仲正昌樹のレビュー一覧

  • 現代哲学の論点 人新世・シンギュラリティ・非人間の倫理

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    仲正先生の前作(現代哲学の最前線)がかなり自分のツボを押さえてくれていたのでこちらも手を出してみた。
    結論、前作の方が痒い所まで手が届いていた(内容の深さも網羅性も)ので、期待値は超えなかった。
    ただひとまず専門用語と文献、概要さえ教えてもらえれば自分で勉強できるので、手引書としてこのようにまとめてくれるのはありがたい。
    リベラルな優生学から自己進化、果てはトランスヒューマニズムに繋がる過程がかなり面白そうだったので、これらを2024年の学習テーマにしたいと思う。

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    2024年01月03日
  • ヘーゲルを越えるヘーゲル

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    0986. 2019.12.17
    現代の哲学者たちはヘーゲルの絶対精神に重きをおかない。というのもそうした普遍的理性・普遍的道徳に到達する保証はどこにもないからである。

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    2023年10月19日
  • 今こそアーレントを読み直す

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    やはり最後まで一気に読んでみて感じたことはただ一つ、解りづらいの一言である。それは本書がわかりづらいのではなく、ハンナ・アーレント自体の考え方が非常に中庸的というか、世の中のわかりやすい議論が白が黒か左か右かといった風潮の中で、極論はなくあくまで白と黒左と右の中間地点にいるからではないだろうか。これはよく考えれば当たり前のことで、日本の政治を見ていれば感じることが多い。政党全体でまともな頭の人たちがあれだけ集まっていて、与党と野党の意見がすっぱり割れるなんて事はあり得ない。ましてや100人を超えるような組織の構成員が全員右か左かなんてあり得ないし、どっちつかず、よく言えば双方の良いところどりに

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    2023年08月26日
  • 統一教会と私

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    いま話題の統一教会の元信者だった著者の回顧録。この本を読んでるときに、周りの人たちがタイトルを目にした途端にギョッとする反応を何度か見たので、自分が思っている以上にインパクトがあるというか騒がれて、恐らく偏見や誤解も多く流布されてるんだろうな、と感じた。統一教会に興味があって手にした訳ではないけど、メディアで報じられる面だけで判断するのではなく内部の面からの情報も取り入れて、事実を把握することは必要だと改めて認識させられた。あと、信仰またはその組織としての良し悪し、客観的に見つめ直す、見つめるよう心がけるきっかけを与えてくれる一冊でもあると思うので、統一教会云々ではなく読んでみてほしい。

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    2022年09月06日
  • マックス・ウェーバーを読む

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    メモ:
    p142
    私たちは日々様々な場面、テーマについて「価値判断」をしているが、それがどのような「価値規準」に基づいているのかはっきり意識していないことの方が多い。事実についての認識と「価値判断」が漠然と一体になっていて、いつのまにか”判断”している・そのため、他者との意見との食い違いが、事実認識のズレによるのか、拠って立つ価値の違いが判然としない。

    p206
    合理化の帰結として生み出された巨大な「鉄の檻」(=国家資本主義の下での研究体制)が、「合理性」の尺度を見失ったまま運動し続けているうちに、自らの足場を掘り損じているわけである。

    p216
    多分野にわたって大きな業績を残し。政治評論

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    2022年03月26日
  • 人はなぜ「自由」から逃走するのか

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    エーリヒ・フロム『自由からの逃走』の議論の流れに則りながら、全体主義を可能にした歴史的・社会的条件を確認している内容。

    関連する思想家・学者の論(ルターやフロイトなど)も多く引用しており、世界史的な知識の補足も多くあり、前提知識が少なくても読みやすい。

    主に西洋近現代の話題だが、所々で現代日本に引き寄せた解説も入れてくれていて、その点も読みやすい。

    『自由からの逃走』自体については、引用はまあまあ多いが要所要所だけ。
    『自由からの逃走』を深掘りする系統の本ではなく、それを取り巻く諸議論を概観できる書籍。

    所々で「詳しくはこっちも読んでね!」的に著者の別著書を参照するようにお薦めされるの

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    2022年02月04日
  • 現代哲学の最前線

