仲正昌樹のレビュー一覧

  • 集中講義!日本の現代思想 ポストモダンとは何だったのか

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    学部時代、教養科目のドイツ語でお世話になった先生が書いた本。いまや金沢大学一の有名人かもしれません。
    「現代思想」についてわかりやすく説明されています。
    「専門」というものが、タコツボに陥っていて、その学問の作法をきっちり守っているというのはあながち間違いではないなぁ、と感じました。
    そういった「専門化した」学問の枠組みを超えられない思考法や単純な二分法を打破しようとする「現代思想」はそれが流行った80年代よりも現在のほうがはるかに有用だという指摘には思わず納得。

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    2009年10月04日
  • 「不自由」論 ――「何でも自己決定」の限界

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     ドイツフランクフルト学派のアドルノの「判りにくさ」の擁護とその根拠の展開。ハンナ・アーレントの「全体主義」と「人間性」の読み取りが、適度な深度で述べられている。その展開は、極度な人間性の尊重などという人権左翼好みのものではない。人間性の総体は、それが全体の縛りとなれば「全体主義」が成立するということであろう。アウシュビッツの元親衛隊員であったアイヒマンは、大悪党なイメージで語られるものとは違って、どこにでもいる平凡な役人であり、悪人の顔つきではないとするアーレントの言辞を取り上げて、悪は、ごく平凡な役人こそが、役人的根性で行うことで、成立するものであるとしている。尚、アイヒマンは、モーシェ・

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    2009年10月04日
  • 悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える

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    アーレント思想のポイントをとても分かりやすくおさえている。とはいえ本書が指摘するように「分かりやすく」ではいけないわけで。アーレントから考えていく。その出発点に最適だ。

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    2025年11月16日
  • 新版 集中講義!アメリカ現代思想 リベラリズムはどこへ行くのか

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    アホなので中盤くらいからよく分かってないがとりあえず最後までは読んだ。色々とガタが来ていたアメリカ的なリベラルを立て直すためにロールズの正義論があって、そこにリバタリアニズムやコミュニタリアニズムから反論があって…みたいな流れやった気がするけど、コミュニタリアニズムくらいから色んな人が色んなことを言いだしてもう分からない。思想をまとめるというのは大変なことです。



    まあでもリベラルとかネオコンとか、言葉しか知らんものがなんとなく分かったのは良かった。貧乏な白人が何にキレてるのかも分かった気がするし、フェミニズムとかそういう運動にリベラルな人たちとラディカルな人たちがいるのも勉強になった。

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    2025年06月22日
  • マックス・ウェーバーを読む

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    ウェーバー読んだ事ないし、哲学とかほとんど読んだ事ないし大丈夫かなと思いながら、でも入門書だし、と思って手に取った。はっきり言って難しかった。調べながら1日4、50ページとかの超スローペースで読んでなんとか理解できた。

    ウェーバーの論考を読んで感じたのは、彼の思想が単に過去を分析するものではなく、現代社会の本質を鋭く捉えているということ
    合理化や価値の多元化といったウェーバーの概念が、今の私たちが直面している問題と深くつながっていると思った

    本に含まれるのはウェーバーの考えの一部分だけど、とても鋭くて柔らかい考えだと思った。めちゃくちゃ頭いいし、著者も言ってたけどバランス感覚が抜群というの

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    2025年05月21日
  • 今こそアーレントを読み直す

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    自分自身アーレントの主張にそこまで賛同していないことや関心が薄い議論が多い(全体主義や民主主義)ため、ペラペラ読んで終わってしまった...。
    また時が来たら読みたい。

    「複数性」を広げるという概念は、真新しい語彙であり、興味深かった。政治の討論を通じて、「複数性」を広げ、我々はより人間に近づくことができるとのこと。

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    2025年05月03日
  • ネットリンチが当たり前の社会はどうなるか?

