木村元彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「いかにも日本人っぽいふにゃふにゃした暖簾に腕押しみたいな奴だなぁ。」
明石さんをそんな風に思っていた時期が私にもありました。
私は海外のメディアに叩かれまくる彼しか知りませんでした。
しかし彼は、骨も筋もあるとんでもない調停者だったのです。
他者の間に入って「調停」を行うのに
変な先入観や正義感などがあってはいけない。
彼は意志と知恵と成し遂げている。
そして自分の行ってきたことを「常に最善だった」と胸を張っていえる。
間違い無くかっこいい。
生きた人間の姿がそこにあった。
弱腰でもなんでもない。信念と責務を全うする男の姿だ。
ただ、惜しむらくはこのタイトル。
内容が全然「独裁者」との交渉とは関係ないのだ。
明石さんは誰も「独裁者」として見ていないのだから。
こればかりは編集者の勇み足、ちょっとやり過ぎだ。
国連で要職を務めあげた男の生の言葉です。
国際社会に関係がある人も無い人も、一度は読んでほしいもの。
末尾の言葉
「このごろ、日本を覆っている活力のなさと内向きの志向を私も心配している。突破口はあるはずなのに、生ぬるい心地よい悲観の中にひたっているように見える。もっとアジアと地球全体を見すえた積極的な思考が生まれてよいのにと思う。」
まさしく、まさしくその通りだと思うのです。 -
Posted by ブクログ
ひょんなことからユーゴ・サッカーに興味を持ち、取材を開始した著者。
しかしそれは奇しくもユーゴ・サッカーが政治に、そしてユーゴスラビアという国家自体が国際政治に、翻弄され愛国心を燃え上がらせ分裂していく過程に立ち会うことでもあった。
昨日までの隣人に憎しみをぶつけ、それまで喝采を送っていたおらが村のスター選手に殺害を予告する民族主義・国家主義の勃興に胸を痛め、一方的な制裁措置やレッテル貼り報道への強い憤りを隠さない著者。
その“傾き”を問題視するネット書評を読んだが、個人的には気にならなかった。
というよりむしろ大いに“アリ”だと感じた。
現在も営々と行われている各国政府、代理人、報道・言論機関の(作為・不作為に関わらない)情報操作や誘導。
時計の針を戻すことが誰にも出来ない以上、このクソな現状を認識するためにも『ドキュメント 戦争広告代理店』で描かれたスマートなやり取りの裏で何が行われていたかを教えてくれる本書は貴重な一冊であると言える。 -
Posted by ブクログ
読みたい本リストに『橋を架ける者たち』ってあったから市民社会や社会的企業に携わる人たちの話かと思ったら在日コリアンのサッカー選手やサッカーにかかわる人たちの話だった。在日コリアンも興味・関心があるので、そうかそっち路線の興味・関心で読みたい本リストに入れたということだったか。
日本人ならすることがない苦労や過酷な現実に直面しながら、好きなサッカーで身を立てるために、サッカーを通じて世界をつなぐために奔走する人たち。ただサッカーがうまいだけでなく、人間性のすばらしさに関するエピソードにも驚かされる。在日コリアンの人たちは苦労が常のようなところがあって苦労耐性が強いかもしれないけど、それにしても良く平然と現実を受け入れていけるなあと思わされる。著者は在日コリアンのこともサッカーについても取材歴豊富なジャーナリストのようで全体が丁寧に書かれていて、サッカー自体には何の興味もない自分にとっても読みごたえがあった。