仲正昌樹のレビュー一覧

  • 現代哲学の最前線

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    E Oウィルソンの『知の挑戦』が解説される哲学関係の書籍というのはただそれだけで満足を得られたりする。


    期待して読んだのは第4章「心の哲学 「心」はどこまで説明可能か?」

    自分としては(大雑把にいって)自由意志と行動主義が同時に存在する感覚を、今ここで感じられること(事)が「こころ」と呼ばれるものだと思ってるのだけど、どっちかでないとダメみたいなところで議論しているみたいで、なんで両立しないのかが気になった。

    あと、たとえば視神経の2つの異なる系の存在や、そうした神経と脳の関係が生物の進化の過程でどのように獲得されてきたのかというあたりは哲学ではあまり考えていなくて、純粋な思考によって

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    2020年07月18日
  • 悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える

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    第二次世界大戦中にドイツからアメリカへ亡命したドイツ系ユダヤ人哲学者ハンナ・アーレント。彼女が執筆した『全体主義の起原』をはじめとした著書を通して、ナチズムやホロコーストを推し進める背景にあった社会の流れや大衆心理を説いていく。

    『蠅の王』(ウィリアム・ゴールディング)や『一九八四年』(ジョージ・オーウェル)を読んだときに感じた背筋がヒヤリとする感覚は、本書を通してかなり補完されました。

    ヒトラーが大衆心理を熟知し巧みに操り、自身の「法」に従うよう扇動していたのはその通りです。アーレントはさらに歴史的惨事が起こった時代背景として、政治や社会が混沌とし敵味方の見通しがつきにくい、将来が不安定

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    2020年06月21日
  • 悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える

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    本日第3章「大衆は「世界観」を欲望する」に読み架かりました。
    白眉は大衆を定義した箇所。

     政治的に中立の態度をとり、投票に参加せず政党に加入しない生活で満足している

    投票を棄権する人(大衆)は、平素はとりたてて不満がなく
    「ま、ひどいことにはならないだろう。」
    と楽観し、実際に(多少ズルをする人がいるかも知れないが)気楽に生きていく程度には不自由がないのだろうと思います。
    しかし、彼ら(大衆)が、世の中に不満を持ったとき、全体主義の再来が懸念される
    と言うことなのでしょう。

    日本では選挙のたびに、低い投票率が嘆かれますが、
    無理に投票に行かせると、極端な主張をしている左派か、右派のどち

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    2020年05月14日
  • 悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える

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    全体主義は突然変異だと思っていたのだが、ヨーロッパの歴史の中で産まれて来たのだとわかりびっくりした。アフリカを植民地支配したことにより優生思想、人種主義。金融業を独占していたユダヤ資本。国を持たない彼ら。歴史的に突き上げて来た差別意識が総合し、排他的というのか、あのナチスの全体主義が発生した。その中心を担った大衆の存在。ユダヤ虐殺の実行者の語った罪の意識の皆無。難しいが学ぶべきものが多い本であった。

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    2020年03月05日
  • ヘーゲルを越えるヘーゲル

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    ヘーゲル以降、ヘーゲルはどのように読まれてきたのか、また、ヘーゲルのキーワードはどのように受け入れられてきたのかを、一般的な解釈を交えながら記してあ理、これまでに読んだヘーゲルの解説書の中でも一番よかった。

    法哲学が中心に解説してあると勝手に誤解していたので買うのが遅れたが、もっと早く読んでおけばよかったと後悔。歴史、承認、自由といった取っ掛かりやすいキーワードを中心に書かれているため、そういった意味では「読みやすい」と感じた。

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    2019年11月12日
  • 悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える

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    ハンナ・アーレントの重厚な著作は、存在こそ認知しているものの手に取ったことがない。
    気にはなっている、しかし手に取るには様々な意味で重たい。しかし気にはなっている…
    そんな自分にとっては実にありがたい一冊だった。

