若松英輔のレビュー一覧

  • 悲しみとともにどう生きるか

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    個人的に興味深い作者名が並んでいたこともあり、本屋で衝動買いしたもの。ただひたすら真摯に、悲しみと向き合ったからこそ到達し得た心境が、ことばで生きている諸氏によって語り起こされる内容は圧巻で、それぞれに異なった対峙方法にも関わらず、通底する温もりは十分に享受できる。心のどこかに本書の存在を認識しているだけで、ずいぶん楽に感じられる、そんな座右の一冊。

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    2021年01月12日
  • 弱さのちから

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    東日本大震災のとき、何も出来なくてもどかしかったこと、今回のコロナでむしろ動けなくなって、自分がダメになりそうだった。今まで「自分に武器を持ちなさい」と諭され、生き抜く事ばかりに執着していた自分が、武器も使えない、増やせない状況で気がついたのは、筆者と同じ「弱い自分をうけいれる」ことだった。もう自分は生きていて、揺るがないものがどんな形で、自分がどんな人間が認識することが必要なんだろう。と思った。若松先生の詩や文章はじっくりと自分と向き合う姿が伝わってきて好きだし、神谷美恵子さんの著者の解説などもとてもわかりやすく、過去の翻訳家だと思っている。そんな先生が、等身大の自分を曝け出したこの本はある

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    2021年01月06日
  • 不滅の哲学 池田晶子

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     池田の生誕60年に合わせ装いを新たに出版された本書。〝哲学の巫女〟を自任し強靭なる〝哲学エセー〟を開拓した池田の哲学の本質を天性の〝哲学的詩魂〟に見、若松もまた独自の〝批評的詩魂〟においてその定位を試みる。永遠の相の下、類例のない濃密な思索の交感があった。科学的認識のみによっては到達しえない豊饒なる境地。生前、池田は予言していた。日常の言葉で真を語る存在の出現を。若松が紛れもなくそのひとりであることを確信した。

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    2020年12月29日
  • NHK「100分de名著」ブックス 石牟礼道子 苦海浄土 悲しみのなかの真実

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    『苦海浄土』はまだ読んだことがない。まだそこまで手が出ない。熊本という場所に生まれ育ち、小さいころからその病の名前を聞いていて、石牟礼さんの名前もどこそこで聞いてきたのに、ようやくそちらに意識が向くようになったのは最近のことだ。
    このあいだ、高群逸枝さんについて書かれた(というか厳密にはそのご主人との交流の部分が大きかったが)本を読んで、石牟礼さんにも最初の一歩というものがあったのだという「親しみ」のようなものを感じ、ようやくすこしだけ近づくことができてきたような気がする。でも、まだ全集を手に取るには畏れ多い。そんな私みたいな人間が入門書としてこの本を手に取るのは非常に有益だと思った。

    そし

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    2020年11月07日
  • 霧の彼方 須賀敦子

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    ネタバレ

    霧の向こうに住みたい、だよね、と思って読んだら結構違った。そうか、私が読まなくなった時期がちょうど亡くなった時期だったから気がつかなかったんだ。久しぶりで評伝をちゃんと読んだ。

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    2020年11月06日
  • 詩集 愛について

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    何気ない言葉の連なりなのに
    想う人への愛おしさ、引き裂かれた苦しみ、その人の得難さが切々と痛いほど伝わってきます。
    だからでしょうか、愛する事の豊かさを教えてくれた気がします。
    装丁も丁寧に美しく作られていて宝物のような本です。

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    2020年09月13日
  • 霧の彼方 須賀敦子

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    大好きな須賀敦子さんのことを若松英輔さんがお書きになるって読まずにはいられない。
    大喜びで読み始めたが、いきなりガーンと来た。
    もちろん須賀さんが熱心なカトリックの方とわかって読んではいたのだが、そもそもカトリックに関する素養も知識も、もっと言えば関心もほぼない私。それを抜きにして読んで、それで読んだと言えるのか。何を持って好きと言ってるのか。全くわかってないではないかとショックを受けた。ほんとに。今、私のやるべきことは、この若松さんの評伝を横に置きながら、須賀さんを読み直すことと思われる。
    でも、もっと意識をして読むからと言って、カトリックの素養のない私は深くは読めないってことなのか。それを

