若松英輔のレビュー一覧
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「悲しみ」について、過去の著名人の言葉の引用を絡めたエッセイ
元々は日経新聞で連載していたエッセイを本にしたもの
NHKの番組「理想的本箱 君だけのブックガイド」の「もう死にたいと思った時に読む本」回で紹介された本の一冊
「はじめに」で引用されているのは「夜と霧」
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生きるとは、人生とは何かを問うことではなく、人生からの問いに応えることだと『夜と霧』の著者ヴィクトール・フランクルは言った。人生は、答えを出すことを求めない。だが、いつも真摯な応えを求めてくる、というのである。
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夜と霧は最近読んだので記憶に新しい
あれほどまでに過酷な体験をした人の言葉だからこその重みがある
悲劇的 -
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なにかを書く(発表する)、また本を読むことが好きなひとびとに特にページを捲って欲しいエッセイ集。
どこからでも、ランダムに読めるし、わたしもそのような方法で読書した。
言葉の生命力と人が生きることの関係性について著名な作家や作品を交えて、作者若松英輔さんの真摯な視点から述べられている文章が多く、全体的にわたしは読んでいてホームのような安心感もあり師匠のような叱咤激励も感じられる稀有な本だった。
好きなエッセイ。(特に、共感と新しい知見を教えてくれた文章)
永瀬清子「第三の眼」 老いて増す能力
九鬼周造の思索 偶然と運命について
C・S・ルイス『悲しみをみつめて』 人生の問い
石垣りんの詩 -
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およそ半年かけてまずは読み通した。朝起床後の一時が頭に染み渡るのを経験してから、毎日少しずつ。小林秀雄の著作は、実はそれ程読んではいない。しかしずっとこころの奥には熾火のように何かが残っていたのだろう。
再挑戦しようと思ったのは講演集CDを手に入れたのがきっかけだった。当時氏の肉声を毎日徒歩通勤の途上聴き続けた。繰り返し何度も。氏の編集者だった池田氏の講演のAudibleで聴いた。
それでも氏の作品を読んでもこころに響いてこない。そんな時この著作(文庫)に出会った。しかし実際手にするまで日数があった。
きっかけは:学びの基本 考える教室 大人のための哲学入門:を読んでからだ。さっそく入手して、 -
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恐しみに出会った時に読む本。
一宮沢賢治、須賀敦子、神谷美恵子、リルケ、プラトン、小林秀雄、ユングらの、死者や哀しみ、孤独について書かれた文章を読み解き、
悲しみは排除すべきものではなく、人間を深くする経験であると語る。
「涙は、必ずしも頬を伝うとは限らない。悲しみが極まったとき、涙は涸れることがある。深い懇しみのなか、男気をふりしぼって生きている人は皆、見えない涙が胸を流れることを知っている。」
「人生には悲しみを通じてしか開かない扉がある。悲しむ者は、新しい生の幕開けに立ち会っているのかもしれない。単に、悲しみを忌むものとしてしか見ない者は、それを背負って歩く者に男者の魂が宿っていること -
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ネタバレ静かで力のある言葉がたくさんあった。
読め、書け、情報を集めるのではなく自分のうちなる部分で考えろ。しかし人生(本文中では信仰)は考えるより歩け、生きろ。そこからしかわからないことがある。
繰り返し言われているのは、語り得ない言葉(あるいはコトバ)の存在。そして、読むことの力。事実、若松さんは様々な詩や本を引用しながら書いているが、そこから思索を深めていく姿はまさに「読む」ということが「コトバを発する」ことに直結している姿を見せてくれている。
最後にちょっといい文章を引用しておく。
「やわらかな日の光にふれ、小さな呼吸をする。全身を小さな力が貫く。そのとき私たちは今日も生きてみようと、内な -
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「概念の鍵では「宗教」の扉は開かない。」P306
往復書簡してみてぇーって思った笑
