木村元彦のレビュー一覧
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読書家の世界では年間約100冊を読むことは少ない方かもしれませんが、とにかく今まで読んできた本、特にノンフィクションの中で最も感銘を受けましたので、より多くの方に読んで頂きたくて初めてレビューを書かせて頂きます。
在日コリアン三世として京都に生まれた著者は、小学生時代に激しいいじめを経験するが、漫画雑誌の懸賞で当たったヨーヨーによって学校では人気者になり、中学生では後に職業となるジャグリングに出会う。家族や様々な人の後押しによって著者を後のプロパフォーマーとして、そして人として成長させる。それだけにとどまらず、人々に勇気を持つことや前向きに生きるきっかけを与えるため、講演家としてその役割を果 -
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ネタバレ民族対立の中で崩壊しかけたボスニア・ヘルツェゴビナサッカー協会。立て直しを託されたのはかつて、ユーゴ代表のエース、そして代表監督としてチームを率い、後年は日本代表監督も務めたイビツァ・オシム。その内幕を取材した力作。日本代表監督時代に脳梗塞で倒れ、不自由な身体になりながらも母国のために奔走する姿はリスペクトしかない。
オシムさんがいなければ、未だにボスニアサッカーはFIFAに復帰できなかったかもしれないし、それをきっかけに再び紛争が起こったかもしれない。よその国の話ではあるけれど、冷や汗が出る気分。
話は別だけど、オシム・ジャパンの完成形も見たかったなあ。 -
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オシムの言葉は、時に意味深長で、時にウイットに富み、またある時、鋭利な刃物となり、またある時、人の心を強く束縛するほどの力を持つ。このような人物がどのようなバックボーンを持ち、どのようにサッカーと絡み合ってきたか、どのようにチームをマネージメントするのかというようなことを通して、彼の人生哲学とはどのよなものかを浮き彫りにするのが本書である。 オシムのような人物の人生哲学を説明することは非常に難しい。そのため、著者は彼の発言を中心にしたエピソードを解説することで、その代用をする。これによるとオシムの指導者としての特徴は、プロセスを重んじることである。「できる準備を完全にした。それで勝てるかどうか
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平明で読みやすい文章であったが、盛り込まれた内容は非常に充実している。国連という立場からの平和構築について、現場的な観点から生々しく回想されている。カンボジア、旧ユーゴ、スリランカにおける、私でさえ知っているような政治リーダーたちとの和平交渉の記録は、極めて貴重なものだと思う。明石さんの鋭い観察眼により捉えられた指導者像は、興味深かった(特にシハヌーク、ミロシェヴィッチ、カラジッチ、ムラディッチについて)。
明石さんは、特定の主体に対して肩入れしないポリシーを貫徹し、しかしながら相手の言い分・立場・背景を尊重しながら交渉を行った、慎重、冷静、柔軟、相対的、戦略的、現実主義的な調停者であったこと -
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今、地方のJリーグの社長と言えば、長崎の高田社長だろうけど、その昔話題となった大分の溝畑社長のことを取り上げた本。ピクシーやオシムの旧ユーゴの著作なんかで有名な木村元彦さんが書いた本で、どん底の2010年に出された本をもとに加筆して新書化。
丁度絶頂とどん底の瞬間は駐在で日本にいなかったから、ネットで事実を知った程度だけれど、世間に知られる事実の裏側にはいろんなドラマがあったんだなと。
破綻がなければ2010年に金崎夢生がグランパスに移籍することもなかっただろうから、グランパスの初優勝もどうなっていたか分からないとも思ってみたり。
その後、J2/J3と各地に広がったJリーグチーム。昨年始まった -
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「突然ガバチョ!」・「夜はクネクネ!」(何れもMBS)・「EXテレビ」(YTV)という、80年代~90年代半ばにかけて、それまでテレビバラエティーになかった番組が席捲した。それらの番組で人気を博した企画は形を変え、引き継がれていく。ダウンタウンの「笑ってはいけないシリーズ」、「鶴瓶の家族に乾杯」に代表される「街ブラ」、「開運なんでも鑑定団」等の元ネタとなっている。その企画を生み出したのが構成作家 倉本美津留。その異才ぶりをスポーツドキュメンタリーで知られた著者が、アシスタントディレクターを経て構成作家へと転身、松本人志との出会い、そして現在の非お笑い分野の仕事までを丹念な筆致で追いかけた評伝。