    強烈なリーダーシップを発揮する独裁者が全体主義を作るのか?ここでは明確に「ノー」という答えが提示される。
    大衆の動きが作り出すものであり、またそのメカニズムに組み込まれた大衆はそのシステムから求められる行動が、規範が悪であるのかはもはや判定不可能になる。なんとも恐ろしい話であるし、遥か昔に片付いた話というわけではない。全体主義は隣で、自分の中で息づいているのだ。

    立ち止まって物事

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    2019年10月18日
  • 集中講義!アメリカ現代思想 リベラリズムの冒険

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    本書は、アメリカ現代思想を、ジョン・ロールズの1971年の「正義論」により打ち立てられたリベラルな政治哲学を中心にして、アメリカの政治状況と絡みつつ、各思想家、哲学者が、どのような必要にかられて自分の思想、哲学を構築していったのか、歴史的に述べている。そして、アメリカの哲学がいつのまにか、伝統的なフランス・ドイツ系の哲学から、哲学の主流を奪ってしまったことについての、納得いく記述、回答になっている。
    その哲学の主流の変化は、まずアメリカにおいて、文芸批評家ポール・ド・マン、ジョナサン・カラー等によりフランス・ドイツ系のポストモダンと言われた哲学が咀嚼、紹介され、盛んに研究された。一方、フランス

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    2019年07月08日
  • 集中講義!日本の現代思想 ポストモダンとは何だったのか

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    明晰でよかった。ポモ思想の内在的な解説ではなくて、歴史的な話をきっちり説明してくれているからありがたい。翻訳、輸入の過程にはタイムラグも当然あるし、全部翻訳されるわけでもないし、受容のプロセスみたいなところはおさえておかないといかんよね。仲正先生の本をちゃんと読むのは初めてだったが、真っ当な解説という印象で、ほかの本とか、界隈での評価とかは詳しくないが、生産性がすごい。修論博論も厚い本にされているが、研究的な話はどうなのだろう。

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    2018年10月08日
  • 集中講義!日本の現代思想 ポストモダンとは何だったのか

    購入済み

    誰もが知るべき現代思想

    私は理系で、こういう思想とか倫理とか疎い人間なのですが、とても面白かった
    近代思想を超克しようとした思想の挑戦の歴史は、誰もが興味を持って勉強すべきなのではと思わされました

    私が特にとても興味を持ったのは、ヴァルター・ベンヤミンのファンタスマゴリー論とバタイユと栗本慎一郎の蕩尽論
    また読みたい本が増えてしまった

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    2018年08月17日
  • 悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える

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    アーレントから現代日本を生きる自分へ。
    知性を、対話を諦めてはならない。

    どの章も不気味なほど興味深かった。特にナチスの組織を扱った3章が怖い。

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    2018年06月21日
  • 今こそルソーを読み直す

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    近年、「人が自分らしく生きる」ということと、他の人との関係、そして組織や社会との関係に関心があって、そこから暴力とか、エゴセントリシティとか、成人発達とか、文化の違いとか、色々、興味を持って本を読んでいる。

    そういう中で、出会ったのが、ハンナ・アーレントで、彼女の言っていることに全面的に賛成しているわけではなく、一部大きな疑問を持っているとこもあるのだが、問題設定の仕方とか、思考のパターンとかにはかなり共感している。

    アーレントは色々なことを言っているわけだが、何かこうしたらいいという積極的な主張があるわけでは必ずしもなく、彼女の最大の関心は、「全体主義を避けること」で、その他のことは少々

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    2018年05月19日
  • マックス・ウェーバーを読む

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    まさにウェーバーが目指したように、抑制の効いた態度で、当時の時代状況を説き起こし、彼の思想の射程の深さを示す。これを機会にウェーバーをさらに深く味わってみたい。

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    2018年03月12日
  • 「みんな」のバカ!~無責任になる構造~

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    タイトルが変だから読み控えていたけど、読んでみたら面白かった。
    タイトルからして世の中の「みんな」に不満をぶつけて「こいつらほんとバカだよな(笑)」等感じなのかと思ってたけど、仲正昌樹なので当たり前だけど、そういう内容でなかった。

