若松英輔のレビュー一覧

  • 「利他」とは何か

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    利他の最大の敵は、「これをしてあげたら相手にとって利があるだろう」という「私の思い」に基づいて、特定の目的に向けて他者をコントロールしてしまうこと。利他は本来、「自分の行為の結果はコントロールできない」「見返りは期待できない」という数量化し得ない、意味から自由な「余白」が原則である。

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    2025年01月02日
  • イエス伝

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    キリスト教については、通り一遍の知識しかなく、信仰しているわけでもない。だけれど、ヨーロッパを知るためには必要不可欠だし、これだけ世界中の人たちが信仰する宗教について、何も知らないということに、恥ずかしさを感じる。それとは別に、若松さんの穏やかさを見聞すると、キリスト教について単純に知りたいと思い、手にした。
    聖書を読み込んだわけではないけれど、今回初めて知ったことが多かった。聖書には書いてないが、後世のイメージで勝手に解釈していることがあると知った。言葉とコトバを若松さんは使い分けながら、イエスについて語っている。若松さんと同じ感覚とはいかないまでも、読んでいくうちにコトバの感覚が分かってき

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    2025年01月01日
  • 悲しみの秘義

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    名著の言葉を引用しながら、悲しみや喪失について書かれた26の文章。
    ひたすら悲しいし、著者ご自分の体験なんて胸が締めつけられる思いなのに、読みながら不思議と自分の悲しみに寄り添ってもらっているような感覚でした。

    俵万智さんの解説にある「本書を開くと、日常とは明らかに違う時間が流れはじめるのを感じた」にとても共感します。

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    2024年12月30日
  • 「利他」とは何か

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    東京工業大学のなかにある人文社会系の研究拠点「未来の人類研究センター」に集まった研究者のうち、「利他プロジェクト」の5人のメンバーでそれぞれ<「利他」とは何か>について執筆したものをまとめたものが本書です。発刊は2021年。

    「利他」といえば、「利己」の反対の行為で、つまり自分の利益を考えて振舞うのではなくて、他者の利益になるように助けてあげること、力になってあげることとすぐにわかるじゃないか、とせっかちにも僕なんかはすぐに答えを出してしまったりするのですが、本書を読んでみると、一言に「利他」といっても、たとえばそこに「利己」が裏面にべったりとひっついていることがわかってきて、かなり難しいの

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    2024年12月29日
  • 詩集 美しいとき

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    タイトルに相応しい美しい言葉で紡がれた詩集だった。表題作が中盤と後半に二篇収められていて、一言一句同じ内容なのに響いたのはIIの方の詩で、あとがきを読んでから腑に落ちた。”詩集を読むとは個々の作品だけではなく、流れのなかで、意味という見えないコトバを感じる営みなのではないかと思うのである。”に全く同意する。


    美しいとき II

    あなたといるとき
    わたしは
    自分のことを
    忘れていられる

    自分らしくあろうとすることや
    うまくいかないことも
    明日や未来や
    不安や不満も
    忘れている

    懸命に
    生きようとさえしないまま
    今だけをじっと味わっている

    しあわせか
    どうかも 考えず
    ただ 今

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    2024年12月23日
  • キリスト教講義

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    クリスマスも近いし、キリスト教について少し詳しく知りたいなと思い手にした本。若松英輔さんのような穏やかな雰囲気を作れるのが、キリスト教というものであれば、ぜひ知りたいと思いました。対談形式のため、読みやすく、お二人の熱を感じられました。
    巻末にブックリストもついていて、今後時間をかけて読んでいきたいなと思います。

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    2024年12月18日
  • 言葉を植えた人

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    若松の文章は上手過ぎて、読んでいて気恥ずかしくなったり、数頁でお腹いっぱいになったりすることもしばしばだが、それでも読んでしまうだけの内容がある。本書の場合はじめの50頁ほど、特に志村と石牟礼について綴った部分が印象的で心に残った。

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    2024年12月03日
  • 探していたのはどこにでもある小さな一つの言葉だった

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    書く 読む 聞く 対応する 仕事する
    出来るだけ丁寧にしたい

    石垣りんの詩集を読み返したくなった

    探しているものが見つかる ーだろうか
    見つけたときに合点がいく 歓びが生まれる

    思う 想う 意う ーおもいを使い分ける 思いつかなかった


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    2024年11月30日
  • 悲しみとともにどう生きるか

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    ネタバレ

    未解決事件の遺族である入江杏さんが主宰する集まりの場「ミシュカの森」。
    そこへ招かれた方々が「悲しみとともにどう生きるか」をテーマに様々に語ったことをまとめた一冊。

    六人の方それぞれの悲しみに対する向き合い方に考えさせられたり理解が深まったように感じたり。

    第4章東畑開人さんの「アジールとアサイラムとパノプティコン」という話が興味深かった。避難所と収容所。シェルターと管理所。
    そしてその後の対談の中で「自分の物語を物語ることによる癒し」という話がなされます。河合隼雄先生が物語によって生きる力や癒しを得られるというようなことをいくつかの著作の中で語られていたことを思い出しました。
    読みながら

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    2024年11月20日
  • はじめての利他学

