頭木弘樹のレビュー一覧
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星野源や朝井リョウが「うんこを漏らした」という話を面白おかしくエッセイで語っていますが、その流れをくむ本だろうと思い手に取りました。
本書ではエッセイだけでなく、古今東西の文学作品や哲学者の考察など幅広く「排泄」について取り上げた作品を収録しており、このテーマは他者と広く共有する者ではないにしても、人間が生きてゆくうえでは避けて通ることができず、皆それぞれに考え方がある、ということが分かる一冊だと思います。
大人になって(排泄を自分自身でコントロールできるようになって)から、「うんこを漏らす」ということがあると、それは「人間の尊厳」を失うに等しい「恥」として受け止められたり、他者に語るにあたっては「下ネタ」「笑い」として語るしかない、というのが一般的な印象ですが、そこに一石を投じる本だと思います。
想像していたよりもエンタメ色が少なかった点が、少し残念でした。
ただ、解説にある「何か体験して、自分が抱いた気持ちを、ほかの誰にも共有してもらえなくて、もやもやしたまま苦しいとき、開いてみるべきは文学です。どんなに心の奥底のネガティブな気持ちでも、人が誰も自分からは口にしないようなことでも、文学にはちゃんと描いてあります。……文学というのは、ありがたいものだと、あらためて思いました。」という文章は、非常に沁みました。 -
Posted by ブクログ
編者頭木さんが難病に罹り大変苦しんだことは『食べることと出すこと』で知ったが、20歳のときに人前でうんこを漏らしてしまったときのショック、茫然自失の状態になってしまった経験から、同じような状況になってしまった場合、人はどのような気持ちとなり、どのようにするのかを知りたいとの思いから、本アンソロジーを編んだとのこと。
尾辻克彦「出口」。帰途、便意に襲われるこの苦しみは良く分かる。自分も食事をして帰る途中、どうも腹の調子が悪いなから始まり、早く家に戻ってトイレに行かなくちゃ、さらに戻るまで持つだろうかとの不安。歩き方を工夫したり、肛門辺りを手で押さえたり、あと何歩とカウントしたり、何とか間に合ったときの安堵感。しかし、本作では、あらゆる技法、あらゆる秘術を尽くしたが、限界となってしまう。そこに至るまで、そしてとうとう漏らしてしまった後の感情の揺れが見事に描かれている。
筒井康隆「コレラ」。カミュの「ペスト」と対比して「コレラ」の蔓延を描く。筒井らしい荒唐無稽さではあるが、エイズやコロナを経験した現在からすると、決して笑ってばかりはいられない。
山田ルイ53世「ヒキコモリ漂流記 完全版」。うんこが嫌われるのには、あの臭いも大きく影響していると思われる。何とか回りに気付かれずに漏らした下着を洗って凌いだと安堵していたらあの臭いが漂い出す。でも笑いにできない、周囲の人間も触れない気まずさ。そこから長い引きこもり生活に突入したとのこと。おそるべし!
谷崎潤一郎「過酸化マンガン水の夢」。日録のような作品。家人と共にストリップショー見物、映画「悪魔のような女」の詳細な解説、料理屋辻留での食事、そして熱海に帰着。朦朧化した状態での幻想では、洋式便所での糞便の観察から、映画の登場人物の風貌を連想し、さらには史記呂后本紀の人彘(じんてい)が脳裏に浮かぶ。谷崎の筆にかかると別世界のようなあり様。
ヤン・クィジャ「半地下生活者」。半地下のアパートに暮らす工場勤務の主人公。彼の部屋には便所がなく、借りるときの約束では大家のトイレを使わせてもらうことになっていたが、決してドアを開けてもらえない。外で用を足していたが、次々に使えないようになってしまう。一方で少人数の工場ではストライキが始まり、彼も仕事をする訳には行かなくなってしまう。同僚工員や工員とほとんど変わらない社長とのやり取り、暑苦しい工場の描写が実にリアル。そしてトイレが使えない悶え苦しみ。こうした閉塞感が、ある出来事で急に開けたかのように見える展開がとても面白い。
うんこという、あまり口に出しづらいテーマを取り上げた様々な作品を目にすることができて、大変満足した。
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フランツ・カフカ
Franz Kafka
勿論、名前は知ってます!