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ネタバレテレビに縛られる生活が窮屈になったのをきっかけに、少しずつテレビ離れをしはじめて、今ではテレビがなくても全く支障のない生活が送れるようになった。もっとも、家族はそういうわけでもないので、家にはテレビはあるものの、俺は茶の間にいる時についてたら観る程度で十分。
が、そういう生活になる前は、民放バラエティはなくてはならないものだった。日々のストレスを晴らすのに、酒とお笑い番組はうってつけの薬だった。高校・大学受験の時も勉強の合間に観るテレビや聴く深夜ラジオは、欠かせない安息の時間だった。
ヤングタウン
オールナイト日本
突然ガバチョ
夜はクネクネ
EXテレビ
ゴッツエエ感じ
明石屋電視台
M- -
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ネタバレオシムの言葉2005
サッカーをモチーフに、時に自分の哲学を語る。プレーや試合についての言及が結果として深遠な人生の真理をついている。
旧ユーゴで代表監督を務め、その崩壊過程を全身で受け止めてきた。
稀代のアフォリスト(名言)
・新しい指揮官の第一声は少し長い演説になるのが常。
←自分を理解させるため
←舐められないため
・2チームに分かれてハーフコートで1:1をやれ。→片方の選手が押され始めても、漠然と見ている選手たちを叱責する。実戦で1:1が5秒も6秒も続くシチュエーションはない。早くサポートに行け!
→言われた通りではなく、相手の裏をかくための創意工夫をしながら練習しろということ
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『オシムの言葉』木村元彦(集英社文庫)
私がオシムを知ったのは、ジェフ市原の監督をしていた頃からだろうか、でも本当に記憶にあるのは、テレビによく出始めた日本代表監督になってからだ。サッカーに関しては、それ程熱狂的なファンではなく、ワールドカップがあれば急に「日本頑張れ!」と応援するにわかファンの部類に入ると思う。だから、メディアの露出度が高い選手や、監督には必然的に興味をそそられてきた。しかし、オシムへの興味は違っていた。インタビューで放たれる深い言葉を聴き、彼の表情と視線を目にした時の彼への興味をひとことで言うと、『こういっ人物はどうやって作られるのだろうか?』というものだった。私が大抵人に -
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[一言に、人生が宿る]ユーゴスラビアと日本という2つの国のサッカー代表監督を務め、それぞれにおいて数字だけでは表すことのできない多大な足跡を残したイビツァ・オシム。「オシム語録」として注目を集めた彼の言葉の裏には、祖国の興亡や家族の離散という悲劇の渦に呑まれながらも、サッカーに人生を捧げ、前を向き続けた男の歩みが投影されていた......。ミズノスポーツライター賞最優秀賞受賞作です。著者は、ユーゴスラビアのサッカーならこの人の右に出る日本人なしとも言える木村元彦。
生まれながらにしての指導者とでも評せば良いのでしょうか、とにかくその視野の広さと洞察力の鋭さ、そして人間に対する敏感すぎるほど -
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ネタバレ旧ユーゴスラビアの国々への思い入れが深い作者によるドキュメタリー。
セルビアとマケドニアの対立を主軸に描かれる。
拉致や虐殺、そこにかかわってくるアメリカ。
何度も現地に脚を運び、つぶさに現状をルポタージュしている。なので各国の現在のありようがまざまざと浮かび上がる。貧しさや苦しみが。
もともとは民族融和が謳われていた国々で、他民族婚も多く行われていた国々で、近所同士がいがみ合い、騙しあい、果ては殺し合い...
そんな報復の連鎖を、国単位、団体単位、そして家族単位にまでインタビューをして描いている。
ジャーナリズムとは、ルポタージュとはかくあるべし。
その中で、劣化ウラン弾についての記述が心に