若松英輔のレビュー一覧
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NHK「こころの時代」を興味深くチェックするようになったのは、本書のもととなった放送を見て以来。よって、本書の購入は記念的な意味だったが、各先生が放送で語られたことを一歩深めて書き下ろしているコラムが追記されていて、より深まった。
”カルト”について考察を進めると、宗教と国家、社会における個人へと問いがつながっていく。その過程が平易な語りでなされているのは、どの先生方も当事者として、危機感をもって関わってきてたからだろう。こうした番組が多くの人の目に留まり日本社会の宗教リテラシー向上につながることを願う。
①カルトの定義②宗教と国家の歴史的把握③宗教間対話の可能性④宗教の意義、役割 -
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そうそうたる顔ぶれがそれぞれに「利他」について説いているんだけど、何となく見えてくるものがある。特に、伊藤亜紗と中島岳志の利他論に学ぶところが大きい。すなわち……。
利他とは、人のためになることのようなとらえ方が一般的だと思うけど、それを意識的にするのは「利他」ではない。何らかの気持ちのメカニズムが働くにせよ、本人的には説明がつかないうちに、自分のためでなく動いてしまうことが利他なのだ。
一生懸命に利他的なよき人物であろうなどと努めてしまうが、そんなことを考えているうちはまだまだということだろう。考えてみれば、利己的な言動だってわざとそうしているのではなく、自然とそうしてしまうからこそ利己的な -
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「読む」「書く」「思想」「かなし」「こころ」「たましい」…
様々な話題が尽きない。
本書を開いて読み始めた感覚としては、道を歩いていたら牧師さんに突如話しかけられて、なぜだかいつのまにかものすごく聞き入ってしまっている、といった感じだ。
難しい部分もあった。けれど沁みた。何回か読み返した部分もあった。幾たびの出会いをくれる本だった。出会についても言及されていたなそういえば、とも思う。
体の中に魂があるのではない、魂の中に体があるのだ。道理だと思う。
感想はこれだけではすまないけれど、うまく言葉にまとまらない。なにせ膨大な出会いがあったのだ。
読んで良かった。この人の本に、他にも出会いたい。 -
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言葉の持つ力について、考えさせられた。著者の言うことは、自分にハマっている。
読書することは、孤独になること。孤立ではなく。自分に向き合う時間になる。でも、言葉を書くことは、もっと自分に向き合う厳しくも慈しみ深い時間である。と、理解した。
そのほかにも、沢山の言葉が心に響いてきたのでメモしておく。
「さようなら」と彼は言いました。
「さようなら」と狐は言いました。
「僕の秘密を教えてあげよう。とても簡単なことだ。心で見なくちゃよく見えない。大切な事は目には見えないんだよ。」
「大切な事は、目には見えない」と、小さな王子様はよく覚えておこうと繰り返しました。
「君のバラをそんなにも大切なもの -
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神谷美恵子の「生きがいについて」を解説、解題し、神谷美恵子の思いを共感させる。原本を読むだけでは気づかなかったことを気づかせる。これは、若松英輔にしか書けない本である。
石牟礼道子との共通点の指摘は、やはりそうであったかという直観を後押ししてくれる。圧倒的かつ敬服するバイタリティの二人の女性である。現代において、この二人を取り上げてくれた、この本の有難さを思う。
「クワトロ・ラガッツィ」を書いた若桑みどりも言っているが、人間の価値は自己の信念に生きることである。
今年4月に東村山の国立ハンセン病資料館に行った。知らなかったことが山のようにあった。再版された「いのちの芽」は、生きる喜びと尊 -
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若松英輔さんが繰り返し引用する、石牟礼道子(いしむれみちこ)さんの「苦海浄土」や神谷美恵子さん、小林秀雄さんの作品とともに、読むこと、人生の目的について語りかける文章がやさしく心に届く。
ショーペンハウエルの「読書について」にまつわる読書における「過ぎたるは猶及ばざるがごとし」についての文章が興味深い。
まえに「読書について」を読んだとき、"多読に人生を費やす人間は自分で考える力を失う"の文章を読んで悲しくなって読書の意味ってなんだ?読まずに1人で考えた方がいいのか?とわからなくなっていた。
思索(≡咀嚼)しながら読むことで、紙に書かれた思想の足跡以上のものを見て、未知な