加藤廣のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
織田信長の死体が見つからないという歴史の不思議を題材にした一種のサスペンス小説。抜群の記憶力と表現力を持つ信長の記録係である太田牛一は、本能寺の変の直前に、信長から不思議な箱を預かる。そこから秀吉の治世となるが、依然として遺骨は見つからない。秀吉の命により信長の一代記を著しつつ、執念深く遺骨の行方を追い求めるが、さまざまな不思議や矛盾が現れる。桶狭間の戦いで、大大名の今川義元は、なぜ不用意に横道にそれ、信長の奇襲を許したのか。忠臣光秀はなぜ謀反を起こしたのか。秀吉の中国大返しはなぜ実現したのか。そして信長や側近の死体はどこへ消えたのか。この小説では、証拠はないがなるほどと思う仮説とストーリーで
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Posted by ブクログ
或る程度知られている史上の出来事に関して「本当はこうだった?」と大胆な考証で物語を創る…そういうタイプの作品が在ると思うのだが、本書は正しくそういう内容だ。かの<島原の乱>を取り上げている。これが酷く愉しく、「続き」が気になって、頁を繰る手が簡単に停められなくなってしまった…
タイトルに「島原の乱」と在るが、物語はその20年程も前の時期から起こっている。「大坂の陣」の最中から物語は起こっている。
落城も間近という大坂城…そこで何が起こるか?そしてその後?更に島原の出来事の背後に何が在るのか?
虚実交じって、“虚”たるフィクションでありながら「実?!」と思わせてしまうかのような物語が展開する。「 -
Posted by ブクログ
本能寺三部作で私も愛読しています、加藤廣氏により書かれた本で、終戦直後の昭和時代を彼がどのように生きたのか、その当時の様子をどのように見ていたのかが書かれている本です。
昭和5年生まれで、私の父より4歳年上です。終戦時が15歳で、もう少し年上だったら召集されている可能性もあり、当時の様子を、生活していくために考え方を180度転換せざるを得なかった大人の視点ではなく、状況の把握できていなかった子供の視点でもない、本当に何が起きていたのかが書かれた、私にとってはとても貴重な本でした。
文中に、当時の為替レートや、給料の額、食料品などの価格がでてきて、昔の貨幣価値が分かったのは興味深かったです。