仲正昌樹のレビュー一覧

  • 悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える

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    アーレントの『全体主義の起源』および『イェルサレムのアイヒマン』の内容をわかりやすく解説するとともに、「分かりやすさ」を求めて思考停止に陥っている現代日本の言論状況を批判し、アーレントの「複数性」の概念が持つ意義を再評価している本です。

    著者がアーレントについて解説している本はいくつか刊行されていますが、そのなかでもとりわけ読みやすく、アーレントの思想のエッセンスをコンパクトなしかたで紹介しています。『全体主義の起源』は、読んでいてどこに連れていかれるのか皆目わからず、途方に暮れるほかなかったのですが、本書は非常にシンプルな見通しをつけていて、すくなくともわかったような気になってしまうこと請

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    2018年11月21日
  • ハイデガー哲学入門 『存在と時間』を読む

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    本書は、「存在と時間」の読解を主な内容とする、ハイデガー哲学の入門書である。
    筆者は「存在と時間」の原典をときどき引用しながら、難解な思想を卑近な事柄に例えて解説してくれるので、比較的わかりやすい解説書になっている。
    特に「存在と時間」原典の文章にはハイデガーの造語や難解な哲学用語が多く、それらの用語の意味の理解に、この本の説明は役に立つ。とはいえ、原典自体が難解なので、筆者の丁寧な解説にもかかわらず、この本一冊で「存在と時間」が読めるようになるといったものではない。次のもっと詳しいハイデガーの解説書に挑むための最初のステップに読むのに適した本であるような気がしている。

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    2018年11月07日
  • 今こそアーレントを読み直す

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    読み終わりました。
    改めてハンナ・アーレントを知ると、現代に通ずる問題提起を多分に含んだ発信をしていた人なのだと思う。全体主義や凡庸な悪というテーマは、現代だからこそ再びスポットライトが当たるべきだし、実際にそうなっている。
    彼女はやや愚直で正直で素直すぎたところがあり、そこが「イェルサレムのアイヒマン」出版後に仲間たちと断絶してしまう結果を招いたのかもしれない。ただ、そうまでして彼女が訴えかけたものは、現代人がさらに後世につないでいかないといけない。また悲劇的な戦争が起こらないために。

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    2018年09月04日
  • 悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える

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    人は不安になると明解で時に過激な思想に傾き、それに従わない強い思考力を持つ人を除外しようとする。今の世界政治も、イジメの構図も、全く同じだ。

    大事なのはきちんと自分の頭で考える。議論に勝つための不純な目的ではなく、本当の正しさを追求するために。

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    2018年08月01日
  • 悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える

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    すごく分かりやすいと思っていたら『100分de名著』の改訂増補版だった。再構成されていて、とてもいい。
    『全体主義の起源』と『イェルサレムのアイヒマン』にフォーカスされた内容になっている。
    なかで「犯罪の遂行には悪を行う意図が必要である」という近代法体系の前提すら、思い込みや偏見によって成立しているのではないかとするアーレントは厳しい。
    実際、日本の犯罪報道では報道する側も受け取り側も、自分たちと悪との圧倒的な違いを探そうとする。これは容疑者に悪のレッテルを押し付け、その差異によって自分たちを正当化し善良性を証明しようとするものだ。この心性ははナチスがユダヤを迫害したのと同じ構図じゃなかろうか

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    2018年06月23日
  • 今こそアーレントを読み直す

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    勉強のための一冊として読む。うん、やっぱり理解できていなかったんだと思わされる。アーレントの著作を再読しなくちゃね。でもそのためにはもっと事前の準備が必要ですね。

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    2018年05月10日
  • 今こそルソーを読み直す

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    ルソーそのものよりも社会契約論に的を少し絞った上での一冊。

    内容はその『社会契約論』に絞ってあるので、前後の著作にはそれほど多くは触れていない感じなのだけど、この社会契約をもとに全体を説明しようとするバランス感覚が読みやすかった。

    一般意志、自然人、社会契約といったキーワードを軸にして、ルソーは現代までにどういった影響を及ぼしているのか、というごく当たり前の疑問に対して、きちんと著者なりの解釈をしているのでスラスラ読める。

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    2018年05月06日
  • 今こそアーレントを読み直す

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    アーレントの思想の上に、著者の思想が乗っていることがはっきり打ち出されている。こういう本を好まない人もいるだろうと思う。読むタイミングによっては、著者の言い分に腹が立つ人もあるだろう。
    ぼくにとってはちょうど良い、アーレントの著作への入門になったように思う。

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    2018年02月22日
  • 今こそアーレントを読み直す

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    全体主義に陥らず、複眼的であり続けるためには、他の人との意見交換がなにより大事だ、ということだと理解した。
    いろんな考えの人と話をするのも大事だけど、きっと、いろんな考えの本を読んで、自分の考えを調整し続けるのも大事なんだろうなと思った。

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    2018年02月04日
  • マックス・ウェーバーを読む

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    小泉進次郎に対して池上彰が「職業としての政治」って読んだことあります?と衆院選特番のインタビューで意地悪く聞いて、「政治とは職業ではなく生き方だ」とそれらしく回答していたのが、ソツないように見えてなんか噛み合ってないように思ったので、ちゃんと勉強してみようと読んでみた。要するにウェーバーの「職業」Berufはドイツ語的に多義的で、召命とか、そういう宗教的意味もあるので、彼の回答はウェーバーに対する反論ではなく、肯定として語れば正解に聞こえたのかもしれない。何にせよ、池上彰の質問はしてとてもいじわるだ。

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    2017年12月03日
  • 今こそルソーを読み直す

