木村元彦のレビュー一覧
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サッカー、というかスポーツ全般に興味がない。
オシム監督の名前は聞いた事があったけど、
具体的な事はほとんど知らなかった。
脳梗塞を起こして外国に電話して救急車呼んだ人、
ラジオCMで脳梗塞後の速やかな救急搬送の重要性を伝えていた人、というイメージの方が強い。
祖国が崩壊して家族を人質に取られた様な状態でサッカーチームを指揮し、結果を出していた、とか、
選手一人一人を見て公平に接する教育者の様な一面は本作で初めて知った。
哲学者であり、経営者であり、教育者である名将。
祖国を失ったけれども、民族の誰からも好かれるコスモポリタン。
こんな素晴らしい人が同時代にいたのに知ろうとしなかったのをもっ -
Posted by ブクログ
JFAやJリーグにおけるガバナンス欠如案件についての本。よってカテゴリは「スポーツ」ではなく「法律」に分類した(「ビジネス」でもよいけど)。
ほんの30年前までスポーツの競技団体なんてどこも手弁当で有志(?)が運営していたので、人材の欠如や偏りがあるのは必然である。
その中でいちはやく自立に道筋をつけたのがJFAやJリーグであるが、そんなに一朝一夕に解決できるとは思えない。本書の事例は2007年の出来事であるから、なおのこと。
ガバナンスの欠如そのものには「しょうがないね」と思う部分もあるのだけど(本当はしょうがなくない)、それよりも暗い気持ちになるのは、指摘を受けてからの態度。
それがポ -
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「オシムの言葉」木村元彦
加筆があったので単行本→文庫買い直ししたもの。
通訳をしていらした千田さんの本や、Numberもどこかにある。
これはすぐ出るところにあるのでした。
一時期ジェフ千葉を応援していたのは、ひとえにこの方のおかげで、成長していく選手やチームを見ているのがとても楽しかった記憶があります。
2000年代の日本人に何かしらを残した人じゃないかなあ。
バブル後様々なことがグローバル化していく中、
"日本人が自覚すべきこと"を、
サッカーに留まらず社会全体へ示してくれたような名将でありました。
今年は、どのような思いでいらっしゃったのかしらね。
ご冥福 -
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ネタバレサンフレッチェ広島を築きあげてきた今西和男氏の広島時代、そしてFC岐阜時代の話。広島時代は社会人、そしてJリーグと一歩先を行くチーム作りをしてきたストーリーが書かれている。今、様々な指導者として活躍している面々の多くが今西氏の元を経由しているのが興味深いし、こことここが繋がっているのかと感心したり。ご本人も陸上の為末大とは親戚というのが初耳だった。
FC岐阜ではいろいろな外的要因でうまくいかなかったが特にライセンス制度の部分ではJリーグに謀られた話がさもありなんという感じで読めた。ライセンス制度、必要ではあるが今の状況を見ても果たして正しいやり方のかは疑問が残る。
FC東京ファンとしても森重、 -
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ネタバレ僕は挑戦人
著者:ちゃんへん.
構成:木村元彦(ゆきひこ)
発行:2020年8月21日
ホーム社
やっと順番が回ってきた人気本。久々に「あー面白かった」と読後に発した本だった。タイトルの「挑戦人」という当て字というかひねりだけ、ちょっと無理がある(しっくりこない)感じだったけど、中身はとても優れた本だった。
著者は京都府宇治市のウトロ地区で生まれ育った在日コリアン。1985年生まれ。父親を幼い頃になくし、クラブを経営する母親と祖父母に育てられた。小3の時にクラスメートから言われるまで、自分が在日であることや外国人と日本人との違いすら知らなかった。4年生になると上級生からひどいいじめを連日 -
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本編はホントに面白くて。改めてこのクラブのサポーターでいられた幸運に感謝しかない。この本では美化しすぎな気もするけど、一方で彼がいなかったらクラブは存在しなかったというのは紛れもない事実。2021年の今だからこそ、感慨を感じたり面白がれたりするのだけど。
ただ、もちろん本書の元々の範囲外ではあるけど、2010年から2015年までが語られてないどころかさらっと黒歴史のように書かれているけど、2013年の県民を挙げての寄付活動とJ1昇格は2009年の転落からの一つ区切りとしてはっきりと存在しているということだけ言っておきたい。それがあったからこその2016年以降の飛躍があるから。相変わらず社長は県 -
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以前読んだ「オシムの言葉」の続編というか、脳梗塞に倒れ、帰国したあとの後日譚に当たる。
旧ユーゴスラビア解体の動きの中で、それまでの隣人同士が銃で撃ち合うような事態に発展したボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の戦火に、家族もろとも翻弄されながらサッカーを続けてきたオシム氏。
サッカーは、分断された国にとって唯一のアイデンティティーとさえ言える存在だが、やはり分裂状態にあったサッカー協会を再び一つにまとめ上げ、ワールドカップへの出場を成し遂げるまでの「正常化委員会」での大仕事を中心に描く。
クロアチア・セルビア・ムスリムの3つの民族が入り乱れているだけでなく、社会格差も拡がる分断のさまは余りにも