あらすじ
前代未聞!絶望に効く読書案内!
〈目次〉
はじめに 絶望したとき、いちばん大切なこと
第一部 絶望の「時」をどう過ごすか?
第一章 なぜ絶望の本が必要なのか?
──生きることは、たえずわき道にそれていくことだから
第二章 絶望したときには、まず絶望の本がいい
──悲しいときには悲しい曲を
第三章 すぐに立ち直ろうとするのはよくない
──絶望の高原を歩く
第四章 絶望は人を孤独にする
──それを救ってくれるのは?
第五章 絶望したときに本なんか読んでいられるのか?
──極限状態での本の価値
第六章 ネガティブも必要で、それは文学の中にある
──非日常への備えとしての物語
第二部 さまざまな絶望に、それぞれの物語を!
第二部のはじめに 絶望にも種類がある
太宰治といっしょに「待つ」
──人生に何かが起きるのを待っているという絶望に
カフカといっしょに「倒れたままでいる」
──すぐには立ち上がれない「絶望の期間」に
ドストエフスキーといっしょに「地下室にこもる」
──苦悩が頭の中をぐるぐる回って、どうにもならない絶望に
金子みすずといっしょに「さびしいとき」を過ごす
──自分は悲しいのに他人は笑っている孤独な絶望に
桂米朝といっしょに「地獄」をめぐる
──自分のダメさに絶望したときに
ばしゃ馬さんとビッグマウスといっしょに「夢をあきらめる」
──夢をあきらめなければならないという絶望に
マッカラーズといっしょに「愛すれど心さびしく」
──自分の話を人に聞いてもらえない絶望に
向田邦子といっしょに「家族熱」
──家族のいる絶望、家族のいない絶望に
山田太一といっしょに「生きるかなしみ」と向き合う
──正体のわからない絶望にとらわれたときに
番外・絶望しているときに読んではいけない本
あとがき 立ち直りをどうかあせらないでください!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
まさに、絶望の只中にいる私に、ソウルメイトが送ってきてくれた本。本当にありがとう。
正直、絶望の文字に恐れおののいていて、なかなか開けなかったのだけれど、もう、ほんと、その通りです、という内容で、とてもとても、救われました。
「とにかく、早く立ち直らなくては…」と、自分の気持ちから目を逸らすことで、乗り越えた気になっていたある日。突如として、蓋をしていた感情に襲われて、もう、どうすることもできなくなりました。
ただ、時間が過ぎることでしか、緩和できないほどの絶望は存在します。
「きっと大丈夫よ」「頑張って」「気持ちわかるよ」の言葉に、どうしようもなく傷ついてしまうこともあるから。そんな時には、無理せず、しっかり絶望に寄り添ってくれるものを。
とくに、第三章は、必見です。
Posted by ブクログ
"街の本屋でこのタイトルを見て、「絶望」と「読書」が寄り添う不思議と感じ、手に取ったことを思い出す。
人生に寄り添う読書であるならば、人生には良い時、悪い時、うれしい時、悲しい時、感謝するとき、罵倒するときなど、様々な状態があり、その状態に応じて読書というものを考えたのが、本書。しかも、絶望を感じているときにこそ、この本を勧めるという内容は筆者の体験を読むと、納得感が高まる。
著者が紹介する絶望読書お勧め本をメモしておく。絶望と言っても人それぞれ。どの本がその時の状況に寄り添うものかは、当事者にしかわからない。
太宰治
・待つ
フランツ・カフカ
・変身
・絶望名人カフカの人生論
・希望名人ゲーテと絶望名人カフカの対話
フョードル・ドストエフスキー
・罪と罰
・カラマーゾフの兄弟
金子みすず
・わたしと小鳥とすずと金子みすゞ童謡集
桂米朝(古典落語)
・桂米朝上方落語大全集
映画
・ばしゃ馬さんとビックマウス
・愛すれど心さびしく
テレビドラマ
・向田邦子「家族熱」
・山田太一「岸辺のアルバム」「ながらえば」「生きるかなしみ」
最後に絶望時決して読んではいけない本も紹介されている
ディーノ・プッツァーティ
「七人の使者・神を見た犬」脇功訳
「神を見た犬」関口英子訳"
Posted by ブクログ
物語の力とは何か?私はずっとモヤモヤとしていた。物語や小説は「ただの作り話」で、そんなもの読んだからってただの嘘っぱちじゃないか、と主張されると価値がないように思える。なぜ私は物語を読むのか。読むことによって何が満たされるのか?言い表せない疑問があった。
この本に、その疑問への一つの答えが書いてある。
人間が絶望したとき、立ち上がれないときに、物語の世界が、絶望によりそうこと。
後半のおすすめの本の紹介も興味深いが、前半の絶望の状況と物語の関係の説明が衝撃的に真実を言い当てていると感じた。
Posted by ブクログ
私が 絶望していたときには
残念ながら 本を一冊も読まなかったのですが
この 絶望読書を読んでいたら