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    2020年08月01日
  • 考える教室 大人のための哲学入門

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    書店屋で,たまたま目に止まって買ったまま積読でしたが,連休中に読みました.
    哲学は,前々から興味はあったものの,どうにも型苦しいと言うか,変に難しく考えている様な感じがあって,少々敬遠気味だったのが本音でしたが,この本を読んだ,私なりの感覚としては,考えるとは何かを考えるのが哲学と言うものかも知れないと思いました.また,自分が実体として思っていることも,実は多数の考え方によるもので,実体とは言い切れない面があることも,本書を読んだ気づきです.
    この本はあくまで入門本で,深く学びたいならば,それ相応の書籍を読んだり実践の中で体得すべきなのでしょうけれど,哲学とは何か(を読者が自分自身で考える)に

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    2020年05月03日
  • 別冊NHK100分de名著 読書の学校 若松英輔 特別授業『自分の感受性くらい』

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    自分の人生を支えていく言葉を、どこからか見つけるだけでなく、自分で手作りしてもよいのだなという発見があった。気恥ずかしいと思いつつも詩を書き始めたくなる。誰に見せるわけでもなく自分のために。

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    2019年11月30日
  • 考える教室 大人のための哲学入門

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    「書き手」と「読み手」の対話としての「読む」を掘り下げるもので、感動的です。ここで取り上げられているソクラテスの弁明、方法序説、人間の条件、共同幻想論の4冊、最後の吉本隆明を除いて、いずれも私も折に触れて読み直す本ですが、また改めて読もうと思いました。
    吉本隆明はなぜか、正面から取り組んだことがありません。これを機に読もうと思います。

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    2019年09月09日
  • 内村鑑三 悲しみの使徒

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    帯に「その霊性はいまも響きつづける」とあるとおり。内村鑑三の言葉を読めば読むほど、その深さが静かに心に染みいる。

    第6章「宇宙」の章の最後に著者が
    「彼はやはり、遅れてきたイエスの直弟子である使徒のひとりだったのではないだろうか」と記している。その言葉に心が震えた。その通りだと私も思う。

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    2018年10月08日
  • 生きていくうえで、かけがえのないこと

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    日常的に使う、食べる、眠る、悲しむ、祈る等25の動詞を主題としたエッセイ集。一つの言葉に対するエッセイはとても短いものですが、でも、深いのです。心に静かに染みいる何かを感じます。

    私も著者もキリスト教の信仰をもっているせいかもしれませんが、彼の言葉を読む時によく想うのが聖書のヨハネによる福音書の1章「はじめにことばがあった。ことばは神とともにあった。ことばは神であった。」という一節。

    それほど”ことば”というものは人には絶対に必要なのものだと感じます。

    折に触れて読み返したい一冊です。

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    2018年10月08日
  • 内村鑑三 悲しみの使徒

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    著者が昔日経に連載していたコラムが魅力的で、手に取った一冊。本書を読んでも内村鑑三が何を成し遂げたかはわからない(勉強不足でごめんなさい)けれど、様々な切り口で内村鑑三や携わる人々の霊性(著者のキーワード?)には触れられた気がする。本書で書かれた時代と比較して、現代は宗教が力を失った(少なくとも日本では)ことを実感。

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    2018年09月17日
  • 生きていくうえで、かけがえのないこと

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    人からすすめられて読み出した本だったけど、それも全てこの本に呼ばれていたからではないかと思えた。

    日々の営みについて、こんなに深く、広い懐をもって書かれたエッセイを、わたしは今までに読んだことがない。

    「辛い時こそ、どの一篇でもいいから読んでみてほしい」という吉村萬壱の言葉どおり、少しでも心の器にはってある水面が揺れたら、読み返そうと思う。とても良かった。

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    2016年09月18日
  • 考える教室 大人のための哲学入門