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    主に20世紀の哲学史と下記の5テーマをもとに、思想家と論争がまとまっている。

    1. 正義論
    2. 承認論
    3. 自然主義
    4. 心の哲学
    5. 新しい実在論

    かなり難しかったし、これを1冊の本にまとめあげた著者の腕も異次元、、

    p283(あとがき)
    今まで全然分からなかった"哲学"が急に「したたかにいきるための知恵」に思えてきたら要注意だ。そういう時こそ、なかなか理解させてくれない、身体的に拒否感を覚えるような、手ごわいテキストを読むべきだ。

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    2022年01月01日
  • 今こそルソーを読み直す

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    ルソーの入門書としてすごくわかりやすく勉強になりました。
    とことん考え抜いた結果アイロニーに行きつく、この世の救いようの無さ

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    2021年09月21日
  • 人はなぜ「自由」から逃走するのか

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    フロムの『自由からの逃走』に現代社会の文脈を含ませた解説書。フロムによれば自由には2つの側面があると述べており、それは「〜からの自由」という制約からの解放を意味した「消極的自由」と、「〜への自由」という自らの目標などを追求する意味の『積極的自由』があるという。

    一見、消極的自由よりも積極的自由の方が本質的な感じがするが、実際後者は時に厄介な存在になりうる。自由であるが故に、不安や孤独を感じることは意外にあるのかもしれない。特に大学生の自分にとっては、ある程度のことは「自由」に決めれる年齢になってきた。しかしそれが原因で何をすべきか分からず迷走することになったり、自由であることに責任や重圧を感

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    2021年07月17日
  • 今こそアーレントを読み直す

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    アーレントの思想がますます分からなくなった(いい意味で)確かに彼女のイデオロギーや思想の立場を定義するのは非常に難しい。アーレントをよく知らなかった時は、リベラル論者だと思っていたが、一般的には右寄りの認知されている、しかし日本では左派から評価を受けることも少なくない。複雑な理論であるが故に、右・左の二元論で片付けるのは不可能なのだろう。

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    2021年05月29日
  • 「みんな」のバカ!~無責任になる構造~

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    「赤信号みんなで渡れば怖くない」という「みんな」の中に紛れ込んだ「わたし」の心理について分析。
    改めて考えてみると、「赤信号はみんなで渡れば本当に怖くないのか?」いやいや、いざ事故が起きた場合、最後尾の1人、”特別な1人”が犠牲になってしまう。そのとき「わたし」は、「私のせいではない」と責任を回避してしまう。
    筆者は、これを非倫理=言い訳とし、日本企業の悪しき体質に言及をしている。「みんなの責任」をどうするべきか、考えさせられる一冊だ。

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    2021年05月15日
  • マックス・ウェーバーを読む

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    昨年はウェーバー没後100年という節目で色々とウェーバーに関する本が上梓されたが、こちらは2014年刊行の新書。講談社新書50周年のでかい帯がついていて、「彼の思考を知るということは私たちの社会と歴史について深く学ぶことである」との惹句が掲げられている。

    本書はそんなウェーバーの思想を主要な著作を読み解いていくという形で辿るウェーバー入門書である。

    第1章は彼の宗教社会学を『プロ倫』が取り上げられる。著者は「ウェーバーの「資本主義の精神」論の魅力は、「禁欲」「労働」「営利」という一見すると、互いに異質な三つの要素が、歴史の特定の局面で連動し、資本主義発展の契機となったことを、「天職」概念を

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    2021年03月20日
  • 悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える

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    ネタバレ

    ※かなり自分の解釈,言葉が入っている.

    ■「大衆」とは
    「全体主義」を支持するようなメンタリティを持つ人々.