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    ネタバレ


    時事的な事柄に関して思ったことを羅列しているように感じた。

    タイトルの
    ネットリンチが当たり前の社会はどうなるか?
    に対しての筆者の結論が全体主義的なことになることを言いたいのか最終的にわからなかった。

    そもそもどちらかを完全否定することはできないと言いたいのであれば、お互いの主張を認め合える社会などの理想論やまとめが欲しい。

    結局これらの時事問題に関して自由論とかを持ち出して解説しているものの、それで結局自分の思いが伝わってこない

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    2025年01月18日
  • いまを生きるための思想キーワード

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    ●●について知りたい!と、目的を持って読むならオススメだけど、時間潰しとして読むのには内容が難しく感じた。

    ノート片手に読まないと、内容がうまく入ってこない。

    哲学書としては良書である。

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    2024年10月11日
  • 日本とドイツ 二つの戦後思想

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    前半部分は必読。日本とドイツ両国の第二次世界大戦の戦争責任、それに対する反省を巡る議論、戦後における「国のかたち」について、両国の地理的状況、政治状況等からその差異を論じている。民族とは何か、国民とは何かという隠れた深い論点が含まれており、紙幅の関係で踏み込みきれてはおらずそれ故難解ではあるが、読み応えがある。
    後半には日本とドイツにおけるマルクス主義やポストモダンについての動きについて書かれているが、個人的にはあまり興味がもてず、必要なときに再読すれば良いと思い、さらっと見ておいただけで済ました。

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    2024年08月31日
  • 現代哲学の論点 人新世・シンギュラリティ・非人間の倫理

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    良くも悪くも淡々とした記述が多いので、興味のあるところはめちゃくちゃ面白く、興味のないところは「ふーん、そっすかぁ…」といった感じ。
    個人的には、前半は退屈、後半は最高に面白かった…のですが、興味の有る無しの問題かな。
    知的な刺激によって、何らかの話題に興味を持たせてくれるような本では…ほとんどないです。
    とはいえ、短い説明で、ある論点の歴史をざっとコンパクトに説明してくれる手つきは、さすがは仲正センセイだなぁと思いました。

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    2024年08月24日
  • マックス・ウェーバーを読む

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    言葉が難しくてなかなか理解できなかったが、マックスウェーバーという人の雰囲気を掴むことができた。
    もう一度読み返したい

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    2021年09月24日
  • 〈宗教化〉する現代思想

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    人間が世界の在り方について語るには、常に何らかの形而上学的前提に頼らざるを得ない。その点では、マルクス主義もキリスト教もポストモダンも共通しているという。仲正昌樹は、この「〈宗教〉化する現代思想」の中で、先人の形而上学的な思考枠組みを克服するつもりが自らもその形而上学的な思考枠組みに陥ってしまう過程を延々と描いている。
    この循環を脱する方法は著者曰く存在しない。このような状況の中で私たちはどのようにしたらよいのだろうか。著者は哲学・思想において重要なのは結論ではなく、その思考過程にあるとする。無意識レベルの形而上学的な前提を「適度に」疑いつづける「相対主義者」であることを著者は勧めているように

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    2021年08月11日
  • ハイデガー哲学入門 『存在と時間』を読む

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    入門書だが個人的にはかなり難しく感じた。アーレントやナチズムとの文脈も読解したかったが、結局理解できずに終わったので、後ほど再読。

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    2021年07月11日
  • ペンテジレーア

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    なかなか良かった。現代を描いた作品は、やれ職業が人種が生活圏が、と何のためかわからない設定に翻弄されがちだが、こういうむかーしの戦いを描いた作品は清々しく感じた。戦うことで、生まれ持った体力知力を存分に鍛えて発揮する。物語はあっさりで、後半の解説が熱い。

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    2021年05月16日
  • 統一教会と私

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    ーー東大入学とほぼ同時に、統一教会に入った著者は、11年半にわたる入信生活の後、脱会して学者の道へ。気鋭の哲学者がその数奇な半生をつづり、みずからの宗教体験を振りかえる。ーー