小説を書いた人というのも知ってます
(作品は読んだことないですが…)
あとは何にも知りません(^_^;)
では、なぜこの本を読んだかというと、おびのりさんの
「パワーさえ感じるカフカのネガティブな人生論。あまりに絶望的で笑えて、こちらは元気がでてきそうな迷言な名言集。」
というレビューを見て気になったからw
【あまりにも絶望的で、かえって笑えてくる】
カフカの日記やノートは、日常生活の愚痴で満ちています
「父が…」「仕事が…」「胃が…」「睡眠が…」
カフカが関心があるのは自分のことだけ
自分の気分、体調、人から言われたこと、人に言ったこと、やったこと、されたこと…
そして、その発言はすべておそろしくネガティブであるw
そんな愚痴を読む価値があるのか?と思いますが、あるんです!w
カフカは偉人です!
普通の人たちより上という意味の偉人ではなく、普通の人たちよりずっと下という意味での偉人なのですw
その言葉のネガティブさは人並み外れていますw
例えば、
『将来にむかって歩くことは、ぼくにはできません。将来にむかってつまづくこと、これはできます。いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです。』
( ゚∀゚)・∵. アハハハハハッ!!
何これ!?カフカ最高www
こんなくだらないネガティブなカフカの言葉が86コも載ってます!
笑えます!
みなさんも読んでみては_| ̄|○ガックリ(←ネガティブに)
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「ひきこもり」という言葉から一般的に想像するのとは違う、入院や宇宙船内での生活を含めた「社会から遮断された生活」をしている人々の話。
「部屋から出られない人のための12の物語」という副題がついていますが、病気や宇宙船内、そして自らの意志によるひきこもりであれば本も読めると思いますが、育児中に外に出られなかったときは、本を読む余裕なんてなかったなあ、と思います。
病気も私の場合は目だったので、やはり本は読めませんでしたが。
元教え子を訪ねて韓国(ソウル)に行ったとき、教え子家族が住んでいる高層マンション群に泊めてもらったので、韓国文学の「私の女の実」の妻の気持ちが一番理解できた気がします。
また、「鬼退治に行かない桃太郎」も面白く、
紹介されていた『桃太郎話 みんな違って面白い』を読んでみたいです。
SFはやや苦手ですが、「フランケンシュタインの方程式」は面白かった!
萩尾望都の「スロー・ダウン」。「手の感覚」は私には理解できませんが、「感覚遮断実験」は興味深い。
日本に住んでいると、ほぼ日の出から一日が始まりますが、緯度の高い地域で、まだ暗いうちから学校が始まったり、まだ明るいのに寝る時間だったり、不思議な気持ちを味わったこともあります。それはじきに慣れましたが、閉じ込められた真っ白な空間だったらどうでしょう。
いろいろなジャンル、しかも時代や国の異なる話がつまっているので、普段なら手を出さないような話もとりあえず読んでみることができたのはよかったと思います。
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ひきこもりのアンソロジー。
ひきこもりを否定することはない。
なんらかの事情があるのだから…。
出たくなければ出なくてもいいじゃないか、と思うほうである。
自分もいつ、突然に引きこもるかもしれないわけで。
それは、わからない。
ひきこもらずに一生を終えるかもしれないし…。
どうなるかはわからない。
たとえば、萩原朔太郎の「死なない蛸」は、存在しないものと思われると悲しいが、魂はある。
たしかにそこに居る、自分がわかってれば良いじゃないかと思わせる。
想像以上のかなり上をいくのが、ハン・ガンの「私の実」である。植物で活きた心地になるならばそれを完成形というのだろうか。
萩尾望都の「スロー・ダウン」は、感覚遮断実験を描いているが、特に手の感覚の凄さをあらわしている。
誰かの手に触れることですべての機能が目覚めるかのような…。
意識しなくとも握るという感覚は、ずっと残るのだろうか。
とても不思議な感覚で読み終えた。 -
