木村元彦のレビュー一覧
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ジェフ千ユナイテッド市原や日本代表監督も勤めたイビツァ・オシムについて、本人へのインタビューやその半生をつづった本。監督就任後、脳梗塞で倒れてしまい惜しまれつつ監督の座を降りてしまったが、この人がそのまま監督をしていたらどうなったか?非常に残念で仕方がない。間違いなく、今の日本サッカーの躍進に貢献した人である。この本を読んでそれを感じざるを得なかった。
とても含みのある、そしてユーモアにも長けた言葉がひとつひとつ心に響く言葉。日本とは対極のような国で生まれ育ったからこそ培われたその意志。サッカーへの並外れた愛情。
自分の中にあるサッカー魂にも火がつきました。 -
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名古屋のスーパースター、ドラガン・ストイコビッチ。1993年にプロサッカーリーグのJリーグが開幕し、沸き上がる日本の中で唯一取り残されたのが、名古屋の名古屋グランパスエイトだった。観るのも悲しくなるぐらいの弱さ。まったく希望の持てないチームに、市民はサッカーから遠ざかっていた。
そんな中、誰も期待していなかった空気の中に一人の男が入団した。そうドラガン・ストイコビッチ。リネカーという超大物外国人で大失敗をしているグランパスエイト。またどうせ期待外れだろう、名古屋市民はみんなそう思っていた。
しかし、その空気は彼の魅せる異次元のプレーで変えられた。言葉では表現できないスーパープレーの数々。説明は -
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サッカーと政治の冷たい現実
「 7つの隣国、6つの共和国、5つの民族、4つの言語、3つの宗教、2つの文字により構成される1つの国」ピクシーことストイコビッチなど数々のタレントを輩出してきた多民族国家旧ユーゴスラビア。1990年代の内戦、紛争を経て、1999年にNATOによる空爆を受ける中、それぞれのルーツを持つサッカー関係者が何を想い、何に直面し、何を感じたかを描いたルポ。
ジーコジャパンなるものがドイツで幕を閉じ、川淵キャプテンの大失言によって次期代表監督はジェフ千葉のオシム監督に向かって急速に動いている。マスコミは彼の身長や、語録、若手起用などありきたりなニュースで盛り上がっているが -
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ワールドカップやオリンピックが近づくといつも読み返したくなる本。
少しでもユーゴ紛争のことか、ストイコビッチのことを知っている人であれば、まえがきの
-ワールドカップは誰のために戦いますか?
「祖国のために」
これだけで良い作品だと感じてもらえるはず。
あと作品を読みながら思い出すのは、深夜にかじりついて見てたEURO2000の中継。3点ビハインドを追いついたスロベニア戦でのユーゴスラビア!ユーゴスラビア!の大合唱。祖国を追われた移民の母国への純粋な想いと、ユーゴスラビア紛争により敵となったかつての同胞への異常なまでの敵意の爆発。
youtubeなどで探せば動画も見つかると思います -
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『誇り』がストイコビッチに焦点をあてた本であるのに対し、これはユーゴスラビアサッカー全体に焦点をあてた作品。
そして、そのサッカーを切り口にして、ユーゴスラビア紛争やコソボ紛争などを見事に描きだしていると思う。
自分がワールドカップを見始めたのが、98年のフランス大会。そこにはユーゴもクロアチアも出てたけど、「統一ユーゴスラビア」の代表をみたかったなぁ。
ストイコビッチ、サビチェビッチ、ミヤトビッチ、ミハイロビッチ、ミロシェビッチ、ユーゴビッチ、シュケル、ボバン、ヤルニ、ボクシッチ、アサノビッチ、プロシネツキ…
こんなドリームチームが失われてしまったのは、本当に残念。もちろん仕方ないことな -
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ネタバレ2007/6/17 阪神百貨店LIBROにて購入。
2017/3/29〜4/11
10年ものの積読本。オシムの言葉で有名になった木村元彦さんの初期作品。主役はそう、あのストイコビッチである。華々しいデビューから、内戦によるユーロ直前の締め出し、失意の中での日本への移籍、フランスワールドカップへの出場、と表面的なサッカーの出来事はよく知っていたが、その後ろにはこんなに悲しい事実があったとは。本当に人間は哀しい存在だ。
そういえば、私はフランスワールドカップで、ドイツ代表対ユーゴスラビア代表の試合を生観戦したんだった。凄い試合だったのを覚えている。確か翌日は、本書にも頻出する因縁のクロアチア代表