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    考えることは人生の旅
    わからなくても考える
    なぜこうなっているのか、なぜこうしたいのか
    自分をもって問い続ける
    まずは何のために生きるか、何を護りたいのか
    を見極める

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    2026年06月17日
  • 悲しみの秘義

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    「悲しみ」について、過去の著名人の言葉の引用を絡めたエッセイ
    元々は日経新聞で連載していたエッセイを本にしたもの

    NHKの番組「理想的本箱 君だけのブックガイド」の「もう死にたいと思った時に読む本」回で紹介された本の一冊


    「はじめに」で引用されているのは「夜と霧」
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    生きるとは、人生とは何かを問うことではなく、人生からの問いに応えることだと『夜と霧』の著者ヴィクトール・フランクルは言った。人生は、答えを出すことを求めない。だが、いつも真摯な応えを求めてくる、というのである。
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    夜と霧は最近読んだので記憶に新しい
    あれほどまでに過酷な体験をした人の言葉だからこその重みがある
    悲劇的

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    2026年06月04日
  • 探していたのはどこにでもある小さな一つの言葉だった

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    なにかを書く(発表する)、また本を読むことが好きなひとびとに特にページを捲って欲しいエッセイ集。
    どこからでも、ランダムに読めるし、わたしもそのような方法で読書した。

    言葉の生命力と人が生きることの関係性について著名な作家や作品を交えて、作者若松英輔さんの真摯な視点から述べられている文章が多く、全体的にわたしは読んでいてホームのような安心感もあり師匠のような叱咤激励も感じられる稀有な本だった。

    好きなエッセイ。(特に、共感と新しい知見を教えてくれた文章)

    永瀬清子「第三の眼」 老いて増す能力
    九鬼周造の思索 偶然と運命について
    C・S・ルイス『悲しみをみつめて』 人生の問い
    石垣りんの詩

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    2026年05月31日
  • 小林秀雄 美しい花

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    およそ半年かけてまずは読み通した。朝起床後の一時が頭に染み渡るのを経験してから、毎日少しずつ。小林秀雄の著作は、実はそれ程読んではいない。しかしずっとこころの奥には熾火のように何かが残っていたのだろう。
    再挑戦しようと思ったのは講演集CDを手に入れたのがきっかけだった。当時氏の肉声を毎日徒歩通勤の途上聴き続けた。繰り返し何度も。氏の編集者だった池田氏の講演のAudibleで聴いた。
    それでも氏の作品を読んでもこころに響いてこない。そんな時この著作(文庫)に出会った。しかし実際手にするまで日数があった。
    きっかけは:学びの基本 考える教室 大人のための哲学入門:を読んでからだ。さっそく入手して、

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    2026年05月26日
  • 内村鑑三 悲しみの使徒

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    分かりやすかった。弟子たちをして預言者とまで言わしめる内村鑑三。キリストの再臨を重視し、聖書を読むだけでなくその言葉の奥にある活けるキリストとの出会いをこそ大切にする。徹底して一貫したその思想に多くの人が惹きつけられ、同時に矛盾した欠点も多い人柄は近づきすぎた弟子たちと衝突し、弟子や信奉者は離反と和解を繰り返すなかでより内村の理解を深めた。
    キリストの再臨って難しい。「内村がいう再臨とは、人間が退き、神の座を神に返すことだといってもよい」

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    2026年05月04日
  • 本を読めなくなった人のための読書論

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    体調を崩して今までの生き方ができなくなり、今までの考え方を見直していたところ、本書が目に留まりました。
    目的・効率・焦りといったものを手放して、心を開いて向き合ってこそ観えるものがあるというメッセージは心に響きました。
    人生も読書も、誰かとの競争ををやめ、不完全であることを受け入れる。そして自分の至らなさが変化する様を楽しんでいこうと思います。

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    2026年04月26日