あらすじ
佐藤 優氏推薦!! 「コロナ禍の危機を克服する過程で ナチズムのような危険な思想が甦る可能性に警鐘を鳴らす。 自由の重要性を本書から学んで欲しい。」 ◆強権的国家からブラック企業まで 「人間や社会に今何が起きているのか」 強かに生きるための必読入門書! ◆フロム生誕120年、没後40年のいま、 「強いリーダーを求めてしまう人間の本性」と 「コロナ時代を強く生きる知恵」がよく分かる! ● ブラック企業による「やりがい搾取」はなぜ起こるのか? ● ネット上で〝カリスマ〟を賛美したり、〝敵〟を集中攻撃して炎上騒ぎを起こすことに時間を費やしている人は、何が楽しいのか? ● アメリカ人はなぜ、強権的政治手法をとるトランプ大統領を支持したのか? ● その傾向が世界中に広がっているのはどうしてか? ● 孤独と不安が蔓延しているから、苦しくて、どこかに救いを求めているからなのか? ● ならば、政治的民主化と非合理的な社会慣習の解体が進み、高度の科学技術によって人間の能力やコミュニケーション・ネットワークが拡張し続けている現代社会で、孤独と不安を抱える人がどんどん増えているのは何故か? ● どういう環境がその傾向を助長しているのか? それらこそが、『自由からの逃走』をはじめとする、近代人の心理を論じた、一連の著作でフロムが探求したことである。 「自分は何を苦しがっているのか、どうなったら自由だと感じられるのか」を考えるうえで様々なヒントが与えられる。 近代世界において「自由」を与えられた諸個人が、 自由に生きることに伴う重圧に、不安に耐えかねて、 自らが自由を放棄するに至った過程を社会心理学・社会史的に 描き出しているフロムの名著『自由からの逃走』。 なぜ今こそ読まれるべき書なのか? 本書は単なる解説書ではない。 孤独と不安が蔓延する時代に、「強いリーダー」を求めてしまう罠と 「人間の本性」を暴いた書から、危機の時代を生きる知恵を学ぶ。
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Posted by ブクログ
自由の背景にある孤独と不安について深く理解できた。
自由は非の打ち所がない概念のような印象を受けるが、その背景には孤独と不安が隠れている
消極的な自由は人に孤独と不安をもたらし、それは人を権威的なものに従属させてしまう
それはサディズムでありマゾヒズムでもある
そしてそれらが生み出す権威主義的な思想はファシズムにつながっていく
では、積極的な自由とは何か?
それは個人の能力を伸ばし、成長と幸福を感じることができる自発性のあるものである
故に飢餓の恐怖などはBIなどで排除した上で労働を促さなければならない
Posted by ブクログ
エーリッヒ・フロムの名著「自由からの逃走」の解説本。「自由からの逃走」を読んだ際にこれは大切なことが書かれていると感じて、こちらの本も購入してあったがしばらく積読してあった。読書会で自由について考える機会となったので読むことに。宗教改革によって自由を得た人間が、自分で自由をうまく扱うことができずに、自由から逃げてしまい、その果てにナチスのような独裁や企業優位の資本主義が生まれていった流れがよく理解できた。その点日本はどうなのか?これからも折を見て振り返りたい。
Posted by ブクログ
「自由からの逃走」:自由に慣れた近代人が、強い権威に惹かれ、自発的に従属するようになるメカニズムを直接的に論じた著作である。
オリジナルは、プロテスタンティズムの影響が考えられている。新型コロナ下での強い矯正処置を求める声と異論が言えなくなる風潮は、全体主義の前兆と思われる。
二つの自由、自由の二面性、サディズムとマゾヒズム、「死」の抑圧、それでも生きること、と多面的な解説が続く。
あとがきで、金沢大文科系学生をデスるのはおまけか。
Posted by ブクログ
エーリヒ・フロム『自由からの逃走』の議論の流れに則りながら、全体主義を可能にした歴史的・社会的条件を確認している内容。
関連する思想家・学者の論(ルターやフロイトなど)も多く引用しており、世界史的な知識の補足も多くあり、前提知識が少なくても読みやすい。
主に西洋近現代の話題だが、所々で現代日本に引き寄せた解説も入れてくれていて、その点も読みやすい。
『自由からの逃走』自体については、引用はまあまあ多いが要所要所だけ。
『自由からの逃走』を深掘りする系統の本ではなく、それを取り巻く諸議論を概観できる書籍。
所々で「詳しくはこっちも読んでね!」的に著者の別著書を参照するようにお薦めされるのが、上手だしなんか可愛い。
(メモ)
["自己否定"して、より大きなものの一部になったつもりになることで、不安を解消しようとする](p67)は、「時間や労力を既に投資していると、投資し続けることが損失だと分かっていても『元を取りたくて』後に引けなくなる」サンクコスト効果(コンコルド効果)で強まる面もあるのかなと思った。
同章のカルヴァン派の話題[努力できるということ自体が、自分が救われた人間に属していることの一つの前兆](p77)でも上記と同じことを感じた。
[不安を一時期に忘れるために、勉強や仕事に必死に打ち込む](p78)は自分もやりがちなので、心に留めておこうとも思った。
[不心得者を糾弾してやりたいという強い衝動ゆえに、"道徳にうるさい潔癖症的な人間"を演じる、あるいは、実際そういう人間になり切る人がいる](p82)もとても身につまされる。
ネット上の「無断転載」「パクリ」で叩いたり炎上させたりする人の心理もこれに近い場合がありそうだと思ったが、[かなり安易な形で拡張したもの](同)と説明があった。
Posted by ブクログ
フロムの『自由からの逃走』に現代社会の文脈を含ませた解説書。フロムによれば自由には2つの側面があると述べており、それは「〜からの自由」という制約からの解放を意味した「消極的自由」と、「〜への自由」という自らの目標などを追求する意味の『積極的自由』があるという。
一見、消極的自由よりも積極的自由の方が本質的な感じがするが、実際後者は時に厄介な存在になりうる。自由であるが故に、不安や孤独を感じることは意外にあるのかもしれない。特に大学生の自分にとっては、ある程度のことは「自由」に決めれる年齢になってきた。しかしそれが原因で何をすべきか分からず迷走することになったり、自由であることに責任や重圧を感じることもある。
重荷に感じてしまう自由とは何か漠然としたもので、それ故に杞憂になってしまうのかなと思った。物事を可視化・明確化していくことは大事だなあと再認識。原作も読む。