仲正昌樹のレビュー一覧

  • 悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える

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    コンパクトながら大変読み応えがあった。

    全体主義やそれに対するアーレントの分析、批判。
    悪は誰にでも宿りうるという、一部の人に受け入れ難い考察。
    わかりやすさに溺れない、無思想性な服従に陥らない必要性。

    知的に誠実であり続けることは容易ではない。ましてや社会全体でそれを維持し、全体主義に陥らないようにするにはなおさら。でも、勤め続けなければならないと改めて理解。


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    全体主義
    明確な定義があるわけではない
    ・大衆の願望を吸い上げる形で拡大していった政治運動、大勢
    ・ファシズムや社会主義の共通性を強調するために使われた言葉
    ・近代的自由主義を否定し、諸個人を共同体としての国家に完

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    2025年11月09日
  • ネットリンチが当たり前の社会はどうなるか?

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    全体主義を肯定する輩は許せないと少しでもナチスに肯定的なことを言ってると受け取れば徹底的に攻撃し、その結果として攻撃してた相手とそっくりになるパラドックスを説く!

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    2025年10月31日
  • 悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える

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    アーレントの導入本として。NHKのムック本はもう手に入らない感じなのでこれを。

    ハンナアーレントの主要な作品を彼女の人生と重ねながら解説する。必要な世界史の知識はときどき項目立てられていたり、注がついて読みやすい。主に全体主義の起源とエルサレムのアイヒマンが取り上げられている。

    今回の読書経験を英語授業に無理やり紐付けるのであれば、批判的な思考を持ち続けることの大切さだろうか。これは複数性ということばで表現されている。英語教育が平和教育に関わるとしてもここが大切だろう。

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    2025年09月15日
  • 今こそアーレントを読み直す

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    とても面白かったです。
    ハンナアーレントという人、その思想に関する本を初めて読みましたが、共感できるところが多かったです。

    本文中で、ギリシャの都市国家ポリスの市民たちは、自分の私的な利害を除いて、全体のための善を討論していた、そこに複数性があること、人間性を見出している旨の話が出てきます。

    それが本当にポリスの時代に実現できていたかは置いておいて、私達の生きる現代において、それは国家的な政治においても、もっと小規模な、普段の生活に密着した集団においても、アーレントの理想とするような思考、つまり私的利害を超えて討論し、複数性を持った方策を導くということは、できていない場面がほとんどじゃない

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    2025年06月17日
  • 悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える

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    アーレントは全体主義は大衆の願望を吸い上げる形で拡大していった政治運動と捉え、大衆自身が、個人主義的な世の中で生きていくことに疲れや不安を感じ、積極的に共同体と一体化していきたいと望んだからと考えた。
    ナチスを反ユダヤ主義を例にして、アレントが全体主義を考察した解説本。
    今、また世界は大衆として安易な解決に飛びつき、また、「敵」を排斥しようとしている。
    他者意識を認識し、議論していき、思考していくことの大事さを学んだ。
    色々身につまされる話。

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    2024年04月09日
  • 現代哲学の最前線

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    近代哲学をある程度学んだ後にこちらを読むと点と点が一気に線となる感覚を得られて気持ちが良い…
    巷に溢れかえる哲学入門書では到底得られない知識の深さと広さ、読みやすさで、何度も読み返している。
    個人的に薦めたい哲学系新書No.1だが、結構難しいとの口コミが多く、初心者に薦めていいものか悩ましいところ

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    2024年01月03日
  • 集中講義!日本の現代思想 ポストモダンとは何だったのか

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    つねに皮肉っぽい書きぶりであるが、それぞれの時代の思想業界界隈の様子がうかがえて面白い。著者による整理だけに囚われてもいけないが、様々な日本の思想家の文章を読むにあたって、それが書かれた背景をある程度イメージできている方がよいので、こういった本はありがたい。

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    2023年12月01日
  • 悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える

    購入済み

    サイドにおいて

    ハンナアレントの著書にトライしているが不完全燃焼。勉強不足なので、とってもためになった。今こそ考えよう

    #タメになる

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    2023年11月04日
  • 統一教会と私

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    ネタバレ

    哲学、現代思想の分野で多くの著書を持つ作者の人となりを知りたくて購入。本書は仲正氏が東大入学直後に原理研(統一教会の学生組織)に勧誘されて参加し、11年後に脱会するに至った経緯を中心に、幼少時から現在までの半生を振り返った自叙伝である。自らの不安、迷いなどその時々の心の動きを実に率直に語っている。折しも統一教会の多額献金や信者家族のトラブル、自民党との癒着の構図などが問題になっているが、(元)信者の立場からはどのように見えていたのかを知る一助となり得る。それにしても統一教会の「お父さま」「お母さま」たる教祖夫婦のキンキラキンの服装や高飛車でえらそうな物言いを仲正氏のような批判的知性の持ち主がう

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    2023年09月06日
  • 悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える

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    今の日本も何となく全体主義化してるんじゃないかなぁ、と思い勉強のため購入。凄く丁寧で具体例により分かりやすく説明してくれるので助かった。
    テレビでは政府への批判を聞く事もめっきり減り、政府も答えたくない質問には「回答を控える」で許される。フォアグラのガチョウの様にバラエティばかり朝から晩までこれでもかと見せられ愚民化政策が進み、「分かりやすさ」ばかりが求られる時代の危うさ。議論と言っても議論が深まる事もなく勝ち負けを決めるケンカのようなモノばかり。大衆化をヒシヒシと感じます。そんな世の中で解決策はと言えば「複数性に耐える」と言われてもムリ。実際しんどい。読み終わっても問題の大きさ深さに暗澹とす

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    2023年08月02日
  • マックス・ウェーバーを読む

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    面白いポイントがありすぎて、メモしすぎた(思考の整理学を読んだのにも関わらず)。

    合理化と非合理化の二項対立で考えるのではなく、その狭間を見ていきたいところ。

    プロテスタンティズムによる非呪術化の影響はかなり大きい。

    禁欲+公共の福祉の最大化+それによる富裕+天職感

    こう生きるべきだよねっていくシステムの前では個人の生き方を変えるのはなかなか難しい。これは資本主義というシステムに限らないと思う。以前読んだフーコーの話も同じように解釈することができるんじゃないか?

