仲正昌樹のレビュー一覧

  • 日本とドイツ 二つの全体主義~「戦前思想」を書く~

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    『日本とドイツの二つの戦後思想』の続編?という位置づけにあたるようだ。前作の戦後思想に関するもののように、活発に議論されるテーマでなかったせいか、著者独自の見解というものが極力示されておらず、1870年代~1930年代までのドイツと日本の思想の変遷を順を追って比較し、論じるにとどまったものになっている。

    前作の続編に位置づけられるのに、時代は遡っているという極めて異様な本書であるが、読み進めていくうちにこの後編を読むことによって、前作の理解がより深まっていくように感じた。

    戦前から戦後と順を追っていくよりも、戦後の結果を踏まえた上でより理解が深まるものであると計算して、このシリーズを書

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    2011年12月05日
  • 日本とドイツ 二つの戦後思想

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    日本とドイツ―戦後の対外政策においてよく比較の対象とされる両国であるが―では、よく「ドイツは周辺諸国にちゃんと謝罪したが、日本はアジアの国々に謝罪しない。けしからん」という主張が展開される。そうなるのはなぜなのか?、という素朴な疑問から出発している。

    著者によると、日本とドイツの戦後政策は地政学的要素・政治的要素・文化的要素などから、単純比較はできないし、すべきでないという指摘・批判が鋭くなされていた。メディアで展開されるような単純な比較の問題とは異なり、議論に深みがあり説得力を持ったものだった。

    ただ、途中のマルクス主義の日独比較あたりから、私の不勉強による教養の欠如が原因で、十分に

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    2011年12月05日
  • 集中講義!日本の現代思想 ポストモダンとは何だったのか

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    いろいろ十数年疑問に思っていたことがすっきりした。日本にフランス本家ばりのポストモダン思想家はいないし、マルクス主義もインフレ気味。全部借り物。借り物使って東京でごにょごにょ。5年前の本だけど、実は21世紀の大きな物語はイスラム抜きに語れないんじゃないの?とか。
    とりあえず、本屋の本棚で買うべき本が分かって良かった。

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    2011年11月09日
  • 今こそルソーを読み直す

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    養老孟司→内田樹→レヴィ=ストロースと読み進めてルソーに行き着いた。文明化された人間の理想の姿を「自然人」と定義したが、その思想には様々な矛盾もあると著者は指摘する。現代思想の基本的なパースペクティヴがなんとなく分かってきた。

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    2011年08月13日
  • 集中講義!日本の現代思想 ポストモダンとは何だったのか

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    [ 内容 ]
    1980年代、「ポストモダン」が流行語となり現代思想ブームが起きた。
    「現代思想」は、この国の戦後思想をどのような形で継承したのか。
    海外思想をどのように咀嚼して成り立ったのか。
    なぜ80年代の若者は「現代思想」にハマったのか。
    丸山眞男や吉本隆明など戦後思想との比較をふまえ、浅田彰や中沢新一らの言説からポストモダンの功罪を論じる。
    思想界の迷走の原因を80年代に探り、思想本来の批判精神の再生を説く。
    沈滞した論壇で唯一気を吐く鬼才による、異色の現代思想論。

    [ 目次 ]
    序 かつて、「現代思想」というものがあった
    1 空回りしたマルクス主義(現実離れの戦後マルクス主義;大衆社

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    2011年06月11日
  • 集中講義!アメリカ現代思想 リベラリズムの冒険

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    [ 内容 ]
    格差社会から地域紛争まで、喫緊の課題をどう読み解くか。
    現実的な社会変革をめざす思想として、近年注目されるアメリカ発のリベラリズム。
    社会全体の「平等」と個人の「自由」の両立を構想することで、自由をめぐる現代的課題を考察したロールズの正義論からリバタリアニズムにコミュニタリアニズム、ネオコン思想まで。
    リベラリズムを中心とするアメリカ現代思想のあらましを、時代背景とともに明快に解説し、日本をはじめ現代の思想状況にリベラリズムが与えた影響を探る。

    [ 目次 ]
    アメリカ発、思想のグローバリゼーション
    1 リベラルの危機とロールズ(「自由の敵」を許容できるか-戦後アメリカのジレンマ

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    2011年06月11日
  • 〈宗教化〉する現代思想