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    中川八洋氏(タルモン、アーレント)によると、「ルソーは自然人を理想として人格を改造し、一般意志に従属するロボットとして、全体主義を導く」はずであったが、仲正氏によると、それは誤読で、ルソーはそんなことを主張していないとのことである。そうすると、非難されるべきは、ルソーの思想を利用したロベスピエールやレーニン、スターリンである。それにしては被害者の数が桁違いに多い。中川氏はそこを問題にしているのだろう。

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    2017年01月12日
  • 〈宗教化〉する現代思想

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    ただただ面白い。社会思想・比較文学の研究者である著者が現代日本の思想地図にちょいちょい茶々を入れながら、思想史をかなりわかりやすく説明してくれている。何かを語ろうと思えば不十分であろうが、教養として楽しむには充分。

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    2016年08月27日
  • 今こそルソーを読み直す

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    デリダによる音声中心主義批判にさらされ、アレントによって全体主義の元凶とされたルソーを、仲正昌樹が「読み直す」ということで、かなり期待して読みはじめました。

    「終章」で文芸批評家のスタロバンスキのルソー解釈に依拠しつつ、「透明なコミュニケーション共同体」を語った「壮大なフィクション」としてルソーの著作を読み解くという方向性は刺激的に感じました。ただし本論は、現代思想的なルソー解釈がきらびやかに展開されるというわけではなく、『言語起源論』や『人間不平等起源論』『社会契約論』『エミール』といった著作にある程度立ち入って内在的に読み解こうとしています。著者の各種「入門講義」でもそうなのですが、現代

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    2016年08月13日
  • 今こそアーレントを読み直す

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    アーレントの主張を読み解こうと思ったけども、
    難しかったので入門書的なこの一冊を購入。
    分かりやすさの危険性を主張するアーレントを
    分かりやすく解説するというちょっと矛盾した本書。
    【個の喪失】に繋がることには徹底して警鐘を鳴らす。
    というアーレントの主張がわかりやすく書かれていました。
    空気には絶対流されないその強い意志が、
    アフガン戦争の時期にまだいてくれたのであれば、
    アメリカの方向性も多少は違うものになっていたのかもしれないなー。
    入門書から始めないといけないなーと思ったのはアダム・スミス以来。
    彼女が書いた本もちゃんと時間かけて読んでみようと思います。

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    2016年04月19日
  • ハイデガー哲学入門 『存在と時間』を読む

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    ハイデガーの『存在と時間』の入門的解説書です。

    著者は「はじめに―ハイデガーは何故重要なのか?」で、「日本でも多々出版されてきたハイデガー入門書・解説書にしばしば見られるような、哲学史的な過度の拘りは避けるつもりである」と述べて、ハイデガーの「存在史」の構想から『存在と時間』を位置づけるような議論にあまり踏み込まないと断っています。

    新書形式の入門書としては、木田元の『ハイデガーの思想』(岩波新書)が、実存哲学としてハイデガーの思想を捉える見方を否定して、正当なハイデガー解釈を打ち出しており、細川亮一の『ハイデガー入門』(ちくま新書)も同じ路線で、よりマニアックな議論を展開しています。一方

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    2017年11月30日
  • マックス・ウェーバーを読む

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    ウェーバーの主要な著作にターゲットを絞って、噛み砕いた解説がされており、岩波文庫に突撃する前に読んでおけば理解を助けてくれると思う。
    あとがきを読んで、趣旨に賛同された方におススメします。

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    2016年01月11日
  • いまを生きるための思想キーワード

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    どこかで耳にしたことがあるけど、よくよく考えると曖昧だなぁ、と思うようなワードを新書にしてはしっかりと解説している良著
    テレビに出ているコメンテーターなどがいかにいい加減に言葉を使っているかがなんとなくわかる。
    理系でもわかりやすく読めます。

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    2015年12月07日
  • 精神論ぬきの保守主義

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    ヒューム、バーク、トクヴィル、バジョット、シュミット、ハイエクの六人の思想をとりあげ、解説している本です。

    著者はこれらの保守思想家を、「制度論的保守主義」と呼んでいます。現代日本の「真正保守」が、日本の伝統と結びついた精神的価値を高く掲げる道徳志向的な性格をもっています。これに対して制度論的保守主義では、理性やその他の精神的価値に基づく設計主義を批判し、慣習的に形成される制度によって社会に安定がもたらされることの効用を正しく見積もることが重要とされます。

    著者は、ヨーロッパにおいてはそのつど原点となる契約や慣習法の基本原則を参照しながらあたらしい制度が構築されていったことに触れ、そのこと

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    2025年03月04日
  • 今こそアーレントを読み直す

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    映画『ハンナ・アーレント』を観て、川崎修の『ハンナ・アレント』とともに読んでみた。

    いずれも彼女の主著の『全体主義の起源』や『人間の条件』で議論された事柄を中心に拾っているが、違うところもありそうだ。でも、うまく言えない。著者は、「「もどかしさ」こそがアーレントの魅力である」という。解説本でそう言ってしまうのは無責任も甚だしいと思うのだが、全体としてやはりそういうことなのだろう。あえて政治思想のステレオタイプを避け、思考停止を避けることこそが、全体主義に取り込まれない姿勢であるというかのようである。

    著者はアーレントのことを「戦略的なKY」といい、そこに共感したという。アイヒマン裁判の論争

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    2016年10月10日
  • 今こそアーレントを読み直す

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    アーレントの持つ「分かりにくさ」を受容する精神が大切だとということを「分かりやすく」解いています。『人間の条件』などを読む前に是非読むべき書。

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    2015年03月04日