きっと 心を慰めてくれる本を
探したのに
と残念に思います
きっと 今なら
少しは理解できるかも
と思って
お勧めの絶望読書を
読んでみたいと思いました
Posted by ブクログ
この本を読んで、「物語を読む、知るとはどういうことなのか」を考えさせられた。人間は誰しも絶望を感じることがある。様々な物語を知っていれば、少しでもその絶望や不安を軽くすることができる。本文中の外国小説の紹介で知的障害のある女性の話はとても印象的だった。
文中にたくさんの名言が散りばめられていて面白かった。また、本や映画の紹介もされていて面白かった。太宰治の「待つ」など、気になった作品に触れてみようと思う。
Posted by ブクログ
これは面白い本。わたしも数年間絶望していた経験があるからよくわかる。絶望しているときは励ましではなく共感を。一緒に泣いてくれることが一番うれしい。わかる、わかる。当時、ずいぶんと本にも救いを求めた。わたしの場合は、ナチスの迫害を逃れた人の本とか、ドリアン助川さんの本とか。苦境の中で生き抜いた人のもの、真に生きるとはどういうことかといったテーマのものが多かったかな。あ、赤毛のアンシリーズにもけっこう救われたな。ローラの「長い冬」とか、児童文学には素晴らしい作品が多いよなー
ただ、この本の中で著者が言われるように、特段、明るい本ではなく暗い本を、とは思わなかったのだけど。カフカの「変身」、読み返してみたくなった。
あとイタリアのディーノ・ブッツァーティという人の本も読んでみたい。『神を見た犬』に入っている「七階」という作品に興味がわいた。
p42
しかし、その人生の物語の脚本を書き直さなければならないときがあります。
とくに、絶望的な出来事によって書き直さなければならないときは、それはとても困難です。
人生が混乱し、本来の人生を失った気がして、新しい人生は受け入れがたく思えます。
そういうときそういうときに、なんとか脚本を書き直して、その後の人生を生きていくためには、書き直しの参考となる、物語が必要です。
それが、カフカの言うところの「必要な本」であり、「苦しくてつらい不幸のように……ぼくらに作用する本」ではないでしょうか。
「ぼくらの内の氷結した海:つまり、これまでの物語にとらわれて、こり固まってしまった心を、「砕く斧」としての絶望の文学です。
P71
自分はいくら悲しみにひたっていようとしても、周囲がそれを許してくれないことも少なくありません。
たとえば、絶望で倒れこんで、立ち上がれない人がいるとします。
倒れた当初は、たいていの人が同情してくれますし、心から心配してくれるでしょう。
問題はここからです。
倒れている人が、「肩をかしてもらえるのはありがたいんですが、まだ無理なんです。前を向いて歩くどろころか、起き上がる気にもなれないんです」と返事をしたとします。
すると、さらにしばらくは待ってくれるでしょう。
でも、だんだんと周囲の人たちは、いらだってきます。
「せっかく人が肩をかしてあげると言っているのに、なぜ立ち上がろうとしないんだ」と、親切だったはずの人が不機嫌になってきます。
さらには「だいたい、そんなふうだから倒れるようなことになるんだよ」などと悪く言い始めます。
ついには、「迷惑だから、どこか見えないところに行って倒れててくれ」と見捨てむしろ憎み始めます。
p89
「私の気持ちは、誰にもわからない!」という気持ちを、本はわかってくれます。
それどころか、自分でもよくわからない、もやもやした気持ちまで、「まさにこういうことなんだ!」と感動するほど、見事に言葉で表してくれます。
UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)が行った研究によると、ストレスが高い状況にさらされたとき、「それを表現する言葉がある」と、ストレスホルモンの放出が抑制され、ストレスが鎮まるそうです。
絶望し、孤独に陥ったとき、そういう気持ちを言葉で表してくれる本を読むことは、それだけで、絶望や孤独をいくらか癒してくれるのです。
それは実感としてもたしかですし、こういう科学的な裏づけもあるのです。
Posted by ブクログ
著者自らの体験を交えつつ、絶望している間に読みたい本を紹介している。本だけではなく映画やドラマについても。
タイトルで手に取ってあまり期待していなかったけれど面白かった。
第1部、第2部、読んでは行けない本、など構成もハッキリしていて分かりやすかった。
Posted by ブクログ
古典にはバッドエンドが多いというのは、確かにそうだと感じていたし、的を射ていると思った。
水木しげるが戦地でお守りは捨てても「ゲーテとの会話」だけは捨てなかったことを知り、それだけ面白いなら読んでみたくなった。
絶望した時には読書しよう、実際リラックス効果あるみたいだし。