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    [ 内容 ]
    プラトン以降の西欧哲学・思想史において、“すぐれた哲学・思想”と思われているものが、いかに擬似宗教(形而上学)化の危険性と隣り合わせにありそのことが哲学者・思想家によってどのように問題化され、論じられてきたのか。
    本書では、現代思想に特に強い影響を与えたハイデガー、アーレント、デリダなどの論考をてがかりに、思想史の概観を試みる。
    新興宗教体験を持つ著者だからこそ、現代日本の思想業界に、“生き生きとしたラディカルな思想”を中心とした「真の共同体」を求めるかのような、擬似宗教化の風潮が生じていることが分かるのである。

    [ 目次 ]
    序章 擬似宗教化する現代思想と「私」
    第1章 「真

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    2011年04月09日
  • 日本とドイツ 二つの全体主義~「戦前思想」を書く~

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    ネタバレ

    [ 内容 ]
    国民性か?
    歴史の必然か?
    近代化の陥った罠を思想史から俯瞰する。

    [ 目次 ]
    第1章 近代化とナショナリズム(「国民」という思想 「国民」の“人為”と“自然” ほか)
    第2章 二つの社会主義(「労働者」の誕生と社会主義 国民国家と社会主義 ほか)
    第3章 市民的自由と文化的共同性(二つの戦間期 ワイマール共和国の大衆民主主義 ほか)
    第4章 全体主義と西欧近代の超克(脱西欧化と新保守主義革命 脱西欧化とアジア主義 「生存圏」の思想 「近代の超克」論 ロマン主義と「近代の超克」)

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章

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    2011年04月07日
  • 集中講義!アメリカ現代思想 リベラリズムの冒険

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    ロールズを中心に、大戦後のアメリカ政治思想が俯瞰できる本。
    当時の社会問題など時代背景とリンクさせることで、一見抽象的な議論が実感を伴って伝わるような構成になっている。

    アメリカに対して大味なイメージを持つ人にとっては、この本によって「アメリカの底力」を知ることになるだろう。
    リバタリアニズム-リベラリズム-コミュニタリアニズムという中心軸と、その周辺を回るポストモダニズム&プレモダニズムが複雑に入り組み、お互いを切磋琢磨している。
    アメリカが熱狂的に一方向に振れつつも、時間とともに冷静に回帰していくプロセスを我々は目にすることが多いわけだが、それはこうした「知的な厚み」に支えられているわけ

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    2010年09月13日
  • 「不自由」論 ――「何でも自己決定」の限界

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    [ 内容 ]
    グローバル化の進展につれて、何かにつけて「自己決定」が求められるようになってきた。
    その背景には、人間は「自由な主体」であるという考え方がある。
    しかし人間は、すべてを「主体的」に決められるわけではない。
    実際、「自由な主体」同士の合意によって社会がつくられるという西欧近代の考えは、ほころび始めてきた。
    こうした「ポスト・モダン」状況にあって我々は、どう振る舞えばいいのか?
    そもそも「自由な主体」という人間観は、どう形成されたのか?
    こうした問いを深く追究した本書は、近代社会の前提を根底から問い直す、新しい思想の試みだ。

    [ 目次 ]
    第1章 「人間は自由だ」という虚構(現代思

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    2014年10月27日
  • 集中講義!アメリカ現代思想 リベラリズムの冒険

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    これまで漠然とイメージしていたことが、本書を読むことでかなりクリアーになりました。例えば、「保守」や「リベラル」という言葉のアメリカでの使用法についてです(ちなみに、日本については、高原基彰『現代日本の転機:「自由」と「安定」のジレンマ』(NHK出版・2009)の整理が参考になると思います)。また本書では、思想の変遷を現実の政治・社会情勢の変化と関係づけながら辿るということを試みているのですが、そうした試みがアメリカ現代思想を理解するうえで多いに役に立ったと思います。

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    2010年05月21日
  • 集中講義!日本の現代思想 ポストモダンとは何だったのか

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    日本の1960〜2000年代頃の思想がまとめられてて読みやすかった。
    また、海外のモダニティ、ポストモダニティも要点がつかみやすくて理解がはかどった。
    日本のつまみ食いの輸入でいかにゆがんでいるのかがよくわかる。

    ただ、最後の筆者の総括はもう一歩踏み込んだものが欲しく物足りなかった。

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    2010年03月11日
  • 〈宗教化〉する現代思想

