスト教の神殿」と誤解して、リスボンに帰り「ありました!」と報告したから323
インドのカーストでは道徳と規律が重要視される。菜食主義やアルコール禁止など。そのなかで特に性欲・愛欲には厳しい。そのため未亡人の再婚がタブーであり、思春期前の少女の結婚が重要視される313
植民されたアメリカ大陸が20世紀を迎えると、南北で違いが起きた。南(ラテンアメリカ)では人口の大半がネイティブ・奴隷・白人の混血となった。対する北は、人口増加したがほとんど混血が進まなかった253
ハイチは1805年に歴史上初の黒人奴隷反乱と、独立宣言を行った。やがて、1824年独立は承認されるが、その条件に、フランスのハイチ奴隷主に「奴隷を手放した損失補てん」が含まれていた。ハイチ政府はこれを完済するのに130年かかった。218
歴史を決定論的に読むよりも、過去の出来事を思想の十字路や分岐の可能性として見るほうが興味深い122 -
Posted by ブクログ
あまり新鮮な意見では無かった。
多分皆んながなんとなく感じてる「格差が無くなればいいのにな」って事を具体的な数字で示してくれている。
だからこそ格差は今後も無くならないと思う、だって皆んなそう思ってるはずなのに、過去から格差が拡大していってるから。
特に資本主義が最強のイデオロギーのうちはね。かと言って共産主義はありえない。
で、エコ社会主義!ってのもありえないだろ。
資源の消費速度が早くてそのうち枯渇するだろうけど、その時は適当に人間が間引かれて、それに適した数の人類が生き残って、「そういう環境」がまた出来上がるだけだとおもう。
私ができるのは悲惨な間引きが行われない事を願うだけだろう。 -
Posted by ブクログ
2022.3.18にケ・ブランリ=ジャック・シラク美術館で行われた講演の原稿を加筆訂正したもの。講演は民族学会の招きで行われた。
・不平等を生む体制が社会によってどれほど異なるとしても、過去数世紀にわたって基調的な流れ~社会的な平等へと向かう底流はあった。18世紀末という特定の時期に水脈が現れ、政治的・社会経済的平等の実現をめざして勢いを増したていった。
・不平等を生む体制は社会によって大きく異なるが、自然、文化、不平等の間にはまったくちがう種類の関係性が存在する
・気候変動問題は、現在の資本主義システムとはまったく異なる新しい経済システムの出現なくしては解決できない。それは「民主的でエコロジカルな参加型社会主義」である。
・スウェーデンは今日きわめて平等的な社会だといわれるが、20世紀初頭はそうではなかった。1920年に普通選挙が実現し、社会民主労働者党が1932年に政権党となり以後2000年代までほぼ切れ目なく政権を担当し、税収は教育や医療へのアクセス拡大に充当された。
・不平等に関しては二つの問題がある。累進課税と環境破壊だ。
・経済成長の真の原動力となるのは教育だ。
・単に金銭的な再分配だけが福祉国家の仕事ではない。
・自然の破壊とは自然資本の破壊にほかならない。
・気候変動の影響がこれまで以上に日常生活で実感できるようになったら、現在の経済システムに対する考え方が急激に変わる可能性は十分にある。
・不平等の問題は経済学者だけでは解決できない。狭い視野ではなく、歴史学者、社会学者、政治学者、人類学者、民俗学者たちの力が必要だ。経済や歴史の知識と知恵を共有することで、より民主的な社会と権力のよりよい配分をめざす運動の重要な一翼を担うことができるし、またそうしなければならない。
2023.7.10第1刷 -
Posted by ブクログ
r>gで有名なフランスの経済学者のトマ・ピケティが過去データを分析して、不平等を切り口に世界で起こっている様々なことを論じる。
所得、ジェンダー、教育格差など。驚いたのはヨーロッパなどでは1800年代から統計データがあること。
累進課税などの導入により、十分ではないが、格差は縮まっていること。
教育に国がかけるお金は重要であり、これが格差を縮めるのに重要な役割を果たすが後回しにされること。
炭素の排出量は一人当たりに換算すると北米が群を抜いて大きいにも関わらず、同様の排出量が求められていることなど、筆者が述べるように分野を超えて専門家の知見を集約することが重要である。 -
Posted by ブクログ
はじめに
第1部 所得と資本
第1章 所得と算出
第2章 経済成長―幻想と現実
第2部 資本/所得比率の動学
第3章 資本の変化
第4章 古いヨーロッパから新世界へ
第5章 長期的に見た資本/所得比率
第6章 21世紀における資本と労働の分配
第3部 格差の構造
第7章 格差と集中―予備的な見通し
第8章 二つの世界
第9章 労働所得の格差
第10章 資本所有の格差
第11章 長期的に見た能力と相続
第12章 21世紀における世界的な富の格差
第4部 21世紀の資本規制
第13章 21世紀の社会国家
第14章 累進所得税再考
第15章 世界的な資本税
第16章 公的債務の問題
おわりに
凡例
図表一覧
原注
索引