宗教関連のテーマに沿って仏教徒とキリスト教徒がそれぞれ手紙でやり取りする形式になっている。持ち合わせている知識と考え方が非常に深い。そんな感想しか出ない俺が浅い。
結局、宗教は知識として勉強できるような類のものではなくて、それ自身を全身全霊で「生きる」ような飛躍が宗教の語りには必要になる。有無ではなく要不要に関わるから、現代社会のような道具としての宗教は本質を外していて「死せる概念」となってしまっている。イサク奉献のエピソードは、常に宗教観に影響を与えてくれそう。
俺の勘違いは以下の部分。
「宗教は -
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僧侶にして宗教学者としても著名な釈先生と、生まれる前からのキリスト者である若松さんが交わした書簡による対話。「話す」「施す」「笑う」など、挙げられたキーワードを宗教的視点で語り合う。
釈先生の書簡に対し若松さんが応えるという形式なので、どうしても後から述べる若松さんの意見のほうが強めに残る。個人的に興味深いと思ったのは「共同体」というテーマだが、いずれのテーマも一度のやり取りで終わる。深める、掘り下げるというところまではいかないのが少し残念。
私が本書で宗教の本質を垣間見たと思ったのは、最後に収録された対面での会話である。釈先生が述べた教え子のエピソードに対して、若松さんが「私たちの生は現 -
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日本経済新聞に2023年4月から2024年3月まで、「言葉のちから」として連載されたものから27篇を選び一冊の本にしたもの。
〝言葉〟の持つちから、面白さが詰まっていて、何度でも手に取りたくなる本でした。
一篇はどれも「誰かの言葉を引用した作品」になっており、例えば…
武者小路実篤『沈黙の世界』より引用
──言葉の世界に住んでいると、沈黙の世界がなつかしくなる
など、作家や哲学者の言葉が多く取り上げられている。
他に面白いと思ったのは、
『念い(おもい)を深める』
の一篇で「おもい」を表現する漢字が沢山あるということ。
思い、想い、意い、憶い、惟い、顧い、懐い、忖い、恋い…
それらを熟 -
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八木重吉の詩集ですね。
八木重吉(1898~1927、東京生まれ)二十九歳で亡くなった近代詩の彗星。
編集は、若松英輔さん(1968年、新潟県生まれ)
生前に発表された詩集は『秋の瞳』一冊だけです。
自分で編集した『貧しき信徒』は、亡くなられてから発刊されました。それと、残された多くの『詩稿』とキーツ、ブレイクの『訳詩』から精選された詩集です。
いずれも短い詩は、『生きること、在るへの愛しみとかなしみに満ちている。人間の内奥にある霊性が、読む者にはたらきかけてくる。』と、編者が語り掛けています。
「胡蝶」
へんぽんと ひるがへり かけり
胡蝶は そらに まひのぼる -
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「贈与」や「利他」がタイトルに含まれる本が増えていますね。
現代に生きる私たちは、交換や利己によっぽど疲れているのでしょうか。
ただ「贈与」や「利他」に漂う胡散臭さがあるのも事実。
結局人間は純粋に利他的には生きられないのではないか。
最近、私の考えていたことです。
この本を読んで、その考えは合っていると感じるとともに、
利他は意図せずしっかりと存在することも実感できました。
それは自分という器を誠実に生きるということ。
自分が全力になれることを全力でやることが、人類の歴史や系譜に奉仕することになるという作家・磯﨑憲一郎さんの言葉は、私たちの迷いを幾分和らげてくれるのではないでし -
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いまこうして言葉にするのがとても難しいです。
どんな言葉を出しても、野暮ったくて、じれったくて。無理やり言葉にすること自体、どこか間違いのような気さえしてしまいます。
以前、Eテレの「理想的本箱」という番組で、「もう死にたいと思った時に読む本」の一冊として紹介されていた本書。その時の印象が強く、そう思った時に読んだらいいと思っていたけど、いつ来るかわからないし、「死にたいと思った時に読め」と言われる本とは、一体どういう本なのか、気がつけば、読む手が伸びていました。
一番心に残っているのは、「愛すること」と「悲しむこと」は表裏一体であるということ。愛することで、すでにその内側で悲しみも育んで