若松英輔のレビュー一覧
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ネタバレ『苦海浄土』はまだ読んだことがない。まだそこまで手が出ない。熊本という場所に生まれ育ち、小さいころからその病の名前を聞いていて、石牟礼さんの名前もどこそこで聞いてきたのに、ようやくそちらに意識が向くようになったのは最近のことだ。
このあいだ、高群逸枝さんについて書かれた(というか厳密にはそのご主人との交流の部分が大きかったが)本を読んで、石牟礼さんにも最初の一歩というものがあったのだという「親しみ」のようなものを感じ、ようやくすこしだけ近づくことができてきたような気がする。でも、まだ全集を手に取るには畏れ多い。そんな私みたいな人間が入門書としてこの本を手に取るのは非常に有益だと思った。
そし -
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大好きな須賀敦子さんのことを若松英輔さんがお書きになるって読まずにはいられない。
大喜びで読み始めたが、いきなりガーンと来た。
もちろん須賀さんが熱心なカトリックの方とわかって読んではいたのだが、そもそもカトリックに関する素養も知識も、もっと言えば関心もほぼない私。それを抜きにして読んで、それで読んだと言えるのか。何を持って好きと言ってるのか。全くわかってないではないかとショックを受けた。ほんとに。今、私のやるべきことは、この若松さんの評伝を横に置きながら、須賀さんを読み直すことと思われる。
でも、もっと意識をして読むからと言って、カトリックの素養のない私は深くは読めないってことなのか。それを -
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書店屋で,たまたま目に止まって買ったまま積読でしたが,連休中に読みました.
哲学は,前々から興味はあったものの,どうにも型苦しいと言うか,変に難しく考えている様な感じがあって,少々敬遠気味だったのが本音でしたが,この本を読んだ,私なりの感覚としては,考えるとは何かを考えるのが哲学と言うものかも知れないと思いました.また,自分が実体として思っていることも,実は多数の考え方によるもので,実体とは言い切れない面があることも,本書を読んだ気づきです.
この本はあくまで入門本で,深く学びたいならば,それ相応の書籍を読んだり実践の中で体得すべきなのでしょうけれど,哲学とは何か(を読者が自分自身で考える)に -
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ネタバレ静かで力のある言葉がたくさんあった。
読め、書け、情報を集めるのではなく自分のうちなる部分で考えろ。しかし人生(本文中では信仰)は考えるより歩け、生きろ。そこからしかわからないことがある。
繰り返し言われているのは、語り得ない言葉(あるいはコトバ)の存在。そして、読むことの力。事実、若松さんは様々な詩や本を引用しながら書いているが、そこから思索を深めていく姿はまさに「読む」ということが「コトバを発する」ことに直結している姿を見せてくれている。
最後にちょっといい文章を引用しておく。
「やわらかな日の光にふれ、小さな呼吸をする。全身を小さな力が貫く。そのとき私たちは今日も生きてみようと、内な -
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「概念の鍵では「宗教」の扉は開かない。」P306
往復書簡してみてぇーって思った笑
宗教関連のテーマに沿って仏教徒とキリスト教徒がそれぞれ手紙でやり取りする形式になっている。持ち合わせている知識と考え方が非常に深い。そんな感想しか出ない俺が浅い。
結局、宗教は知識として勉強できるような類のものではなくて、それ自身を全身全霊で「生きる」ような飛躍が宗教の語りには必要になる。有無ではなく要不要に関わるから、現代社会のような道具としての宗教は本質を外していて「死せる概念」となってしまっている。イサク奉献のエピソードは、常に宗教観に影響を与えてくれそう。
俺の勘違いは以下の部分。
「宗教は -
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僧侶にして宗教学者としても著名な釈先生と、生まれる前からのキリスト者である若松さんが交わした書簡による対話。「話す」「施す」「笑う」など、挙げられたキーワードを宗教的視点で語り合う。
釈先生の書簡に対し若松さんが応えるという形式なので、どうしても後から述べる若松さんの意見のほうが強めに残る。個人的に興味深いと思ったのは「共同体」というテーマだが、いずれのテーマも一度のやり取りで終わる。深める、掘り下げるというところまではいかないのが少し残念。
私が本書で宗教の本質を垣間見たと思ったのは、最後に収録された対面での会話である。釈先生が述べた教え子のエピソードに対して、若松さんが「私たちの生は現 -
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日本経済新聞に2023年4月から2024年3月まで、「言葉のちから」として連載されたものから27篇を選び一冊の本にしたもの。
〝言葉〟の持つちから、面白さが詰まっていて、何度でも手に取りたくなる本でした。
一篇はどれも「誰かの言葉を引用した作品」になっており、例えば…
武者小路実篤『沈黙の世界』より引用
──言葉の世界に住んでいると、沈黙の世界がなつかしくなる
など、作家や哲学者の言葉が多く取り上げられている。
他に面白いと思ったのは、
『念い(おもい)を深める』
の一篇で「おもい」を表現する漢字が沢山あるということ。
思い、想い、意い、憶い、惟い、顧い、懐い、忖い、恋い…
それらを熟