    「大衆」の対概念として「市民」がある.「市民」は,自らの利益を守ろうとする明確な意識があり,自分たちの利益を代表する政党を選んだり,要求を実現するための権利の主張やアソシエーションを結成するなどして,自分たちの利益を実現するために具体的な行動を行う主体を言う.(とはいえこれはアーレントがいう「政治」ではない,後述)

    対して,「大衆」は,自らの利益のために主体的に動くようなことはせず,普段は政治に無関心だが,追い詰められた状況においては,普段政治に関わっていないこともあり「具体的な

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    2021年03月14日
  • 現代哲学の最前線

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    読んでいて、これが哲学の話なのという違和感を感じた。
    目次を見て見よう!
    第1章 正義論
    第2章 承認論
    第3章 自然主義
    第4章 心の哲学
    第5章 新しい実在論

    第1章に関しては、ロールズを巡る政治哲学の話のように思え、第2章の承認論に関しては、現代思想も出てきて哲学ぽいのだが、第3章は、心理学や科学哲学の話に思えるし、第4章も、心理学や認知科学の話に思える。

    唯一、古い僕が、哲学らしいと感じたのは、マルクス・ガブリエルも登場する第5章の『新しい実在論』だ。

    特に認知科学に関する項目は、まるでSFのような世界であった。

    巻末に簡単な読書案内があるが、ある程度、哲学にも親しみ、少しだけ

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    2021年01月28日
  • 教養としてのゲーテ入門―「ウェルテルの悩み」から「ファウスト」まで―(新潮選書)

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    「市民」と「人間」をキーワードに、ゲーテの主要著作を読み解き、何がテーマとされているのか、なぜゲーテが偉大な作家と見なされてきたのかを考察することが本書のテーマ。

    人々が封建的な身分制度や地縁血縁の拘束から解放され、市場経済を中心とした自由な相互関係を構築し、生き方が多様化した18~19世紀のヨーロッパ。近代社会で自由を得た人々は、生きる目的や生き方の規範を自ら考え、追求していく必要に迫られた。
    そのような自己形成の実際においては、哲学、心理学、社会学等に分類される問題が複雑に絡み合う。ゲーテは、このような学問がアプローチできない複合的な関係性を散漫にならないよう物語化した作家である。

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    2021年01月14日
  • ハイデガー哲学入門 『存在と時間』を読む

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    ネタバレ

    デカルト以降の自我中心の哲学が課題とした我思うゆえに我ありの我が存在する根拠に対して、死という固有の経験から自分に固有の生き方や責任を考えて主体的に将来に向かって投企していくポジティブな人間というハイデガーが出した解がわかった

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    2020年07月12日
  • マックス・ウェーバーを読む

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    仲正昌樹 「 マックスウェーバー を読む 」

    マックスウェーバー入門書。

    主要著作における共通テーマは 資本主義により 宗教、政治がどう変容したか、もしくは 宗教、政治はいかに資本主義を発展させたか。


    合理性と効率性を追求し、自己増殖し続ける資本主義を 巨大な「鉄の檻」と表現し、その「鉄の檻」で 歯車として生きることを規定された 人間を対照的に表現している


    マックスウェーバーは マルクス同様、大衆に資本主義を打破すべく革命を啓蒙しているのだと思う。キリスト教や国家すら飲み込んだ資本主義をどうしようとしたかったのか。「職業としての学問」がヒント?


    学問の存在意義
    *学問が悪魔とす

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    2020年07月08日
  • 悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える

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    アーレントの著書をわかりやすく解説している。哲学や思想を理解することは、人が歴史から学ぶためには必須であると思わされる。

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    2020年04月27日
  • 悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える

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    全体主義についてハンナ・アーレントの著書に解説、考察を加えながら、ドイツやヨーロッパの歴史的、社会的背景の解説とともに論じられています。別の書籍の解説書的位置づけなので、教科書的な面があり、物足りなさを感じた。

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    2020年03月01日
  • ハイデガー哲学入門 『存在と時間』を読む

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    ハイデガーの有名かつ難解な『存在と時間』の入門本。
    哲学にちょっと興味が出て来て、原著の『存在と時間』を手に取ったところ、1ページを解読するのにさえ四苦八苦し、挫折(知 っ て た)。これをきっかけに本書からまず読むことにした。

    ハイデガーが元来のデカルト的・自然科学的な認識論(認識があって初めて存在がある!)から距離を置いて、従来の存在論を解体しようとしたという『存在と時間』の目的から解説が始まり、重要概念である現存在、配慮的気遣い、「ひと」、死への先駆などについて説明がなされている。筆者はハイデガー専門の研究者ではないのだが、だからこそ可能な、良い意味で中性的で、読者に寄り添う形で解説が

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    2020年02月08日