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本書は、数年にわたってリベラシオン紙に連載していた時評をまとめたものである。この小さな本が日本語に翻訳され、日本の読者がいささかなりとも興味と関心を持っていただけるなら、たいへんうれしい。 ここに収めたテクストは、グローバル金融危機直後からその余波が尾を引く状況の中、またユーロ圏が深刻な信頼の危機に襲われ、デフレと景気後退に直面する中で、社会科学の一研究者が公の議論に参画し、政治や経済にまつわる時事問題を読み解こうとする試みを形にしたものである。
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Posted by ブクログ
ピケティが書いていた新聞のコラムのまとめ。1章が大体3,4ページくらいなので非常に読みやすい。内容もEUや政権の評価から税金、教育など広範。どの章も簡潔に言いたいことがまとまっておりスッと読めるのが良い。 大体は不労所得や国際的な個人口座の管理など超富裕層への課税と取り締まり、フランスの教育水準向上...続きを読むなどが多く、著者の興味がそこら辺にあることがうかがえる。
「トマ・ピケティの新・資本論」 ピケティが日刊全国紙リベラシオンに2005年から2012年まで毎月連載していた時評をまとめたもの。「21世紀の資本」とは違い時事の評論なので短く読みやすく、ピケティの考え方がよくわかる。 日刊紙に連載されていただけあり、その時々のフランスの問題点がよくわかる。問題点は...続きを読む違うものの政治的に日本とあまり変わらないような気がする。 問題点の指摘はいろいろあるが、税制の問題、所得格差、社会保障、大学の問題が多い。 特にフランスでの税制の複雑さと金持ち優遇の税制を指摘し、資産への累進課税を主張している。特に不労所得者に関しては容赦がない。 確かに、民主主義を主張するのであれば、その個人の努力と能力によって労働の価値を認めるべきであって、世襲で財産を引き継ぐことによって莫大な利益を享受することはかなり問題があると言える。 また、個人の努力と能力と言ってもどこまでが本当に評価するべき点であるのかは難しい。経営者が会社の増益を自分の能力によるものだと言って莫大な報酬を受けるようにすることに対して有効な歯止めがないように思える。あの、カルロス・ゴーンの莫大な報酬に引きずられるように、日本の経営者の報酬が上がっていることに関してあまり批判的な評論は聞かない。 その意味では、さすがフランス革命の国の評論だと思う。その一方で、その思想を体現する平等の国アメリカでは格差が大きく、ヨーロッパのようになるまいとして累進課税が課されていたものがどんどん廃止されていくのが矛盾しているように思える。 民主主義による自由はダメで、やはり、共産主義による恐怖が必要なのだろうか。
フランスの日刊紙に連載された時評をまとめたもの。 印象に残った文章 ⒈ 医療保険料を払う余裕のない人にまで保険加入を強制しているとオバマから批判されてクリントンが激高 ⒉ 国内総生産(GDP)を指標として使うのはやめて、国民純正産(NNP)を重視すべきだ ⒊ 忘れてならないのは、企業が払う税金という...続きを読むものは存在しない ⒋ 民間部門が金持ちで政府部門は借金まみれという不均衡
著者がフランスの日刊紙に月1回の頻度で掲載するコラムをまとめたもの。最新の記事が2011年であり、おおよそ10年前のフランスに関する話題。 21世紀の資本に書かれているエッセンスがすでにあり、資本による収益率は経済の成長率を超えているため、資本を持つものはさらに富み、そうで無いものとの格差が広がる、...続きを読むという考えのもと、度々、資本に累進性の課税を行うべきとの主張が展開される。 遺産を受け継いだだけの経営者の子が、スティーブ・ジョブズよりも資産を持っている、という例が引かれており、それを読むとこの主張も説得力を感じざるを得ない。 日本においてはどうなんだろうか?
