木村元彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
[ 内容 ]
1999年のNATO軍の空爆により、コソボ紛争は公式には「終結」したことになっている。
しかし現地では、セルビア系の民間人が三〇〇〇人規模で行方不明になるなど、空爆前とは違った形で「民族浄化」が続き、住民たちは想像を絶する人権侵害の危機にさらされている。
また、空爆による劣化ウラン弾の被害は甚大で、すべての回収には一〇〇年を要するという。
本書は、空爆終了後六年間にわたって現地に通い続けた唯一のジャーナリストが、九・一一やイラク戦争の開始以降ほとんど報道が途絶えてしまったセルビア・モンテネグロの現状を告発した、渾身のルポルタージュである。
[ 目次 ]
第1章 大コソボ主義(二 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
冷戦後、世界の安全保障の枠組みが激変するただ中で、カンボジアPKOやボスニア紛争の調停をはじめ、国連が主導した一九九〇年代の平和活動を指揮した日本人がいた。
もっとも困難な立場に立たされた交渉人―明石康は、シアヌーク、ミロシェヴィッチ、カラジッチといった現代史に名を残す政治家・ナショナリストたちと、どのように対話し続けてきたのか?
バルカン半島の現場を熟知するジャーナリスト木村元彦が、一年間にわたって連続インタビューを敢行。
誰よりも苛烈な現場を潜り抜けてきたミスター・アカシの交渉テクニックに迫る。
[ 目次 ]
反抗児
初の日本人国連職員
国連的アプローチ
文民統制
カンボシ -
Posted by ブクログ
* 私は敵を想定しない
紛争調停や平和維持のために行動しているからこそ、敵を想定しない交渉が生まれる。当事者同士は複雑な利害関係で動いており、譲れない点も多く一見欧米のメディアのように善悪二元論を持ち出す方がわかりやすいのだろうが、それでは力関係で物事が動いてしまう。平和を一時的にもたらすのではなく、長持ちさせるためには、当事者たちの納得が必要。信頼の構築には一般的に長い時間が必要だと思うが、それを一年半程度で成し遂げる明石さんはすごいと思う。
* 明石さんがなぜ信頼を獲得できたのか
* 相手を悪者として扱ったりせず、常に中立の立場にたって対話した
* 時間があるときは個人的にあったり、 -
Posted by ブクログ
「いかにも日本人っぽいふにゃふにゃした暖簾に腕押しみたいな奴だなぁ。」
明石さんをそんな風に思っていた時期が私にもありました。
私は海外のメディアに叩かれまくる彼しか知りませんでした。
しかし彼は、骨も筋もあるとんでもない調停者だったのです。
他者の間に入って「調停」を行うのに
変な先入観や正義感などがあってはいけない。
彼は意志と知恵と成し遂げている。
そして自分の行ってきたことを「常に最善だった」と胸を張っていえる。
間違い無くかっこいい。
生きた人間の姿がそこにあった。
弱腰でもなんでもない。信念と責務を全うする男の姿だ。
ただ、惜しむらくはこのタイトル。
内容が全然「独裁者」との -
Posted by ブクログ
ひょんなことからユーゴ・サッカーに興味を持ち、取材を開始した著者。
しかしそれは奇しくもユーゴ・サッカーが政治に、そしてユーゴスラビアという国家自体が国際政治に、翻弄され愛国心を燃え上がらせ分裂していく過程に立ち会うことでもあった。
昨日までの隣人に憎しみをぶつけ、それまで喝采を送っていたおらが村のスター選手に殺害を予告する民族主義・国家主義の勃興に胸を痛め、一方的な制裁措置やレッテル貼り報道への強い憤りを隠さない著者。
その“傾き”を問題視するネット書評を読んだが、個人的には気にならなかった。
というよりむしろ大いに“アリ”だと感じた。
現在も営々と行われている各国政府、代理人、報道・言論機