エドワード・D・ホックのレビュー一覧
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「泣いても笑ってもこれが最後」と訳・解説の木村二郎さんの言うとおり、『怪盗ニック全仕事』シリーズ完結。怪盗ニックの活躍する短編は全て読んでしまったということになる。寂しいけど、文庫全六巻と手頃な達成感は嬉しい。そして最高に面白かった!
六巻には一九九七〜二〇〇七年までの発表作品が収録されている。「この二十一世紀に…」というような台詞もあるし、ニックもサンドラもインターネットを使う。麻薬やダイヤではなく「マイクロチップ」が価値を持ったりもする。ただ、「インターネットで調べたのさ」とお爺さん(?)ニックが自慢げに言う様子から見ると、作者のホックさんもそっち方面が得意とは思われず、情報収集が多 -
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一九六六年に始まった怪盗ニックシリーズだが、第五巻は一九八九〜一九九六年に書かれた作品が収められている。もう私も生きていた時代だと思うとぐっと身近に感じる。
時は確実に流れており、ニックは「初老」、グロリアは「中年」と表現されていた。「初老」の方はサンドラからのユーモア混じりの言及(「魅力的な初老」)なので、間に受けていいのかわからない。サンドラもニックから「相変わらず魅力的」と評されているが、年齢に言及するならば「中年」だろう。懐かしのチャーリー・ウェストン警部補との再会シーンでは、年をとった彼のことをニックははじめ誰だかわからない。ウェストンの方は「おれはすぐにお前に気付いたぞ」。片思 -
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怪盗という言葉にはやはり浪漫がある。
但し、ニックは、ルパンは怪人二十面相式の、いつのまにか密室に忍び入って秘宝を盗み、どろんする、というタイプの怪盗ではない。
誰もほしがらないようなつまらないものに限定して、依頼を受けて盗みを働く。その盗みはかなり当意即妙でああり、ニックが逮捕されないのは、あくまでも盗んだ代物が価値のないものであること、そして目こぼししてもらうために事件の真相をその場で解き明かしてみせるという技を使う事が理由。
そう、つまらないものを盗みのには、依頼人に当然なにやら事情があるわけで、それは時に、別の犯罪を隠すため、ミスディレクションを狙ってニックに依頼してくるわけだ。 -
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ネタバレ『斑の虎を盗め』
ハリー・スミス、コーミック、ジニーの3人から動物園の斑の虎を盗むように依頼された怪盗ニック・ヴェルベット。ジニーと動物園で行動中に起きた銃撃戦。
『プールの水を盗め』
叔父であるサミュエル・フィッツ・パトリックの屋敷 からプールの水をすべて盗むように依頼されたニッ ク。全部盗む意味は?依頼人リディアの伯母の行方不 明事件との関係。
『おもちゃのネズミを盗め』
パリで撮影されている映画の小道具であるおもちゃの ネズミの盗難。盗み出したネズミ。撮影の為にアメリ カから届けられたおもちゃのネズミに隠された秘密。 女優キャロル・ヤングの危機。
『真鍮の文字を盗め』
ある企業SA -
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ネタバレ『悪魔の蹄跡』
雪の上に残された謎の生き物の足跡。発見者のローランド・サマーズの家から続く足跡。村に住むかつての女優ダイアナ・ハント。ダイアナとサマーズの仲を疑っていた夫のマーク・イーゲンの失踪。
『黄泉の国の判事たち』
「私」の父と妹ステラの死。見通しの良い道路での互いの車による正面衝突。選挙を控えスキャンダルを恐れるフィリップ叔父。何者かに襲われ肋骨を折ったステラの夫フランク。「黄泉の国の判事たち」と呼ばれた父とフィリップ。皆が語りたがらない3人目の判事マラの謎。
『悪魔がやってくる時間』
友人のリン修道士から何者かに殺害されるかもしれないと助けを求める手紙を受け取ったサイモン・アーク -
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ネタバレ『焼け死んだ魔女』
自分の教区に住み着いた魔女を名乗る女マザ-・フォーチュンの正体を探るようにサイモン・アークに依頼した神父。密室状態の自分の小屋で焼き殺されたマザー・フォーチュン。大学校内で起きる謎の死。ウェストウッド教授の調査。大学のプールに隠された秘密。
『罪人に突き刺さった剣』
痛悔修道会の修業の場で殺害されたグレン・サマー。覆面をし裸で十字架にかけられた状態の男たちの中で殺害されたグレン。彼が経営するバーでの調査。
『過去から飛んできたナイフ』
フレンチ・インディアン戦争の戦いの直前に起きた謎の事件をモチーフにしたイベントに招かれたサイモン・アーク。イギリス軍人の残した日記。彼が -
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ネタバレ『死者の村』
73人の村人全員が崖から飛び降りた村。取材にきた「私」が出会った謎の人物サイモン・アーク。燃やされたアウグスティヌスの『告白』。アクシダスという名の男。隔絶された村に起こった新興宗教。村が壊滅後に配達された手紙の秘密。
『地獄の代理人』
《地獄の代理人》と呼ばれた男フランシス・ブライアン卿の死の謎を解く本『悪魔崇拝』をめぐる殺人事件。『悪魔崇拝』のありかを知っていた男・ヒューゴ・リチャーズの殺害。3本の矢で磔にされた遺体。古い新聞を張られた地下室のあるパブで行われたミサの秘密。
『魔術の日』
エジプトで出会った殺人事件。戦後墜落した飛行機の積み荷に隠された謎。発見され -
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怪盗ニック第四巻。第一作発表から気づけば二十年近く経っている。ニックもグロリアも年齢を重ねており、関係性にも少しずつ変化が見られるところが面白い。
・女怪盗サンドラ・パリス登場。けっこう重要な準レギュラーとなっている。サンドラ初登場話が第四巻の幕開けになっているところに、編集者の愛とセンスを感じる。ところでパリスという姓は男性を魅了する女性にぴったりなイメージがあるのかな。と、ポーラ・パリスを思い出した。
・ニックは五十に近い四十代で、グロリアはもうすぐ四十歳という時代。ニックの仕事はいつも現実離れしているが、二人の間に起こる事件はリアリティがある。
・仕事失敗のケースが増えてきた印象。仕