あらすじ
地方創世を問う傑作ノンフィクション。
「地方から世界へ」のスローガンを掲げ、キャリア官僚・溝畑宏の熱意によって創設されたプロサッカーチーム大分トリニータ。宴会では裸踊りも辞さないドブ板営業で溝畑はスポンサー集めに奔走。ついにはW杯の大分招致を果たし、さらにナビスコ杯を制しチームは日本一に。しかし翌年チームは経営破綻し溝畑は社長を辞任、その後はチームも低迷し、2015年にはついにJ3に降格した(昨シーズンにはJ2復帰を決めている)。
Jリーグ屈指のホームスタジアムを持ち、充実した育成システムで日本代表選手も数多く輩出、一度は日本一にも輝いたトリニータが迷走した理由は何か。溝畑はなぜ追放されたのか。チーム創設から現在までの22年を追うことで、地方でのプロスポーツチーム経営の難しさ、ひいては日本の「地方創世」の実態が見えてくる。ベストセラー『オシムの言葉』の著者が2010年に刊行した傑作ノンフィクションに、その後の取材を加えた増補版。
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Posted by ブクログ
今、地方のJリーグの社長と言えば、長崎の高田社長だろうけど、その昔話題となった大分の溝畑社長のことを取り上げた本。ピクシーやオシムの旧ユーゴの著作なんかで有名な木村元彦さんが書いた本で、どん底の2010年に出された本をもとに加筆して新書化。
丁度絶頂とどん底の瞬間は駐在で日本にいなかったから、ネットで事実を知った程度だけれど、世間に知られる事実の裏側にはいろんなドラマがあったんだなと。
破綻がなければ2010年に金崎夢生がグランパスに移籍することもなかっただろうから、グランパスの初優勝もどうなっていたか分からないとも思ってみたり。
その後、J2/J3と各地に広がったJリーグチーム。昨年始まったBリーグもしかりだけど、身の丈をどう知るのか、いかにやり過ぎないかっていうのが肝心なんだと思う。成功したら○○社長のお蔭。失敗したらワンマン経営だと糾弾。難しいね。
Posted by ブクログ
本編はホントに面白くて。改めてこのクラブのサポーターでいられた幸運に感謝しかない。この本では美化しすぎな気もするけど、一方で彼がいなかったらクラブは存在しなかったというのは紛れもない事実。2021年の今だからこそ、感慨を感じたり面白がれたりするのだけど。
ただ、もちろん本書の元々の範囲外ではあるけど、2010年から2015年までが語られてないどころかさらっと黒歴史のように書かれているけど、2013年の県民を挙げての寄付活動とJ1昇格は2009年の転落からの一つ区切りとしてはっきりと存在しているということだけ言っておきたい。それがあったからこその2016年以降の飛躍があるから。相変わらず社長は県からの出向者だし、ここで指摘された課題は変わってはいないのだけど。(その出向社長が優秀っていうのが、またややこしい話でもある)
語りたくなるマイクラブがある喜び、それに関しては感謝してもしたりない。