    まず「みんな」って誰? という定義から入って、「赤信号」や例をもとにして、日本における「みんな」とは誰かを説明しつつ、西欧思想史における「みんな問題」(全体主義など)を説明。「みんなの責任」とか、その中での主体のあり方(ない方)など、みんなみんなで一冊。監獄の誕生。

    「責任とは応答すること」で、「みんなが」とか「みんなやってるのに」という応答から「主体意識の解体

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    2018年02月05日
  • 集中講義!アメリカ現代思想 リベラリズムの冒険

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    アメリカの哲学の今がどういう風になっているのか見通すことが出来る。おおよそを見渡すのにはいい一冊。ここから細かいところへ入っていくいい入門書になっていると思う。

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    2017年12月18日
  • 集中講義!日本の現代思想 ポストモダンとは何だったのか

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    日本のポストモダンのごちゃごちゃした感じをすっきりと位置づけてくれるのである程度関連や位置関係が見やすくなる日本のポストモダンの総ざらい。柄谷、吉本、中沢、浅田などの有名所の言説と歴史的な背景、課題など含め書いてある。読みやすい。

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    2017年12月18日
  • 今こそアーレントを読み直す

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    今まで哲学にさほど興味もなかったワタシがハンナ・アーレントを読みたいと思ったのは仲正先生の話が本当に面白いと思ったから。この本は仲正先生がハンナ・アーレントをどういう風に捉えていて、それをワタシみたいな特別勉強をしたわけでもない普通の読者が読んでみて面白いと思えるようになっていて、そろそろ、ハンナ・アーレントの本にとりかかってみようかなと背中を押してもらった気がする。考えることが大切だから。

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    2017年11月07日
  • 日本とドイツ 二つの戦後思想

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    戦後60年、海外ではイラク戦争が起こった2005年に書かれた日本とドイツが辿った戦後思想についての本。こちらも『日本とドイツ 二つの全体主義』と同じく、思想史について手際よくまとめられている。目次は以下の通り

    第一章:二つの戦争責任
    第二章:「国のかたち」をめぐって
    第三章:マルクス主義という「思想と実践」
    第四章:「ポストモダン」状況

    第一章と第二章では、日本とドイツで戦争責任についてどう考えられていたのかが書かている。「一億総懺悔」で自国の被害者性を強調して、他国への加害者性が最近まで思考がいかなかった日本と、周辺諸国と隣接する領土を失い、東西に分割されてしまって新たに「国家」として出

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    2018年07月30日
  • 日本とドイツ 二つの全体主義~「戦前思想」を書く~

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    前年に出版された『日本とドイツ 二つの戦後思想』の続編だが、発売順ではなく、こちらの新書から読んだ。本書では、第二次世界大戦時に枢軸国側として参戦した日本とドイツが「国民国家」として成立する、1870年代から第二次大戦に突入する1930年代までの戦前の思想史を描いている。

    目次は以下の通り。
    第一章:近代化とナショナリズム
    第二章:二つの社会主義
    第三章:市民的自由と文化的共同性
    第四章:全体主義と西欧近代の超克

    本書では、非常に手際よく日本とドイツの戦前の思想史の比較がされており、ある程度、哲学と思想史を学んだ人にとっては頭の中の知識が再構成、整理されていく良い本だと思う。(個人的には哲

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    2018年07月30日
  • 今こそアーレントを読み直す

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    彼女に関する本は何冊か読んでるし、他の本でも名前を見るし、何だったらTwitterのTLでも名前が流れていきます。でも、彼女の著作を読んだことはない。そろそろ読んでもいいかなまだいいかなみたいに、彼女の思想と僕は微妙な距離感があります。

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    2016年10月02日
  • 今こそアーレントを読み直す

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    アーレントの著作である『全体性の起源』『人間の条件』「カント政治哲学講義」の議論を順に取り上げながら、彼女が説いた「人間」や「活動」という概念の持つ意味を、読者ができるだけ誤解しないよう、丁寧に説明してくれている。

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    2016年03月24日