    佐藤典雅「ドアの向こうのカルト」はエホバの証人から脱退ものでしたが、こちらは統一教会。
    かなり赤裸々に告白しているので読み応えあります。
    まず、統一教会の教義の基本は、「救い」と「思想」の2本立て。
    「救い」の内容とは、キリスト教がイエスが死んで肉体がなくなり霊的な働きかけしかできなくなったという「不完全さ」を克服し、地上の新たなメシア(文教祖)によって完成されるというもの。
    「思想」とは勝共理論(唯物論的なマルクス主

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    2021年03月20日
  • 現代哲学の最前線

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    現代哲学の主要なテーマをコンパクトに解説している本です。ロールズの『正義論』とそれに対する批判などを皮切りに、承認論、自然主義、心の哲学、そして新しい実在論(形而上学)の五つのテーマがとりあげられています。

    著者は、作品社から刊行されている「講義」シリーズのように、さまざまな思想家の議論の背景にある哲学史的系譜をじっさいに解きほぐして読者の前に示すような入門書を多く執筆しています。本書の「はじめに」でも、「アラカルト式の入門書は、一般教養とし哲学の基礎知識がほしいという人には役に立つだろうが、本格的に「哲学」を学びたい人、つまり過去の哲学者たちの思考を参考にして、自らも哲学的に思索したい、と

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    2020年12月19日
  • 悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える

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    悪い本ではないと思うが、「結局エリート主義しかないのでは?」という問いには答えられていない。まあ難しすぎる問題ではあるが。ただ、この点を突破できないと今アーレントを読む意義を上手く説明できない気がする。

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    2019年04月30日
  • ヘーゲルを越えるヘーゲル

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    ヘーゲル哲学は、現代思想のさまざまなシーンにおいて、肯定・否定の両面において議論の対象となっています。本書は、そうした多様な解釈と評価において姿を現わす、ヘーゲル哲学の多面性を紹介している本です。

    フランシス・フクヤマの『歴史の終わり』と、そのバックボーンになっているアレクサンドル・コジェーヴのヘーゲル解釈からはじまって、ハーバーマスやアドルノ、チャールズ・テイラーやロバート・ブランダム、スラヴォイ・ジジェクやジュリス・バトラーといった思想家たちが、ヘーゲルについてどのような解釈を提出しているのか、簡潔に論じられています。

    ヘーゲル哲学の現代的な解釈の諸相を概観することができるという意味で

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    2019年01月19日
  • ハイデガー哲学入門 『存在と時間』を読む

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    ・一度「存在」への問いに囚われると、そこから完全に逃げ出すことはできなくなり、「存在」を気遣い続けることになる。逆に言えば、「気遣」っているからこそ、「現存在」は「実存」として「存在」しているのであり、「気遣い」しなくなった時、「現存在」はもはや「存在」しない
    ・「死」をもって、自分の現存在の全てが顕わになるが、その瞬間を自分で経験することはできない。「死」の瞬間に、経験する主体である自分自身が消滅するからである。「死」をもって、各人のそれまでの各種の気遣いや、自明視してきた有意義性の連関も消滅する(ように思える)。「世界」がその後も”存在”し続けるかどうか分からないし、たとえ”存在”し続けた

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    2018年11月04日
  • 日本とドイツ 二つの全体主義~「戦前思想」を書く~

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    プロローグによると、日本とドイツの戦前の思想は「意味のある比較」をすることができる、ということらしい。個人的にはドイツのような変な国と比較されるのは嫌なのだが、意味があるのであれば仕方がない。

    内容は、国民国家としての両国の誕生から挫折するまでの歩みを両共同体の思想史を通じて読み解く、といったタイトル通りの内容。少し物足りなさは感じるくらいサッパリしていて読みやすいが奥は深い。そして闇も深い。

    興味深い箇所は多々あるのだけど、特に興味を引いたのは「日本的なもの」という曖昧な概念を「台風の目のように中心が空洞になっていて、周辺の空気の運動を吸収して次第に膨張していく」として、これがファシズム

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    2018年09月21日