若松英輔のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
この詩集、読んでいて、あまりに愛しくて涙が出ました。
詩集で泣いたのは初めてかもしれません。
前作、『たましいの世話』のレビューにも書きましたが、若松英輔さんの詩には共感があります。
私もそう思うけれど、私にはとてもことばにできないことを見事に簡単なことばだけで美しい詩として表現してくれています。
日本で一番有名な詩人の谷川俊太郎さんがもし同じクラスの生徒だったとしたら、吹奏楽部で楽器を演奏しているかんじがします。
もう一人大好きな詩人、長田弘さんは美術部で美しい色彩に満ち溢れた絵を描いているような気がします。
そして、若松英輔さんですが、園芸部で植物に水やりをしたり、土に栄養をやったりし -
Posted by ブクログ
〈本から〉
社会を離れて自然に帰るとき、そのときにのみ人間は本来の人間性にかえることができるというルソーのあの主張は、根本的に正しいに違いない。
自然の声は、社会の声、他人の声よりも、人間の本当の姿について深い啓示を与えうる。
人間に生きがいをあたえるほど大きな愛はない。
一個の人間として生きとし生けるものと心を通わせるよろこび。ものの本質をさぐり、考え、学び、理解するよろこび。自然界の、かぎりなく豊かな形や色や音をこまかく味わいとるよろこび。みずからの生命をそそぎ出して新しい形やイメージを作り出すよろこび。ー こうしたものこそすべてのひとにひらかれている、まじり気のないよろこびで
い -
Posted by ブクログ
行政には、楕円形のように二つの中心があって、その二つの中心が均衡を保ちつつ緊張した関係にある場合に、その行政は立派な行政と言える。 大平正芳
(引用)いのちの政治学 リーダーは「コトバ」をもっている、著者:中島岳志、若松英輔、発行所:株式会社 集英社クリエイティブ、2021年、253
本来、危機的な状況に陥ったとき、一国のリーダーの発する言葉は、とても重たいはずだ。時としてリーダーは、新型コロナウイルス感染症拡大時における都市封鎖(ロックダウン)や飲食店の営業時間短縮要請など、国民に対して厳しい措置を取らなければならない。いや、国民への影響だけに留まらない。一国のリーダーであれば -
Posted by ブクログ
なかなかの良書です。リーダーの言葉が重要視されるなか、自らの言葉で語り、統計上の「命」ではなく一人ひとり「いのち」に向き合った人物として、①聖武天皇、②空海、③ガンジー、④聖フランシスコ、⑤大平正芳、を取り上げて論評しています。
コロナ禍での独・メルケル首相の演説はつとに有名ですが、(原稿の棒読みではなく)こうした言葉が出てくるのは、「無私」であり他者の痛みが分かったうえでの「利他」であると論じています。
いずれの人物についても、歴史背景や文献・原典を精緻に考証しており、良心的な記述の読後感は「清涼感」という印象です。「終章」の結論として、「すべてのいのちを生かすために重要なのがリーダーの選び -
Posted by ブクログ
筆者の豊かな読書経験から、単なる「読み方」や「読書の効能」に留まらず、そこから人生に行き詰まった人への指針にもなる本であった。
個人的にはハウツー本やネット、SNSといった短く、すぐ結論がわかるようなものを多く読んでいた時期にこの本に出会った。筆者が言うところの浅い呼吸ばかりしており(筆者もそれ自体を否定していない)、深い呼吸ができていなかった。本を多く読むよりも深く読むことが重要である。ではそのためには何が必要か、「深く読むためには深く書く必要がある」のだ。この本で紹介された本を購入した。難しいものも多いが、「たましい」と対話して読みたいと思う。各篇それぞれに味わいがあり、すべて紹介できない -
Posted by ブクログ
言葉とコトバ。
言葉と沈黙。
生と死。
「と」という「あわい」に漂う、曰く言い難い何かを手探りで探すこと。
言葉を介して、あるいは、沈黙を介して、みえない友人とつながること。
じっくり考えていると、日常の狭い柵の中で埋没するように生きていた自分が、息を吹き返してつながりのなかに解放されてゆくのが感じられる。こうして感想を書きながら、自分の中で正体を変えてゆく自分の蠢きが、わかる。
そういう本にまた一冊、出会うことができた。
若松先生の言葉に直に触れた子どもたちは、その後、どんなことを感じながら生きているんだろう?
たくさんのプラトンたちのコトバも聞いてみたいと思った。 -
Posted by ブクログ
哲学に興味が出てきたので、入門として読みました。4章構成で読みやすく、入門にこの本を選んで正解でした。
プラトン、ソクラテス、デカルト、ハンナアレント、日本人では吉本隆明が登場します。
著名な哲学者の著作や言葉の一部が随所ででてきますが、正直なところ、読んでも何を言っているのかあまりわかりませんでした。
そこで終わらずに、著者の若松英輔さんがそれはどんなことを言っているのか端的に伝えてくださるので置いてきぼりにならず、楽しみながら読むことができました。
この本を読んで、本を読むということは自分の中に問いを持つこと、著者と会話することなのだと知りました。
哲学への姿勢というのも、僅かですが -
Posted by ブクログ
東日本大震災のとき、何も出来なくてもどかしかったこと、今回のコロナでむしろ動けなくなって、自分がダメになりそうだった。今まで「自分に武器を持ちなさい」と諭され、生き抜く事ばかりに執着していた自分が、武器も使えない、増やせない状況で気がついたのは、筆者と同じ「弱い自分をうけいれる」ことだった。もう自分は生きていて、揺るがないものがどんな形で、自分がどんな人間が認識することが必要なんだろう。と思った。若松先生の詩や文章はじっくりと自分と向き合う姿が伝わってきて好きだし、神谷美恵子さんの著者の解説などもとてもわかりやすく、過去の翻訳家だと思っている。そんな先生が、等身大の自分を曝け出したこの本はある
-
Posted by ブクログ
ネタバレ『苦海浄土』はまだ読んだことがない。まだそこまで手が出ない。熊本という場所に生まれ育ち、小さいころからその病の名前を聞いていて、石牟礼さんの名前もどこそこで聞いてきたのに、ようやくそちらに意識が向くようになったのは最近のことだ。
このあいだ、高群逸枝さんについて書かれた(というか厳密にはそのご主人との交流の部分が大きかったが)本を読んで、石牟礼さんにも最初の一歩というものがあったのだという「親しみ」のようなものを感じ、ようやくすこしだけ近づくことができてきたような気がする。でも、まだ全集を手に取るには畏れ多い。そんな私みたいな人間が入門書としてこの本を手に取るのは非常に有益だと思った。
そし