エドワード・D・ホックのレビュー一覧

  • 怪盗ニック全仕事6

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     「泣いても笑ってもこれが最後」と訳・解説の木村二郎さんの言うとおり、『怪盗ニック全仕事』シリーズ完結。怪盗ニックの活躍する短編は全て読んでしまったということになる。寂しいけど、文庫全六巻と手頃な達成感は嬉しい。そして最高に面白かった!

     六巻には一九九七〜二〇〇七年までの発表作品が収録されている。「この二十一世紀に…」というような台詞もあるし、ニックもサンドラもインターネットを使う。麻薬やダイヤではなく「マイクロチップ」が価値を持ったりもする。ただ、「インターネットで調べたのさ」とお爺さん(?)ニックが自慢げに言う様子から見ると、作者のホックさんもそっち方面が得意とは思われず、情報収集が多

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    2023年12月17日
  • 怪盗ニック全仕事5

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     一九六六年に始まった怪盗ニックシリーズだが、第五巻は一九八九〜一九九六年に書かれた作品が収められている。もう私も生きていた時代だと思うとぐっと身近に感じる。
     時は確実に流れており、ニックは「初老」、グロリアは「中年」と表現されていた。「初老」の方はサンドラからのユーモア混じりの言及(「魅力的な初老」)なので、間に受けていいのかわからない。サンドラもニックから「相変わらず魅力的」と評されているが、年齢に言及するならば「中年」だろう。懐かしのチャーリー・ウェストン警部補との再会シーンでは、年をとった彼のことをニックははじめ誰だかわからない。ウェストンの方は「おれはすぐにお前に気付いたぞ」。片思

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    2023年12月02日
  • 怪盗ニック全仕事1

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    TwtterがXになるにあたり、本社ビルの「Twitt」まで外したところで警察に止められて「er」だけが残った、というニュースをみて思い出し。

    「真鍮の文字を盗め」
    ニックは、とあるビルの社名から3文字だけを盗んでくれと言う依頼を受けます。果たして依頼主にはどういう意図があるのか。

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    2023年07月26日
  • フランケンシュタインの工場

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    ホックの未訳というだけでも嬉しい。訳者が違うけど、ホックの不器用な文体だ。特殊な時間設定が、目新しいゴシック感をもたらしている。終盤近くのサスペンスもあったし、意外な結末もあった。

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    2023年06月02日
  • 怪盗ニック全仕事3

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    2巻ではとうとうニックの仕事がグロリアにばれた……? わけですが、3巻では完全にばれております。
    しかし動じないグロリアすげえ。
    しかも、手数料の値上げをニックに実施させるとは。
    女性はしたたかですw

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    2016年07月22日
  • 怪盗ニック全仕事2

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    しかし考えてみますと、つまらないものを盗む手数料が2万ドル。
    けっこう目の付け所が鋭いのではないか……!

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    2016年07月22日
  • 怪盗ニック全仕事1

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    怪盗という言葉にはやはり浪漫がある。
    但し、ニックは、ルパンは怪人二十面相式の、いつのまにか密室に忍び入って秘宝を盗み、どろんする、というタイプの怪盗ではない。
    誰もほしがらないようなつまらないものに限定して、依頼を受けて盗みを働く。その盗みはかなり当意即妙でああり、ニックが逮捕されないのは、あくまでも盗んだ代物が価値のないものであること、そして目こぼししてもらうために事件の真相をその場で解き明かしてみせるという技を使う事が理由。
    そう、つまらないものを盗みのには、依頼人に当然なにやら事情があるわけで、それは時に、別の犯罪を隠すため、ミスディレクションを狙ってニックに依頼してくるわけだ。

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    2016年07月22日
  • 怪盗ニック全仕事1

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    ネタバレ

    『斑の虎を盗め』
    ハリー・スミス、コーミック、ジニーの3人から動物園の斑の虎を盗むように依頼された怪盗ニック・ヴェルベット。ジニーと動物園で行動中に起きた銃撃戦。