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【収録作品】ひきこもっている間に忘れられる-散文詩 「死なない蛸」 萩原 朔太郎/ひきこもり願望-ドイツ文学「ひきこもり名言集」 フランツ・カフカ(Kafka,Franz) 選訳/頭木 弘樹 /鬼退治に行かない桃太郎- 昔話「桃太郎 岡山県新見市」 編著/立石 憲利/差別によるひきこもり-ショートショート「凍った時間」 星 新一/感染を避けるためのひきこもり-アメリカ文学「赤い死の仮面 The Masque of the Red Death」 エドガー・アラン・ポー(Poe,Edgar Allan) 新訳/品川 亮/ひきこもりによる物の見え方・感じ方の変化-エッセイ 「病床生活からの一発見」 萩原 朔太郎/部屋から出られない苦しみ-日本SF小説「フランケンシュタインの方程式」 梶尾 真治/ニートのつぶやき-大正文学「屋根裏の法学士」 宇野 浩二/ひきこもりと植物-韓国文学「私の女の実 내 여자의 열매 」 ハン ガン (韓 江) 初訳/斎藤 真理子/究極の孤独-アメリカSF小説「静かな水のほとりで Beside Still Waters」 ロバート・シェクリイ (Sheckley,Robert) 新訳/品川 亮/ひきこもり実験の結果-漫画「スロー・ダウン」 萩尾 望都/番外編「ひきこもらなかったせいで、ひどいめにあう話」 頭木 弘樹
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梶尾真治作品が含まれるアンソロジーということで購入した。特に「ひきこもり」に興味がある訳ではない。ただ、昨今のコロナ禍に伴って外出自粛を余儀なくされる中、実際の現状には所謂ひきこもりに共通する面もあり、作品の幾つかには共感できるものもある。やはり、今の自分はひきこもりなのだろうか。まあ、現在のひきこもりレベルは人に迷惑をかけるものでは無いので良しとしよう。
梶尾作品は有名な「フランケンシュタインの方程式」が収録、その他には星新一「凍った時間」、萩尾望都「スロー・ダウン」が収録されている。
その他で気になったのは、韓国女流作家のハン・ガン「私の女の実」、立石憲利「桃太郎」、ポー「赤い死の仮面」。
物理的に一つの空間に閉じこもる、閉じ込められる、自ら周りに隔壁を作る、いろいろなひきこもり方があるが、鬱屈した気持ちを自力で昇華できる力を持つ人であれば、一時的なひきこもりなら脱却できるだろう。本書はファンタジー的要素を持つ作品が殆どなので、ひきこもりの具体的解消に対しては何ら助けにはならない話ばかりだ。 -
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ネタバレ悲しい出来事から立ち直る方法
最初は悲しい音楽に浸る=同質の原理
その後で、楽しい音楽を聴く=異質への転導
勝つか負けるかより、手にしているモノをどう生かすか、のほうが大事。
人生は常にわき道にそれていく。むしろそれが本当の道。
一人でいれば何事も起こらない。
「見る前に飛べ」行動を起こすためにはそれが大事。見たら飛べなくなる。
人生の多くが、費やされてもなお人は何かをなしうる。
セルフハンディキャッピング=自分にハンデを与えることで自尊心が傷つかないようにする心理。才能があると信じて、延ばす努力をしない、など。中島敦山月記など。
試験の前日に片づけなど勉強以外のことをしてしまう心理。
成功した男が自分の息子にアドバイスするときに、ライオンがねずみに生き方を教えることになっていないか。
自立を願いながら子供を支配続ける親。
人は絶望からも何かを生み出すことができる。
アンビバレント型=気持ちが極端に揺れ動く。婚約までこぎつけても破棄してしまう。
病気利得=病気になることで得られる利益
断食芸人が遺作
ーーーーーーーーーーーーー20240415再読
人間の弱さは、勝利を手にできないことではなく、それを活用しきれないことである。
生きることは絶えず脇道にそれることだ。
床の上に寝ていればベッドから落ちることはない。ひとりでいれば安全だ。
幸福になるために完璧な方法は、自己の能力を信じ、それを磨くための努力をしないこと。
アンビバレント型=自ら求めるが手に入れそうになると拒否する。気持ちが極端に振れる。が完全には離れられず依存性は高い。
結婚こそは、実生活の代表。これを逃れているのは現実を恐れて逃げているから。
結核は武器、健康にならないのは生きるための必要な武器。