議論のネタに尽きない本です。 1.この本を一言で表すと? ・ヨーロッパの時事ネタ集 2.よかった点を3〜5つ ・「46 FRBを非難すべきか」 →FRBの2010年の金融緩和について、ハイパーインフレなんか起きない、数パーセントのインフレになるのはむしろ歓迎、デフレの下で景気低迷を長引かせては...続きを読むいけない、という主張は、アベノミクスに通じる所があり、面白い。 ・「65 優柔不断なオランド」 →右派のサルコジを批判するが、左派のオランドも批判するの、客観的でよい。 ・「68 水曜日も学校を」 →フランスは水曜日が学校休みというのを初めて知った。 ・フランスの教育全般について、憂慮している →大学教授らしく、かなり心配しているのが分かる。 2.参考にならなかった所(つっこみ所) ・ヨーロッパの時事ネタは、知らない内容であったり、興味の持てない所もあった。 ・金持ちに対して資産課税をすべきと主張しているが、それを実施した後、どのような社会になるか見えない。 ・欧州連邦の実現を主張しているが、非現実的。ギリシャ問題で、ユーロの問題が見えてきているのに、欧州連邦にして上手く行くとは思えない。 ・r>gについて、歴史的事実なのは分かるが、因果関係はよくわからない。 ・不平等拡大の対策として、国境を越えた資本移動の全面禁止(364ページ)とあるが、時代錯誤ではないか?非現実的。 3.実践してみようとおもうこと ・とくになし 4.みんなで議論したいこと ・なぜピケティの本は売れているのか? 5.全体の感想・その他 ・21世紀の資本論の入門書と思っていたが、予想していた内容とは異なる。 ・全般的に、資産家から、金を奪うのが、政府である、と主張しているように感じたのは、自分の理解力が足りないだろうか。
●『21世紀の資本』で一躍有名になったピケティのコラムをまとめた著書。随所でサルコジ大統領をこき下ろしているのが印象的。
あっと言う間にブームが去ってしまった様だが。 (まさに単なるブームとしか言いようがないかも) 新聞のコラムということもあって、21世紀の資本よりはかなり楽に読めた。 でも、やはりEUをイギリスではなくフランスの視点で捉えている(当たり前と言えば当たり前)ことは強く感じられる。 だからどうだとも言えな...続きを読むいが。 日本経済にとっての処方箋になるのかどうかは分からないが、やはりこの数年の間に日本は「本筋」からずれていってるのではないかという気はする。
うーーん、そもそもフランス、いや欧州の経済状況や税制がわかってないと、非常に読みづらい本ではなかろか、というのが正直な感想。フランスの新聞の連載コラムであるが、80本のうち日本に言及してあるのは1本のみ。それもありきたりな財政赤字の話で、「んなもんピケティさんに語ってもらわんでも・・・」と思った。た...続きを読むだしフランスの小学校は水曜日が休みというのはこの本ではじめて知った。そういうへえ、は少なからずある本。
ヨーロッパは、政治的にばらばらで団結できずにいるせいで、金融システムの不安定性と不透明性に対して脆弱になっている イギリスの労働人口の生産性の低いのは、教育制度に投じる予算が少ないことと、貴族政治時代をひきずる顕著な階層化に大きな原因がある よい税金とは、政府支出の財源を提供し、公平かつ累進課税であ...続きを読むって、個人と企業にできるだけ干渉しない税である ドイツ人の遺伝子にナチズムがないように、ギリシャ人の遺伝子も怠け癖はない フランスは、自国の税制・社会保障制度の改革や近代化ができないうえに、公的債務の共同管理に関して具体的な提案すらできないという無能ぶりをさらけ出している どんな国も年1~1.5%以上の成長を維持することはできなくなっている 産油国では、一握りのこの天から授かった資源の不当に大きな分け前を独占し、大多数の国民、とりわけ女性や移民などは、半ば隷従状態にある
その手の話にはついていけない、、、と、思ってた私ですが。フランスの大手の新聞に掲載されてた文章を古くなりすぎてるもの以外の掲載とあって、なかなか興味深い話題が多く、私などでも、楽しませていただきました。お金にまつわる価値観が日本とヨーロッパ、特にフランス人との違いも感じた一冊で、さらりさらりと流しな...続きを読むがら読んでも面白かったです。
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トマ・ピケティ
村井章子
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