    『プールの水を盗め』
    叔父であるサミュエル・フィッツ・パトリックの屋敷 からプールの水をすべて盗むように依頼されたニッ ク。全部盗む意味は?依頼人リディアの伯母の行方不 明事件との関係。

    『おもちゃのネズミを盗め』
    パリで撮影されている映画の小道具であるおもちゃの ネズミの盗難。盗み出したネズミ。撮影の為にアメリ カから届けられたおもちゃのネズミに隠された秘密。 女優キャロル・ヤングの危機。

    『真鍮の文字を盗め』
    ある企業SA

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    2014年12月19日
  • サイモン・アークの事件簿1

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    古書店にて半額以下で購入。悪魔や超常現象を捜し求める二千歳のコプト教僧侶か、はたまた理知的なオカルト探偵か……自分好みの探偵像や巻末の『ザディーグ』への言及が気になり、何度か手に取り、書棚に戻しを繰り返していたものの、20%オフのセールに乗じて遂に購入。但し読み始めるまで一年近くかかったが……。究極の悪(P26)を捜すというその信条は矢吹駆のようでもあり、黒い服着て超常現象のまやかしを追い回す様は京極堂を彷彿させるものがある。ミステリとしては実に正統派で、時が経つにつれオカルト色が薄れていくのも時代故か。

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    2014年11月28日
  • サイモン・アークの事件簿4

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    ネタバレ

    『悪魔の蹄跡』
    雪の上に残された謎の生き物の足跡。発見者のローランド・サマーズの家から続く足跡。村に住むかつての女優ダイアナ・ハント。ダイアナとサマーズの仲を疑っていた夫のマーク・イーゲンの失踪。

    『黄泉の国の判事たち』
    「私」の父と妹ステラの死。見通しの良い道路での互いの車による正面衝突。選挙を控えスキャンダルを恐れるフィリップ叔父。何者かに襲われ肋骨を折ったステラの夫フランク。「黄泉の国の判事たち」と呼ばれた父とフィリップ。皆が語りたがらない3人目の判事マラの謎。

    『悪魔がやってくる時間』
    友人のリン修道士から何者かに殺害されるかもしれないと助けを求める手紙を受け取ったサイモン・アーク

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    2013年03月01日
  • サイモン・アークの事件簿3

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    ネタバレ

    『焼け死んだ魔女』
    自分の教区に住み着いた魔女を名乗る女マザ-・フォーチュンの正体を探るようにサイモン・アークに依頼した神父。密室状態の自分の小屋で焼き殺されたマザー・フォーチュン。大学校内で起きる謎の死。ウェストウッド教授の調査。大学のプールに隠された秘密。

    『罪人に突き刺さった剣』
    痛悔修道会の修業の場で殺害されたグレン・サマー。覆面をし裸で十字架にかけられた状態の男たちの中で殺害されたグレン。彼が経営するバーでの調査。

    『過去から飛んできたナイフ』
    フレンチ・インディアン戦争の戦いの直前に起きた謎の事件をモチーフにしたイベントに招かれたサイモン・アーク。イギリス軍人の残した日記。彼が

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    2012年01月17日
  • 夜の冒険 現代短篇の名手たち8

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    ニック・ヴェルヴェットやサム・ホーソーンのシリーズは読んでいたのですが、これはノン・シリーズのホック短編集です。でも期待に違わず面白かったです。短くても内容の濃い物語や、ラストの落とし方のうまさなど、堪能しました。

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    2010年04月13日
  • サイモン・アークの事件簿1

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    何これ、
    超面白いんですけど。
    新刊ためらわずに買った自分を褒めてあげたい。
    しかし、巻末になってくると、割と主人公(語り手)の年齢が厳しくてシリーズ続くの?って思ってしまった。

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    2009年10月07日
  • サイモン・アークの事件簿1

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    ネタバレ

    『死者の村』

    73人の村人全員が崖から飛び降りた村。取材にきた「私」が出会った謎の人物サイモン・アーク。燃やされたアウグスティヌスの『告白』。アクシダスという名の男。隔絶された村に起こった新興宗教。村が壊滅後に配達された手紙の秘密。

