仲正昌樹のレビュー一覧

  • 集中講義!アメリカ現代思想 リベラリズムの冒険

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    全体の流れは『自由は定義できるか』と似ていて、リベラルという切り口から『自由は定義できるか』を書き下ろした印象が強い。

    アメリカの現代思想ということで、個人的にはプラグマティズムとプロテスタンティズムに絡めて書かれているのかなと期待していたので、この点では方向性が元々違っていたので期待ハズレではあったのだけど、入門教科書としてはこういうものなのでしょうか。

    不足は他の本を読むか、自分で考えれば良いという感じで、殺伐とした教科書的なところがスッキリとまとまっていてけっこう好きです。

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    2018年03月26日
  • 現代思想の名著30

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    さすがに前提知識がある程度ないとこれは消化不良も甚だしいのではないか。スピヴァクとかよく分からんかった。個人的には懐かしの青春といった感じで楽しめました。

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    2018年03月17日
  • マックス・ウェーバーを読む

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    『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』についての解説がよかった。ウェーバーを離れてあちこち寄り道しているようでいて「では寄り道か」というとそうでもないような感じ。新書なのであまりに深すぎる話にはならない程度なこともあって自分には読みやすかった。

    他の章では、例えば「価値基準を学問的に位置付ける」や「理解するとはどういうことか」といったふうに、うまい具合に要約された太字の後に、絶妙の説明がある(テクストがある)という書き方は「理解」しやすい。

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    2018年03月02日
  • 日本とドイツ 二つの戦後思想

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    未開人のうちに、かつての自分の野蛮さの鏡像を見てしまい、自分もまたそこに引き戻されるのではないかという不安に襲われる文明人は、彼らを放っておくことができない。
    仲正昌樹『日本とドイツ 二つの戦後思想』p149

    日本の戦後思想は、マルクス主義の人々(とマルクスを独自に解釈して実践する左派の人々)が、その時代ごとに「何を考えてどう行動した(しようとした)のか」が中心。この点が詳しく書いていないと、文字通り何が書かれているのかわからないのだが、本書はその点をドイツのそれと比較して読み進められるので読みやすい。

    言われてみると過去、新聞では「マルクスっぽい理想郷」というものを共通の概念として持って

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    2018年01月30日
  • いまを生きるための思想キーワード

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    「高校生でもわかる」のかどうか、疑問ではある。ただこの疑問をツッコミどころとするのは筋違い、著者のこれまでの出版物などをリーダーズダイジェスト的な色合いで一冊にまとめた感じでスピード感があって面白い。
    『高校生でもわかる(かもしれない)仲正昌樹』というのが適切か。最初に読む仲正昌樹としては良い本だし、最初に読むとすると『今こそアーレント』かこれだと思う。

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    2018年01月03日
  • 集中講義!日本の現代思想 ポストモダンとは何だったのか

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    仲正による「日本の現代思想」。第一次安倍内閣が立った時のもので、あとがきに当時の著者の、本人らしい所感が印象的。

    内容としてはかなり情報量は多いけども、世界の情勢と思想とかかわりながら、日本の情勢、思想がどのように推移してきているかがよくわかる。

    ざっくりとニュアンスででしかとらえきれていないが、戦後マルクス主義が69年の学生運動にて挫折すると、ポストモダンの時代に突入。レヴィ=ストロースの構造主義とそれすらも相対化させたデリダやドゥルーズ、フーコーらによるポスト構造主義の思想ブームが起こる。日本もこれらの影響を受けながら、それがアカデミックな分野というよりもメディアミックスされた論壇にお

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    2017年08月15日
  • 「不自由」論 ――「何でも自己決定」の限界

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    仲正がこれを書いたすぐ後に宮台との対談をおこなったものを先に読んでいたので、対談の中で宮台が所々でこの本に言及していて、内容をそんなに覚えているわけではないけど、なんとなくつながった感じ。

    宮台なんかの社会学の言論界隈では自己決定が強く叫ばれる。大きな物語が焼失した再帰的な現代において、自分で選び取る強さが必要だと、まあ道徳的なものとは一線を画して語られている。しかしその自己決定自体が欺瞞だろ、というのがこの本の要旨。自己決定の主体たる自己は本当に自由な自己であろうかという問いかけが、この書全体において問いかけられ続けており、結論としては完全に自由な自己なんてないだろというところに行きつく。

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    2017年07月20日
  • 〈宗教化〉する現代思想

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    面白かったし読みやすかった。もとUCという特殊な文脈がシンパシーとしてひきつける。どのようなラディカルな思想であろうとも「形而上学」的な側面からは離れることができない。それを自明なものとして、それぞれの人生から思想も活動も、特に知的な分野に身を置こうとする場合は、それらを心にとどめておく必要がある。
    まあ、それはめちゃくちゃわかっていたが、改めてしっかり確認。結局一周して「無知の知」ということだろうか。

    収穫はデリダですかね。エクリチュールに考えさせられるところがある。ポスト構造主義理解の足掛かりになってくれたらうれしい。


    17.4.14

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    2017年04月14日
  • 今こそアーレントを読み直す

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    『全体主義の起源』『人間の条件』『革命について』そして最晩年の『精神の生活』とそれを補完する「カント政治哲学講義」をとりあげ、その思想の「もどかしさ」がもつ魅力を、著者自身の明快なことばで解説しています。

    「序論」には、「アーレント理論の“忠実な解説”は放棄して、アーレントの思想の中で特に重要だと私が思っている内容を、現代日本でもお馴染みの政治・社会問題にやや強引に引き付けながら紹介していくことにしたい」と書かれていますが、そこまで強引な解釈をおこなっているようには感じられず、むしろ現代社会のなかに具体例を探しながら、わかりやすく解説している本だと思います。