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    「利己的」の対極にあるものとしての「利他」のイメージで読み始めたら、それとは少し違うものでした。
    空海や最澄による利他。
    孔子が語る利他。
    キリスト教の教えにもみられる利他。
    とても哲学的なお話でした。
    最澄と空海でも利他の捉え方が少し違ったり、特に儒教における「利」と仏教における「利」の捉え方の違いになるほどと思いました。

    お金を稼ぐことや事業で成功すること、経済がどんどん発展していくことばかりが注目されている今の世界で、
    「人間は、自然に対する利他を真剣に考えねばならないところに来ているからです。」
    とおっしゃり「利他」について語られる著者の思いがとても心に響いてくる本でした。

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    2024年10月20日
  • ひとりだと感じたときあなたは探していた言葉に出会う

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    若松さんの本は2冊目かしら、最初の一冊よりグッときた!言葉とか誰かの思想とか、神様とか、自然とかそういうものに救われて生きてるな〜って思った。

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    2024年10月05日
  • 読書のちから

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    ネタバレ

    この本を読んで得たものを、言葉にしようとすると、まるで取り繕ったようになってしまう。
    なので一番心に刺さった箇所を引用させていただきます。


    “今も苦しみは、前ぶれなく私の人生を訪れる。その嵐の渦中にあるとき私は、「いったい、いつまで、いつまで、あした、また、あしたなのでしよう。どうして、いま、でないのでしょう。なぜ、いまこのときに、醜い私が終わらないのでしょう」というアウグスティヌスのうめきの祈りを思い出し、私のみじめな讃美を神に捧げるのである。”


    姿がかき消えたら
    それで終り ピリオド!
    とひとびとは思っているらしい
    ああおかしい なんという鈍さ
    みんなには見えないらしいのです
    わた

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    2024年09月26日
  • ひとりだと感じたときあなたは探していた言葉に出会う

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    人は、己れに必要な言葉を身に宿して生まれてきたように感じられる

    この本に書かれているこの言葉
    身に宿して生まれてきた言葉というのが本当にあるのなら、その言葉を見出せた人は迷うことなく歩いていける

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    2024年08月08日
  • 自分の人生に出会うために必要ないくつかのこと

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    名言たくさんでガンガンメモりました!!引用されていた本がどれも読んだことのない本ばかりで、ただただ無知の知を感じさせられた…人生生涯勉強だなぁ。

    p.36 知を蓄える。すると人は無意識に知において貧しい人を軽んじるようになる、とメーテルリンクは警告する。知だけではないのかもしれない。私たちは何かを必要以上に蓄え始めるとそれを持たざるものを軽んじるようになるのかもしれない。
    メーテルリンクは、知に優れた人だった。それゆえに知の危険を深く自覚してもいた。彼はこの言葉を、他者に向けて書く前に、自らの胸に突きつけている。そうした姿勢が、この本を、世紀をこえて力あるものにしている。同じ作品で彼は、何

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    2024年07月12日
  • 自分の人生に出会うために必要ないくつかのこと

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    初めて随筆集というものを読みました。
    全て違う人の本から引用し、書かれていたので、勉強になりました。

    ブックリストにある本を見つけて読んで、深めていきたいと思います。

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    2024年07月03日
  • 「利他」とは何か

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     中島は人間の意思に還元できない利他的行為が存在するのだと言う。利他が宿る器になるために我々がすべきことはなんだろうか。

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    2024年07月01日
  • 本を読めなくなった人のための読書論

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    人生のうちで、本が読めない時期があってもよいのだ、といわれてほっとした。
    本は全部読まなくてもいい、その時に読めるところを読めば、それがその人にとっての意味ある読書だ、とのこと。そう言われて、この本の後半はパラパラでめくって終わりにしました。

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    2024年03月30日
  • 悲しみとともにどう生きるか

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    いろんな視点から「悲しみ」について書かれており、とても良い本でした。
    大小あれど悲しみのない人生なんて存在しないと思います。そんな悲しみに寄り添ってくれる本でした。

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    2024年03月12日
  • 「利他」とは何か

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    うつわ的存在であることが大事

    今までは、「意思」という概念を使って帰責(その人に責任を押し付ける)ことが責任の概念のコアだと思っていたけど、國分功一郎さんは、中動態の概念を用いることにより、その「意思」を否定することで、神的因果性(人は運命に巻き込まれて行為させられる、あるいは、自らの行為かわ思ってもいなかった効果をもたらしてしまうこと)と、人間的因果性(その行為をその人間がなしたこと、加害者として人間を捉える)の両方を肯定し、責任を考えることができるという考え方には感銘を受けた。

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    2024年03月11日
  • NHK「100分de名著」ブックス 石牟礼道子 苦海浄土 悲しみのなかの真実

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    先日、石牟礼道子の「苦海浄土」を読み深く心を動かされた。多くのことに心を動かされたが、とりわけ、第三章と第四章の「聞き書き」の部分、特にその中でも、水俣病の被害者が、まだ海が汚染される前の水俣湾での漁の様子が、どれほど美しいものだったかを語った部分に感動した、ということを、「ブグログ」に感想として書いた。水俣病の被害者からすれば、漁をし、魚を食べるという日常を営んでいただけなのに、チッソの排出する有機水銀により、海が、魚が、そして、それを食べた者の中枢神経が損なわれるというのが、水俣病の実態である。それは、怖いし、悲しいし、怒りや恨みを感じることだと思う。しかし、「聞き書き」の中で被害者が語る

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    2024年03月11日