    『地獄の代理人』

     《地獄の代理人》と呼ばれた男フランシス・ブライアン卿の死の謎を解く本『悪魔崇拝』をめぐる殺人事件。『悪魔崇拝』のありかを知っていた男・ヒューゴ・リチャーズの殺害。3本の矢で磔にされた遺体。古い新聞を張られた地下室のあるパブで行われたミサの秘密。

    『魔術の日』

    エジプトで出会った殺人事件。戦後墜落した飛行機の積み荷に隠された謎。発見され

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    2011年01月20日
  • フランケンシュタインの工場

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    ネタバレ

    国際低温研究所(ICI)のホップス博士が所有する孤島で、極秘裏に進められる実験計画。死んだ人間に脳や臓器を移植し復活させる手術。手術後、「彼」が心拍と脈拍を取り戻した翌日から、後援者の老婦人エミリー・ワトソンが失踪し、手術の為に集められた医師たちが殺されていく。ICIの活動に疑念を抱いたコンピューター検察局は捜査員のアール・ジャジーンを島に送り込む。潜入捜査を開始するアール・ジャジーン。


    孤島での殺人事件って事でミステリ要素も強めで楽しかった。最終作と言うのは残念。

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    2025年11月25日
  • 夜の冒険 現代短篇の名手たち8

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    「フレミング警部最後の事件」が良かった。完成度の高い短編。
    初出が1960~1980年頃なのでかなり古いミステリーの短編集。完成度は高いがあとに残るものはない。

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    2024年12月26日
  • 怪盗ニック全仕事1

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    短編ミステリの名手エドワード・D・ホックが創造した特異な探偵ニック・ヴェルヴェットが活躍する第一短編集。一般的な短編ミステリと一線を画すのは、不可思議な依頼の背景に潜む謎だけでなく、探偵の咄嗟の機転がきいた判断や運任せ/偶然の要素までもが巧く解決に組み込まれている点。ニックは事件を解決はするが、基本的には国境を飛び越えながら金を稼ぎ、隙間では国々を代表する美女と出会い、帰郷して彼女を喜ばせるのみ。ただ、それだけで絵になる男なのだから憎らしい。

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    2024年07月10日
  • 怪盗ニック全仕事2

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    怪盗ニックシリーズ第2弾。『全仕事1』に負けず劣らずの短編が盛りだくさん。いつもどおり価値のないものしか盗まないニックだが、タイトルを見ればわかるように『怪盗ニックを盗め』や『何も盗むな』など曲者もちゃんと揃っている。またガールフレンドのグロリアとの関係にも進展があり、シリーズものとしても楽しめる作品が多い。ミステリとしての私的ベストは『くもったフィルムを盗め』と『海軍提督の雪を盗め』

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    2024年07月09日
  • フランケンシュタインの工場

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    SF。ミステリ。
    貴重なホックの長編作品。
    シリーズものの3作目(最終巻)らしい。
    『フランケンシュタイン』+『そして誰もいなくなった』という設定だけで好き。
    設定も派手だが、ストーリーもなかなかに派手。
    結末は意外とあっさり。
    B級ホラー映画を観ているような感覚。
    変な作品が好きな自分的には、かなり好みの一冊。

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    2024年04月11日
  • 怪盗ニック全仕事4

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     怪盗ニック第四巻。第一作発表から気づけば二十年近く経っている。ニックもグロリアも年齢を重ねており、関係性にも少しずつ変化が見られるところが面白い。

    ・女怪盗サンドラ・パリス登場。けっこう重要な準レギュラーとなっている。サンドラ初登場話が第四巻の幕開けになっているところに、編集者の愛とセンスを感じる。ところでパリスという姓は男性を魅了する女性にぴったりなイメージがあるのかな。と、ポーラ・パリスを思い出した。
    ・ニックは五十に近い四十代で、グロリアはもうすぐ四十歳という時代。ニックの仕事はいつも現実離れしているが、二人の間に起こる事件はリアリティがある。
    ・仕事失敗のケースが増えてきた印象。仕

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    2023年11月09日