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    2017年11月07日
  • ハイデガー哲学入門 『存在と時間』を読む

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    『存在と時間』。過去なんども読破に挫折。本書でようやくわかったような気分になれて、やっと胸のつかえがとれた感じ。

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    2016年02月04日
  • 今こそアーレントを読み直す

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    政治や人間性というのを「読み直す」為の本になっている。
    特に人間とはペルソナを付けてはじめて人間として想定される本性に近づくという論点は重要なものだろう。
    ならば、仮面そのものともなりうる言葉とは人間性の概念において中心となるものだ。ただ、空間のベクトルについてはこのままでは未整理のままだとも思う。

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    2015年07月10日
  • マックス・ウェーバーを読む

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    マックス・ヴェーバーの著作の中から、『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』、『職業としての政治』と『官僚制』、『社会科学と社会政策に関わる認識の「客観性」』と『社会学の基礎概念』、『職業としての学問』を取り上げ、その内容について分かりやすく解説している本です。

    「あとがき」には、無理にヴェーバーの統一像を提示するのではなく、ヴェーバーの主要著作についてピンポイント解説をおこなうことをめざしていると書かれていますが、「ヴェーバー学」の権威である折原浩がアカデミズムきってのうるさ型ということも影響しているのか、ヴェーバーにかんする簡明な入門書は少ないので、本書のように新書サイズで読めて分

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    2015年05月22日
  • マックス・ウェーバーを読む

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    ネタバレ

    元々は、「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」に興味があって岩波文庫の原本を買ったのだが、中々進まないのでこの入門書を手に取った。

    読んでみると、最後の「職業としての学問」の第4章が親しみやすく、面白かった。特に、「世界を動かしている法則を知ることが可能である、という信念を人々が共有すること」としての「脱呪術化」の指摘に鋭さと現代の思想にもつながる先駆性を感じた。

    私たちは、携帯電話の通話の仕組みをほとんど知らない。しかし、その動きを予測することができれば不便はなく、十分であり満足する。また、その働きに、神秘性や呪術が介在する余地は全くない。一方、「未開人」は、自分が使う道具の仕

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    2015年05月09日
  • 日本とドイツ 二つの全体主義~「戦前思想」を書く~

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    『日本とドイツ 二つの戦後思想』(光文社新書)の続編。ナショナリズムや社会主義、全体主義などの項目について、1870年から第二次世界大戦までの日本とドイツの思想を照らし合わせています。

    比較を通して日本とドイツの共通点を差異をはっきりと示すことがめざされているのではなく、それぞれの観点から両国の思想状況の特色を概説的に説明するにとどまっており、明確な結論のようなものは見受けられないように思いました。もう少し、両国を対照する視点をはっきりと示してほしかったように思います。

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    2015年05月08日
  • いまを生きるための思想キーワード

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    現在、信頼できる知性の一人である仲正さんの著作であって、さすがにレベルが高い。論旨が明快でわかりやすく、概念を多面的に知ることができる。良書。

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    2014年08月23日
  • 集中講義!日本の現代思想 ポストモダンとは何だったのか

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    戦後日本に置ける思想潮流を主軸に、「現代思想」の流れを掴むのに最適か。海外の動向についてもコンパクトに纏めつつ、中沢新一・東浩紀まで拾う。単体として見るのでは判らない、全体の潮流が掴めるのが特色か。

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    2014年04月14日
  • 今こそアーレントを読み直す

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    昨年末…映画『ハンナ・アーレント』を観に行って驚いた。いつもは客席もまばらな単館映画ばかりをかけるハコが満席。用意された補助席も足らず、床に敷かれた座布団に腰をおろして観たのだった…アーレントの言説のなにに、今の日本の人たちは惹かれるのだろう…?

    映画はアイヒマン裁判の傍聴からなされたアーレントの言説による、世間からのパッシングを軸に、その人生を俯瞰して見せてくれた…映画を観たあと、アーレントの思索をたどろうとして、主著である『人間の条件』を買ったのだけれど、数ページめくってみて、とても読める代物ではない…と諦めた…で、概説書が欲しくて手にしたのが本書だった。

    ーアーレント理論の“忠実な解

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    2014年02月23日
  • 今こそルソーを読み直す

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    再読。
    でも、やっぱりよく分からない。「一般意志」がどうしても、しっくりこないんだな。
    なかでアーレントの「リバティ」と「フリーダム」の2つの自由に対する概念の違いはおもしろかったかも。前者がフランス革命で、後者はアメリカ独立戦争戦争ってわけだ。
    なんとなく雰囲気は伝わるんだけど、ルソーからは離れていっちゃうんだな。

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    2014年02月06日
  • 今こそルソーを読み直す

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    わかりやすいです。お薦めします。
    なぜかデリダとアレントがよく出てくるルソー入門本。終章が示唆的。

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    2013年10月29日
  • いまを生きるための思想キーワード

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    ネタバレ

    QOL(Quality of Life)とSOL(Sanctity of Life:生命の神聖さ)の対立は、自由の中核である自己決定を尊重する考え方と、キリスト教の教えを忠実に生きようとする考え方のいずれもが強く根付いている、アメリカの道徳文化の特徴を凝縮しているように思われる。

    【動物化】p102
    アレクサンドル・コジェーヴ「動物化論」:「人間」の欲望は、「他者の欲望」を欲望する、他者志向的な性質を持つ。
    Cf. ヘーゲル「承認」
    ポスト「人間」の二つの可能性としての「動物(eg. American way of life)vs. スノビズム(日本の能楽、茶道、華道、武士道etc)

    【ス

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    2013年07月04日