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     普遍的真理を探究し、誰にでも分かるように証明する「哲学・思想」には、もともと疑似宗教的な共同体を作り上げる傾向が付随する。ある一定の真理を得られたとしてもそれをもまた吟味して問い続ける営みが哲学なのだが、哲学が疑似宗教にはまってしまう危険性を、いかにして思想家(とくに現代思想家)たちが問題化としてきたのかを本書では思想史を概観しながら取り上げている(とはいえ、ハイデガー、ハンナ=アーレント、デリダがメインだが)。
     西洋哲学・思想史の流れとして、万物を遍く普遍的真理を探究し、その真理の名の下に世界や人間のあるべき姿や政治、科学などを説く、ソクラテスやプラトンに代表されるギリシア思想の流れと、

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    2010年01月10日
  • 集中講義!日本の現代思想 ポストモダンとは何だったのか

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    海外ではフーコー、バルト、日本では柄谷行人、蓮實重彦、90年代初めに少し遅れて私がはまった人たちですが、そういったいわゆるポストモダンの人たちが時代背景を含めて紹介されています。

    いろいろと懐かしく読みましたが、あれ以降代替わりとなるような人が出てきていないのは、あのカテゴリー自体がその時代に要請されたもので、やはり流行だったということなのでしょうか。それは少し寂しい気がします。

    それにしても浅田彰の文章は、それも流行であったのかもしれませんが、少し読むときにためらわれるほど気恥ずかしい感じがします。私だけ?

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    2009年12月26日
  • 「みんな」のバカ!~無責任になる構造~

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    「みんな」でやったことなのに、何故「私」が責任をとらなくてはならないのか、という、西洋的な個人主義の裏返し。「みんな」の範囲の不明確さ。自分が含まれている場合、いない場合、「みんな」以外の”みんな”とは。「みんな」を表象する記号としての誰か。法とは「みんな」の意思という前提。全体主義の本質は「自発的同調」。「みんな」を見失って「みんなはどこに」と自問し始めたら、それはもう「みんな」ではなく再現前化されたイメージとなる。

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    2009年10月25日
  • 〈宗教化〉する現代思想

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    信じようとする「宗教」と疑おうとする「哲学」。しかし、形而上なものは排除しきれないが、それを「信じ」ようとしてしまうゆえの宗教化。/無条件に受け入れられている「理性」/告白、告悔による司牧権力

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    2009年10月25日
  • 集中講義!アメリカ現代思想 リベラリズムの冒険

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    広範囲をきれいにまとめているため、あまり説明されていないけれど、9.11前後で思想があわてて混迷したり変容したり転向したりする必要ってそんなにあるのかなあ、そういう臨機応変に立ち回るのは政治家とかに任せておけばいいことじゃないかなあという点がよく分からなかった。

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    2009年10月07日
  • 集中講義!日本の現代思想 ポストモダンとは何だったのか

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    現代思想に至るまでの流れ、今時の大学生が文系学問やっていたら逃れられないだろうポストモダンとは。
    読めば読むほどあざとい書き方に思えてならない。わかりやすい。

    全共闘の最中の思想の動き、マルクス主義などからはじまる近代の学問の流れなどをさらっと復習、手はじめに読むには良い本ではないだろうか。
    普通に面白いよ、この本。

    僕の受け持った発表区分がそうだからかもしれないけど、全共闘の流れを理解するのには本当に役立った。小説で読んでもいまいちぴんとこないものではあったしね。なぜ今こそ革命がおきないのだろう。
    60年代ほど思想的に大衆を巻き込むのに難しい状況にはないと思われるのに。

    消費文化に毒さ

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    2009年10月04日
  • 〈宗教化〉する現代思想

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    プラトン以降の西欧哲学・思想史において、"すぐれた哲学・思想"と思われているものが、いかに擬似宗教(形而上学)化の危険性と隣り合わせにあり、そのことが哲学者・思想家によってどのように問題化され、論じられてきたのか。
    本書では、現代思想に特に強い影響を与えたハイデガー、アーレント、デリダなどの論考をてがかりに、思想史の概観を試みる。

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    2011年07月16日
  • 「不自由」論 ――「何でも自己決定」の限界

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    なんだかんだ言って面白いですよ。アレント、ハーバーマスなどのフランクフルト学派を引用しながら、近代的な主体の作為性を懇切丁寧に説く。左右両陣営の主張って、互いに対する脊髄反射の結果なのかもしれません。ネグリ=ハートの話は必要無いと思った。

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    2009年10月04日