小杉健治のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「約束の月」上下巻はシリーズ58作59作になる。
途中から読んでも十分に面白いこのシリーズ今回は上下巻でたっぷりと楽しませてもらった。
手代の清太郎がごろつきに襲われてはじまった話が、実は御烙印で、、となり。
そこへ将軍家の男子がどこにも養子入りができないような性格も悪く陰湿で冷淡な素行の悪い子供を無理やり跡取りにしようとねじ込んだのが老中。
そこで繰り広げられる事件と、同じ頃起こった詐欺事件、浪人の他殺連続事件と剣一郎は忙しく悩ませられる。
小杉健治の入念に重ねられた謎が最後まで心地よく読むものを集中させる。
この上下巻も傑作でした。 -
Posted by ブクログ
第41回日本推理作家協会賞長編部門受賞作。直木賞候補にも挙がった作品である。
物語は、被告人に憧れを抱いていた司法記者の視点で進み、記者自身が進行形で抱える問題と、裁判の進行が見事にリンクする構造となっている。
罪を全て認めている被告人と、無罪を主張する弁護人。実際の事件の犯人は誰なのか、という点に主眼はなく(そこも一定の推理はされるが)、「被告人はなぜやっていない罪を認めるのか」を、知的障害者(本作では精神薄弱者となっている)の問題と「罪」に絡めて描写している。
舞台は全て法廷であり、尋問を見つめながら過去を紐解く語り手の「私」の設定が秀逸だと思えた。
きっちりきっちりと薄皮を剥ぐように明らかになる事実。
弁護人は法廷外で語ることばはほぼない。代わりに前弁護人が、弁護人の葛藤を語り、その考えを語り、そして「私」も心を決める。この物語は多くの人物が心に抱える「何か」を、痛みを抱えながら清算する物語なのだ。
被告人は過去の罪への思いが強すぎて結果、現在の家族をある種置き去りのような形にしているのもどこか人の業を感じてしまう。人間は複雑だ、というありきたりな結論になってしまうのだけれど。