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    2023年03月23日
  • 人はなぜ「自由」から逃走するのか

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    自由の背景にある孤独と不安について深く理解できた。

    自由は非の打ち所がない概念のような印象を受けるが、その背景には孤独と不安が隠れている

    消極的な自由は人に孤独と不安をもたらし、それは人を権威的なものに従属させてしまう

    それはサディズムでありマゾヒズムでもある
    そしてそれらが生み出す権威主義的な思想はファシズムにつながっていく

    では、積極的な自由とは何か?
    それは個人の能力を伸ばし、成長と幸福を感じることができる自発性のあるものである

    故に飢餓の恐怖などはBIなどで排除した上で労働を促さなければならない

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    2022年09月20日
  • 悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える

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    とても読みやすい本。全体主義思想、ホロ・コーストがなぜ起こったのか、大衆の心理についてハンナ・アーレントの思想を読み解く。
    エルサレムのアイヒマン(数百万人のユダヤ人の虐殺を執行した人、「法」に従ったのみだと主張した)の話に至るまでの最低限必要な知識が順を追って書かれているため、世界史に詳しくない人にもオススメ。
    不安が広がると単純でわかりやすい思想に流れがちというのは現代にも通じる話。二項対立で善悪を決めつけるのではなく「複数性」を持つことが大事だと解く。アンナ・ハーレントが世間からの批判を浴びる覚悟で当時持論を展開したことに尊敬の念を抱く。アンナ・ハーレントを英雄視することもまた単純な二元

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    2022年08月09日
  • 日本とドイツ 二つの戦後思想

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    日独戦後思想を戦争責任や国家といった観点から比較概観している。第二次大戦後、同じ敗戦国としてその後の国家形成はしばしば比較されがちだが、もちろん類似点はあるものの思想・イデオロギーの観点から比較すると違いもたくさん見えてきて面白い。自然な結論にはなってしまうが、やはりドイツのナチズム・ホロコーストは戦後に徹底的な批判検証と自省がなされていることが大きな違いを生み出しているように感じた。

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    2022年04月24日
  • 悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える

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    ハンナ・アーレントの本を読みたかったけれど、難しそうだったので解説書から読むことにした。
    アーレントの人生史や時代背景の説明をしながら、アーレントの考えについて解説されていたので、歴史に詳しくない私としてはとても読みやすかった。

    全体主義の危険性を終始説いていたが、第二次世界大戦のドイツがなぜそのような思想に陥ったのか、そして現代の我々においても全体主義のリスクがかなり潜んでいることに気付かされた。

    複数性に耐え、わかりやすさの罠にはまってはならないとと言われていたけれど、このマインドを維持するのは、本当に忍耐のいる作業だなと感じた。

    成長は自分を傷つけることだという考えにも似ていて、常

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    2021年09月20日
  • 教養としてのゲーテ入門―「ウェルテルの悩み」から「ファウスト」まで―(新潮選書)

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    ゲーテは東洋的な見方をしていたなどという根拠のない知識を抱いていた。

    また、『ウエルテル』や『ファウスト』を読んでも、いまいち何が言いたいのかピンとこない。いわゆる西洋の文学とは違うが、かといって歴史を画する意義を持つ作品とは思えなかった。

    そのような私が本書を読んで、ゲーテ、恐るべし、という感慨を抱いた。ゲーテは一筋縄では扱えなかったのだ。時代の要請に存分に挑みつつ、皮肉も含め、彼なりの心情を正直に表明していたとは。

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    2021年09月10日
  • 悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える

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    アーレントの思想を知る際に、最初に読むべき本。現代の文脈も挟まれており、分かりやすくて挫折しない。

    現代社会にも見られる「排外主義」は非常に恐ろしいイデオロギーで、そのことはまさにナチスの歴史を見ればよく分かる。陰謀に惑わされ、思考をやめてしまうことがどれほど危険なことなのか、アーレントによる全体主義の考察を読めば痛感させられる。

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    2021年05月06日
  • 現代哲学の最前線

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    とてもよくまとまっているので、卒論でほんの少し哲学に言及する場合には役立つであろう。この本からその原典を参照できるからである。5つにテーマを絞ったこともわかり易いことの理由である。

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    2021年04月19日
  • マックス・ウェーバーを読む

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    たびたび出てくる訳文の傍点が不快で、ずっとウェーバーには挫折してきた。この本を読んで、初めて、ウェーバーの思想が少しわかった気がする。そりゃ有名なわけだ、と、ウェーバーの洞察力に感服。

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    2021年01月16日
  • 現代哲学の最前線

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    相変わらず驚異的な編集能力・要約能力を持ち合わせておられる。
    題名の通り、この本で20世紀の哲学の要点は大体掴むことが可能でしょう。
    単なるすぐれた要約にとどまらず、初学者が疑問に思うような点(例えばロールズの正義論の何が画期的だったか?というように)に視点を向けようと努力している点も素晴らしく、その意味で痒いところに手が届く感触があります。
    また個人的には思弁的実在論については無知だったのでとても勉強になりました。
    しかし、ある程度の前提知識を要求するような面があると思われ、全くの初心者がこの本を読んで理解できるかどうかは分かりません。
    著書もこの点に関しては本書の中で釘を指しています。

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    2020年12月08日